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トシ(この卓も、一筋縄にいきそうにはないねえ) トシ(様子見しながら、和了っていこうかね) トシ「……ロン、3200」 東二局 咏 100000 親 漫 96800 トシ 103200 良子 100000 漫(東発から直撃とかあかんやろ) 漫(こう見えても私はもう姫松の主将!) 漫(ここで負けとったらみんなに示しがつかんわ!)タンッ! 良子「ロン、8000です」 東三局 咏 100000 漫 88800 親 トシ 103200 良子 108000 咏(ここまで焼き鳥かよ……) 咏(私は勝たなきゃいけねえっつうのによ!)タンッ 咏(この局、でっけえの和了ってやるよ!) 漫「ロン!12000!」 漫「これで原点戻しや!」 咏「う……」 咏(マジかよ……) トシ(次が戒能プロの親か……) トシ(ここで、使っておこうかねェ) 東四局 咏 88000 漫 100800 トシ 103200 親 良子 108000 良子(…………) 良子(手が進まない、ですね) 良子(さっきからムダヅモばかり、これではまるで、インターハイのハツミのようです) トシ「…………」ジロッ 良子(宮守の監督……彼女の師) 良子(おそらく、パワーのソースはあのモノクル) 良子(目的は私の親流しでしょうから、乗っておきましょうか)タン トシ「ロン、12000だね」 トシの【隻眼の老王】の効果が変更されました! 【複合】より、【爆撃】をコピーされました! 【爆撃】(下位) 発動可能回数1回 発動した局のみ、自分の聴牌判定+20、和了判定+70、翻数最低4翻 南一局 親 咏 88000 漫 100800 トシ 115200 良子 96000 トシ(姫松の子はチャンタを軸とした高火力な打ち筋) トシ(私たち相手ならそろそろ爆発してもいい頃だとは思うんだけど……) トシ(こちらの方が、早いみたいだねぇ) 咏「――――ツモ!」 咏「混全帯、小三元、混一、發中、ドラ2!」 咏「12000オール!」 良子(…………) 良子(ここからは、押していきましょうか) 南一局一本場 親 咏 124000 漫 88800 トシ 103200 良子 84000 同コンマのため、流局 南一局二本場 親 咏 124000 漫 88800 トシ 103200 良子 84000 漫(先鋒戦……長いなぁ) 漫(倒してきた先輩方の思いの重圧) 漫(こんなん、インターハイ以来や) 漫(緊張するけど、ここで和了らな!) 漫「ロン!6400は7000!」 漫(この三人に呑まれてまうやろ!) 漫の【爆撃】が発動されました! 南二局 咏 124000 親 漫 95800 トシ 96200 良子 84000 漫(入った!) 漫(混全三色、後はこれでドラが乗ればもっとええんやけど……) 漫「カン!」 漫(うー……ん、乗らんかったか) 漫(他家はまだ誰も動いとらんようやし、リーチはかけずに……) トシ「…………」トン 良子「…………」トン 咏「…………」トン 漫(早速来たな!) 漫「ロン!12000!」 漫(まだまだ続くで!) 【連鎖爆撃】が発動されました! 南二局一本場 咏 112000 親 漫 107800 トシ 96200 良子 84000 良子(……ふむ) 良子(ボンバーガールの流れは、ここで止めておきたいところですね) 良子(…………)ゴッ 良子の【悪待ち】が発動されました! 漫「リーチ!」 トシ(今度は二巡目リーチ……) トシ(塞いでおいた方がよかったかもねぇ) トシ(……どの道、次の局で止まるだろう)タン 漫「ロン!24300!」 トシ(ここが、正念場さね) トシの【防塞】が発動されました! 南二局二本場 咏 112000 親 漫 132100 トシ 71900 良子 84000 良子(……今度はウタに大きい手ですか……) 良子(他の2人に託してみましょう) 良子「チー」 良子「ポン」 良子「……カン」 トシ(なんだい、この鳴き……) トシ(一二三萬をチーして、四索をポン、暗刻の白を大明槓) トシ(切羽詰まりすぎじゃないかね……?) 良子「ポン」 トシ(九索……これで最大でも三翻ってことかぃ) トシ(……?この打ち方、確かインターハイで……) トシ(…………この辺り?)トン 良子「イグザクトリー――――」 良子「ロン、1900」 トシ(他家の大物手を警戒しての鳴き、ね) トシ(一応乗ってはあげたけど、次も成功するとは思わない方がいいよ) トシの【爆撃】が発動されました! 南三局 咏 112000 漫 132100 親 トシ 70000 良子 85900 良子(プロフェッサー熊倉のターンですが……) 良子(挑ませてもらいましょうか) 良子「リーチ」 良子の【大回転リーチ】が発動されました! 良子(また、ムダヅモですか)トン 漫(……なーんか、急に有効牌が来るようになったなー) 漫「カン!」 漫(嶺上牌まで有効牌か……私も捨てたもんやないな!) 良子(また、ですか……)トン 漫「ロン!16000!」 南四局 咏 112000 漫 148100 トシ 70000 親 良子 69900 良子(最下位で次に繋ぐのは極力回避したい……ので) 良子の【悪待ち】が発動されました! 咏(プロと四万点差で勝って、二年生に三万点差をつけられてる) 咏(こんなんで、あのバカに任せられるかよ!) 咏「リーチ!」 恒子「おーっと!ここで三尋木選手がリーチ!」 えり「三暗刻、混一、中で跳満、裏が乗れば倍満まで届くでしょうね」 恒子「学生に好き勝手やられて、大人は何してんでしょうかー」 えり「福与アナ、自重してください」 咏「ロン!12000!」 漫「…………最後の最後で……」 先鋒戦終了 二年生B 136100(+36100) 一年生B 124000(+24000) 教員 70000(-30000) プロ 69900(-30100) 咏「たっだいまぁっー!」 穏乃「おかえりー咏ー!」 淡「次は私の番か~一番だったらもっと楽だったんだけど……」 淡「そっちの方が目立つからいっかー!」 咏「つまり私はお前の温め役だってことかよ、あぁん!?」 淡「実力の面からしてもとーぜんだよ!」 京太郎「はいはい、二人ともそこまでにしとけー」 京太郎「咏は頑張ったんだし、淡は負けないように頑張って来い、喧嘩はひとまず中断だ」ナデナデ 咏「……ちっ、しゃあねえな」 淡「うん、頑張る」 京太郎「よし、じゃあ行って来い!」 淡「リーチ!」 はやり「それロン、12000!」 淡「ちょっ!ってかそれ人和じゃん!二回目じゃん!」 霞「――――ツモ、16000オール」 次鋒戦終了 一年生B 124900(+900) 二年生B 123600(-12500) 教員 83400(+13400) プロ 68100(-1800) 淡「あ、きょうたろー!」 淡「逆転してきたよー!」 京太郎「おう、よく頑張ったな」ナデナデ 淡「んへへ~凄かったでしょ~」 京太郎「ご苦労さん、後は俺と咲が頑張って来る」 京太郎「淡たちは、応援していてくれ」 淡「うん!頑張ってね、きょうたろー!」 京太郎「……あんがとな」 京太郎「んじゃ、行ってくるわ」 淡「行ってらっしゃい!」 京太郎「……あ」 淡「どしたの?」 京太郎「ほんと……さっきはごめん」 淡「もう赦したんだからいーの、じゃあね!」 京太郎「ああ、じゃあな!」 京太郎「さて……っと」 京太郎「俺が一番乗りかな……?」 尭深「…………」ズズッ 京太郎「お久しぶりですね、渋谷さん!」 尭深「……あ」 尭深「久しぶりだね、お兄ちゃん」ニコッ 京太郎「」 京太郎(まだそのノリ続けるの!?とか) 京太郎(今は大人しめなお姉ちゃんキャラがいいです!とか色々ツッコみたいけど) 京太郎(それ以上に可愛いぃぃぃぃぃいいいい!) 京太郎(こちとら先輩ばっかだから後輩とか年下との絡み無いし、あったことないし!) 京太郎(それ故に新鮮、それ故に可愛い!) 京太郎「ブフォッ」 尭深「あ、え、あ……大丈夫、須賀くん?」 京太郎「ええ、大丈夫ですとも……」 京太郎(良かった、お兄ちゃん呼び止めてくれて) 京太郎(さもないと鼻血で死にそうになるわ) 京太郎(……少しさみしいけど) 尭深「席、決めたら……?」 京太郎「そうですね、まだ誰も来ないみたいですし……」チラッ 理沙「!」ピクッ ガクガク 京太郎「の、野依プロ?ドアの前で何を……」 理沙「兄妹水入らず!」プンスカ 理沙「じっ、事情はいろいろある!」プンスカ 京太郎(何か誤解されてた!?) 副将戦開始 東一局 親 京太郎 124900 ※体力9 理沙 68100 ※体力9 善野 83400 ※体力9 尭深 123600 ※体力9 京太郎(……最初っからラッキーだな) 京太郎(ダブリー清一ってなんだこれ) 京太郎(偶に自分が恐くなるぜ) 京太郎(……今回もやってやろうじゃあねえか) 京太郎「リーチ!」キィィィン 京太郎(いきなりクライマックスだぜ!) 善野(須賀くんがダブリー……) 善野(今朝の一件のときもそうやったけど、この子は途轍もない) 善野(このダブリーも、大物手みたいやし) 善野(何とか凌ぎ切ればええな……っと) 京太郎「――――ツモ」 京太郎「ダブリー一発清一、三暗刻」 京太郎「12000オール!」 理沙「!?」 理沙(リザベーション、成功!) 対局者の能力レベルが下がった! 東一局一本場 親 京太郎 160900 ※体力9 理沙 56100 ※体力9 善野 71400 ※体力9 尭深 111600 ※体力9 京太郎(この一年間、いや、八か月か) 京太郎(俺はほぼずっと麻雀をしてきた) 京太郎(色んな人と対局したし、いろんな本も読んできた) 京太郎(その本のうちの一つに書かれてた技術) 京太郎(他の人の力を真似る技術) 京太郎(俺はまだ、全然できていないけど) 京太郎(力を貸してください、憩さん)ピキィィィィイイイン 京太郎(……この手) 京太郎(もうちょい粘れば平和一盃口ドラ2くらいにはなるんじゃないか?) 京太郎(とりあえず聴牌だけでもしとっかな)タン 理沙(須賀……京太郎……) 理沙(いつものツキが無いのも、この人のせい?) 理沙(……そんなわけないっか) 京太郎「……ツモ、600オール」 東一局二本場 親 京太郎 162700 ※体力8 理沙 55500 ※体力8 善野 70800 ※体力9 尭深 111000 ※体力8 京太郎(結局ツモのみで和了しちまった……) 京太郎(連荘狙いってことでいいよな、うん) 京太郎(じゃ、次もそれで行ってみるか!)ゴッ 理沙「カン!」プンスカ 理沙「カン!」プンスカ 理沙(カンドラ二つとも乗らず……!) 善野(野依プロは確か、新道寺の白水鶴田コンビと似たようなオカルト持ちやったっけな) 善野(和了者と翻数を予想するリザベーション、リザベーションというよりかはエクスペクテーション) 善野(なんにせよ、気をつけなあかんやつや……)タン 理沙「ロン!8600!」プンスカ 善野(うっわ……) 東二局 親 京太郎 162700 ※体力8 理沙 64100 ※体力6 善野 62200 ※体力9 尭深 111000 ※体力8 理沙「ツモ!700オール!」プンスカ 理沙(リザベーションは失敗……) 善野(あかんなぁ……白糸台の子がどんどん潤っとる) 善野(なんとかして途切れさせたいんやけど……) 東二局一本場 京太郎 162000 ※体力6 親 理沙 66200 ※体力5 善野 61500 ※体力8 尭深 110300 ※体力6 理沙「けほっ」 理沙「……」タン 善野(ようやく回り始めたかー) 善野(私と打つ人は打てば打つほど体調が悪うなる) 善野(それにつれて配牌やツモも悪うなっていく) 善野(いわば不幸のウイルスみたいなもんや) 善野(このことを知ってるのは郁乃ちゃんか愛宕さんしかおらへん) 善野(まだまだ、私の勝負どころやないんやで) 京太郎「ツモ!500・900!」 東三局 京太郎 163900 ※体力6 理沙 65300 ※体力5 親 善野 61000 ※体力8 尭深 109800 ※体力6 善野(……ん、ツモってもうたか) 善野(ピンピンロク、毎度毎度中途半端な点数やなぁ) 善野(毎局連荘で危ないけど……) 善野(和了っとかな損やろ) 善野「ツモ、3900オール」 理沙(四翻……成功) 東三局一本場 京太郎 163900 ※体力5 理沙 65300 ※体力4 親 善野 61000 ※体力8 尭深 109800 ※体力5 善野(……にしても、やっぱりおかしいのは須賀くんや) 善野(普通、プロともあろうものやったら持っとるはずの一般人とはかけはなれた豪運) 善野(しかし、野依プロが和了ったのはあまり高くないものばかり) 善野(早さも何もない手ばっかやった) 善野(白糸台の子にそんなオカルトがないことは確認済み、有り得るとすれば須賀くんしかおれへん……) 善野(……っと、ホンマか) 善野(また連荘やないか……) 善野「ツモ、6300オール」 東三局二本場 京太郎 157600 ※体力5 理沙 59000 ※体力4 親 善野 79900 ※体力8 尭深 103500 ※体力5 善野(まだ東三局やのに八局も使うとる) 善野(こっからやと少なくともオーラスまで十二局) 善野(あらかじめ国士無双十三面とか仕掛けられとったら危ないなぁ) 善野(……十四牌揃ってまえば、防ぐことのできひん天和) 善野(せやったら、それよりも多く稼くべきやね) 善野「ツモ、2800オール」 東三局二本場 京太郎 154800 ※体力3 理沙 56200 ※体力2 親 善野 88300 ※体力7 尭深 100700 ※体力3 善野(これを和了れば、9600の二本付け) 善野(……さすがにこわいな) 善野(このまま流してみるのもありやろか……) 善野(他の二人もテンパイしてるみたいやし、もうええか……) 東四局二本場 京太郎 156300 ※体力3 理沙 57700 ※体力2 善野 89800 ※体力7 親 尭深 97700 ※体力3 京太郎(善野さんの連荘がようやく終わったか……) 京太郎(……っ) 京太郎(さっきから頭痛がするな、こんなときに何だって言うんだよ) 京太郎(お、っと) 京太郎「ロン、1000は1900です」 京太郎(ようやく折り返しか) 南一局 京太郎 158200 ※体力3 理沙 55800 ※体力2 善野 89800 ※体力7 親 尭深 97700 ※体力3 京太郎(開いてきたリードは、ちゃんと守らないとな) 京太郎(親だし、本気で行くぞ!)ゴッ 京太郎(く……っ) 京太郎(久しぶりだな、この感じ……) 京太郎(力の波に、もまれていく) 京太郎(憩さんの力使った後だっての忘れてたな……) 照『京の力は、海みたいなもの』 京太郎『海?』 照『そう、金色の光を放つ海』 照『京と打っていると、懐かしい気持ちになる』 京太郎『懐かしい気持ち?』 咲『麻雀を始めたころの初めての気持ち』 京太郎『なんだそりゃ?そんなオカルトありえねえっつーの』 桃子『それが京太郎のわけのわからない強さなんっすよ』 京太郎『強さっつっても大して勝ててないし……』 照『それは京の運が悪いだけ』 京太郎『えぇ……』ズーン 照『たとえると、私たちは海の中にいて、京は海の上に立っている』 照『私たちは、麻雀の深みに嵌っていくほど、その奥底で宝物を見つける』 照『だけど、そこから出ることはできなくなる』 照『深みは、高み』 照『高い所を目指せば、色々なものが見えてくるけれど』 照『足元は、見えないんだよ』 照『原点の気持ち、初めての気持ち』 照『京はいつも麓に立っていて、水平線に立っている』 照『京と打っていると、京に呼び止められるような感じがする』 照『そうして、私たちは京に連れ戻されて水平線に立つんだ』 照『海の底から放たれる宝の金の光』 照『水平線を伝い、海に放つ、始まりの朝焼けの金の光』 照『私の鏡から見た景色は、金色を放つ海』 照『それが、京の力』 京太郎(……とか、昔言われた気がするな) 京太郎(俺だって潜ることはできるけど、その時間は短く限られている、とか) 京太郎(よくわかんなかったけど、見てみたいと思った) 京太郎(宝の金色と、朝焼けの金色に挟まれた海) 京太郎(金色を放つ海) 京太郎(俺を、鏡から見た景色) 京太郎(…………ここは、ダメっぽいな) 善野「ツモ、2000・4000」 南二局 京太郎 154200 ※体力2 親 理沙 53800 ※体力1 善野 97800 ※体力7 尭深 95700 ※体力2 理沙「げほっ、ごほっ!」 尭深「ずずっ」ズズッ 京太郎「っ……」 善野(三人とも、もう判断力も十分鈍っとるやろ) 京太郎「カっ、カンっ……!」 善野(須賀くんの手、低そうやな……) 善野(早めに差し込んどこか) 京太郎「ロン、えっと、2900です」 南三局 京太郎 157100 ※体力2 理沙 53800 ※体力1 親 善野 95900 ※体力7 尭深 95700 ※体力2 善野(ああ……でっかいのが迫って来てる感じ、するわ) 善野(こっちのオカルトのが負けそうやな……) 善野(流しとこか) 南四局一本場 京太郎 157100 ※体力0 理沙 53800 ※体力0 善野 95900 ※体力6 親 尭深 95700 ※体力0 尭深(今日は……豊作) 尭深(豊穣は民を癒す) 尭深(癒された民は、土地を豊かにする) 【収穫の時】が発動されました! 京太郎(確か、ここまでの渋谷さんの捨て牌は、白、南、中、白、發、南、中、中、白、發、發、南、南) 京太郎(最大で天和四暗刻単騎大三元字一色の六倍役満……!?) 京太郎(この大会はダブル役満無しやからいいものの、なんだよそれ) 京太郎(オカルトにも程があるだろ!) 尭深「……」トン 善野(案の定、南捨てか……) 善野(字牌一つもあらへんし……こんなん当たっても事故やん)タン 尭深「ロン、48300」 補正が弱くなりました! 南四局二本場 京太郎 157100 理沙 53800 善野 47600 親 尭深 144000 尭深「……」 尭深「カン」 理沙(リーチは無し、今回は引ける牌と、一つでも捨てられる牌を増やそうってことね) 理沙(手牌バレがあるとはいえ、待ちは狭いがわからない) 理沙(……まあ、プロを舐めないでほしい) 理沙(一巡目聴牌は、あの日に見飽きたから!) 理沙「ポン!」 ポン:二筒 尭深「……っ」 理沙(ムダヅモ、その手牌、一巡目の捨て牌でムダヅモになる牌なんて決まっているよね) 理沙「ロン、清一のみ!8600!」 善野(二筒鳴いて地獄間張待ち……か) 京太郎(なんつー豪運……) 理沙「終わり!」ムフー 副将戦終了 一年生 157100 (+32200) 二年生 135400 (+11800) プロ 62400 (-5700) 教員 47600 (-35800) 京太郎「はぁ……疲れた」 京太郎「最初の三倍満のほかに和了ったの小っちゃいのばっかだったし……」 京太郎「俺の三倍満なんて渋谷さんの役満と野依プロの満貫、善野さんの連荘で薄れちゃっただろうし……」 京太郎「春のおっぱいに癒されよう……」 咲「なに落ち込み気味に変なこと言ってるの!」 京太郎「うげぇ、咲ぃ!?」 咲「頑張ってたから褒めようと思ったのに……」ムスッ 京太郎「俺、頑張ってるように見えてたか?」 咲「放銃も少なかったし、良かったと思うよ」 咲「最初の三倍満、かっこよかったよ」ニコッ 京太郎「あ、ああ、そう言われると……なんか照れるな」ポリポリ 咲「じゃあ、ちょっと……」ギュッ 京太郎「さ、咲さん?なんで抱き着いてるんですかね?」 咲「京ちゃんのパワーを……こう、吸うというか……」ムギュー 京太郎「……お前、力弱いな」 咲「昔より握力2kgくらい増えたんだからね!」 京太郎「うわぁ、咲さんったら凶暴ー」 咲「グーで殴るよ?」ニコッ 京太郎「それ恐いんでやめてください、いやマジで」 京太郎「……ねえ、いつまでこうしてるの、お前」 咲「もうそろそろ、かな」 京太郎「鼻水つけたりしたら承知しねーぞ」 咲「京ちゃんは私のこと何だと思ってるの!?」 京太郎「ちんちくりん」 咲「何その評価!?」 京太郎「まあほら、咲は小っちゃくって撫でやすいな、と」ナデナデ 咲「むぅ……」 「各チーム大将の選手は対局室に集合してください」 咲「じゃあ、行ってくるね」 京太郎「ん、任せた」ナデナデ 咲「頑張って来るから、見ててね」ギュッ 京太郎「おう、行ってこい」 /. . . \ /... . . . ヽ . . . . /. . . ヽ . .. /. . . /. . . . /l ハ. . . l. . . /. . . . / | l . . .l. . .| |八{. . .fレ'\ |. . /j. . . . /i. . . | . . .l. . .| ,...---ミ //∧. ハ_〉ぅ `l. . {/. . . ,'斗―|. . . . .リ. . ′ / ̄ ̄⌒>=弍犲ハ 斧ミメ乂 彡イ ./ /. . . . /. / / / ` ̄`} `''’ f斧ミメ イ/./ } 「お待たせいたしました」 _ -―へ ' `''”.∠/// / / / / . 个 ー <r< / / .{ / j i { ¨¨´/' /j 「 \ 二年生Bチーム 大将 r'⌒ | // | ヾ 〃_彡リ | ヽ / ̄` ー--rヘ { 乂〃. ヽ/ ̄/ ̄ ̄`7 / ∧ 神代 小蒔 / /⌒ヽ __/ У / /Y ./ / / У / ./ / ト、 / 〉. / r'  ̄ / / { / / } V 厂ヽ 厶斗- ' __彡 / 乂 / / / ト---<ソ⌒ ./ / }ト、/ / / 〉こ{ / }三ニ=-- --=≦ / } ___ , . . .´ . . . . . . . . . .`丶 / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ / . . . / . . . / /| . . .ハ . . . . . . . . .ヽ ′ . . | . ./}/ |/ V}∧ . . . . . . i . | . . .Ⅳ ノ` ー-、__.Ⅵ . | | . | . . .| ー‐'_ __ | . . | | . | . . .| ,ィfチ芋 斧テ式.| . . | | . | . . .|《 V ソ V ソ 》 . . .| (おっぱい、大きいなぁ) | . | . . .ハ , } . . .| | . | . . .l .{ ノ . . | l . . . . | . ヽ. ⊂⊃ / . . . . | プロチーム 大将 | i| . .i . . | . . .i ___ ..ィ .i . i . | . .| {八 . . | . ..| . i .| | . }ノ ./| . | .,′ 小鍛治 健夜 ヽ{\|斗' ー i/._|/|/ -┬┬'、__ ̄`___´ ̄_/⌒7⌒ヽ / | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / / } --……-- r―‐⌒ヾ \ |∨ \ \ |/゚ 。 \. . . . . . . . . . . . . . . / \ . . . . \ . . . . . . . . . . . . . . 。 // / \ . . . . . . . . . ` .o。 . . . . . . . . . . . i ゚. /イ / . . .イ . . ー┬--- . . . __ .` . .o。 . . . . .|. ..。 i{ | ′ . .'{_|_ . . . | リV . . . . . . } .>匕、 \j--i || |/ . . ∧}リ≫┘o。v――'’xr示=ミト、 . .\}、 リ { . . . .|! ‘, ィ芹≧ュ ’|イi//| 》、 。 . . .ぃ、 「お久しぶりです、小鍛治プロ!」 | . . . . .「`ヽ《乂_゚ツ ゞ= '゚ リ/リ゚。 . .ト、i | . . . .小 , , ' , , / . . .∧ .} リ l. . . . . | }ゝ-! jハ . . . j/} .| 教員チーム 大将 。. . . { { j 八 -==ァ イ }/ j ノ ゚ 。.リ \{≧ュ。. ィ jソ ″ / 赤土 晴絵 ゞ イニ} ` ´ {ニヽ ィニ// ゝ|ニ\_ ┬==≦ニ/ニ7____ __,.|ニニムニニニニニlヽ /ニ|ニニニ/ニニニ|`-―――‐一´|ニニニムニニニニ|ニム. /ニニ |ニ7ニニニニニ| |ニニニニ}ニニニ=|ニム _....................._ ,. ´ ` .、 , ´ ,. \ / / , ´ ヽ / / / , , . .' / / / / ,.イ / | | . | 〃 / /- /-、/ ' ' ' | | | ∧ }'.' /^/ / { / { / / / / } | | | . { | { | , /' /' /イ//' -/、 ' ト . Ⅵ 、{/ィ=ミ、 /' / イ / , | \| 「よろしくお願いします!」 | 从 . . . . . _ /イ / , .| / Ⅵ ' `ヾ / イ /} / ______| 、 「 v . . イ / イ/イ 一年生Bチーム 大将 /<_ \_ `ーr---- =彡j/ {¨7=ミ、< 、 \___〉>、 宮永 咲 _| , ∨、 ` < 、 ∧ | ヽ / ̄ // | }、 . . . \、 . | /〉、 \___ 〃 | / \ . . .\、 Ⅵ /イ ∧  ̄¨/ ∨ `ー ≧='-´ / ハ . / / {二「 } | ' ∧ / . ∧ , / / } / . .〈 .∧ { | , / | / . . . .∧ . | | | 恒子「いよいよ!いぃよいよ!いよいよ!」 えり「なんで三回も言うんですか」 恒子「え……大事なことだから?」 えり「まもなく、プロ・アマ合同戦、決勝戦、大将戦開始です」 恒子「それ私が言うつもりだったのに!」 起家 健夜 62400 小蒔 135400 咲 157100 晴絵 47600 東一局 小蒔(この小娘の身体に憑くのも久しいのう) 健夜「…………」トン 小蒔(……ほう)トン 晴絵「…………」トン 咲「……」トン 小蒔(中々腕の立つ者がおるではないか) 小蒔(あの巫女共に感謝せねばならぬなァ) 小蒔(いざ、行かんや)ゴッ 咲「!」 晴絵「!」 健夜「……」 小蒔「ツモ」 小蒔「3000、6000」 東二局 健夜(永水、霧島の巫女さん……名前は……確か……) 健夜(…………) 健夜(わからないし、無理に思い出す必要もないよね……) 健夜(これは……時間稼ぎに徹しようかな) 健夜「流局です、九種九牌」 東二局一本場 咲(京ちゃん、咏ちゃん、淡ちゃん、みんなが作ってくれた点差、これを守り切れば) 咲(たとえ、勝てなくても) 咲(……負けなければ、いいんだよね)ゴッ 咲「――――ツモ」 咲「700、1300の一本場は800、1400」 東三局 晴絵(宮永咲に神代小蒔、どうやら神代は最高のコンディションみたいだし) 晴絵(宮永の方も、あのチャンピオンの妹だから、下手に攻めたら負けるだろ) 晴絵(堅実に攻めるしかないよなっ!) 小蒔「リーチ」 咲「チー」 晴絵(一発消し、か?) 晴絵(小賢しいけど嫌いじゃないね……うっと、裏目っちゃったかー) 晴絵(神代の和了りパターンとしては染め手が多い) 晴絵(筒子の染め手に直前に出した九萬なら……)トン 小蒔「……ロン、16000」 晴絵(いや……マジか) 東四局 晴絵(ようやく来た親番!) 晴絵「リーチ」 晴絵(和了らせてもらいますよ、小鍛治プロ!) 健夜(今の和了り……) 健夜(狙ってやったのかな……?)トン 晴絵「ロ……ロン!」 晴絵「一発ドラドラ!12000!」 健夜(何してるの私ー!?) 東四局一本場 小蒔「……」ウツラウツラ 小蒔「ハッ」 小蒔(え、もう東四局、ですか?) 小蒔(また、たっぷり寝ちゃっていました……)タン 健夜「ロン、8300です」 小蒔「え……まだ一巡目……ですよ、ね?」 健夜「はい、それが何か?」 南一局 健夜「リーチ」 晴絵(人和に続いて、小鍛治プロのダブリー……マズイな)ゾクッ 晴絵(あの頃を、思い出す……っ!)タン 健夜「ツモ、8000オール」 南一局一本場 健夜「リーチ」 小蒔(初めから……)トン 咲(…………)タン 晴絵(……ふふっ) 晴絵(嫌だな……) 晴絵(まだ、体が怯えている……)ゾクッ 晴絵(来年からまたあの舞台に立つってのにさ……!) 晴絵(今日、克服してやる!) 晴絵「リーチ!」 健夜(一発……ならず)タン 小蒔(な、なんだか、雰囲気が恐いです……)タン 咲「カン」 咲「もいっこ、カン」 咲「……嶺上ツモ、5200は5500の責任払いです」 南二局 健夜「リーチ」 咲「ポン」 咲「……」タン 晴絵(また一発消し……か?) 晴絵(まあ、無筋の三萬が通るのは、ありがたい!)タン 健夜「ツモ、3000・6000」 南三局 健夜(さっきのは掴まされたツモ) 健夜(あのポンは、ずらすため、その捨て牌は赤土さんのものも通るようにするため) 健夜(……だろうけど、どうしてそんなことをする?) 健夜(そこまで感じたなら、赤土さんか神代さんが振り込むのを待てばいいのに……) 咲「カン」 咲「もいっこ、カン」 咲「ツモ、1500オール」 南三局一本場 晴絵(小鍛治プロも神代も一段落ついたみたいだな……) 晴絵(……もうオーラスまで一歩手前) 晴絵(できれば、このチームで勝ちたい) 晴絵(……どうしても、小鍛治プロには勝ちたい!) 晴絵「リーチ!」 晴絵(十年前の借りを、今ここで返す!) 咲(…………) 健夜(赤土さんとインターハイで打ったのはもう十年前……) 健夜(あのときにへし折ったと思ったんだけど、プロとして復活していて、安心した) 健夜(私が目標だったのかな) 健夜(……そう簡単に、負けてあげるつもりはないよ) 咲「ポン」 晴絵「……」タン 健夜(宮永さん、また……?) 健夜(……赤土さんのツモを狙っても、自分が親被りするだけなのに)タン 咲「ポン」 咲「カン」 晴絵(かき回されてるな……) 晴絵(とは言え、一気にドラ3!さっきからありがたい!)タン 健夜(赤土さんのツモは無かった) 健夜(ツモ狙いでないとすれば、私に振り込ませようとしている……?) 健夜(そんなことするくらいなら、神代さんにした方が有利になるから、違うか……)タン 晴絵「ロン!」 晴絵「リーチ一通、赤2ドラ4……裏裏!」 晴絵「24300!」 健夜(三倍満……!?) 健夜(伍六七筒の一順子に併せて索子の六面張) 健夜(油断しすぎた……っ) オーラス 晴絵(小鍛治プロから倍満と三倍満の直取り!) 晴絵(……よくやったな、私) 晴絵(あの子たちにも、感謝しないと) 晴絵(みんなのおかげで、私はここまで来れた) 晴絵(最後まで勝ち続けてやるよ!) 咲「……」タン 晴絵(混一まで見える手だけど、この白を逃すのは勿体ない……) 晴絵(連荘するか……) 晴絵「ロン!3900!」 オーラス一本場 晴絵「……テンパイ」 健夜「テンパイ」 小蒔「テンパイです」 咲「ノーテン」 オーラス二本場 晴絵(なんとかノーテン罰符で稼げたし、あの二人の満貫も受けずに済んだ……か) 晴絵(まだ……連荘!) 晴絵「ロン!1500は2100!」 オーラス三本場 健夜(宮永さんがしてきた不可解な鳴き) 健夜(東三局のそれは、おそらく赤土さんの危険性を考えたから) 健夜(南二局は、神代さんの収支を減らすために親被りにさせた) 健夜(唯一わからないのが、南三局の鳴き) 健夜(……今まで亜空間殺法の使い手とは打ってきたけど、宮永さんは違う) 健夜(牌を自分の思うように動かすだ、なんてとても私にだってできない) 健夜(それも、全盛期から力を落とした私には無理……) 健夜(まるで全ての牌が透けているかのようなオカルトと、鳴きで牌を動かす技術) 健夜(オカルトと技術から成る完全結晶) 健夜(それが……) -=ニ二ニ ニ二二二二二二二 二二二二 二二 二二ニ ニ二二二 ニ二二二 ニ二 ニ二二ニ ニ二二  ̄ ____  ̄ニ二二ニ ニニ 二二 ニ二ニ ニ二二二二二ニ 二二ニ ニニ 二二 ニ二 ┐  ̄ニ二二二二ニ= ニ二 二ニ 二二 / /  ̄ニ二二二ニ ニ ニ ニ二二 / / /...-―≠ニア{  ̄ニ二ニ ニ二ニ ニ二 /{ / -=<.. 二ニ 二ニ ニニニ ニ ニ二 二{ ∨ -=く \二ニ ニ二 二二二二 二ニニ 二二〉 / \⌒ ニ ニ二二ニ 二ニニ= 二/ / \ \二ニ ニ 二二ニ ニニ= / / / .⌒丶ニ __二二二二ニ ニ= ⌒i | | | | | | | | |乂__ / . |二二ニニ =ニ ニ二| | | l | | l l | | l | l | l l | ̄/ |二二ニニ ニ二. 二| | | l | l l l | l\从 l | l l l/ /二二ニ 二二二ニニ 二|从 | 从八从乂{´廴}乂 从劜 ./二二二二二ニ 二ニ=- 宮永咲…………!! ニニ. 二二)イ 圦 , ∧/---- __ _/二二二二二ニ 二二ニ= 二ニ= =ニ二 ニ= 二}//> . - . イ /´ ̄∨ ̄ ̄\二ニニ 二二ニニ=ニ二二ニ 二二二 ___∠{ | ̄ _」 ./ l| | |__ 二二二ニ ニニニ ニニニ // ∧ .ー―. /} ___ } リ リ =ニ二二二ニニ 二ニ= =ニニニ ノノ \{ {\ . . /ニ/ l/ ̄\__彡'-- 、 \ニニニ==ニ二二ニ 二二 { {  ̄ハニ、 _ _, .//ニニ/ |ニニニニニニニニニニニ二\ \ニニニ二ニ ニ二 二=/\ ___/二|`ー ‐┼┼≦___} -=ニ三三三三ニ=- \ \二ニニ 二二ニ/ / ̄ ̄ 二八 ,{三三三三三三三≫  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄` \ニニ 二 ´ /二ニ =ニ二二} \三ニ=- ̄{ ̄ ̄ =ニ二二ニ== \ニニ / / 二ニ ニニニニ| \三三三ニ=- __ -=ニ二二二ニ二/ /二ニ= =二 二二ニ _| /≧=====┬=ニ三三三ニ=- ニニニニニニニ. / =ニニ二二 二二二ニニ/ {廴___/´ / ̄ ‘, ___ .... . -――-/ /ニニニ二二二二____. . | \ ___/ --- ‘, / ./ } _ _ _/ ,/ニニニ / ̄ ̄/ / 人  ̄ ̄ / | \  ̄ / / / 咲「ポン」 咲(麻雀が弱くなった京ちゃんのために編み出した技術、プラスマイナスゼロへの点数調整) 咲(勝ちも負けもしない技術) 咲(今回は使い方も違うし、収支もいつも通りのなら-5だけど……) 咲「カン」 咲(みんなのリードを守る、みんなのために戦っているんだ、って思うと) 咲(こんな打ち方でも) 咲「もいっこ、カン」 咲「ツモ」 咲(すごく、楽しい) 咲「1600・2900」 咲(……そう思える) 最終戦決着 一年生 157300 (+200) 二年生 117800 (-17600) 教員 66600 (+19000) プロ 60800 (-1600) 咲「ただいまー」 京太郎「お疲れ、咲」 淡「お疲れー」 穏乃「お疲れ様!」 春「おつかれ様」 咲「咏ちゃんは?」 京太郎「お母さんから電話だ、って出て行った」 咲「そっかぁ……あ、この後チームのみんなに取材したいって」 淡京「「いやーついに来ちゃったかー」」 淡京「「ようやく私(俺)の良さに気付いたってことだね(な)ー」」ウンウン 咲「あはは……仲良いね」 穏乃「……それって、私が出てもいいのかな」 春「……穏乃も私たちの仲間」 咲「穏乃ちゃん、私たちのこと一生懸命応援してくれてたもん、誰も気にしないよ」 京太郎「そうだそうだ、んな暗いこと考えんの穏乃らしくないぜ」 穏乃「……ありがとね、みんな」 淡「ほら早く行こーよ!サキも、シズも、ハルも!」 穏乃「うん!」 咲「確か……こっちだったっけ」 春「……きょうたろう、来ないの?」 京太郎「ん、ああ、咏が来るまで待つよ。春たちは先に行っててくれ」 春「うん」 咏「咲、ごめ……およ?」 京太郎「他はみんな取材行ってるよ」 咏「あー……おっけー」 咏「んじゃあ、京太郎は私のこと待っててくれてたん?」 京太郎「そうだよ、誰か待ってねーとだし」 京太郎「それに……お前のことも聞きたかったし」 咏「……やっぱり、そーゆーことだったんだねぃ」 咏「あいつ、清々荘、戻っていいって言ってくれたぜぃ」 咏「……あと、京太郎くんと仲良くってね」 京太郎「…………」 咏「……京太郎?」 京太郎「よっっっっっしゃぁぁぁぁぁああああ~~~!」 京太郎「これで、これでみんな戻って来てくれた!」 京太郎「ありがとう、咏!」ギュッ 咏「うわっ、はぁっ、いやっ、ちょっ!」カァァ 京太郎「よかった、よかったぁー!」ギューッ 咏「そ、そんなに抱き着かれたら、匂いとか、心音とか、色々聞こえてきてドキドキするだろ!はははは放せよ!」カァァ 京太郎「嫌だーっ!」ギューッ 咏「いい加減にしろー!」カァァ 京太郎「……ごめん」 咏「TPOを考えろよな」 京太郎「咏が戻って来てくれるのが嬉しくて……つい」 咏「…………」 京太郎「怒ってる……か?」 咏「お、怒ってるわけねーだろ!」 . . -――‐- . .. ´ ` .、 / \ / \ / i | . / | | | | . ′ | | | | | | . l | | . l从 ト、 . | | . | l | | . | \ 、_ _|__\ 」 | . | | l | .|_ _; イ  ̄ ̄__ _,)ハ . | . | | | i l i∧ l___ 斗斧i^狄 | . | | | | | ∧ 「苅 V以 } ノ . . .| i . . | まあ、今度やるときは、もうちょっと雰囲気あるときにっつーか…… | | | iハ |i以 ,,, j/ .| | . . | | | | |. l | ,, ' / | | 从 l八 八 八人 v ´} / 八| \__ \|\ \≧ .. .._ ー/ .イ | . Χ⌒ |\ \ -- / _ -‐<※| | \ \__ _ |/⌒>\/斤/...(※)......リ ト、 i\ 「 ̄` /※)..|| /※|...(※/ |../※).....+...// 八..\ . . .| )' /※)...... ||三三三三三三三|...+.../... { /......(※∨ | /※)..... (※||/..+......|※)l.| ∨※./...(※| /....+./.... Ν /※)..(※)..+ /リ.....(※ノ......从{\{...../...(※)....| /...../... (※|. /※)..+.... (※//......... /......./.. ※)...../....... +(※|'... /.... (※)...| /+....(※).. +...〈/..(※)/...+./※)....+../※)..... +........./..※)... +.. | {※).......+......(※∨.......i..... /.+.....(※/+........(※)../...{...+.......(※).|. ∨...(※)+......(※∨... |......{....(※).../....(※).....+...∨{.... (※/ +...| ∨ ...... (※)......+∨. l‐''┴――┴―――――''| .... /...(※|. |...(※)...+.. (※).∨| i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i|..../.. (※).. |. |+........(※)..... +... ‘| i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i il../ ...... (※..| 咏「……知らんけど」プイッ 京太郎「えっ?」 咏「は、早く行くぞバカ!」カラコロ 京太郎「ちょ、待てってー」 咏「るっせーっ、バーカ!バーッカ!」カァァ 咏が清々荘に戻ってくることになりました! 京太郎「春のやつ、黒糖こぼしすぎだろ……」 京太郎「淡も寝そべりながらクッキー食べてるから散らかってるし……」 京太郎「……穏乃はあの恰好でソファに座ってたんだよな……」 そう喉を鳴らしながら、俺は一人で控室を片づけていた たった半日とは言えどお世話になった部屋なんだから綺麗にしないとな 咲たちには先に帰っていてくれ、と頼んでおいたので待っている人もいないだろ 京太郎「っし、終わりっと」 控室から出ると、廊下には誰もおらず、それを照らす蛍光灯が寂しさを醸していた フロントに出てみても、ある程度の照明は落とされていて、祭りが終わった後のような物悲しさを感じる 今夜は清々荘でクリスマスパーティー…… 京太郎「やべっ、早く帰らねえと」 チームのメンバーとはまたいつか飯を食べに行こう、今日はあいつらに予定あるだろうし ゆっくりと開く自動ドアの間から、冬の寒風が吹き込んできて、思わず身を震わせる この時期は迂闊に自転車を使えないから困る、越してきてから使ってないけど などと考えつつドアを通って、顔を上げると…… そこには――――
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夕 京太郎「打ち上げに行くか、っと場所は―――」 京太郎「遅れましたー……あ」 怜「お、男子チャンピオンさんや」ヒュードロ 竜華「よお来たなー」ヒュードロ 京太郎「ど、どうも、なんで二人とも白装束なんですか?」 竜華「ふっふっふーそれはなぁー」 咏『やめろ!その服だけはやめろおおおお!』 浩子『ええやないのええやないの』 咏『嫌だあああああ!』 京太郎「あ、ちょー嫌な予感」 京太郎「文化祭で使った衣装のまんまパーティーって正気ですか」 郁乃「私はそこまで恥ずかしい恰好やないからな~」 京太郎「まさかここまで計算して!?」 郁乃「さ~どうやろな~」 京太郎「ぐぬぬ……」 郁乃「着替え終わったことやし、どっか適当なテーブル行って食べてきや~」 京太郎「言われずともその気でしたよ」 郁乃「ん~なんか傷つくな~」 憩「お肉もらいますーぅ!」 エイスリン「ワタシモ!」 霞「エイスリンちゃん、袖危ないわよ」 エイスリン「アッ」 京太郎「ここ、座ってもいいですか?」 霞「ダメって言ったらどうするの?」 京太郎「他のテーブルに行きますけど」 エイスリン「ダメ!」 京太郎「えっ」 エイスリン「キョウタロー、コッチ!」 京太郎「なんだそういうことですか」 憩「せやったら京太郎くんはウチの隣やな」 エイスリン「ワタシノ!」 霞「エイスリンちゃんの隣は私なのだけれど」 エイスリン「アッ」 霞「ナチュラルに酷いわね」 京太郎「これで鍋終了ですか」 霞「はやかったわねー」 エイスリン「マンプク!」 憩「これで何かデザートでもあればええんやけど」 霞「この後の二次会で頼めばいいんじゃないの?」 京太郎「二次会なんてあるんすか」 霞「今日文化祭に来てた人とかともいるかもしれないけどね、結構大きい店よ」 京太郎「へー、あ、デザートと言ってはなんですけど」 京太郎「きのこの○山買ってきたんですよ、いります?」 霞「はぁ?」 憩「きのこ!ちょうだい!」 京太郎「はいどーぞ」アーン 憩「ん~おいしいわぁー」 エイスリン「ア○ルフォート……」 霞「ちょっといいかしら?何?きのこ?京太郎くんはきのこ派だったの?」 京太郎「派ってわけではないっすけど」 霞「きのこ派じゃなかったらたけのこも買ってくるでしょ、なのにたけのこ買ってこないって貴方の目は節穴なのかしら?」 京太郎「えっ、ええぇぇぇ」 憩「えーきのこおいしいやないですかー」ブー 霞「きのことか笑止千万、あんな棒っきれ一掴みで粉々よ」 京太郎「そりゃ掴んだら粉々でしょうよ」 霞「じゃあ貴方たちはきのこのどこがいいのか教えてくれるかしら?」 京太郎「だから俺はきのこ派でもたけのこ派でもないですから」 霞「はっ、どうだか、憩ちゃんは?」 憩「ウ、ウチは……あの形が……」ゴニョゴニョ 霞「不潔ね」 憩「」ガーン 霞「エイスリンちゃんは……ああ、ア○ルフォートとか言うぽっと出だったかしら」 エイスリン「ア○ル!オイシイ!」グスッ 京太郎(なんでこんな険悪な雰囲気になってんだよ……) 郁乃「とうちゃ~く」 京太郎「ここですか、結構大きいですね」 雅枝「よく千里山の打ち上げでも使っとるからな、お得意様やで」 咏「んじゃーさっさと入ろーぜー」 ガチャ やえ「たけのこだ!」 菫「いやきのこだ!」 咏「……失礼しましたー」 菫「ほれ照、牛肉だぞ」 照「アイスが食べたい」 菫「栄養もしっかり摂れよ」 憩「」ジーッ 菫「何を見てるんだ?」ポヨン 憩「ハムッ、ハフハフ、ハムッ!」ガツガツ 京太郎「ちょっ、そんなに食べたら危ないですよ」 憩「食べないと大きくなれないんや!」ガツガツ 京太郎「えぇぇ……」 照「……京」クイクイ 京太郎「どうした?」 照「アイス持ってきて」ボソボソ 京太郎「わかった、味は?」 照「……なんでもいい」 京太郎「了解」 京太郎(とは言ったものの、他の二人の分も持っていくか) 京太郎(どれがいいかな……) 照「……京はわかってない」 菫「……サク○レか……」 京太郎「ええっ、どっちもおいしいじゃないですか!」 菫「そう言いながら○ガリ君を食べてるのがお前という男だ」 憩「ウチは梨味大好きやで!」 京太郎「そういってくれるのは憩さんだけです、ありがとうございます」ナデナデ 憩「えへへ~」 照「……」ムッ 照「やっぱり京はわかってる」 照「だからなでなでして」 京太郎「ごめんどういう理屈かさっぱりわからない」 京太郎「俺も梨味好きですよ」ナデナデ 憩「梨味ナンバーワンやな~」 照「むむむ……」ズーン 菫(えっ、何なのカップルなの?) 京太郎「打ち上げ終わり、今日も疲れたな」 京太郎「今日の〆は何をしようか」 夜 京太郎「寝る前にメールでもするか」 京太郎「照辺りにするかな」 京太郎『今日は楽しかったか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『すまない、照は寝ている』 照『後で返信させるから待っていてくれ』 京太郎「いや、じゃあ……」 京太郎『誰なんだよアンタ』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『弘世菫だ』 京太郎『整理させてください』 京太郎『弘世さんは寝ている照の携帯を見て』 京太郎『俺に返信した、と』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『つまりは照に変身したわけだ』 ヴーッ ヴーッ 照『すまない忘れてくれ』 照『それではまた会おう』 照『おやすみ』 京太郎『おやすみなさい』ピッ 京太郎「まだ新幹線なのかな……いやそれにしても友だちの携帯なんて見るかふつー……」 京太郎「なんとなく怜さんにメールしよ」 京太郎「そうと決まれば……」 京太郎「とりあえず憂さ晴らしでも」 京太郎『チャンピオンなので今度そっちにお邪魔しますね(ドヤッ)』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『うわ、なんか腹立つわ』 怜『練習やなくて雑用にこきつかったる』 京太郎『嘘です嘘です冗談です!』 京太郎『練習させてくださいお願いします何でもしますから!』ピッ 京太郎「あっ、咄嗟に変なもん書いちまった」 ヴーッ ヴーッ 怜『何でもかーまあ考えとくわ』 怜『そうそう、千里山は女子高やから』 怜『今日のコスプレ似合っとったでー』 京太郎『……つまりまた女装しろと』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『そうやないと校内入れへんからな』 京太郎『マジですか……』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『でもアレやで、ハーレムやで』 怜『右手に正妻、左手にオトコ系美少女』 怜『背中に爽やか美少女、膝に超絶病弱美少女』 怜『どや、最高やろ?』 京太郎『……ですね!』 京太郎『よっしゃー今から楽しみだー!』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『ほなそろそろ寝るわ、おやすみ』 京太郎『おやすみなさい』ピッ 京太郎「……おお」 京太郎「なんか知らないけど興奮してきた!」 京太郎「明日からも頑張るぞー!」 【10月第2週 休日】終 【10月第3週 平日】 京太郎「文化祭終わり!」 京太郎「今週末は選抜の合宿か、そろそろオーダー決めとかするのかな?」 京太郎「今週も頑張って行こう!」 京太郎「今朝も相変わらずのぼっちだったんだぜ!」 咏「ふーん」 和「そうですか」 京太郎「あれ、二人とも冷たいなー」 咏「お前が誰と来ようと知らんし」 和「同感です」 京太郎「うわっ辛辣」 昼 京太郎「ご飯の前には手洗いっていうけどそんなんあんまり気にしないよな」 京太郎「とりあえずトイレトイレーっと」 京太郎「あっ」 和「あっ」 和「またお手洗いで弁当ですか……」 京太郎「ち、違わい!トイレだよトイレ!」 和「でも、友だちいないんでしょう?」 京太郎「憐れみの目で見ないで、ちょっと辛い!」 和「よろしければお昼を一緒に、というのもやぶさかではないのですが」 京太郎「だからただのトイレだから!大きい方だから!」 和「えっ……」ドンビキ 京太郎「あっ」 京太郎「…………」 京太郎「」ダッ きょうたろう は にげだした! 京太郎「なんかもう、なんだかもう疲れた……」 京太郎「もう帰ろっかな……」 放課後 京太郎「今日も練習に来たぞ」 絹恵「あ、京太郎くーん」 京太郎「絹恵さん、こんにちはー」 絹恵「うん!ええ挨拶やな!」 京太郎「今日も一緒に頑張りましょうね」 絹恵「京太郎くんこそな!」 京太郎(相変わらず何もすることがなくて困る) 良子「やあ、また来てたんだね」 京太郎「良子さんに会うためですよ」 良子「ふむ、ずいぶんとグラッドなことを言ってくれるね」 京太郎「紅茶かコーヒー、いりますか?」 良子「それじゃあ今日は紅茶で」 京太郎「了解です」 京太郎「アールグレイ?ですね」 良子「うん、ありがとう」 良子「そういえばキャンプの件なのだけれど、場所は東京になったよ」 良子「最近できたばっかの旅館を取っておいた」 京太郎「東京ってことは……白糸台と、ですか?」 良子「というよりは関東選抜の最終候補+αといったところだね」 良子「こちらも同じく最終候補14名で向かう、オーケー?」 京太郎「オーケーです」 良子「よし、それじゃあ事務連絡も終わったことだし、何か話さない?」 京太郎「いいんですか?コーチともあろうお方が」 良子「京太郎と話すのは楽しいからね」 京太郎「大丈夫なのか選抜……」 京太郎(良子さん、元気そうだけど友だち出来たのかな) 京太郎(まさか俺以外に友だちがいないとか……なんか嬉しいけど悲しい) 京太郎(聞いてみるか) 京太郎「良子さん、最近は友だち出来ましたか?」 良子「よく聞いてくれた!」 良子「実はこの前初めて針生アナと福与アナと食事をしたんだよ!」イキイキ 良子「お二人ともいい人で本当に楽しかったよ」 京太郎「そういえば針生アナの連絡先は持ってたんでしたっけ」 良子「インターハイのときにお世話になったからね」 京太郎(同年代で同性の友だちが出来たのか、とすると俺はもうお払い箱かな、なんだか複雑な気持ちだけど) 京太郎(良子さん嬉しそうだし、なんて言えばいいんだろう) 京太郎(なんかちょっぴり悔しい気がする……) 京太郎「じゃあ!じゃあですね!」 良子「ん?どうした」 京太郎「俺とも今度食事に行きませんか?」 良子「えっ?」 良子「そっそれって……デート?」 京太郎「デートじゃないですよ、友だちとしてです」 良子「だ、だよね!」アセアセ 京太郎「それで、いいですか?」 良子「うん、もちろん!いつにする?」 京太郎「そうですねー……」 京太郎「この練習が終わった後でいいでしょうか?」 良子「了解、楽しみに待ってるよ」 京太郎「はい、それではまた後で」 京太郎(良子さんと食事かー楽しみだな) 京太郎(そろそろ対局に入ってみよう) 京太郎「さて空いてる卓はーっと」 雅枝「須賀、こっち入れ」 霞「私たちと打ちましょうか」 洋榎「京太郎が最後の一人かーウチの勝ちも同然やな!」 雅枝「須賀ー洋飛ばしたらなんかご褒美やるわ」 洋榎「えっなんで!?」 霞「ツモ、4000・8000」 京太郎「」ズタボロ 洋榎「京太郎大丈夫かー?」 京太郎「あはは……」 雅枝「よーし、ほなもう一局いくでー」 霞「監督、京太郎くんはもう……」 雅枝「うーん……それじゃあ戒能コーチ入ってや」 洋榎「どんだけウチを虐める気なんや!おかしいやろ!」 京太郎「あはは……」 京太郎「練習終わり……ああ、なんかへこむな……」 良子「ごめん、遅れたね」 京太郎「いえ、いいですよ」 良子「それじゃあ行こうか、どこに連れて行ってくれるんだい?」 京太郎「えーっと、ここですね」 京太郎「ここですね」 |ワグナ○リア| 良子「ワグナ○リア?」 京太郎「最近人気があるみたいですよ」 良子(……ワグナ○リア) 良子(そういえばこの前……) 恒子『ここの近くにワグナ○リアっていうレストランがあるらしいよ!』 えり『それがどうかしたんですか?』 恒子『あっれー針生アナ知らない?最近このへんのカップルに大人気なんだってさ!』 良子『だったら私たちが行くことはないのでは?』 恒子『いやーでも一回は行ってみたくない?』 恒子『戒能プロは彼氏ができたらしいし針生アナだって……』プクク えり『だから彼はそんな人じゃないですから!』 良子『ボ、ボーイフレンドなんていませんから!』 恒子『ええ~ほんとに~?』 良子(やっぱり京太郎は私のこと……)カァァ 京太郎「良子さん、どうかしましたか?」 良子「どうもしていないノーウェイノーウェイ」 良子「それじゃあ何を頼もうかな!」 京太郎「結構迷いますね……」ウムム 「ご注文はお決まりでしょうかー?」 京太郎(なんで刀なんか下げてんだこの人……) 京太郎「俺はこのえびフライプレートで、良子さんは?」 良子「私も同じので」 「はい、それでは彼女と食べよう!タルタルソース付えびフライプレートがお二つ、でよろしいでしょうか?」 京太郎「えっ」 良子「えっ」 「えっ?どうかなさいましたか?」 京太郎「なんでもないです、お願いします」 「かしこまりましたー」 京良(品名ちゃんと呼んでなかったー!) 京太郎(やばいやばいよ、良子さんに変な目で見られるよ!) 良子(京太郎……私なんかが彼女……)プシュー 京太郎「…………」 良子「…………」 京太郎(気まずい!気まずいぞこれ!) 京太郎(どうにかして空気を変えないと!) 京太郎(どうしようどうすればいいんだ!) 京太郎(でも、良子さんも同じのを頼んだんだよな) 京太郎(ということは良子さんもちゃんと品名を読んでいなかった?) 京太郎(なーんだ、そんなことだったんだな) 京太郎「つまり……そういうことです」 良子「そ、そういうこと……って」 良子(京太郎は私を彼女だと思っている?) 良子(でもさっきはデートじゃないって……) 良子(決心したってことなのか?)カァァ 良子「わ、私も……」 良子「これから、よろしく///」カァァ 京太郎(よろしく?よくわかんないけどわかってもらえたみたいだ) 「お待たせいたしましたー、どうぞごゆっくりー」 京太郎「それじゃあ食べましょうか」 良子「うん……」カァァ 良子(私が彼女……でも彼女って何をすればいいんだ?) 良子(この前買った本によると……) 良子(あーん、だっけ?) 良子(…………) 良子(こんなパブリックなところでやるのは……恥ずかしい) 良子「……」モグモグ 京太郎「……」モグモグ 良子「きょ……京太郎」 京太郎「なんですか?」 良子「そ、その……だな……」モジモジ 良子「あ……」 京太郎「あ?」 良子「あ!アイス!アイスがほしい!」 京太郎「ですね、ここいら辺ちょっと暑いですし」 京太郎「頼みましょうか」ピンポーン 良子「……ありがとう」 良子(なんでヘタれるんだ私のバカ!) 京太郎(良子さん楽しんでくれてるみたいだな) 【帰り道】 京太郎「えびフライおいしかったですねー」 良子「うん……そうだね」 良子(緊張しすぎて味なんてわからなかった……) 京太郎「それじゃあ俺はここまでですね、良子さんはまたビジネスホテルに泊まってるんですか?」 良子「なかなかいいホテルだよ、京太郎も来る?」 京太郎「いやいやいや!そんなことしたら流石にまずいですって!」 京太郎「もしサタデーとかに撮られたらどうするんですか!」 良子「そうだね、京太郎に迷惑がかかるし」 京太郎「他の人にもそんなこと言っちゃだめですからね、誤解して襲ってくるかもしれませんし」 良子「……うん」 京太郎「夜遅くなると危ないですし、そろそろ行きますね」 良子「グッナイ」 京太郎「今度は合宿でー!」ブンブン 良子「じゃあねー!」ブンブン 良子「……ふぅ」 良子「京太郎が心配してくれている……ハッピーな気分だよ」 良子「あと二年か……」 京太郎「合宿は東京って言ってたよな」 京太郎「なら挨拶でもしておくべきだよな」 京太郎「でも誰にしよう……」 京太郎「照とか淡にしてもあんまり意味ないし、弘世さんか小走さんか辻垣内さん?」 京太郎「いや、ここは渋谷さんにしよう」 京太郎「気楽な内容で行こう」 京太郎「ここは丁寧にあいさつからいくか」 京太郎『突然のメールすみません、須賀です』 京太郎『今度の合宿よろしくお願いします』 京太郎「送信っと」ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『こんばんは』 尭深『こちらこそよろしくね』 尭深『それはそうと、どうして須賀くんが挨拶なんて?』 京太郎「部外者から見ればわからないよな、説明しておくか」 京太郎『一応俺もその合宿についていくことになってるんですよ』 京太郎『だから挨拶を、と思いまして』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『そういうことなんだ』 尭深『それなら弘世部長か小走先輩の方がよかったかもね』 京太郎「そういえばそうだよな……」 京太郎「渋谷さんは照と淡の間の学年なんだよな」 京太郎「そこいらへんも訊いておくか」 京太郎『ところで、照と淡が面倒かけてませんか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『宮永先輩も淡ちゃんも私のお茶菓子食べてくれるし』 尭深『二人ともいい子だよ』 尭深『須賀くんは心配性なのかな?』 京太郎『心配性というか、まあそうですね』 京太郎『バカ二人がお世話になってます』 ヴーッ ヴーッ 尭深『まるで二人のお兄ちゃんみたいだね』 京太郎『そう見えますか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『とっても、ね』 尭深『そういう人がいるのってちょっといいかも』 京太郎『ふっふっふ、別に俺を頼ってもいいんですよ?』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『じゃあそうしてみようかな』 尭深『悪いけどそろそろ寝るね』 尭深『合宿でも頑張ろうね、お兄ちゃん』 尭深『おやすみ』 京太郎「渋谷さんからお兄ちゃん……かぁ」 京太郎「いいね!」 京太郎「あのメンバーのなかで一番のおっぱいだったし、なんか燃える」 京太郎「俺もそろそろ寝るかな」 【10月第3週 平日】終 【10月第3週 休日】 【合宿1日目】 雅枝「説明は以上や」 雅枝「合宿中は各自自分の実力のために尽力するように」 雅枝「あー、そうそう合宿中テレビの密着取材が入るさかい、そこんところよろしく」 雅枝「ほな各自対局開始!」 京太郎「あのー、良子さん?」 良子「何かな京太郎」 京太郎「良子さんこの前東京のホテルって言いましたよね?」 良子「ここも十分立派な東京のホテルじゃないか」 京太郎「立派ですとも、ええ立派です、立派ですけども!」 京太郎「なんで、なんでこんな山奥なんですか!?」 京太郎「新大阪から東京まで来たぞ!って浮かれてたら電車に乗って」 京太郎「どこで降りるんだろうなーとか考えてるうちに終点まで来てるし!」 京太郎「まあまだそれは良しとしてですね」 京太郎「ここって旅館じゃないですか!」 良子「旅館もホテルじゃないか?」 京太郎「なんか違うんですよ!」 良子「な、なるほど……」 良子(よくわからない) 京太郎(あれ、俺って何が言いたかったんだろ……) 京太郎「大体の人にも挨拶したし、何しよう」 良子「京太郎、暇なの?」 京太郎「良子さん……そうなんですよ、よかったらまた特訓してくれますか?」 良子「うん、私におまかせあれ!だよ」ムネハリッ 京太郎「おおぅ……」 京太郎「シャープシュート」ゴッ 良子「いいぞ、雰囲気でてる!」 京太郎「それじゃあ次ですね」 京太郎「カン!カン!もいっこカン!」 京太郎「麻雀って楽しいよね!」ニッコリ 良子「うん、いいよ」グッ 良子「うまく私の真似ができるようになってるね、流石は京太郎だよ」 京太郎「えへへ、そうですか?」 良子「それじゃあ次に行ってみようか」 京太郎「今度は負けませんからね!」 良子「ふふん、どうかな」 良子「ねえ、京太郎、よかったら私の力を身に着けてみない?」 京太郎「身に着ける、ですか?」 良子「うん、本家に伝わる簡単な儀式なんだけど、どう?」 京太郎「うーん……なんか怪しいですけど」 良子「大丈夫だよ、三十分でもあれば終わるし、疲れるのは私だけだから」 京太郎「それも少し……悪い気が」 良子「やっぱり……ダメ?」ウワメヅカイ 京太郎(唐突に可愛いんですけどなにこれ!) 良子「京太郎?」 京太郎「わかりました、ただし安全にお願いしますよ」 良子「うんっ!」 【儀式終了】 良子「儀式終わり!どうかな?」 京太郎「」ハナヂドバァ 良子「あれ?京太郎?京太郎?」ユッサユッサ 京太郎(お互い裸になって体を寄せ合う儀式とか……)チラッ 良子「京太郎?」タユンタユン 京太郎(そんなん考慮しとらんよ……)ドバァ 昼 憩「おーい、京太郎くーん!」 淡「こっち来なよ!」 京太郎「うげっ」 淡「なんだようげってー!」ウリウリ 憩「せやでーこっち来て一緒に打とうやー」 尭深「あ」 京太郎「あっ渋谷さん助けて!」 尭深「お茶入れたけどいる?お兄ちゃん」ニコッ 京太郎「」ブフォッ 憩「お……お兄ちゃん?」 淡「なるほどー京太郎はそういう趣味なんだ……」 京太郎(あれっ、なんかやばい感じ) 憩「ほなこっち来て打と!お兄ちゃん!」ニコッ 淡「お兄ちゃんは私のだよ!ね?お兄ちゃん」ニコッ 尭深「お茶熱いから気を付けてね、お兄ちゃん」ニコッ 京太郎(何この状況どうすりゃいいの……) 京太郎「ロン、これで俺の勝ちだな」 淡「あわわわわ」 淡「まさかお兄ちゃんに負けるなんて……」 京太郎「いつまで続けるんだそれ」 尭深「はい、お茶」 京太郎「渋谷さんはもどったんですね」 憩「ウチがトップやー」 尭深「うん、言葉にすると恥ずかしいから」 淡「ねーねー京太郎!お昼食べに行こうよ!」 京太郎「はいはい、勝手に行ってこい」 憩「ウチ!ウチがトップやで!」 淡「むぅ、京太郎酷いよ!」 京太郎「ふふん、俺に勝ってから言うんだな!」 淡「わかったよ!じゃあもう一局だ!」 京太郎「受けて立つ!」 京太郎「昼でも食いに行くかなーってここいらへんで食べられる店ってないんだよな」 京太郎「食堂行こ」 「なあ!みんなでプール行かねえか?」 「この前できたあそこっすか?」 「そうそう!タダ券もらったから、どうだ?」 「……私なら大丈夫」 「お姉ちゃんも泳げないでしょ」 「……泳げるもん」 「じゃあ決まりっすね、みんなで行くっす!」 雅枝「須賀、どないした?」 京太郎「はっはい!なんでしょうか!」 雅枝「飯食べ終わったんやったら練習や練習」 京太郎「いやーまだデザート頼んでなかったんで」 雅枝「ほな話しながら食べよか」 京太郎「おっ、いいですね」 雅枝「なんか聞きたいこととかあるやろ、どや?」 京太郎「そういえば……」 雅枝「なんや?」 京太郎「監督の旦那さんって一体どんな人なんですか?」 雅枝「旦那……」 雅枝「……はぁ」 京太郎「あっ、すみません」 京太郎「踏み入ったこと聞いて……」 雅枝「いや、別にええんや」 雅枝「あの男はほんまに……最悪や」 京太郎「あれ?お亡くなりになったとかじゃ?」 雅枝「そうなってくれたらええんやけどな、もう離婚したわ」 京太郎「やっぱりすみません……」 雅枝「いつかは話すことになるかもしれんから別にええわ」 京太郎「……いつかは?」 雅枝「私が須賀にお義母さん呼ばれるかもしれんからな」 京太郎「あ……あー」 雅枝「絹も洋も、泣かせたら承知せんで、ええな?」 京太郎「いつかは監督を鳴かせるかもしれませんよ?」 雅枝「はっはっは、後で覚えとけよ」ニッコリ 雅枝「私は先戻るわ、ほなまた」 京太郎「さよならー」 恒子「ほうほう須賀京太郎くんは熟女にまで手を出している、と」 みさき「これは大スクープですね」 京太郎「ちょーっと待ってくださいそこのお二人さん」 恒子「ありゃ、ばれちゃった?」 京太郎「ばれるも何もないですよ」 みさき「この子が有名な須賀京太郎くんですね……」 えり「有名も何もインターハイ優勝者でしょうが」 みさき「あ、そうでしたね」 えり「村吉アナはツッコミ側だと思ってたんですけど」 みさき「針生アナがいるのでまあ多少は」 京太郎「どうしてお三方がここにいるんですか……」 恒子「聞いてなかったかな?ここに取材が入ってるって」 京太郎「でも別々の局ですよね、それに三日もいるつもりですか……」 恒子「そのくらい話題性があるってことだよ、あ、私たちも練習に参加したりとかもするから」 京太郎「麻雀できるんですか?」 えり「ルールとセオリーは十分覚えてますから」 みさき「だてにアナウンサーやってませんからね」 京太郎「まあそういうことなら」 恒子「そーそー、その意気だぞ少年!後で麻雀教えてねー」 京太郎「えっ?」 えり「そういうことなので失礼します」 みさき「これ私の名刺です、どうぞ」 京太郎「あっはい」 恒子「そんじゃねー」 えり「失礼します」 ガララ 京太郎(なんだよこの合宿ー!) 昼 京太郎「食後の腹ごなしにちょっと打つか」 京太郎「どの卓が空いてるかなー」 智葉「須賀、ここにいたのか」 京太郎「辻垣内さんじゃないですか、どうしたんすか?」 智葉「うちの監督が用があると言ってな、とりあえずついてこい」 京太郎「は、はあ……」 智葉「監督、連れてきました」 臨海監督「おっ、来たか」 京太郎「初めまして、須賀京太郎です」 臨海監督「初めまして、うむ中々にハンサムじゃないか」 京太郎「どうも、監督さんこそスーツが似合っててかっこいいですよ」 臨海監督「世辞がうまいな、気に入ったよ」 臨海監督「そんなに硬くならなくていい、そこに座ってくれ、サトハも」 臨海監督「前から常々君とは打ってみたいと思っていたんだ、興味を持つと我慢できないタイプでね」 臨海監督「三麻もいいが、あと一人誰か欲しいな……」 明華「私が入りましょうか?」 臨海監督「ミョンファか、よろしく頼む」 明華「須賀さん、よろしくお願いします」 京太郎「いえこちらこそ」 智葉「それでは始めましょうか」 京太郎(臨海の監督さんにレギュラー二人ってなんか緊張する……) 臨海監督(スガ……カイノウに似ている打ち手だ) 臨海監督(地区予選ではアラカワ、インターハイではミヒロギと似た打ち方をしていたがこれは一体どういうことなんだ) 臨海監督(そして、これで終わりだ) 臨海監督(……パールハーバー) 臨海監督「ツモ、海底面清、4000・8000」 臨海監督「三人ともトビだな」 智葉「」チーン 京太郎「」チーン 明華「」チーン 臨海監督「面白い対局だったよスガ、来年はうちに来ないか?」 明華「またですか監督……」 智葉「面白いも何も一方的なタコ殴りだったのですが……」 京太郎「そもそも臨海って女子校じゃないんですか?」 臨海監督「大丈夫大丈夫、金さえかければ何とでもなるから」 京太郎(絶対ダメな大人だよこの人……) 夕 臨海監督「午前の様子を見るに、スガは暇なそうだが、どうだ?私と特訓でもしないか?」 京太郎「まあ確かにやることないですね」 臨海監督「よし、なら早速取りかかろう」 京太郎「そういえば監督さんはメジャーで活躍していたんでしたっけ?」 臨海監督「活躍、というほどではないがな」 臨海監督「あそこの卓が空いたようだ、入っていてくれ」 臨海監督「まあ、今日はこんなところかな」 臨海監督「欧米流の麻雀なんだが、理解はできた?」 京太郎「……ほんのちょっと」 臨海監督「そうか……物事最初はこんなものさ」 京太郎「そうですよね……」 京太郎(世界って広いんだよな、考えてみれば明華さんだって世界ランカーらしいし) 京太郎(でも俺だって日本一の男子高校生なんだ!) 京太郎(まだまだ負けてられないよな!) 臨海監督「ふっ、まだ続けてみるか?」 京太郎「……はい!どうせなら時間ギリギリまで!」 臨海監督「うん、いい意気だ。それでは次は……」 雅枝「これで今日の練習は終了や!」 雅枝「各自部屋で休むように!ほな解散!」 「ありがとうございましたー!」 京太郎「結局あの後もわからないまんまだったな……」 京太郎「後二日もあるんだからのんびり行こう」 京太郎「さてと、俺の部屋は……ここか」 京太郎「どうせ一人部屋なんだろうな……」ガチャ 「赤阪さんお帰りなさ……い……」 京太郎「あ……えーっと」 京太郎(この人確か……多治比さん、だっけ?) 真佑子「ど、どなたでしょうか?」ガクガク 京太郎(ってのんびりしてる場合じゃねえ!) 京太郎「すみません、部屋間違えました!」 真佑子「ちょっ、ちょっと!」 バタム! 京太郎「部屋番……401だよな、良子さんに文句つけないと……」 郁乃「あっれ~京太郎くんここで何しとるん~?」 京太郎「実は部屋の場所がわからなくて……」 郁乃「でも京太郎くんと私は同じ部屋やろ~?」 京太郎「えっ」 郁乃「ほな入るで~」 真佑子「多治比です……どうも」 京太郎「須賀京太郎です、よろしくお願いします」 郁乃「二人とも仲良くな~」 京太郎「さっきはなんかすみませんでした」 真佑子「いいですよ、着替えを見られたってわけじゃないんですから」 真佑子「顔上げてください、ね?」ニコッ 京太郎「は……はい」カオアゲ 京太郎(多治比さん、優しい人だな……) 真佑子「この私の優しさに感謝して一生跪いてろこの下等が」ボソッ 京太郎「……はい」 京太郎「…………」 京太郎「ええっ!?」 京太郎(急にキャラ変ったよ何この人!?) 夜 京太郎(ちょっと気まずいから他の人の部屋にでも行くか) 京太郎(誰の部屋に行こう……) 京太郎「適当に歩いてきたけど、ここは誰の部屋かな?」コンコン 京太郎「失礼しまーす」ガチャ 雅枝「……須賀?」 京太郎「……あ」 雅枝「私の部屋に何の用や?」 京太郎「そ、それはですね……」 京太郎「えーっと、ここは誰の部屋だ?」 ガチャ 臨海監督「スガ?こんなところで何をしているんだ?」 京太郎「ここ監督さんの部屋だったんすね」 臨海監督「いかにもそうだが、どうしたんだ?」 京太郎「それはですね……」 京太郎「ちょっと部屋の居心地が悪かったのでお話でも、と思いまして」 臨海監督「ん……そうか、いいぞ上がれ」 京太郎「失礼しまーす」 臨海監督「それで何の話をしようか、私はなんでもいいよ」 京太郎「ううん、そうですね……」 京太郎「じゃあ監督さんの過去の経歴について……とか?」 臨海監督「経歴、か」 臨海監督「知っての通り私は元メジャーの選手だったんだがあまり活躍と言う活躍はなくてね」 臨海監督「コカジさん相手にはズタボロだったよ、まあ恋人がいたというのもあったんだろうけど」 臨海監督「そんなこんなで限界を感じてメジャーから身を引いたんだ、そんなところにかかってきたのが臨海からの声だった」 臨海監督「どうやら私は人に教える方が向いているみたいでね、内心複雑だったよ」 臨海監督「話していて自分でもつまらないな、今度はスガの話を聞かせてくれるか?」 京太郎「俺の方が退屈ですよ、まだまだ」 臨海監督「ふむ、そうか」 臨海監督「そういえばスガはミヤナガと幼馴染らしいけど、そこはどうなんだ?」 臨海監督「噂に聞くに遠距離恋愛だとか」 京太郎「俺と照が遠距離恋愛!?誰がそんなことを!」 臨海監督「私が」 京太郎「根も葉もなかったよ!」 臨海監督「でも結構そんな噂は聞くぞ、それこそアラカワと付き合ってる、とかミヒロギと付き合ってるとか」 京太郎「そもそもなんでそんなことを初対面の監督さんが知ってるんですか」 臨海監督「さっきも言っただろう、私は興味を持つと我慢できないタイプなんだ」 京太郎「えぇぇ……」 臨海監督「そういえば最近はカイノウやハリウアナと関係を持っているとも聞いたがそこのところは?」 京太郎「ないない、なんでもないですから」 臨海監督「そうか……つまらないな」ボソッ 京太郎「聞こえてますからね!」 【脱衣所】 京太郎「風呂は確か温泉って言ってたよな、楽しみだ」 京太郎「そういえば霞さんから……」 霞『ここの温泉は混浴だから、京太郎くんは11時から入ってね、その前に他の子を入れちゃうから』 京太郎『つまり11時前に入れば混浴ができる、と』 霞『そんなことしたらどうなるか……わかるわよね?』ニッコリ 京太郎『イエス!マム!』ビシッ 京太郎「というわけで用心をして11時半」 京太郎「誰か入ってないかな……」 京太郎「いるわけないよな……」 ガララ カポーン 京太郎「うん、わかってた」 京太郎「ちょっとの希望はあったよ、洗面所の前の髪の毛とか、石鹸の匂いとかで期待してたよ」 京太郎「でももうなんか……寂しいよな」 京太郎「気を取り直して飛び込んでみるか」 京太郎「イィィィィッヤッホオオオオオウ!」 バッシャーン 【そのころの脱衣所】 良子「……ふぅ」ヌギヌギ 良子「今日はあまり京太郎と喋れなかったな……」 良子「恋人……なんだよね」※違います 良子「もっとアグレッシヴにならないといけないよね、よし」 イィィィッヤッホオオオオオウ! バッシャーン 良子「まだ誰か入っているのか?」 良子「いや、この際中の人とも仲良くなろう!私ならできる、私ならできる!」 良子「こんばんはー」ガララ 京太郎「あー!気持ちいいー…………」 良子「…………」 良子「これはドリームだ、そうに違いない」ホッペツネル 良子「いたっ!」 良子「ってことは……夢じゃない?」 京太郎「え……っと、どうして良子さんがここに……?」 良子「……それは……だな……」 良子(そういえばカスミに言われてた気がする……) 良子(このまんまだと私は京太郎の風呂に入りに行った淫乱女だと思われるんじゃ……)ガクガク 良子(どうすればいいんだ……) 京太郎(なにこれどうしよう……なんで良子さんがここにいるんだよ) 京太郎(一応腕で隠れてはいるけど……ナイスな……)ブフォッ 良子「京太郎、鼻血出てるぞ!」 京太郎「えっ、うわ本当だ」 良子(京太郎がのぼせてる……のぼせたときってどうすればいいんだっけ……) 良子(えっと、確か……) 良子(膝枕……か) 良子(縁に座って……)チャポン 良子「きょ、京太郎!///」カァァ 良子「膝枕……するよ」 京太郎「えっ」 京太郎(現状を整理しよう) 京太郎(俺は温泉に入っている、当然裸だ) 京太郎(そして今、良子さんに膝枕してもらっている……良子さんも裸だあそこは腕で隠しているけど) 京太郎(どうすればいいんだよ……良子さんの肌やわらかいし白いし……) 良子「京太郎、落ち着いた?」ナデナデ 京太郎(頭、撫でてくれるし……怜さんとかいつもこんな気分なのかな……) 京太郎「はい、ありがとうございます」 良子「よかった、どうしたのかと思ったよ」ホッ 京太郎「……っておかしいでしょう!」ガバッ 良子「」ビクッ 京太郎「どうして良子さんがここにいるんすか!」 良子「……ごめん、入る時間を間違えたんだ……」 良子「私は……京太郎と入っても、その……嬉しいんだけど」 良子「迷惑だよね……もう上がるよ、ごめん」ショボン 京太郎「そ、そんなことないです!俺も嬉しいです!もっと二人で楽しみましょうよ!」 京太郎(何言ってんだ俺ぇぇぇえ!) 良子「そう……なの?」パァァ 京太郎(ええいままよ!) 京太郎「もちのろんですよ」 良子「じゃあまずは何する?体洗いっこする?それとも一緒にお風呂に入る?」 京太郎「え、えーっと……」 京太郎(何その選択肢……おかしいでしょ……) 京太郎「じゃあ……良子さんの身体を洗いますね」 良子「いいのか?」 京太郎「俺だけされてばっかりっていうのは少しなんなので」 良子「……わかった」 京太郎「まずは髪から洗いますね」 良子「うん」 京太郎「どうですかー?」ワシャワシャ 良子「気持ちいいよ」 京太郎「おかゆいところはありませんかー?」 良子「ふふっ、サロンみたいだな」 京太郎「俺もそう思いました、あははっ」ワシャワシャ 良子「痛っ!」 京太郎「ど、どうしました!?」 良子「ごめん、ちょっとシャンプーが目に入ったみたいで……」 京太郎「ごめんなさい、もうちょい丁寧にやります」 良子「ごめんね……」 京太郎「次は体洗いますね」 良子「よろしくね」 京太郎(流石に前はできないよな……) 京太郎「良子さん、髪もそうでしたけど肌も綺麗ですよね」 良子「そうかな?意識したことはなかったけど……嬉しいな」 京太郎「はい、背中終わりです。あとはご自分でどうぞ」 良子「えっ……前は?」フリムキ 京太郎「俺から言ったことですけど、前はダメでしょう」 良子「ダメ……でも……」 良子「……京太郎なら……ううん」 良子「京太郎に、洗ってほしいんだよ」ウワメヅカイ 良子「それでも、ダメかな?」ウルウル 京太郎「」ドキッ 京太郎「どうなってもしりませんからね!」 良子「京太郎になら、どんなことでも……」モジモジ 京太郎(腕が終わってついに最初の関門……胸) 京太郎(確かに触りたいとは思ってましたよ、揉みたいと思ってましたし顔もうずめたいと思っていました) 京太郎(でも何でこのタイミング……) 京太郎(腹くくるしかないよな…………ぐへへ)ワキワキ 京太郎「失礼しますね」モミッ 良子「んっ……」 京太郎(やわらけぇー!やわらけえよぉー!)ムニョンムニョンモミモミモミモミモミ 京太郎(感動!感動した!俺ぁ感動したよぉぉぉぉおお!)モミモミモミモミモミモミ 良子「きょ、うたろぉっ、!そ、そのくらっ!ああっ!」 京太郎(ふぅ……満足した、次はへそか)チョン 良子「んぁっ!」ビクン 京太郎(へそが弱いのかな?)クニクニ 良子「あんぅ、やぁっ!」ビクンビクン 京太郎(……エロい) 京太郎「これで洗い終わりですね、そろそろ入りましょうか」 良子「……ぅん」ビクンビクン 【そのころの脱衣所】 霞「戒能プロ、どこ行ったんでしょうね」 善野「一緒に来ればよかったんやけどねー」 健夜「ここの温泉って若返り効果があるんですよね!」 雅枝「せやで、年寄りに優しいやろ」 臨海監督「コカジプロには特にね」 健夜「どういうことですかね?」ピキピキ ワーワー キャーキャー 良子「…………」 良子(あの声は小鍛治プロ?ということは……) ソロソロハイローカー ガララ 良子「京太郎、潜って!」 京太郎「えっ、何を!?」 健夜「あれ?戒能プロいたんだ?」 霞「呼びに行ったんですけど、もう来てたんですね」 良子「が、我慢できなくてね」 良子(どうしよう、このままだと京太郎が痴漢にされてしまう……) 良子(そういえばあっちに……) 良子「あっちの方にもう一つ大浴場がありましたよ」 善野「あっちってどこ?」 良子「別の脱衣所から入るんですよ、こっちは疲労回復の湯であっちが若返りの湯らしいです」 雅枝「あ、あっちやったんか、ほな行ってくるわ」 臨海監督「私も行きますかね」 善野「小鍛治プロも石戸さんも早くいかへん?」 霞「私はまだ10代ですし……」 健夜「」ギロッ 霞「ひっ、行きますね!」 健夜「私も行こうかな」 良子「私も後から行きますね」 雅枝「ほなまたー」 ガララ 良子「……はぁ」 良子「京太郎、大丈夫か?」 京太郎「」マッサオ 良子「京太郎?京太郎?」 京太郎「」マッサオ 良子「京太郎ー!」 京太郎(現状を整理しよう) 京太郎(俺は温泉に入っている、当然裸だ) 京太郎(そして今、良子さんに膝枕してもらっている……良子さんも裸だあそこは腕で隠しているけど) 京太郎(って、何このデジャヴ) 良子「京太郎、起きた?」 京太郎「おかげさまで、どうもすみません」 良子「ううん、よかったぁ」ホッ 京太郎「こう二回も膝枕してもらってると悪いっすね」 良子「心配したから……いいよ」 京太郎「そう言われても……じゃあ俺も何かしてあげますよ!」 京太郎「何しましょうか?」 良子「何って……なんでも?」 京太郎「俺にできることなら、なんでも」 良子「じゃ……じゃあ……それじゃあ……」モジモジ 良子「充電……してもらってもいいかな?」 京太郎「……充電?」 京太郎(充電って……充電ってまさか……) ここから妄想―――――――――― 良子「京太郎の電気、私に流してほしい!」 良子「しびれさせて?」 京太郎「良子さん!」ガバッ 良子「きょうたろぉ、激しいよ……」 京太郎「流し込むぜ!俺の電気!」 ――――――――ここまで妄想 京太郎(ぐへへ……) 良子「京太郎、どうかした?」 京太郎「いえいえなんでもないですよ、それで、充電とは?」 良子「……エクスプレインよりもやってみた方がはやいと思うから、京太郎は浴槽の縁に座って」 京太郎「はい」 京太郎(……座ると俺の息子がやばいことにならないか?) JR京太郎「呼んだ?」 京太郎(ちょっとすっこんでろ!間に挟まってろ!) 良子「それで私がそこに座る、と」ストン 良子「充電充電!」 京太郎「充電充電!」 良子「チャージチャージ!」 京太郎「チャージチャージ!」 京太郎(どんなプレイ!?) 京太郎(何が悲しくて現役で美人で巨乳な若手プロと疑似挿入して充電充電言わないといけないの!?) 良子「……京太郎」 良子「疲れた」 京太郎「声が涸れるまで叫んでたらそうなりますよ」 良子「だよね……」 良子「……京太郎」 京太郎「何ですか?」 良子「国麻、頑張ろうね」 良子「私は地区選抜のコーチとして、京太郎は個人の部で、一緒に勝とう」 京太郎「……はい、絶対に負けませんからね」 良子「ふふっ、楽しみだね」 京太郎「俺もですよ」 良子「……もう少し、このままでいいかな?」 京太郎「もう吹っ切れましたよ……」 良子「……ありがとう」 良子「京太郎」 京太郎「なんですか?」 良子「私、京太郎といると……毎日が楽しいんだ」 良子「京太郎はどう?」 京太郎「俺もですよ、良子さんや照や憩たちがいて毎日が楽しいです」 良子「……うん、そうだよね」 良子「それじゃあ私は小鍛治プロたちの方に行くから、京太郎は後で出てきて」 京太郎「はい、おやすみなさい」 良子「おやすみ」フリフリ ガララ 京太郎「よし、出てきていいぞ息子よ」 JR京太郎「我慢できねえぜ!」 京太郎「温泉はちょうど白濁!此処ならできる!いくぞ我が息子よ!」 JR京太郎「ヒャッッッッハアァァァ!」 【合宿初日】終
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前話 次話 恒子「お前ら待ってたかー!大将戦の実況の福与恒子とご存じアラフォーが来たぞー!!」 健夜「アラサーだよ!というかいきなり何言ってるの!?」 恒子「なんか言うべきかなーって」 健夜「もう……ええと、解説の小鍛冶健夜です」 恒子「元世界第2位のアラフォー」 健夜「アラサーだって!」 恒子「はい、えー、大将戦を前にしてこうなってます」 1位白糸台2264 2位清澄1892 3位臨海1305 4位阿知賀900 健夜「白糸台はさすがですね。準決勝では弱点を突かれたのか油断したのか2位でしたけど、決勝では圧倒的な実力で1位をキープ」 健夜「それを追う各校。特に清澄が迫っていますね」 恒子「臨海と阿知賀も頑張っているよね?」 健夜「うん。でもどうしても白糸台との差が縮まらない。それがここまで」 恒子「てことは?」 健夜「大将戦でここまで変わらなかった順位が変化するかもしれません」 恒子「ほほう……女の勘、もといアラフォーの勘だね」 健夜「アラサー!今回いつもより多くない!?」 誠子「ただいま戻りました」 淡「お疲れさまでーす。今回はハンデ無しかー」 誠子「お前はまた……とりあえず汚名返上ってことで」 尭深「お疲れ様」 菫「ああ、よくやってくれた。で、淡」 淡「はーい」 菫「お前阿知賀ばかり意識するなよ?」 淡「……そんなことないですよ?」 菫「こっち見て言え」 照「……大将戦」 淡「テルー?」 照「ん……淡ファイト」 淡「うんっ!」 照「そして……気を付けてね」 淡「もっちろん!高鴨穏乃、今度こそ100回倒す!!」 菫「阿知賀はいいから他にも気を付けろよ……」 照(咲……京ちゃん……) 灼「ごめん……あんまり差縮められなかった……」 晴絵「灼……」 灼「私……」 穏乃「灼さんお疲れ様です!!」 灼「し、穏乃?」 穏乃「後は私がなんとかしてきます!」 灼「いや、なんとかって…」 穏乃「うおおおお!!燃えてきたあああ!!」 憧「少しは静かにしろ!」ベシッ 穏乃「あたっ!もーいいじゃん、逆境って燃えるし」 玄「穏乃ちゃんはいつも燃えてるよね」 宥「あったかい?」 穏乃「まだ負けた訳じゃないですし!行ってきます!!」 憧「ジャージで行くなっつったでしょ!!ほら、着替えた着替えた!」 穏乃「えー……ジャージの方がいいのに」 憧「ジャージで全国決勝大将戦なんて聞いたことないわ!」 灼「っぷ、あはははは!」 玄「灼ちゃん?」 灼「……悩んでるのが馬鹿らしくなってきた」 晴絵「……そうだな」 灼「……穏乃」 穏乃「はい!」 灼「まかせたよ」 穏乃「はい!!よーし!行くぞー!!」 憧「ちゃんと制服着ていきなさいって!!」 宥「ふふっ。あったか~い」 ダヴァン「……日本は強かったデス」 智葉「おい、こいつのラーメン持ってけ」 明華「はーい」 ハオ「何日分かなー」 ダヴァン「酷い!私に死ねト!?」 智葉「なんで麻雀よりも必死なんだお前……冗談だからな」 ダヴァン「サトハの冗談は笑えまセン……」 ネリー「じゃーネリーがばばーんと逆転してくるねー」 智葉「おう……しかし、全国大会の決勝、それも大将戦が全員1年生とはね」 明華「何か問題でも?」 智葉「いや……何が起こってもおかしくないよな」 ハオ「?」 ネリー「よく分かんないけど、行ってくるねー」 久「お疲れ様、よくやってくれたわ」 和「もう少し頑張れればよかったんですが……」 まこ「あんまり言うなって。1年生がよーやったわ」 優希「そうだじぇ!それに、おっぱいならのどちゃんが圧勝だったじぇ!」 久「そりゃー永水でも呼ばなきゃ勝てないわー」 和「もう優希!部長まで!」 まこ「うーん、わしら全員分でも足りなんか」 和「染谷先輩まで……あれ?咲さんと、こんな時真っ先に反応する須賀くんは?」 久「ああ、須賀くんは咲を対局室まで送らせたわ」 まこ「今までの会場でも迷っとったんじゃ。まず今回も迷うじゃろ」 優希「京太郎なら大丈夫だからな!」 咲「……ねぇ京ちゃん」 京太郎「うん?」 咲「えっと……私が方向音痴だってのはもう認めるからさ……」 京太郎「……まだ認めてなかったのか」 咲「それはいいよ!……手、繋いだまま対局室まで行くの?」手繋ぎ 京太郎「……咲だしなぁ」手繋ぎ 咲「私、そこまでじゃ…」 京太郎「中学の修学旅行で隣にいた咲が消えたのはさすがに驚いたなぁ……」 咲「あ、アレはお店からいい匂いがしたから……」 京太郎「このまま行くぞ」 咲「……はい」 咲(やっとお姉ちゃんのとことだけどお姉ちゃんじゃない……) 咲(でも、部長に和ちゃん、それにみんなが勝ちたいって言ってた) 咲(私は……どうしたいんだろ) 咲「……ねぇ京ちゃん」 京太郎「うん?」 咲「京ちゃんは……清澄が優勝したら嬉しい?」 京太郎「はぁ?当然だろ?」 咲「そうだよね……」 京太郎「それに、咲が勝つってのが嬉しいな」 咲「え?」 京太郎「まさかちんちくりんの幼馴染が全国決勝で大将をまかせられるなんて……感慨深いなぁ」 咲「……ちんちくりんじゃないもん」 京太郎「……それに、よくは分からないけど照さんと本気でやるって言ってたろ?」 京太郎「そりゃ照さんと直接対決って訳じゃないし……なんか上手く言えねーけど、お前が勝つ方が俺は嬉しい」 京太郎「ああもうなんだろ……とにかく俺はお前を応援するし、お前の味方だ!どうだ!?」 咲「……ぷっ、どうだって……あはははは!京ちゃん何言ってるか分かんないよ」 京太郎「う、うるせー!とにかく、お前は全力でやって、楽しめばいいんだよ!」 京太郎「県大会の決勝でも言ってたろ?楽しいって。もうそれでいいよ。ごちゃごちゃ言うのは性に合わない」 咲(なんかいろいろぐるぐる考えて、悩んでたのがどうでもいいやってなったな……) 咲「ふふふ。そうだね……全力で楽しんでくるよ!」 咲が+-0を止めました 恒子『さあ、選手が全員揃ったー!』 健夜『アレ?今宮永選手、男子に手を引かれて対局室まで来てなかった?』 恒子『アラフォーの嫉妬?』 健夜『アラサー!!』 恒子『あ、試合開始』 健夜『軽いよ!?』 淡(今回は最初っから全力!) 咲(これって……) ネリー(話は聞いてたけど面倒だよー) 穏乃(うーん……配牌をどうこうするとかできないし……) 淡「カン!」 穏乃(え!?最初から!?) 淡「ロン!」 淡(100回……100回分倒す!!) 咲(う……なんか衣ちゃんとやってた時みたい……) ネリー(金髪が強いよ……) 穏乃(うおおおお……なんかやばい!) 淡「ツモ!」 淡(あはっ!なんか絶好調じゃん!!) 恒子『前半戦終了!王者白糸台の1年生、大星淡選手が大活躍!!』 健夜『すごいですね……準決勝ではなんと言うか、油断していたように見えましたけど、今回はそれが無い』 健夜『去年の天江選手や、宮永照選手ほどじゃないですが、彼女もかなり点を稼ぎますね』 恒子『うん……さすがアラサー』 健夜『アラサー…合ってるよ!今なんで脈絡無く言ったの!?』 淡「たっだいまー!!どう!?」 誠子「あ、あぁ……お前、すごいな……」 淡「でしょー!?」 菫「ああ。今回は油断していないみたいだな」 淡「決勝だし、出し惜しみ無しです!」 尭深「でも……準決勝では後半戦から……」 淡「大丈夫」 照「……淡?」 淡「後半戦だろうとなんだろうと……負けないから」ゴッ 照(淡がここまで本気になるなんて……) 菫「普段からここまでやる気ならいいんだがな……頼むぞ」 淡「はーい」 穏乃「うわーやばいやばい!大星さん最初から全開だよ!」 宥「お、落ち着いて……」 穏乃「というか何気に宮永さんもすごいね!あとあの……名前長い子も!」 灼「……大丈夫?」 穏乃「うおおおおおお!!また燃えてきたあああああ!!」 玄「し、穏乃ちゃん?」 穏乃「いやーもうなんかすごい!!」 憧「おいおい……うち圧倒的に負けてるのよ?」 晴絵「……シズ?」 穏乃「はい?」 晴絵「楽しい?」 穏乃「すっごい楽しいです!ああもう後半楽しみすぎる!」 憧「あたしの制服で暴れるなっ!」 晴絵「そっか……最後まで楽しんできな!」 穏乃「はいっ!!」 ネリー「サトハー、アレ貸して」 智葉「いきなりなんだ」 ハオ「……眼鏡?」 ネリー「違う」 明華「サラシ?」 ネリー「……巻くほど無いよ」 ダヴァン「ドス?」 智葉「メグ、ちょっと来い」 ダヴァン「冗談ですカラ!!」 ネリー「それそれ」 ハオ「それなの!?」 智葉「そもそも持ってねーよ」 ネリー「うーん……金髪とか短髪が強いからサトハの力を借りたかったのに……」 智葉「貸し出せるものじゃないだろ……後半、いけるか?」 ネリー「最後までやってみるよー」 ネリー「……負ける気はないしね」 和「……オカルト合戦ですか」 優希「じぇー……私の時並みにやばくね?」 まこ「どうするんじゃ久?」 久「大丈夫よ」 まこ「あん?」 久「ちょっとした秘策を送ったから」 咲(お姉ちゃんとこの大将さん、思ってた以上だったな……) 咲(ちょっと差広がっちゃったし……どうしよ) 咲(そういえば……部長が休憩の時に秘策を送るから対局室から出るなって言ってたけど……なんだろ?) 京太郎「おーい、咲ー」 咲「京ちゃん?」 京太郎「えっと……」 京太郎(確か部長がこう言えばいいって言ってたな……) 京太郎「どんな事になっても、最後まで見てるから」 咲「……うん」 京太郎「全力で楽しんで来いよ」 咲「……勝てないかもしれないよ?」 京太郎「どんな事になってもって言ったろ?いいんだよ。お前の味方だって言ったし」 咲「京ちゃん……」 咲(本当に……来て欲しい時に、来てくれるんだなぁ……) 京太郎「ああ、じゃあ優勝したくなることも言ってやるよ」 咲「へ?」 京太郎「優勝したら、お前の言うこと何でも聞いてやるよ」 咲「…………え?」 京太郎「あ、こっちだけだったかな……まぁいいや。どうだ?」 咲「……約束だからね?」 京太郎「?お、おう!」 咲「破ったら……ええと、泣くよ?」 京太郎「泣くよって……あはは!それはないだろ?」 咲「い、いいの!とにかく約束だから!」 京太郎「はいはい。了解しましたよお姫様」 咲(なんでも……なんでもかぁ。何しよっかな) 咲(手を繋いでデート?あ、恋人繋ぎとかいいかな!それから膝枕とかも……よし!とにかく頑張ろう!!) 咲(これ……カンできない……) ネリー(むむむ……やっぱり借りた方がよかったかな) 穏乃(よし、配牌はまともだ!) 淡(……準決勝みたいにいくと思ってんの?) 淡「ロン!」 穏乃「……え?」 淡(100回、倒す!!) 穏乃(最後だけど、まだ諦めない!限りなく0に近い可能性だけど、それを目指すのが楽しい!!) ネリー(素直に負ける気は無いし……全力だよ!) 淡(うっわ凄い!こんなに差があるのに諦めてないとか!本当に冗談みたいな勝ち方しかないのに全員諦めないとか…) 淡(みんな、この3人みんなイケてんじゃん!!) 咲「……カン!」 淡・穏乃・ネリー「!」 淡(テルーの妹……アンタが一番イケてるよ!) 淡(でも、最後まで私が和了る!) 咲(……楽しいよ、京ちゃん) 咲(そういえば……県大会の決勝もこんなだったね) 咲(うん……最後まで、楽しむよ!) 咲「もいっこカン!」 咲(嶺上……) 咲(……ならず……か) 淡「ツモ!」 大将戦結果 1位白糸台2264+713=2977 2位清澄1892+648=2540 3位臨海1305+55=1360 4位阿知賀900+35=935 恒子『し、試合終了ー!!優勝は、白糸台高校ー!!!』 前話 次話 名前 コメント
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377983742/ 小銭を取り出し自販機に硬貨を投入、商品を選択してボタンを押す。 足音。 音した方に顔を向けると阿知賀の中堅がいた。 京太郎「よう、憧」 憧「やっほ」 一考。 京太郎「お前なに飲む?」 憧「ん……ん~じゃあ、りんごジュース」 京太郎「あいよ」 同じ動作を反復し取り出し口から缶ジュースをもう一本取り出す。 京太郎「ほら」ヒョイッ 憧「わっとと……お、まとも。京太郎の事だからおしるとか渡してくるかと思った」 京太郎「そのネタはもうやった」 憧「誰に、とは聞かないでおくわ」 京太郎「ありがとよ」 憧「ってかなに? 120円であたしとコミュニケーションでも取ろうって? 安く見られたものね」 京太郎「これでも高く見積もったつもりだけどな。しっかり受け取ってるし」 憧「貰えるものは貰うわよ」 京太郎「ちゃっかりしてるね」 憧「それがあたしの良いところ♪」 京太郎「はは、言ってろ」 憧「そうだ、あんたどうせ暇でしょう? ちょっと付き合ってよ」 そう言って憧は右手に掲げた缶の縁を指先で叩いて鳴らす。 これは一杯付き合えって事なんだろうな。 連れ立ってサロンにやってきた。 サロンと言ってもただの応接室でもなくれっきとした麻雀の練習室でもある。 中央には自動麻雀卓が4つあり、周りにはテーブルや長椅子、観葉植物が置かれており部屋の隅には給湯用のコンロなんかもある。 幸い、と言うわけでもないが人はおらず俺達は揃ってソファーに腰を下ろす。 憧「それで、クラブのちび達が『私達も行く~!!』って聞かなくてさ」ケラケラ 京太郎「そりゃ災難だったな。ところで、阿知賀のこども麻雀クラブって無くなったんじゃなかったのか?」 憧「ん? ああ、ハルエが戻ってきたからね。インハイ終わって時間も出来たし、ちょっとずつまた集まりだしたのよ」 京太郎「ふぅん。楽しそうだな、憧」 憧「まぁそれなりにね。…………ふぁ」 可愛らしく欠伸をかみ殺す憧。 京太郎「眠いのか?」 憧「ん、少し」クシクシ 京太郎「移動で疲れたんだろ。もう部屋戻るか?」 憧「もう、少……し……」 トン。 肩に軽い重みと温かな温もり、それ混じって微かに甘いような女の子特有の香りがして僅かに動悸が早まる。 京太郎「ああ、だから言わんこっちゃないのに……」 しゃーない。面倒、ではないが……いや誰かに見付かって誤解されるのは面倒だが部屋まで運んでやるとするか。 そう思いつつも、少しだけ可愛らしく寝息を立てている少女の顔を観察する。 憧「Zzzz……ん……」 小さく身動ぎする憧。前髪が一房目元に掛かる。 途端、寝苦しそうに僅かに顔をしかめる。俺は空いている方の指先で、乱れた前髪を払ってやるとまた元の穏やかな寝顔に戻る。 京太郎「まぁ、もうちょっとだけこのままでもいいか」 缶の底に残った飲み差しのコーヒーを一気に仰ぐ。 京太郎「冷めちゃったな……」 ガチャ 京太郎「ん?」 久「あ……」 テーンテンテーン!、テーンテンテーン! テッテッテッテ、テッテッテッテ…… 憧「…………」スースー 京太郎「あの、か、こ、これ勘、勘違いしちゃダメですよ?」 久「ふ~ん。もうそんな事するとこまで進んでるんだ? 意外と手が早いのね」ニヤニヤ 久「むしろ意外でもなんでもないのかしら?」 京太郎「いやだから、これはあのだから」 回らない舌と頭で必死に言い訳を捻り出していると、 部長は近くにあったテーブルの椅子を引き寄せ俺と隣で寝息を立てている憧の前に陣取る。 京太郎「なんでしょうや?」 久「いや、続きが気になるから」 京太郎「何もしませんよ!?」 久「うそん。こんな女の子が無防備な状態で近くにいるのに何もしないなんて……はっ!?」 その瞬間、我が清澄高校麻雀部部長竹井久先輩今日も緩く結んだおさげが決まっている。その額に閃光が駆け抜ける。 まるで世界の真理を見出した賢人の様に重々しく頷き、 久「実はホモ?」 京太郎「違います」 そうのたまいやがった。 そんな事実あってたまるか火サスとかそんなレベルじゃないぞ。 京太郎「これはあの、あくまで善意から偶発的に自然発生した状況であってこれ以降はなんら進展性を保持していませんよ?」 久「つまんなーい」 俺はあなたを楽しませるために生きてるんじゃありませんよ? 久「まぁいいわ。新子さんに悪いし馬に蹴られる前に退散しましょうっと」 ガタ 京太郎「良いんですか? なんか用事とかあったんじゃ」 久「良いのいいの。ブラブラしてただけだから」 久「須賀君もあんまりフラフラして、周りをやきもきさせるのはダメよ?」 京太郎「? ……はぁ」 久「じゃあね」フリフリ そういって手を一振りし言うだけ言って部長は去っていった。 なんだったんだろうな。 ワイワイ! ガヤガヤ! 照「……」モッキュモッキュモッキュモッキュモッキュモッキュ 菫「おい照、そんな一気に頬張ると……」 誠子「この紅茶美味しい」 和「それはアールグレイのウンタラカンタラ」 尭深「紅茶も悪くない……」コクコク 灼「ハルちゃんお酌するよ」 晴絵「お、悪いな灼」 久「私も一杯いいかしら?」 優希「こういう時こそタコスだじぇ!」 宥「辛いけどあったかいね」ニコニコ まこ「お好み焼きっちゅんわな、こうして……よっと!」 穏乃「おー!!」パチパチ 淡「上手ー!!」パチパチ 咲「カレー出来ました!」ガチャ 玄「食べる人は挙手してください!」 「「「「「「「「「「「「「「「はーい!!」」」」」」」」」」」」」」」 京太郎「って、ちょっと待てい!! なんでみん、」 「「「「「「「「「「「「「「「しーーーーー……」」」」」」」」」」」」」」」 京太郎「っ……!?」 憧「…………」スースー 穏乃「ダメだよ、京太郎。そんな大声出したら、憧が起きちゃう」ヒソヒソ お前が、いや……お前らが言うな。 京太郎「ちくしょう、ああうん。えーみなさんなんでここに集まってるんですか?」ボソ 晴絵「それは私が説明しよう」 教師出陣。 晴絵「須賀君は衆人監視の密室って知ってる? つまりそういうことよ」 京太郎「は?」 晴絵「よし! 宴会再開!」 ワー!ワー! ガヤガヤ こいつらただ騒ぎたいだけと違うか? 久「言っとくけど私じゃないわよ」 なにもゆーとらんがや。 咲「京ちゃん、スルメ食べる?」 京太郎「ありがとう。けど煙いから屋内で七輪はやめて」 咲「ねぇ京ちゃん」ヒソヒソ 京太郎「んあ?」モキュモキュ 咲「もし隣にいたのが私でも、同じようにしてくれた?」 京太郎「それは、まぁ」 咲「そっか」ニコ タタタッ 京太郎「なんだ?」 優希「タコスもあるじぇ!」 京太郎「ありがとう。俺の作り置きだけど……」 優希「なにおう!? 犬のくせにこのゆーき様のタコスが食えんというのか!?」 京太郎「もらうっつってんだろ。あ、やめろ鼻に押し付けるな! 痛い!? スパイスが鼻に痛い!! やめろぉ!!!」 宥「大丈夫? 寒くない? タオルケット持ってきたから」パサ 京太郎「すみません。わざわざ」 宥「~♪」 京太郎「あの、なにか?」 宥「ううん。暖かそうだなって」ニコニコ 淡「む~」プク 京太郎「今度はお前か」 淡「アコばっかりズルい!」 京太郎「ズルいってなぁ」 淡「おでこにマジックで魚肉って書いてやる」 京太郎「やめなさい。ってかなんで魚肉」 淡「そんでアコが起きたらキョータローがやったって言っちゃうもん」 京太郎「おいそれやったらお前あの、あれだからな?」 京太郎「今晩寝てるお前の部屋侵入して顔と言う顔に牛タン貼り付けて油でギトギトにするからな?」 淡「じゃあ私には腕枕して」 京太郎「何故そうなる」 淡「良いもん! 私が逆に京太郎の部屋に侵入してやるもん」タタタッ 京太郎「あ、おい…………なんなんだあいつは」 玄「あはは、みんなすごいね」 京太郎「玄さん」 玄「お腹空いてない? カレー持ってきたけど」 京太郎「ありがとうございます。…………なんですか、この珍妙なものは」 玄「えっと、これが照さんがくれたマフィン、優希ちゃんのタコス、こっちが咲ちゃんのスルメでしょ?」 玄「この部分が染谷さんの広島焼きで、それと亦野さんがくれたマグロの目玉とウツボの肝かな」 ふざけたトッピングしやがって。盛れば良いってもんじゃない事を物理的に教えて差し上げたい。 玄「そのままじゃ食べにくくないかな?」 京太郎「え? まぁ片手が少し」 玄「その、ね? よかったらわわわ私が! その、た、食べさせてあげたりとかしようか?」 玄「なんて言っちゃったりなんかしてみたりして!///」テレテレ 京太郎「あ、マジですか?」 平静を装いつつ内心で盛大にガッツポーズを決める。おいおいどんだけ天使やねん。 憧「…………」 心なしか憧からかかる重みが増した気がするがそれはきっと俺の心境の変化的なそれだろう。つまり気のせい。 玄「そ、それじゃあ失礼します///」カチャ 京太郎「は、はい。お願いします」ドギマギ 晴絵「玄ー! おつまみ足りなーい!」 玄「」 京太郎「」 玄「あ、あはははは。それじゃあ先生も呼んでるし私行ってきますのだ!///」ワタワタ 京太郎「はい。ど、どうぞ……」 タタタッ 京太郎「……」 空気読めよレジェンゴォォォォォォ!!!! 穏乃「よし、1番! 高鴨穏乃、歌います!」 淡「なにおう! なら歌で勝負だ高鴨穏乃!」 穏乃「お!? デュエットだね? 受けて立とうじゃないですか!」 淡「選曲は?」 穏乃「もちろん!」 淡穏「「ルミナス!」」 穏乃「呼んだ希望辿って止めた世界を超えた」 淡「諦めない想いいつしか心繋げた」 穏乃「泣いていたって笑って」 淡「明日迎えに行こう」 淡「決めた誓い辛くて倒れても」 穏乃「君のココロを守るため」 穏淡「君の側にいよう」 シーン…… ワー! ワー! パチパチパチパチ イイゾー! フタリトモカワイイー! 最早、収拾不可能なほどのどんちゃん騒ぎに発展していた。 3人寄れば姦しいとは言うがその3倍近い人数が集まるとこれ程の騒ぎになるのか。恐るべきパワーだ。 憧「Zzzz……ん、…………」スースー と言うかこいつもこの状況でよく寝ていられるな。実は起きてるんじゃないのか? 憧「ん、んん……」 そう思った矢先、先程まで大人しく寝息を立てていた憧がモゾモゾと身動ぎしだす。 憧「ん、ふわぁぁ~~…………あれ、あたし? なにして?」ゴシゴシ 憧「うん?」キョトン 京太郎「おはようございます」 メインシステムパイロットデータの認証を開始します。 憧「お、おはよう……」 メインシステム通常モードを起動しました。これより作戦行動を再開、あなたの帰還を歓迎します。なんつって。 憧「ん……?」ゴソゴソ ここで状況を整理しよう。俺と憧は今ほぼ一分の隙もないほど密着している。それはもうお互いのまつ毛の本数が数えられるほどだ。 なにかで見た恋人の距離が10cm、あれ5cmだったっけな? まぁとにかくそんなものを超越した至近距離である。しかも仲良く同じタオルケットに包まっている。 憧「…………!?!??!?!!?!?!////////////」プシュー!! 見てわかるほどに憧の顔が急沸騰。あ、なんか嫌な予感。 憧「きゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ドゴォッ!! 右腕のミサイルが俺の鼻っ柱に突き刺さった。 そこは普通に女の子らしくビンタとかじゃないんですか? 憧「ごめん! ほんっとごめん!」ペコペコ さっきからこの調子で謝りっぱなしの憧。 京太郎「いや、いいよ。大丈夫だから」 憧「でも……」 京太郎「いや、お前はいい。いったん置いとくいったんな? だからいい」クルッ 京太郎「…………………………君達だよ」 「「「「「「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」」」」」」 京太郎「なんか、俺が憧の鉄拳を受けた瞬間『これが見たかった!!』みたいな顔しやがって」 久「あはは、いやーしかしなかなかいいのが決まったわね」 部長が顎先を撫でながら俺の鼻の頭をまじまじと見つめる。 菫「ふむ、これ程のヘヴィパンチャーはそうはいないな」 弘世先輩がうんうんと関心している。くそ、あなたはこっち側だと思ってたのに!! 晴絵「まぁあれね、予定調和って奴?」ケラケラ この人本当に教師か? 教員免許偽造とかじゃないだろうな? 穏乃「憧は男の子に免疫無いからね~。まぁ仕方ないっちゃ仕方ないよね」 穏乃「けど、京太郎には結構心許してるみたいだよ?」ヒソヒソ 耳元で小さく耳打ちする穏乃。 京太郎「ほっほぉ~~~~~う」ニヤニヤ 憧「うっわ、嫌な笑い」 咲「……」 淡「むぅ……」 玄「あうあう……」ソワソワ 久「さーて、見るもの見たし片付けしてみんなお風呂にでも行きましょうか」 最早、大晦日の年越しの感覚か? 「年明けたし寝よう」みたいな。 京太郎「あ~あ~、まったくこんなに散らかして……」 これが合宿の間ずっと続くのか…… まったくもって前途多難だ。 咲「だからね? えっとここでカンすると、次で嶺上開花を和了れるから……」 京太郎「……」 優希「タコスだじぇ。タコスを食べれば配牌もツモも良くなるんだじぇ」 京太郎「……」 久「須賀君も悪待ちやってみたら? あなた幸薄そうだし逆を突いてみるのもいいかもね」ケラケラ 京太郎「……」 照「京ちゃん京ちゃん。明日のおやつはホットケーキがいいな」 京太郎「……」 淡「だから、こう……フッ!って力を入れると配牌でテンパッてるから初手ダブリーぶっぱで後はカンして和了だけ。ね、簡単でしょ?」 京太郎「……」 尭深「各局の第一打がオーラスの配牌として戻ってくるからそれを意識して打つといいよ」 京太郎「……」 誠子「とにかく鳴くんだ。鳴けばいい」 京太郎「……」 穏乃「目の前の山を踏破すれば良いんだよ!」 京太郎「……」 玄「ドラです。ドラを集めるのです」 京太郎「……」 宥「あったかい牌がね、いっぱい集まると手がとってもあったかいんだよ?」 京太郎「……」 灼「ボウリングの技法を取り入れて筒子多面張で」 京太郎「……」 晴絵「須賀君って10回に1回くらいの確率で不要牌ツモるよね。あはははは」 京太郎「……」 京太郎「お前らみんなアホッ! 死ねばいい!」ダッ 菫「逃げたぞ、者共! ひっ捕らえろ!」 和「須賀君! 気持ちはわかりますがここで逃げてはダメです」ガシッ まこ「あれらは例外じゃ。もっと普通に、普通にやれば良いんじゃ」ガシッ 憧「本質的にダメね。この男」 久「軽いコントも終わったところでお風呂でも行きましょうか」 まこ「相変わらず切り替えが早いな。お前さんは」 久「喜びなさい。なんとこの旅館、温泉があるのよ」 京太郎「お! 良いッスね温泉」 女性陣「……」シラー なんか酷い誤解を招いてる気がするが。 京太郎「あの、一応言っときますけど別にそんな皆さんが思ってるような下心とか無いですからね」 ってか温泉に反応したのにあの目。普段からそういう思われてんのかな俺って。 和「須賀君は温泉好きなんですか?」 京太郎「温泉ね。まぁ人並か、より上くらいには好きよ」 咲「気持ちいいよね。温泉」 京太郎「そうそう。『日本人たる者、心の郷愁を覚えずにはいられないな!』って宮守のエイスリン先輩も言ってたしな」 久「あの娘確かニュージーランド出身よね?」 憧「一応釘刺しておくけど、お風呂覗こうなんて考えたら……わかってるわね?」ジト 京太郎「ああ? この俺が? 覗き?」 京太郎「随分と低く見られたもんですな?」 っていうか、人の肩で好き放題寝息立てといてよう言うわ。 京太郎「俺がそんなさもしい真似をするとでも思ってるんですか?」 憧「言い切ったわね。信用していいの?」 京太郎「おう、覗きなんて卑怯な手段は使わない」 京太郎「正面から堂々と一緒に入る!」バーン!! ――――― ――― ― 京太郎「ちくしょう! 冗談なのに! 解けちくしょう!」 ビッタンバッタン!! 憧のヤロー両手両足を縄で縛った上にその上からさらに布団でグルグル巻きの簀巻きにしやがった。 仮にそこは大譲歩するとして廊下に放置するのやめてもらえませんかね? 玄「ふぇぇぇぇ」ビエーン 京太郎「玄さん、俺のために泣いてくれるんですか?」 玄「ごめんね。京太郎君、私に力が無いばっかりにこんなことに」グスン そう言いながら玄さんは無造作に放り出されていた俺の頭部を自らの膝に乗せてくれた。 後頭部に感じるこの柔らかさと温かさ。 そしてこのアングルから見える双丘のなんとすばらなことか。 京太郎「玄さん、行ってください」 玄「ふぇ?」 京太郎「俺はここまでみたいです。しかし同じ志を持つ者として玄さんには先に進んでもらいたいんです」 玄「で、でも……」 京太郎「泣いても、後悔しても、それでも前に進めってあんたはあの準決勝でそう決めたなんじゃなかったのか!?」 玄「それは……」 京太郎「じゃあ行けよ! 行って思いを遂げろ! 俺の心はいつでも一緒にいるから」ニコ 玄「っ……」ゴシゴシ 玄「わかりましたのだ!」ガバ 決意を宿した瞳を湛え、玄さんは勢いよく立ち上がる。同時に俺の頭部が廊下の床に激突、鈍い音を上げる。 いって…… 玄「松実玄、行ってまいります!」ビシッ 京太郎「あの、でももしどうしてもって言うならここで俺の話し相手になってくれてもいいですよ?」 京太郎「俺なんも出来ないですけど、しりとりくらいなら、」 玄「待っててね! おもちパラダーイス!!」ドヒューン! 京太郎「出来ま………………はえぇ……」 しばし一考。 京太郎「縄解いてもらえばよかったな」ビタンビタン 温泉 淡「それワシャワシャ!」アワアワ 優希「あはははくすぐったいじぇ淡ちゃん!」ワシャワシャ 晴絵「ああ~五臓六腑に染み渡るわ~」 憧「ハルエ年寄りくさぁ」 晴絵「はっ、あんたらもね二十を過ぎればこうなんのよ。せいぜい覚悟しておくことね」 憧「うわ、嫌だな」 晴絵「若い若い若さ漲るパワー最高っ」 和「気持ちいですね」バイーン 照「」テルーン 尭深「はい」バイーン 照「あの、お願いだから2人とも私を挟んで座らないで」ザバザバ 和「行ってしまいましたね。どうしたんでしょか」 尭深「さぁ?」ハテナ まこ「京太郎には悪いことしたかもな。なにもあそこまでせんでも」 久「うーん…………面白いから許す!」 まこ「相変わらず辛辣じゃな」 みんなが風呂に行ってからそれなりに時間が経った。 京太郎「うーん……」ゴロゴロ 身動き出来ないのはいいが退屈なのは簡便してもらいたいな。 京太郎「うーん……」ゴロゴロゴロ プ~ン…… 京太郎「この音は……」 蚊「やぁ」 ちくしょう! なんか来やがった! やめろ、やめて来ないで! プス あ…… 眉間を刺された。 どうする! どうする!? 京太郎「だぁー!」ドゴッ 手が使えない俺は咄嗟に壁にヘッドバットを叩き込んだ。 プ~ン 蚊は血を吸うだけ吸うと、何事も無かったかのように去って行った。後には痒みと痛みと簀巻き俺だけが取り残された。 このやり様の無い、言葉では言い表せない虚しさと悲しさ。 そしてなにより眉間が痛い痒い痛い痒い。 今、この両手が自由なら眉間を掻き毟ってしまいたい。 だが出来ない!! 目の前にあるのは床と壁。 ふと、その壁がとても魅力的見えた。 この痒みを抱えた額を擦り付ければどれだけ気持ちいいだろうか。 いかんとてもいい案に思えてきた。 けどそうれはどうだ? 人としてのなには大事な尊厳的なものが瓦解するんではなかろうか。 しかし背に腹はかえられない。俺は人間を捨てる! ゴリゴリ、ズリズリ ああ、俺、今すごく気持ちいい。 ちょっと気持ちよがり過ぎな気もしなくも無いが。 カラーン 京太郎「え?」 咲「京、ちゃん……」 京太郎「咲?」 乾いた音が響き、そちらに目を向けるとそこには風呂上りの咲が立っていた。 音源はどうやら手に持っていた風呂桶を落っことしたためらしい。え? 普通備え付けのがあるだろ。まさか自前? 咲「京ちゃん!」ダッ 咲「ごめん、ごめんね。辛かったんだね? 苦しかったんだね?」 なに言ってんだこいつ。 咲は一生懸命、俺に巻かれたプーロ……違う。ロープを解いてくれる。 京太郎「え、なに? …………ああ」 なるほど、客観的に見て今俺は簀巻きのままデコを壁に押し付けててなにはやっている状態だったのか。 …………………我ながら頭おかしい。 咲「大丈夫? 頭」 言葉だけ聞くと心配されてるのかバカにされてるのか判断に困るな。 なぜかまったく意図していなかった幼馴染の同情を買うことに成功してしまった。 今思い出しても恥ずかしい。死にたい。 俺と咲はマブだ。 ここに集まってるメンバーの中でもっとも付き合いが長い古馴染みだ。 お互いの結構恥ずかしい失敗談なんかももちろ知ってる。 だからこそ逆に見られた無かった。 これからしばらくの間、あの雨に濡れた捨てられた仔犬を見るような憐憫の眼差しで見つめられるのかと思うと、 悔しさと悲しさで枕を濡らさずにはいられなかった。 京太郎「う~ん……」ゴロゴロ 京太郎「う~ん…………」ゴロゴロ なんとなく寝付けずに自室(仮)を右往左往。 右往左往っていうか狭い上に寝転がっているので言うほど動けないんですがね。 興奮して眠れないとか、しかも前日でもなく当日とは。小学生とも言えない謎の感性。 コンコン 京太郎「ん?」 小さく響いたノックの音。こんな時間に? トイレに立った咲が道に迷ってたまたま通りかかったから泣き付きに来たか? 俺はのそのそ起き上がりずれた寝巻きを正しつつ戸を開ける。 京太郎「はいはいどちら様?」 和「こんばんわ♪ 須賀君」 そこにいたのはチームメイトの和だった。 意外な人物に思わず目を丸くする。 京太郎「和? どうしたんだこんな時間に」 和「ふふふ」トン 京太郎「え?」 俺の疑問に答えず、軽く胸を押される。 それほど強い力でも無いのに抗えない何かに気圧されるように、俺は一歩、自室(仮)に後退る。 一歩引いた事でその分、和が一歩踏み込む。 踏み込んだ勢いのまま和はゆるゆると俺の身体に両腕をまわしてきた。 京太郎「の、和……?」 行き成りの事で事態が飲み込めない。 それと抱き締められる事で押し付けられるあれこれが、なんというか、その……すごく柔らかいです。 和「やっと、やっと……この時が来ました」ギュゥ 京太郎「は? いや、あの……」 和「須賀君、いえ京太郎さん……」 下の名前で言い直しながら潤んだ瞳で見上げてくる。 ゴク 正直、堪りません。 和「ずっとこうしたかったんです」ギュウ そういっていっそう身体を強く押し付けてくる和。 おいおいおい、これってもしかしてそういうことなんですかね? 京太郎「それってその……和は俺のこと?」 和「はい。ずっとお慕いしてました」 遂に来ちゃったかぁ~俺の時代が。 京太郎「あの、いやでもほら。ここ合宿場で他にみんなとかいるし」 和「京太郎さんは、私のこと嫌いですか?」 京太郎「もちろん好きだよ。好きか嫌いかって言われりゃもちろん好きだけど、でもたぶん和の言う好きとはたぶん違うって言うか」 たぶん俺の好きは麻雀に、そしてそれ以外にも真剣に向き合う憧れ的なもので。 それに俺には咲が…………あれ? 俺なんで咲に義理立てしてるんだっけ? よく考えりゃ咲とか別にどっちでもよかった。俺は「ちょっと!?」っとむくれる幼馴染の顔を遠投で遠くに追いやる。 和「…………ん」 これは…… 目を閉じ、そっと唇を上に向けている。つまりそういう事で良いんですよな? ってか、今更だけど憧れてた女の子が夜自分の部屋に逆夜這いをかけに来るなんて、 こんな男心をくすぐる様な俺好みな展開は強引過ぎるって言うかまるで夢見たいな……え? 夢!? 和「ピピピピピピピピピ……」 あ、夢だこれ。 ――――― ――― ― pipipipipipipi ムクリ ゆっくりと上体を起こし、鳴り止まぬ目覚まし、っというかケータイのアラームに手を伸ばす。 頭を掻きながらあたりを見回すと、まぁ当然だが自室(仮)の布団の上だった。 カーテン越しに差し込む薄白んだ明かりからするともう朝らしい。いつの間にか寝てたようだ。 立ち上げってカーテンを開き、窓を開け放つ。 京太郎「夢ならもっといろいろサービスしてくれよぉぉぉぉぉ!!!!!!」 京太郎「っていう夢を見たんですけど、どう思います?」 菫「そのいかがわしい夢の話を何故私にする?」 京太郎「誰でもいいからブチ撒けたかったんです!」 菫「バカか君は」 一刀のもとに斬って捨てられた。 確かに自分でもちょっと頭悪いかなって思わなくもないけど。 淡「むぅ……」グデーン それとさっきから俺の背中に乗っかってくるのが1人。 京太郎「なんなのさっきからあなたは?」 淡「な~んで私じゃなくてノドカが夢に出てくるの!? 私の夢を見ろ!」 京太郎「はぁ? お前、俺が夢を自在にコントロール出来る系の能力者かなにかと勘違いしてないか?」 京太郎「もしそうならもっとこう、……さぁ」チラ ついつい視線がおも、渋谷先輩の方へと引き寄せられてしまう。 尭深「ポッ(棒)」 淡「なんか見詰め合ってるー! タカミーも満更じゃない感じだしてるー!」アワーン! 尭深「お茶美味しい」ズズ 淡「とにかくキョータローは今晩は私の夢を見ること!」 京太郎「前から思ってたけどお前なんでそんな偉そうなの? どこの立場の人間だお前は」 淡「そうだ! 枕の下に写真入れるとその人の夢が見れるっていうよね」 京太郎「ああ、まぁ言うな。思いっきり眉唾だけど」 淡「写真、写真を撮ろう!」 京太郎「言うけどカメラなんて無いぞ?」 淡「んーと、んーと……そだ! ケータイで撮ろっと」グイグイ 京太郎「……」 ノータッチ。 淡「さっさと屈め! このジャイアントバーバリアン一族!」グイグイ どこの部族だ。 腕に抱きついて引っ張ってくる淡に急かされ、俺は頭の位置がちょうど同じくらいの高さになるように腰を屈める。 淡「イェイ~ ピースピース♪」 京太郎「はいはいピース」 ピロリン 淡「やったー!ツーショット! 待ち受けにしよーっと。見て見てテルー!」タタタ 枕云々の話はいいんだろうか? 敢えて突っ込もうとは思わないが。 京太郎「淡はバカだなぁ」 まぁそういうとこ嫌いじゃないけどね。 照「京ちゃん京ちゃん」ツンツン 突然背中を突かれる。 京太郎「? 照さん?」 照「私も、写真」フリフリ どうやら淡のツーショットが羨ましいらしく、自分も自分もと言った具合にケータイを振ってみせる。羨ましいか? 京太郎「ん、わかりました。使い方わかりますか?」 照「む、京ちゃんは失礼。お姉ちゃんはけーたいでんわくらい使えます」 照さんは昔からこのお姉ちゃんアピールを俺に対してよくしてくる。 照「えっと、えっと……」アセアセ 京太郎「やりましょうか?」 照「う、うん……///」 ケータイの操作がわからなくて四苦八苦してる照さん萌。 違うそうじゃない、照さんからケータイを受け取り慣れた手付きで操作する。 今時ガラケーかよと思わなくも無いが照さんらしいといえばらしいのでなんとなく微笑ましい。 照「ごめんね。私こういうのぜんぜんダメで……」シュン 京太郎「……」ナデナデ 照「き、京ちゃん!?」 京太郎「はっ!? すいませんつい」 しょげてる照さんがなんと言うか庇護欲を誘うのでつい反射的に頭を撫でてしまった。 咲とか穏乃とかにもついやってしまうのだが、憧なんか言わせれば気安くそういうことをするのダメらしい。よくわからん。 照「もっと撫でていいよ……」 京太郎「え?」 照「頭……」 京太郎「あ、ああ! 頭ね」 ナデナデ 照「///」テルテル 京太郎「……」 うむ、なんともすばらな手触り。 しかし、この先端の……なんだこれ? この鋭い部分はなんなんだろうな。 咲にもあるんだよな、宮永の血統なのだろうか? そういえば以前、薬局に寄ったとき咲が『超強靭ワックス!!戦闘民族専用』とかいうのを買っているところを目撃してしまった。 結果の程は推して知るべし。 照「京ちゃん、そろそろ」 京太郎「おっとそうでした」 脱線してしまった。当初の目的を思い出し照さんと肩を並べる形で身を寄せる。 なんだろう。なんか照れる。 京太郎「いいですか? 撮りますよ」 照「う、うん///」 ピロリン 京太郎「淡みたいに待ち受けにしますか?」 照「うん。お願い」 京太郎「了解ッス」カチカチ 京太郎「はい、これでオッケー」 ケータイを照さんに返し出来栄えを確認してもらう。 照「ありがとう。京ちゃん」 柔らかくはにかむ照さん。可愛い。 京太郎「どういたしまして、お姉ちゃん」 急須に茶葉を入れる。ケトルから湯のみにお湯を注ぎ冷めるのを待つ。 その間に、鶴口ポットで沸騰させておいたお湯を、ネルドリップでむらしを行いながら外から円を描くようにサーバーに注ぐ。 注湯の茶色の濃さを見つつ、適度なところで手を止める。コーヒーはこれで良し。 冷ましておいた湯を急須に注ぎ、再び湯のみへ絞るように注ぎきる。 マグカップを5つに湯のみを1つ、ミルクの容器、砂糖の容器、それからもう一つをお盆に載せお嬢様方が待つ席へ向かう。 まずは、 京太郎「どうぞ、渋谷先輩。今日は深蒸し煎茶にしてみました」 尭深「ありがとう。須賀君」ニコ 白糸台屈指のお茶マイスターである渋谷先輩に本人愛用の湯のみを目の前に置く。 唯一のお茶なので最初に渡しただけで、ゆっときますけど俺の好みとかは関係ないですからね? 京太郎「亦野先輩はブラックでしたよね」 誠子「ありがとう。うん、良い香りだ」 亦野先輩はコーヒーをブラックで飲む。この年代の女子学生にはなかなか珍しい好みだと思うが、 本人によると「夜釣りなんかのときに眠気覚ましに飲んでたらブラックじゃないと飲めなくなった」らしい。 相変わらずワイルドな人だ。 照「京ちゃん京ちゃん」 淡「キョータローキョータロー」 京太郎「はいはい、今行きますよ」 二大甘党の前にそれぞれマグカップを置く。 京太郎「照さん、砂糖の数は?」 照「3つ!」テルテル 京太郎「はいはい」 苦笑しつつ、角砂糖を3つ投入しミルクをたっぷり注ぐ。 京太郎「どうぞ」コトッ 照「ありがと、京ちゃん」 京太郎「淡は……」 淡「苦……!?」 聞く前からすでに飲んでいた。そんでもって苦さに顔をしかめていた。 京太郎「お前は……ホント、バカだなぁ」 淡のカップに砂糖とミルクを足しつつ用意しておいた茶菓子を前においてやる。 淡「あむあむ、あんでコーヒーってこんな苦いの?」ポリポリ 京太郎「だから紅茶にするか? って聞いたんだろうが……ほら」スッ 淡「ん……ズズ ……あわーい」ニパァ 京太郎「はいはい、甘い甘い」 最後に弘世先輩の前にカップを持っていく。 京太郎「お待たせしました。先輩」 菫「いや、ありがとう。いつもすまないな」 京太郎「いいですよぉ。好きでやってんですから」 京太郎「先輩はミルクと砂糖は?」 菫「そうだな……」チラ 僅かに亦野先輩の方に視線を送る。 実は弘世先輩も照さん達程ではないがなかなかの甘党である。だが、後輩がブラックで飲んでる手前あまりそれを見せたくないらしい。 もうみんな知ってますよ? とは言ってはいけない雰囲気。一見クールに見えて結構可愛い人だよね。 京太郎「じゃあこれはどうですか?」 俺はお盆に残されていた最後の一つを弘世先輩の前に差し出す。 菫「なんだこれは?」 京太郎「塩です」 菫「なんだって?」 塩。塩化ナトリウム。NaCl。舐めるとしょっぱい。白い粒。 菫「なぜ塩なんだ?」 京太郎「それはコーヒーに入れるためですよ」 淡「塩ってコーヒーに入れるものなの?」 横から淡が口を挟んでくる。 言葉にはしないが他の3人も興味深げにこちらも伺っている。 京太郎「弘世先輩はコーヒーに塩を入れて飲んだことはありますか?」 菫「いや無いが」 淡「コーヒーに塩なんて、ただでさえ苦いのにその上しょっぱくなっちゃったらますます美味しくないと思うな」 照「……」コクコク 京太郎「そうかな? 世界にはコーヒーに塩を入れて飲む地域だってある」 京太郎「そこに住み人たちにはコーヒーは塩で飲むのが常識で、逆に砂糖やミルクを入れる方が非常識ってことになる」 俺が今言ったセリフとまったく同じことを昔ある人に言われたことがある。 ― ――― ――――― 京太郎「コーヒー入りましたよ、部長。インスタントですけど」コト 久「ありがと」 短くお礼を言いつつ、部長は俺の手からマグカップを受け取る。 久「ん……」ズズ 久「これはブラック?」 京太郎「はいそうですけど。部長ってブラック派じゃありませんでしたっけ?」 以前にふと見かけた飲み差しのカップはそうだったと思うのだが。 久「ふふ、私は塩派よ」 京太郎「は? 塩?」 なに言ってんだこの人? 前々から変な人だとは思ってたけどまさかここまで極まってたとは…… 久「意外かしら? けど世界にはコーヒーに塩を入れて飲む地域だってあるわ」 久「そこに住み人たちにはコーヒーは塩で飲むのが常識で、逆に砂糖やミルクを入れる方が非常識ってことになるわね」 京太郎「まぁ……」 そうでしょうけども。 久「ところでコーヒーにミルクを入れるとコーヒー牛乳になるけど、紅茶にミルクを入れると紅茶牛乳じゃなくてミルクティーになるわよね」 久「このミルクティーを作るとき紅茶とミルク、どちらを先に入れるかというここ何百年もの間、未解決な命題があるの」 久「これについて須賀君はどう思う?」 京太郎「いや、どうって言われても……っていうかまたテレビかなんかの雑学ですか?」 久「話のネタにはいいでしょう?」 ~数日後~ 京太郎「部員集まりませんね」 久「まぁそんな簡単に集まったら苦労しないわね」 京太郎「2年の先輩の、えぇっとなんて人でしたっけ? その人を連れ戻すって話は……」 久「染谷まこ、ね。そうねぇ須賀君もやっとルールを覚えてきた頃だしそろそろ突撃しようかしら」 京太郎「は? 突撃?」 久「まこの実家の麻雀喫茶にね」 京太郎「その先輩のご実家喫茶店なんですか?」 久「そそ、それもあって部活離れしてたってとこかな」 京太郎「はぁ……」ポカーン 久「よし! じゃあ行きましょうか」 京太郎「え? もしや今から?」 久「もちろん! 思い立ったら吉日って言うでしょ?」 京太郎「この場合は行き当たりばったりの方が合ってるような」 久「いいから来る!」 京太郎「わかりました! わっかりましたよもう!」 久「っと、その前に……」ズズ、コクン 久「ん、良い塩加減。やっぱり須賀君の入れるコーヒーが1番美味しいわね♪」ニコ ――――― ――― ― 京太郎「っと、つまりゆで卵に塩をかけて食べるように、コーヒーに塩を入れて飲んだら意外と美味しいかも」 京太郎「って俺はそう言いたい訳ですよ」 俺の話をふんふむと聞いていた一同。 俺が話し終えると、そこで口火を切るのも白糸台チーム虎姫賑やかし担当の淡・大星。 淡「ん~、けど私、ゆで卵にはマヨネーズなんだけど」 しばし一考。 京太郎「なるほどマヨネーズか……」 マヨネーズ、コーヒーにマヨネーズか。 マヨネーズinコーヒーを想像しながら自分の分に口をつけるとなんと言えない味が広がる。 どうしようか迷った末、苦々しい表情をしながらなんとか飲み込む。 菫「塩のコーヒーか……」 呟きながら、塩の小瓶から一匙掬い自分のコーヒーへ。 俺の長話の所為で少し温くなったコーヒーをかき混ぜ、一口啜る。 菫「ふむ……」 京太郎「どうですか?」 菫「あまり美味しくないな」 部長、どうやらここでは塩は非常識に分類されるようです。 京太郎「……」ペラッ 午後の昼下り。俺は1人でソファーに腰を沈めながら読書に耽る。 こう見えても俺はそこそこ本を読む。っというのもまぁ単純に身近に重度の読書家がいてそいつがあれこれと熱心に勧めてくるので、 いつの間にかそういう習慣が身についただけで、別に瀟洒を気取ってるとか知的さを振り撒いて女の子にモテたいとかそういうことじゃ…… いや、すんません。ちょっとだけ期待してました。 京太郎「…………」ペラッ ガチャ 淡「……」キョロキョロ 淡「あ! キョ、っ……」 扉が開き顔を覗かせたのは、ここではもう見慣れたメンバーの1人。 一瞬だけ顔を輝かせ俺の名前を呼び掛けるが、こちらが本を読んでいたことに気付くと慌てて口を噤む。 淡「……」タタタ ボフ 俺が座っていたソファー、その右横に勢いよく腰を下ろす淡。 俺は特に無い言及せず読書を続ける。 ちなみの俺は学校の授業や、こういった読書の時に俺はメガネをかけている。 オススメというだけありつい内容に引き込まれて夜中に暗がりで熱中して読みふけっていたら 最近少し視力が下がってきてしまったからだ。 晴れてメガネデビューを果たした俺がそれについて部内でからかわれた事もあったのだがそれについては今は割愛。 淡「キョータローってメガネ掛けてたっけ?」 京太郎「ああ、ちょい前くらいから」 知っての通り普段は掛けてないから未だにこうやって驚かれたりすることもままある。 京太郎「頭良さそうだろ?」 淡「うん! 知性があるように見える」 京太郎「……」 お前もっと言葉を選べよ…… 内心で呆れつつ再び本に視線を戻す。 淡もそれ以上なにも言わず、裸足のつま先にスリッパを引っ掛け楽しそうに脚をパタつかせているだけだった。 淡「~♪」 淡は特になにかをするでもなにかを話すでもなくただ俺の隣に座っているだけ。 それにしてはいやに機嫌が良さそうだ。 俺が読んでいる本は文庫本サイズ。 それを左手で持ち替え、空いた右手でメガネのフレームを押し上げつつ隣に座る淡の頭に手を伸ばす。 京太郎「……」ナデナデ 淡「! にゅふふ~♪」 頭を撫でてやると気持ち良さそうに目を細めながら、満足気に声を漏らす。 淡「ねぇねぇ、それなに読んでるの?」 けどやっぱりというか堪え性が無いため質問を投げかけてくる。 京太郎「官能小説」 ズサササ! 思いっきり距離を取られた。 京太郎「いや、あの冗談ですよ?」 さすがにながらでいられないので落としていた視線を上げ淡に顔を向ける。 淡「な、なんだ冗談か~」 淡「もうもう! キョータローのジョーダンは質が悪いよ!」プンスコプン 京太郎「そうむくれるなよ。大体お前こそなんだその反応。いつもならここからもう一言二言遊ぶだろ?」 淡「それはまぁ……そうだけど」 まだ少し警戒の色を残しながらおずおずと元の位置に戻ってくる。 淡「それでなに読んでたの?」 京太郎「フランス書院」 淡「なにそれ?」 京太郎「いややっぱ今の無し。普通のミステリー小説だよ、ほれ」 ページを閉じてしまわないように気を配りながら淡の方に向ける。 淡「ふ~ん、あ! これ知ってるこないだテルーが読んでた奴だ」 京太郎「へぇ照さんがね」 ってことは照さんから咲に、そんで俺にといった感じだろうか? 読み切ったら是非語り合いたいな。 淡「なんか実は、真犯人の共犯者が主人公の弟だったとかって驚いてた!」 京太郎「え……」 淡「それで、えっとえっとなんだっけ……キョータロー?」 京太郎「まだ、そこまで読んでない……」 淡「え、あ!? あわわわわわわ……ごご、ごめん!」 京太郎「いや、いいけど……」 俺は本を閉じ、ソファーの肘掛けにぐったりとうな垂れる。栞を差し込む気力も無い。 京太郎「冷水ぶっ掛けられた……」ガックシ 淡「もーごめんって! キョータローってばー!」アワアワ! 京太郎「うえぇ、さっぶ……」ガタガタ 湿った肩を自分で抱きながら、全身に纏わりつく寒さをなんとか誤魔化そうとする。 京太郎「ちくしょうついてな、ふぁ……っくしゅん!!」 あー、ついてない。まさか外の水道が老朽化していて捻った瞬間爆発しようなどと誰が予測出来ようか。 濡れた前髪が顔面に張り付いてなんとも不愉快だ。 着替えを片手に暖簾を潜り、浴場へ続く脱衣所への戸を開ける。 ガラララ 穏乃「うん?」 京太郎「…………え?」 そこにいたのは生まれたままの姿の高鴨穏乃だった。 京太郎「す、スッポンポンのポンポコポーン……」 穏乃「おっす京太郎。京太郎もお風呂?」タタタ 京太郎「前を隠せぇぇぇぇーーーっ!!」 俺は絶叫しながら手から着替えの袋が落ちるのも気にせず、両手で顔を覆いながら穏乃に背を向ける。 京太郎「すすすす、すまん! すぐ出るから」 穏乃「えー京太郎お風呂入りに来たんじゃないの? なら一緒に入ろうよ」 出来るかボケェ!! 穏乃「ねー聞いてる?」グイグイ 京太郎「ちょ、おおい!? なに引っ付いてきてるの!?」 穏乃「って、京太郎ビショビショじゃん! 早く温まらないと風邪引くよ!」 そういって入り口付近で二の足を踏んでいた俺をズルズル引き摺っていく。 なにこのパワー!? 京太郎「ちょ! やめて、俺今あの、あれ! すごい、極限状態だから!」 穏乃「なにゴチャゴチャいってるの! ほら早く!」 京太郎「大体、穏乃! お前俺に一瞬とは言え裸見られてんのにそれについてはなんかないの!?」 穏乃「ん~?」 穏乃の視線が自分を見下ろし、それからゆっくりと正面に戻ってくる。 穏乃「わああああああああああああああああ!?!?!??!!!////////////」 パタパタパタパタ 突然の足音。 シズ~ドウカシタノ~ 戸口の向こうから聞こえたこの声は、……憧!? やばい、この状況。バレればあの、えぇっと……とにかくとんでもないことになるよ!? 穏乃「な、なんでもな~い! ちょっと滑って驚いただけー!」 京太郎「!?」 キヲツケナサイヨ~ 穏乃「わかった~!」 パタパタパタ…… 足音が遠ざかっていく。 シーン…… 残ったのは静謐。 京太郎「じゃ、じゃあ俺出直すからまた後で……」 穏乃「ダメだよ! 風邪引くって」 京太郎「だけどお前なぁ」 穏乃「私は大丈夫、平気……だから///」 京太郎「はぁ……わかったよ」ポン 俺はなるべく穏乃の裸体を見ないようにしつつ頭に手を載せる。 穏乃「あ……」 京太郎「そんかわり、お前は先浴室いっとけぶっちゃけ今の穏乃のが風邪引きそうだ」 穏乃「あ、うん!」パァァ 勢いよく頷くと穏乃は勢いよく駆けていく。 途中でホントに足を滑らせかけ「どえぇぇぇ!?」などと女の子が口にするにはいささか奇特な声を漏らしながら、 浴場へ繋がる戸口へ消えていった。 京太郎「あいつ、俺がこのままバッくれるとか考えないのかな?」 カポーン 鹿脅しに似た幻聴が聞こえる。 京太郎「…………」ボケェー 穏乃「…………///」ポー 俺と穏乃は近すぎずさりとて遠すぎず、微妙な距離を保って肩を並べて湯船に浸かっていた。 あのまま逃走も考えたがそれはそれで後からなに言われるかわからないので大人しく穏乃の意向に従うことにした。 京太郎「…………悪かったな」 穏乃「なにが?」 京太郎「不可抗力とは言えその、なんだ……裸見ちゃって」ポリポリ 穏乃「あ、ああ! うんまぁ、私も悪かったし。別に」 京太郎「そうか? そう言ってくれると助かる」 穏乃「うん。それに恥ずかしかったけど、京太郎になら別に嫌じゃないって言うかブクブクブク……」 京太郎「は?」 穏乃「なんでもない! なんでも///」 京太郎「いや、今……」 穏乃「私逆上せたみたい! 先に上がるね? それじゃ!」 バシャ、タタタタ 京太郎「ちょ、おおい。だから走るなって! ……聞いちゃいねぇ」 一人残された俺は、何の気なしに天を仰ぐ。 京太郎「あー……」 両手で湯船を掬い顔に思いっきり叩きつける。 去っていく穏乃の顔が赤く見えてのは果たして本当に逆上せたからだったのか。 そして俺自身のこの顔の熱さも。 俺の疑問はその答えを得る事無く、熱い水面に落ちて溶けた。 玄「京太郎くん」 京太郎「玄さん?」 玄関で上履きから外履きに履き替えているところへ後ろから声をかけられた。 振り返ると白いワンピースにつば広の帽子を被った玄さんが立っていた。 玄「お出かけ?」 京太郎「はい、少し。玄さんもですか?」 玄「うん。少しお散歩」 京太郎「あ、じゃあそこまで一緒に行きますか?」 玄「お邪魔じゃないかな?」 京太郎「まさか。こちらこそ、お供させていただいてよろしいですか?」 玄「ふふ。うん、よろしくお願いします」 京太郎「あれ? 玄さん、髪……」 後ろに立たれていたときには気付かなかったけど並んで立つことでその事に気付いた。 玄「あ、うん。今日は熱かったから結んでみたんだ。へ、変じゃないかな?」 無茶苦茶可愛いです。この滾る感情を打ち明けたかったがまぁここは紳士・須賀としてね。その名に恥じぬ振る舞いをしようか。 京太郎「無茶苦茶可愛いです!! うなじがチラチラ見えてすごく興奮します!」 あ…… 玄「かわっ!?」 川? 玄「そ、そっかぁ~えへへ、そっか///」テレテレ よし! よし!! なんかわからないけど上手く誤魔化せた。 京太郎「そういえば聞くの忘れてたんですけどいいですか?」 玄「なにかな?」 並んで歩いていた玄さんにスッと一歩歩み寄る。 京太郎「おもちの方はいかがでしたか?」ヒソ 玄「! ふふふさすが我が同志。やはり気になしますか?」ヒソ 京太郎「そりゃあ」 玄「それで誰のおもちが聞きたいのですかな?」 どこか得意気な玄さん。 京太郎「ふむ。いろいろ聞きたいですがじゃあここは渋谷先輩で」 玄「ふんふむ。渋谷さんですか、大きさではやや和ちゃんに負けるけど張り、艶、そして柔らかさも申し分なく」 京太郎「柔らかさ!? 玄さん、あなたまさか……」 玄「触らせていただきました///」ポッ 京太郎「なん……だと……」 玄「ご本人に似てなんともやんごとなき手触りで」 京太郎「羨ましい!?」グギギ 玄(血涙……) 玄「やっぱり触ってみたいのかな? 男の子だし」 京太郎「そりゃ、いや……でも俺、学者タイプだし」 今度こそ紳士・須賀でいきたい。そう願って今を生きる。 京太郎「というわけで、宇宙飛行士タイプの玄さん。その辺りのいろいろはすべてお任せします!」ペッコリン 玄「おまかせあれ!」 そういって胸を張る玄さん。 京太郎「……」 うむ。すばら。 京太郎「それでじゃあ和は……」 玄「和ちゃんは、ガードが固くて……」 京太郎「ダメだったんですね」 玄「うん。タオルできっちり巻いてて、湯船に浸かるときもそれはもう神業の如く脱着も一瞬で」 京太郎「そうですか……」グヌヌ さすが和としか言いようがない。 京太郎「あ、じゃあ弘世先輩は……」 玄「弘世さん、か……」 玄さんが憂いを秘めた遠い眼をしてる。 玄「レギュレーション変更とはかくも恐ろしい」 京太郎「?」 それはまるで要領を得ない説明だった。 京太郎「しかし宥さんも含めてすばらなおもともちな方々揃ってなんともすばらですね! 玄さん」 後、玄さんも。とは口が裂けても言えない。 玄「ん、うん。そうだね」 玄(京太郎くんとおもちの話をするのはすごく楽しいけど、なんだろうおもちの辺りがもちもちする)モヤモヤ 京太郎「どかしました?」 玄「ううん。……京太郎くんはこの後どうするの?」 京太郎「俺ですか? そうですね、このまま街の方まで行ってついでに夕飯の買出しでもしようかなって」 玄「じゃあ荷物持ちとかいた方が良いよね! 私も一緒に行くよ!」 京太郎「そうですか? じゃあお願いします」ペッコリン 玄「こういうのもデートって言うのかな?」ボソ 京太郎「ふぁい? なんか言いました?」 玄「んーん。なんにも」 玄(もしそうなら) ギュウ 京太郎「ちょ!? くくく玄さん!?」 いきなり玄さんが俺の腕に自身腕を絡めてきた。そしてこの肘に当たる柔らかいものは…… 紳士が……! 俺の紳士が……!! 京太郎「な、なんでもないです……」 玄「ふふ、そっか」 玄(久し振りに会えたんだもん。ちょっとくらい大胆になっても良いよね?) 【おまけ】 ドドドドドドドド、バーン!! 京太郎「え? なに? なに事!?」 凄まじいラッシュの後、盛大に戸が開け放たれる。 穏乃「やっほー! 京太郎! 遊びに行こう!」 京太郎「は!? し、穏乃!?」 まるでパパスの様に現れたのは阿知賀女子の大将、高鴨穏乃。ぬおおおお。 突然だが状況を整理しよう。 現在ここは俺の自室(仮)、時間は早朝。そして今さっき起きたばかりの俺はまさに着替えの真っ最中。 しかも今日に限って自分でもなぜかわからないが下から脱ぎだしたので、 上は寝巻き用のTシャツで下は現在パンツ一枚という最悪の絵面でお送りしております。 京太郎「きゃあああああああああああああ!! いやあああああああああああああ!!」 穏乃「あ、ごめん。着替え中だった? って、うわ……京太郎の部屋狭いね」 あれ!? 意外と冷静…… 穏乃「じゃあ終わるまで待ってるね」 京太郎「あの、ちょっと……」 穏乃「ん?」 京太郎「お前、俺の渾身のボケをスルーするのやめてもらえません?」 穏乃「とりあえずズボンはいたら?」 京太郎「大体なんださっきのノック……ノック?」 京太郎「ゴエモンインパクトの殴りこみかと思ったぞ」 穏乃「だってこんないい天気なんだよ! 元気よくいかないと勿体無いよ!」 ガラッ 俺の横を通り過ぎ、閉められていた窓ガラスを盛大に開け放つ。 穏乃「」 ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーー……………カキーン どこかで七色石が割れる音がした。 穏乃「え!? なにやだっ、怖いっ!?」ゴフ 穏乃「え? 京太郎こんな極限状態みたいな部屋に泊まってるの?」 京太郎「ああ、まぁうん。とりあえず窓から離れとけ」 ガラララ 穏乃「う、うん……後そろそろズボンはいた方がいいよ?」 京太郎「しかしお前、さっきのは無いんじゃないの?」 穏乃「なにが?」 京太郎「仮にも女の子が同年代の男子の着替えをうっかり覗いてしまった」 京太郎「ともすれば恥じらいの一つも見せて然るべきでは無かろうか?」 穏乃「ふ~ん……」 京太郎「こいつ、もしや自分ちに全裸の男とかいても『ふ~ん』で済ますタイプか……?」 穏乃「そんなこと無いよ。誰でもじゃなくて、京太郎だしまぁいっかなって」 京太郎「お、ふっふ~ん。そんな意味深なこといわれるとお兄さんちょっと穿った捉え方をしちゃいますよ」 穏乃「ん? よくわかんないけどズボンはかないの?」 京太郎「だいたいお前さぁ見ろよこの状況。このシャツの丈がもうちょっと長かったらアレだよ?お前とペアルックみたいになっちゃうよ?」 穏乃「ホントだ! 京太郎ジャージとか持ってないの? ペアルックで闊歩しようよ!」 京太郎「バカかお前は! 穏乃でもかなりギリギリのラインなのに俺がそんな格好してたら通行人腰抜かすわ! そんで補導されるわ!」 穏乃「じゃあズボンはけよ!」 京太郎「はいはい。今はきますよ、ちぇっ」 穏乃「なんでなんか私が悪いみたいな空気出してるの?」 京太郎「いやお前は悪いだろ。穏やかなこの朝のこの、……そういえばお前の名前にも「穏」って字が入ってるな」 それでこの性格か。穏やかさの欠片もないな。 京太郎「遊びに行くのはいいが、とりあえず朝飯食ってからな。お前なに食いたいよ?」 穏乃「う~ん……目玉焼き!」 京太郎「おう! 準備してくるから穏乃はみんなを起こしてきてくれ」 穏乃「わかった」タタタタ 元気よく返事をするとそのまま部屋をとび出していった。今のあいつは朝飯のことで頭がいっぱいなのだろう。 京太郎「扱いやすいのは良い事だ」 今日も騒がしい1日になりそうな予感はするが。
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理沙「綺麗!」 京太郎「そうですね」 京太郎(理沙さんの方が綺麗ですよー、なんて。そんなこと恥ずかしくて言えねぇよ) 京太郎(けど、本当に綺麗だ) 京太郎(俺は理沙さんが好きだ) 京太郎(告白……したい) 京太郎(今、絶好の機会だ。告白するには最高の舞台だ) 京太郎(だけど勢いに任せて言ってしまっていいのだろうか?) 京太郎(俺は……俺はっ!!) 「ありがとうございました。足元に気をつけてお降りくださいませ」 京太郎(駄目だ、やっぱり言えない) 理沙「綺麗だった」プンスコ! 京太郎「ええ、そうですね」 京太郎(俺は、理沙さんと釣り合ってるのだろうか?) 京太郎(……そんなことない。まだまだ甘ちゃんのガキだ) 京太郎(一つのことにも打ち込めない。ハンドボールだって続けられなかった) 京太郎(もし付き合うことが叶ったら、理沙さんはそんな俺でもいいって言ってくれるだろう。優しいからな) 京太郎(でもそれでいいわけがない。せめて自分に自信が持てるような何かが欲しい……) 理沙「?」ジー 京太郎「なんでもないですよ」ニコ 京太郎「今日は楽しかったです」 理沙「私も!」 京太郎「理沙さんにも楽しんでもらえたなら誘った甲斐がありました」 京太郎「またどこかに行きましょうね」 理沙「」コクコク 京太郎「それじゃそろそろ……」 理沙「ばいばい」フリフリ 京太郎「さようなら」フリフリ 京太郎「……」トコトコ チラ 理沙「」フリフリ 京太郎(まだ手振ってるや)フリフリ 京太郎「ただいまー……まぁ返事なんてないけど」 京太郎(さ、風呂沸かして、待ってる間ネト麻でもしますか) 京太郎「……ん? あ」 京太郎(そうだ、一つあるじゃん。俺が夢中になってるもので頑張れそうなの) 京太郎(これだよ、麻雀。インハイがある) 京太郎(全国で優勝……とまではいかないだろうけど十分な成績を残せたら俺にとって誇りになるはずだ) 京太郎(少し不純な理由かもしれないけど……でも勝ちたい。雀士としても、男しても) 京太郎(そうと決まれば麻雀漬けの日々を……あ、バイトどうしよう……) 京太郎(予選まで一刻の猶予も無い……でもせっかく俺なんかを雇ってくれた……) 京太郎「……っ!」 京太郎「ということで辞めさせて下さい!」バッ マスター「……本気ということですね」 京太郎「……はい」 マスター「それでどこで練習するんですか?」 京太郎「近くの雀荘に行こうかと」 マスター「お金は?」 京太郎「こ、ここで稼いだお金と親からの仕送り金で」 マスター「足りるのですか?」 京太郎「…………」 マスター「……店の物置にマットと汚れた牌があります。場所はそうですね……そこのテーブルを使うと良いでしょう」 京太郎「マスター?」 マスター「どうせ京太郎君の来る時間は客入りが悪いですから使っても平気です。悪いと思うなら時折コーヒーでも頼んでください。ただしここで稼いだお金の範疇で」 マスター「……京太郎君」 京太郎「……はい」 マスター「一人で大事を為すことは容易ではありません。しかし協力してくれる人がいるのなら、作ることが出来たのなら大事を成すことは難しくないでしょう」 マスター「こういう機会に頼ることを覚えてください。……そして今の気持ちを忘れてはいけませんよ」 京太郎「……ありがとう、ございます」 ガサゴソ 京太郎「お、あったあった。うわ、ほんとに牌は汚れてるな。マットは……掃えばつかえるな」 バサバサ パッパッ 京太郎「よし、いけるな。牌を綺麗にしよう」 ゴシゴシ キュッキュッ 京太郎(マスターには感謝しないとな。厚意で使わせてもらうんだ) 京太郎(ほんとありがたい……) ポタッ 京太郎(あれ?なんで涙出てんだ?悲しくないのに)ゴシゴシ 京太郎(頑張ろう……) 京太郎(知り合い呼ばないとな、ていっても麻雀出来る知り合いって言ったら限られてくるけどな) 京太郎(よし!明日から始動だ!) ───────── ────── ─── カランカラン 淡「やっほー!きたよー!」 京太郎「おっす。照さんもありがとうございます」 照「ん」 京太郎「でも呼んだ手前あれですけど部活大丈夫ですか?」 照「平気。それに淡は京太郎と打たせたほうが良いから」 淡「そゆこと。部活のほうはスミレもいるしね。あの人ブチョーだから」 京太郎「なるほど」 淡「あれ?そういえばいつもの服は?」 京太郎「ん?ああ、辞めたんだバイト。まあこうやって厚意に与って場所を貸してもらってるんだけどな」 淡「そうなんだー。まぁそうでもしないと予選負けちゃうかもだしね。きょーたろー下手っぴだし」 京太郎「そういうのは俺に勝ってから言うんだな」フフン 淡「言ったな!今日はぼっこぼこにしてやる!」 照「三麻?」 京太郎「あ、はい。もうちょっとしたらもう一人来るんでそれまでは」 照「わかった」 淡「そういえばきょーたろーってこっちの人じゃないよね。イントネーション時々変だし」 京太郎「あ、やっぱそういうのってわかるもん?」 淡「結構ね」 京太郎「俺、長野からこっちに来たんだよ」 照「」ピクリ 淡「長野……長野って何があるの?」 京太郎「そうだなー、有名なのはスキー場とかか。白馬村って聞いたこと無いか?」 淡「どっかで聞き覚えあるような……」 照「オリンピックあったとこ」 淡「おお!」 京太郎「それですそれです」 京太郎「他にも善光寺とか諏訪大社とかの神社系も有名だな」 淡「知らない」 京太郎「めちゃくちゃ有名なんだけどな」 淡「神社とかきょーみないし」 京太郎「賽銭とかしないのか?」 淡「私拝んだほうがご利益あるよ!」 京太郎(何言ってんだこいつ) 京太郎「あと何があったっけ……」 照「軽井沢」 京太郎「ああ、そっか避暑地として有名ですもんね。自分が行かないと忘れます」 京太郎「そういや軽井沢には白糸の滝ってのがあったような」 淡「うちの高校と同じ名前だ!」 タン 京太郎「あ、それロン」 淡「ええ!?話に現抜かして見逃してよ!」 京太郎「甘いなぁ……さっき照さんに直撃とられた分取り返さないと」 淡「テルからとってよ!!」 京太郎「照さんが俺の当たり牌出してくれたらな」 照「負けるつもりはない」 淡「むー……」プク カランカラン 健夜「おまたせー。ちょっと遅くなっちゃったかも」 京太郎「いえいえそんなことないですよ。むしろ仕事終わりに呼び出しちゃってごめんなさい」 淡「小鍛治プロかぁ」 照「やっぱりこっち来て正解だった」ゴッ 健夜「チャンプ!?ね、ねぇ京太郎君。こんなの聞いてないんだけど……」コソコソ 京太郎「まぁ淡……そっちの金髪の子に誰か連れてきてって頼んだんで自分も誰が来るか分からなかったんですよ」 健夜「京太郎君の指導どころじゃない気がするんだけど……」 京太郎「……照さーん」 照「何?」 京太郎「理沙さんの時と同じでお願いします」 照「……京太郎の為にここに来た。二戦したい」 京太郎「うぐっ!?……いやでも時間的にガチ二戦は厳しいのでなんとか」 照「……またこういう機会組んでくれるなら」 京太郎「それでお願いします」 照「わかった」 健夜「それじゃ最初は京太郎君と大星さんに教えながらでいいのかな?」 照「自分には問題点だけ挙げてくだされば結構です。自分で直しますから」 健夜「あ、あはは。宮永さんは大丈夫そうだね」 京太郎「ほんとに照さん大丈夫かな?」ヒソヒソ 淡「へーきへーき……たぶんね。いざとなったらお菓子で釣ろう」ヒソヒソ 京太郎「照さんってそんなにお菓子好きなのか」ヒソヒソ 淡「毎日部室で食べてるぐらいには」ヒソヒソ 健夜「仲良さそうに話してるとこ悪いんだけどそろそろ始めないの?」 淡「むー……まぁいいや。始めよ」 京太郎「なんでむくれてんだ?」 淡「きょーたろーはバカだから一生わかんないよ」 京太郎「むっ。喧嘩売ろうってか」 淡「さっきの分やり返してやる!」 健夜(ほほえましいなー) ───────── ────── ─── 健夜「お疲れさまー」 京太郎「今日はありがとうございました」 健夜「二人とも将来有望だから、教えてて楽しかったよ」 淡「私は今でも強いけどね」 健夜「高校レベルだったら十分だね。プロでもそこそこやっていけるんじゃないかな」 淡「……うん、わかってる」 京太郎「ていうか健夜さんには敬語使わないんだな」 淡「なんか親しみやすくてつい」アハハ 健夜「別にいいよ、私苦手だし。京太郎君も敬語じゃなくていいんだよ?」 京太郎「あはは、まぁ後々ということで」 照「……小鍛治プロ。またやりましょう」 健夜「そんなに慌てなくても卒業したら存分に出来ると思うけど」 照「卒業までにもっと強くならないといけないので。あなたよりも強く」 健夜「……私なんかもう前線退いてるんだよ?」 照「でも、日本で一番強い」 健夜「咏ちゃんとは打ったことある?」 照「はい」 健夜「そっか……まぁ宮永さんの場合私とか咏ちゃんより理沙ちゃんやはやりちゃんタイプの方が苦手そうだけどね。あの二人は周りを使うのが上手だからね」 照「……」 京太郎「つまりどういうことなんだ?」 淡「テルは攻撃タイプより防御タイプが苦手ってこと。一定以上のレベルだとね」 京太郎「……なるほど」 淡「わかってないでしょ」 京太郎「ソンナコトナイヨー」 健夜「それじゃまたね」フリフリ 京太郎「ありがとうございました」 淡「ばいば~い」 照「」ペコリ 淡「それじゃ私達も帰るね」 京太郎「ん。俺は閉店作業手伝ってくる。そろそろだと思うし」 淡「辞めたんじゃないの?」 京太郎「まぁそうなんだけどさ。やっぱ何もしないっていうのは後味悪いからさ」 淡「ふーん」 京太郎「じゃあな」 カランカラン 淡「テル、帰ろ!」 照「……」 カランカラン マスター「忘れ物ですか?」 京太郎「そろそろ閉店作業に入りますよね?」 マスター「はい」 京太郎「手伝わせてください」 マスター「……お給料は出ませんよ?」 京太郎「もちろんです」 マスター「……ではいつも通りテーブルからお願いします」 京太郎「了解です」ニッ 京太郎「お疲れ様でしたー」 マスター「お疲れ様でした」 カランカラン 照「京太郎」 京太郎「あれ?照さんまだいたんですか?淡は帰ったみたいですけど……」 照「話がある」 京太郎「? なんですか?」 照「…………やっぱりなんでもない」クルリ 京太郎「あ、じゃぁ俺から一つ聞いてもいいですか?」 照「……何?」ピタ 京太郎「もしかして咲のお姉さん……とかだったりします?」 照「っ!!」 京太郎「やっぱそうですか。少し似てると思ったんですよ。後長野って言ったとき反応してましたし」 照「…………咲とは仲良かったの?」 京太郎「ずっと同じクラスで割といつも席が近くでしたから。でもそっか咲にお姉さんがいたのか。あいつ自分のこと話さねぇからなぁ」 照「…………」 京太郎「あ、いや、話せって言ってるわけじゃないんですよ。なんらかの事情があるんでしょうし」アセアセ 照「……京太郎はすごい」 京太郎「へ?」 照「それじゃ」スタスタ 京太郎「……行っちゃった」 ―――次の日――― ~♪ 京太郎「ん?淡からだ」 淡 >キョータローとずっと練習していいって許可もらったよ! 淡 >部活は最初だけ顔出したらいいって(≧v≦) 京太郎「おお!俺としてもすげぇ嬉しいな!」 京太郎 >これからよろしくな!インハイ頑張ろうぜ! 淡 >私と練習出来るんだから予選は一位通過だからね! 京太郎「そうだな……頑張ろう」グッ 淡「当たり前じゃん」ヌッ 京太郎「おわぁぁっっ!!」ビクッ!! 淡「あははははは!!びっくりしすぎでしょ!」 京太郎「おまっ!もうちょい離れて声掛けろよ!まじでビビるわ!!」 淡「キョータローは反応いいからついイジめたくなっちゃうんだよねー」 京太郎「いつか絶対やり返す」 菫「なんか凄い声が聞こえたが大丈夫だったか?」 京太郎「あ、菫さんと照さん。今日は二人とも来てくれたんですね」 照「もちろん」 菫「私はお礼も兼ねてな」 京太郎「お礼?」 菫「ああ。そちらから話を持ちかけられたわけだが、我々の強化にも繋がるし場所も使わせてもらうわけだからな」 京太郎「そんな、それならお礼はマスターにしてください。マスターのおかげで出来るんですから」 菫「勿論マスターにも礼を言う。だがこういう機会を得られるのも君のおかげだ。ありがとう」ペコリ 京太郎「いや、その、えっと……」カァァ 淡「キョータロー顔真っ赤だよ」ニシシ 京太郎「うっせ!!」 照「それで今日はプロの人来るの?」 菫「お前というやつは……もうちょっと空気を読め」ハァ 京太郎「照さんらしくていいですけどね」ハハハ 照「?」 淡「テルじゃないけどさ、今日は誰か来るの?」 京太郎「ふっふっふ。今日はいっぱい来るぞ」 淡「ほんと?」 京太郎「ちょうど今、いやもう終わってるかそろそろ終わるぐらいだと思うけどチーム戦やってるらしくってさ、それの帰りに寄ってくれるみたいだ」 菫「今っていうと……野依プロと瑞原プロのところか」 京太郎「よくわかりましたね」 菫「まぁ君の知り合いから考えたらな」 京太郎「その試合解説を健夜さんがやってるみたいで、健夜さんも寄ってくれるみたいです」 菫「てことは三人か」 京太郎「ほんとありがたい話です」 菫「ひとえに君の人柄のおかげだと思う」 京太郎「……そうですかね」ポリポリ 照「なんか京太郎のこと口説いてるみたい」 淡「ふーん……」 菫「いや、そういうわけではないぞ!京太郎も勘違いするなよ!」クワッ 京太郎「は、はい」 照「京太郎」チョイチョイ 京太郎「なんですか?」 照「"京ちゃん"って呼んでいい?」 京太郎「!? どうしたんですか突然」 照「京太郎って……」 京太郎「京太郎って……」ゴクリ 照「呼びにくい」 照「それだけ」 京太郎「……どんな理由ですか」ハァ 照「駄目?」 京太郎「いいですけど……やっぱ姉妹ですね」 照「?」 京太郎「咲も俺のこと"京ちゃん"って呼んでたんですよ」 照「……」 淡「何コソコソ話してんの?」 京太郎「なんでもないぞ」 淡「うそだー」 キャイキャイ 照「……」 理沙「京太郎!」プンスコ 京太郎「理沙さん、早かったですね。その様子ですと……勝ったんですね」 はやり「はやぁ……個人の収支でははやりの方がプラスだったんだけど、チーム的に負けたよ」 健夜「理沙ちゃんに上手いことばらけさせられたって感じだったね。」 理沙「」ブイ 京太郎(ばらけさせるってどうやるんだろう?) 理沙「京太郎には無理」 京太郎「!?」 理沙「まだまだ」 京太郎(まだまだ練習が足りてないってことか) 京太郎「頑張らなきゃな」 理沙「」コクリ 淡「あれで会話通じるんだ」 菫「ああいうのを以心伝心と言うのだろうな」 カランカラン マスター「いらっしゃいませ。おや、今日は大勢ですね」 京太郎「あはは、すみません」 淡「あ、ケーキセット一つ!」 照「私も」 菫「お前ら……席に着いてから注文したらどうだ」 マスター「構いませんよ。他の方も何か頼まれますか?」 健夜「どうする?私もケーキセット注文するつもりだけど」 はやり「はやりも頼もうかなぁ」 理沙「」クイクイ 京太郎「ん。菫さんはどうしますか?」 菫「そうだな……今回は頼もうかな」 京太郎「了解です。マスター、ケーキセット人数分お願いします」 マスター「わかりました」 京太郎「手伝いましょうか?」 マスター「……お願いします」 理沙「先座ってる!」 京太郎「はい、先に始めといてください。あとで交代で」 マスター「良い人に出会えてますね」 京太郎「はい、ほんとにそう思います」 コカジプロ、キノウノリベンジヲ テルハサイゴダケー アハハ… ノヨリプロ、ハイノヨミカタヲオシエテクダサイ ウシロカラミテル ジャァハヤリハフツウニハイルネ 京太郎「今日は人数多くて騒がしいですけどね。申し訳ないです」 マスター「……私は喫茶店を経営するにあたって心地の良い空間を作ろうと心がけています」 京太郎「言ってましたね」 マスター「はい。色々とありますが、結局のところお客様に満足していただかなければ意味がありません」 マスター「心地の良い空間には人が集まるもの。良いと感じれば常連になってくださったり、時には溜まり場や待ち合わせ場所にもなるでしょう」 マスター「ですのでこうして騒がしくなるのは何も問題は無いのです。他のお客様がいらっしゃったら少しトーンを落としてもらいますが」 マスター「さ、コーヒーの準備が出来ました。……どうしたのですか? 早く持っていかないとコーヒーが冷めてしまいますよ」 京太郎「……はい!」 こうして麻雀漬けの一ヶ月が始まった。 プロの人たちもよく練習に付き合ってくれて、正直かなり強くなったと思う。 咏さんだけは唐突に来て荒らすだけ荒らして帰っていったが……(咏さん曰く、圧倒的火力をいなす練習だとかなんとか) 理沙さんはかなり付き合ってくれて、喫茶店から引き上げたあとも家にお邪魔して教えてもらったりもした。 もちろん家にいる時もネト麻をしたり、麻雀の本を読んだり、とにかくもかくにも麻雀、という状態だったのだ。 もう今の自分に出来ることはやり尽くしただろう。 後は身に着けた技術を全力でぶつけるのみ。 勝って全国へ――― 今にも千里を駆けて行きそうな思いを心に、早々と時間は過ぎていった。 予選までもうすぐだ。 京太郎「……なぁ」 淡「何?」 京太郎「俺、男子の団体戦見に来たんだけど……」 淡「知ってる」 京太郎「ここ女子のじゃん。ていうかお前控え室いかなくていいのか?」 淡「もうちょっと時間あるからねー」 京太郎「そうか。じゃあな」シュビ! 淡「話し相手になってよ!」ガシッ 京太郎「離せ!腰に抱きつくな!」 淡「どうせ、強い人が出てくるのは、二回戦にも、勝ち上がるって!」グググ 京太郎「勝ち上がるか、わかんねぇ、だろ!」グググ 菫「何をやってるんだお前らは」マッタク 京太郎「あ、菫さんに照さん……と二人は……」 菫「ああ、君とは出会ったこと無かったな。彼女達は渋谷尭深と亦野誠子。残りのチームメイトだ」 尭深「」ペコリ 誠子「どうも」 照「男子のほう見に行かなくていいの?」 京太郎「照さん聞いてください!これが離してくれないんだって!」 淡「これって何さ!」 菫「じゃれるのは勝手だがそろそろ時間だ」 淡「まだ時間あるじゃん!」 菫「ギリギリでは他のメンバーに示しがつかん。私達は白糸台の代表なんだぞ」 淡「むー……」 京太郎「決勝は見に行ってやるからさ」 淡「約束だからね!」 照「京ちゃん」 京太郎「なんですか?」 照「これ」 京太郎「シュークリーム?」 照「美味しかったからあげる」 京太郎「ありがとうございます。自分があげられるものありませんけど……」 照「気にしないで。もういっぱいもらった」 京太郎「? まぁいいや。団体戦頑張ってください」 照「」コクリ 誠子「大星と宮永先輩、あの男の子と仲良いんですね」 菫「淡はべったりだな。まぁあいつの支配を逃れられるからこそだろうが」 誠子「大星の支配に真っ向から勝てるんですか。男子にも凄い人がいるんですね」 菫「限定的だがな。照は……よくわからん。弟みたいな感覚なんじゃないか?」 京太郎「ここが男子の……ていうか人多いな!」 京太郎「男子のが多いって聞いてたけど、凄いなこりゃ」 京太郎「注目選手がいる学校は……「おーい、須賀!」ん?」 担任「やっと見つけた」 京太郎「あれ?なんで先生がいるんですか?」 担任「何、お前に渡したい物があってな。お前が出るのは個人戦だが今持っといても役に立つだろ。ほい」 京太郎「これって……去年活躍した選手の特徴っすか!おお……」 担任「お前が本気っぽかったから先生も本気を出してやったぞ。といっても去年のデータだから少ししか役に立たんがな。それとこれ」 京太郎「USB?」 担任「一応牌譜が入ってる。んじゃ、俺は帰るからな」 京太郎「ありがとうございます!」 京太郎「USBは帰ってから見るとして……綺麗にまとめてある、赤ペン先生みたいだ」 京太郎「ありがたく使わせてもらおう。さて、最初に出てくるのは……」 京太郎「だいたい見れた……かな。結構ここに書いてない人もいたな」 京太郎「やっぱ一年経つと出てくる人もいるよなー……」 京太郎(てか先生すげーな。去年活躍した人でここは伸びてくるかもって書いてある予想が大体あってる) 京太郎(これつくんのにどんだけかかったんだ……) 京太郎(この努力に報いなければ。いや、先生だけじゃない。マスターやみさきさん、淡や菫さんに照さん、プロの人たちに……理沙さん) 京太郎(この二ヶ月で色んな人の世話になってんだ) 京太郎(一週間後、まずはここからだ) 京太郎(…………) ───────── ────── ─── 京太郎「ということでおめでとう」 淡「雑じゃない?代表に決まったんだよ!この私が他をぶっとばしてね!」ドヤァ 京太郎(なんか色々ぶっとんだ気がする) 淡「ねぇ京太郎ってば」 京太郎「ん?まぁお前ならこんなもんだろ。むしろ照さんで飛ばせなかったことに驚いてる」 照「普通に打った」 京太郎「へ?それまたなんで?」 菫「一応手の内晒してしまうのを避けてのことだ。弱点を分析される可能性もあるからな。私も野依プロから指摘されたことを敢えて直してない」 京太郎「あー、なんかあれっすか、癖がどうのっていう」 菫「そうだ。野依プロレベルの観察眼をもった人がいてもおかしくない。そういう手合いが現れた時に逆手を取る為にな」 京太郎「そんなレベルならそれでも対応してきそうな……」 菫「だろうな。だが意表は突けるというものだ」 京太郎「なるほど。ん?じゃあ淡がダブリーしなかったのも……」 淡「菫に言われてたからね」 淡「そんなことより麻雀打とー!」 京太郎「さっきまで打ってたじゃねぇか」 淡「あんなんじゃ足んないよ!」 京太郎「じゃ理沙さんと喫茶店で合流するから一緒に行くか」 淡「やったー!!」 京太郎「って大丈夫ですか、連れてって」 菫「問題無い。変に機嫌損ねられるほうが困るしな」 菫「私と照は多分インタビューやら部活纏めるので拘束されるから行くとしても少しだけ遅くなる」 京太郎「わかりました。亦野さんと渋谷さんはどうされますか?」 誠子「私達も行っていいのか?」 京太郎「ええ。といいますか、今までも来てくださって良かったんですけど」 尭深「それは流石に悪い」 誠子「顔合わせたことなかったからね」 京太郎「だから遠慮してたんですね。でももう顔合わせてますし話もしましたよ?今度は一回打ってみませんか?」 誠子「……あぁ……入り込んでくるのが上手いんだなぁ」ボソ 尭深「人たらし」ボソ 京太郎「?」 誠子「わかった。お世話になろうかな」 京太郎「はい!」ニコッ スジ、タヨリスギ ヤッパリタヨリスギデスカ… コノマエワタシモイッタダロ 照「京ちゃん」 京太郎「なんですか?」 照「不安そう」 京太郎「そう見えますか?」 照「見える……どうしたの?」 京太郎「……まぁなんと言いますか、わからなくなりまして……怖いんですよね」 京太郎「男子の団体戦見て、この人達に勝たなきゃ、頑張ろうって意気込みました。でもそれと同時にこんなに活躍してる人に自分の麻雀が通用するのかって不安になったんです」 京太郎「……最初は自分に誇りが欲しかったんですよ。誰にでも言えるくらい立派なものが」 京太郎「恥ずかしい話ですけど理沙さんにちょっとでも追いつきたかったんです。それで告白したかったんです。不純な理由ですよね」 京太郎「もちろん、今も根本的なところは変わってないんですけど、それに匹敵するくらい麻雀を好きになって、こんな理由で強くなろうって決意した自分が本気でやってる人達や手伝ってくれてる人に申し訳ないような、意思が弱いようなそんな気がして……」 京太郎「って何話してんですかね。正直引きましたよね」アハハ… 照「…………」 ギュ 京太郎「て、てるさん!?」 照「指のここ、たこ出来てる」 京太郎「へっ!?あ、はい」 照「努力した証拠。ちょっと打っただけじゃ出来ないよ、このたこは。少なくとも意思が弱い人なんかには出来ない」 京太郎「…………」 照「麻雀を始める理由も強くなりたい理由も人それぞれ。それを他人が貶める権利を持ってない。持ってるのは自分だけ」 照「京ちゃんは気持ちが変わってないって言った。それと同じぐらい麻雀が好きって言った」 照「なら申し訳ないなんて思う必要ない。何も問題無い」 京太郎「……ありがとうございます。なんか自信出てきました」ニコ 照「その調子」 京太郎「照さんも何かあったら相談してくださいね」 照「……一つだけ」 京太郎「なんですか!」 照「咲が全国に来る」 京太郎「ええっ!?……麻雀出来たのかあいつ」 照「数日前に連絡があって、私と同じ舞台に立つからって」 照「それで長野も今日だったから結果見たら咲のところが勝ってた」 京太郎「有言実行ってすげーな」 照「私は咲から電話があった時何も言えなかった」 京太郎「……なんでですか?」 照「ちょっとしたすれ違いみたいなもの。でも話し辛くって。咲も多分同じ気持ちだった……んだと思う。それだけ言って私達の電話は終わった」 照「麻雀でなら話せると思う。でも、もしその後話す機会があったら……」 京太郎「……何言ってるんですか。話したいんですよね、咲と」 照「…………」 京太郎「あとは……気合ですよ、気合。ふぁいやー!」 照「……ふふ」 京太郎「それです!その笑顔でいきましょう!笑えば言葉も出てきますよ!」 照「そうかも」 淡「きょーたろー!打とう!」 京太郎「もう一局打ってたら閉店時間越えるだろ!諦めろ!」 淡「えー!」 マスター「構いませんよ」 淡「マスターやっさしー!」 京太郎「マスター、こんなの許可してたらこいつつけあがりますよ」 淡「そんなことないよー。それより早くっ」 京太郎「ああ、もう、わかったよ。照さんも打ちませんか?」 照「わかった」 誠子「私はさっきまで見てもらってたからいいや」 尭深「私も」 菫「それじゃ私が入らせてもらおう」 理沙「京太郎!」 京太郎「はい、終わったらアドバイスください」 ───────── ────── ─── 京太郎「皆帰りましたね」 京太郎「そういや今日の解説聞いてましたけど、結局緊張していつも通りでしたね」 理沙「頑張った!」 京太郎「一応理沙さんが解説で上手く喋れるよう引き合わされたんですよ、俺ら」 理沙「……話すのは楽しい」 京太郎「うんうん。結構喋りますもんね」 理沙「仕事は別」 京太郎「ですよねー」 理沙「要点は言ってる!」 京太郎「慣れてない人からしたらなんだこの解説ってなりますよ」 理沙「…………みさきに似てる」 京太郎「親戚ですから。言い方は似ますよ」 理沙「……っ」 理沙「み、宮永、照、と……」 京太郎「え?照さんと何話してたかって?」 理沙「…………」コク 京太郎「うーん……まぁ相談に乗ってもらった感じです」 理沙「!! わ、私も!」 京太郎「うーん……何かあったらさせてもらいます」 理沙「」ショボン 京太郎「こ、今回のは理沙さんには少し話せない内容だったと言いますか、なんと言いますか」ワタワタ 理沙「……」 京太郎「……理沙さん」 理沙「何?」 京太郎「個人戦頑張りますから、見ててください」 理沙「……っ!」 理沙「見てる……最初から見てる!」 京太郎「ありがとうございます」ニコ 理沙「最初から見てる」 京太郎「?」 理沙「なんでもない!」プンスコ ―――西東京地区 個人戦 予選開催日――― 京太郎「そろそろ出ようかな」 ~♪ 京太郎「ん?」 理沙 >応援してる! 京太郎「……よし!」 京太郎 >個人戦頑張ってきます! 京太郎「行って来ます、理沙さん」ギュウ 担任「須賀、調子はどうだ?」 京太郎「今日も来てくださったんですね」 担任「お前なー……一応顧問なんだぞ」 京太郎「……そうでした」 担任「なんだその間は」 京太郎「冗談ですって。先生が用意してくださったやつ、すっごい役立ちました。ありがとうございます」 担任「ま、他何にも見てやれなかったからな」 京太郎「先生って強いんですか?」 担任「んにゃ、全然。指導力もねぇから廃部ほぼ決まってたんだよ」 京太郎「そりゃそうですね」 担任「……お前以外と毒舌だな」 京太郎「あはは……すみません」 担任「俺のことはどうでもいいんだよ。今日明日とお前の晴れ舞台なんだからよ」 担任「魅せてくれよな」バシ 京太郎「はい!」 京太郎(さて、組み合わせは……最初は知らない人ばっかりだな) 京太郎(男子は人数多いから女子と違って昼までの8戦で落とされる) 京太郎(ここで注目選手と当たらないのはかなり大きい。点数をしっかり稼がないと) ギィ 京太郎(もう他の人集まってるな) ドクン ドクン 京太郎(落ち着け……少なくともここにいる人よりもずっと上手い人達と打ってきたんだ) 京太郎(負けるわけには……いかない!) 京太郎「よろしくお願いします!」 京太郎(最初の配牌は……二向聴、これは初っ端から俺の流れなんじゃないか?) 京太郎(周りは……対面が渋い顔してるな、ちょっと遠い感じか) 京太郎(上家も下家もめちゃくちゃいい手って感じの表情じゃないな) 京太郎(ツモは……入ってきてる。三色も狙えるけど……最初にあがって流れを掴んどきたい。次は親番だしな) 京太郎(スピード重視だ) 京太郎「!! リーチ!」 「!? 早い」アワワ 京太郎「それ、ロン! 立直、一発、ドラ1 5200!」 下家「こんなの事故だー」 京太郎(こっから俺の親番だ!) 京太郎「お疲れ様でした」 「おつかれさん」 「お疲れ様でした」 「お疲れ様……事故だ……」 京太郎(上家の人に結構食いつかれたな。確か団体戦に出てなかった高校の人だ。やっぱ知らないからといって侮れないな) 京太郎(ともあれ、まず一勝。次は……) ───────── ────── ─── 京太郎「ふぅ……」 京太郎(今のところ四位。この調子で行けば予選は突破出来るな) 京太郎(問題があるとすれば活躍してる人らに当たった時だな) 京太郎(一位と三位の人に当たったけど三位の人は運がいいだけだ。どちらかと言えば五位……一回戦で当たった人のほうが怖い) 京太郎(一位の人はなんかもう凄かったな。暗槓してドラ作って点数爆上げしてきたもんな) 京太郎(恐ろしいほどのドラ麻雀だ) 京太郎(ただ守りは薄い。さっきはやられた……というか他の人が対応しきれなかった感じだった) 京太郎(次当たった時は逆にあのドラを利用してやる) 京太郎(それから二位の人……団体戦を見た感じだと引っ掛けとか上手い感じだったな) 京太郎(しかも警戒してくる人にはしっかりと使い分けてる) 京太郎(一番厄介だ) 京太郎(後は……) ~♪ 京太郎「理沙さん?」 理沙 >お昼 京太郎 >まだ食べてません 理沙 >ここ来て! 京太郎「えっと……女子のほうの控え室か」 京太郎「行ってみるか」 京太郎「ここかな?」 コンコン みさき「はーい」 京太郎「やっほ」 みさき「なんだ京太郎君か。アシの人かと思っちゃった」 理沙「入って!」 京太郎「うい、お邪魔します」 理沙「食べて!」 京太郎「お!美味そう!」 みさき「普通は仕出し弁当なんだけどね……」チラ 理沙「!! た、たまたま!」 みさき「まぁこの量は二人じゃ食べきれないからね」 京太郎「ありがたくいただきます!」 みさき「そういえば調子いいみたいだね」 京太郎「んーでも四位だからなー……予選だから明日がんばりゃいいんだけど」 みさき「今日は落ちないっていう慢心は止めた方がいいんじゃない?」 理沙「京太郎は大丈夫!」 京太郎「ありがとうございます。それと慢心なんか一個もしてないよ。一試合終わるごとに紙にメモしてんだぜ」パラ みさき「うわ、細か。ていうかこのデータどうしたの?」 京太郎「顧問の先生にもらった。ペンで書き込んでるのが俺が分析したやつ。まぁ分析ってほどのことは書いてないけど」 みさき「ふーん……顧問の先生ちゃんと顧問してるんだね」 京太郎「そりゃな」 理沙「……この子」スッ 京太郎「ん?ああ、今五位の人ですね。単純に上手いんですよ、その人」 理沙「聴牌の時、よく河を見てる」 京太郎「! 癖……ですか」 理沙「」コクリ 京太郎「てか見てたんですね」 理沙「休憩中」 みさき「そういえば見てたね、男子の中継」 京太郎「ありがとうございます、参考になりました」 京太郎「それとお弁当、美味しかったです!」 理沙「よかった」 みさき「じゃあね」 京太郎「それじゃ」 バタン みさき「……心配なの?」 理沙「……力入りすぎ」 みさき「確かにね」 ~♪ 理沙 >明日もお弁当作る 京太郎「やったぜ!」 淡「あれ?きょーたろーじゃん!」 京太郎「おー、皆さんお揃いな感じで」 菫「何をやってるんだ?ここは女子の控え室しかないぞ」 京太郎「さっきまで理沙さんにお呼ばれしてたんですよ」 淡「えー、そうなんだ……!」 淡「ね、ね!明日は私達と食べようよ」 京太郎「わり、明日も理沙さんと食べる約束してんだわ」 淡「ぶーぶー」 照「お菓子あるよ?」 京太郎「いやお菓子があるかないかじゃないですから」 照「尭深がお茶も入れてくれる」 京太郎「それも問題じゃないですよ!」 京太郎「そっちの調子はどうですか?」 照「一位」 淡「二位!」ドヤ 菫「三位だ」 尭深「十五位です」 誠子「……十八位」 淡「ま、照と菫と私で明日もぶっちぎっちゃうと思うよ」 菫「慢心はよくないぞ。京太郎はどうなんだ?」 京太郎「四位です」 淡「結構いいとこまでいってんじゃん、京太郎の割りに」 京太郎(うぜぇぇ) 照「明日が本番」 菫「そうだな。私達もどうなるかわからんしな」 京太郎「そうですね。一応そのつもりで予選突破しそうな人は分析してます」 菫「その調子だ」フッ 照「……京ちゃん」 京太郎「なんですか?」 照「いつも通り」 京太郎「頑張ってきますよ」 京太郎「よし……大丈夫……」 京太郎(午前中の感じでいけばいいんだ) 京太郎(河もしっかり見ないと。余裕が無くなってきた時疎かになってた) 京太郎(流れをしっかり掴むことを意識して……) 「取らないのですか?」 京太郎「へあっ!?す、すみません」パシッ 京太郎(北か。配牌次第だけど、とりあえず鳴かない振り込まないことが最優先かな) ───────── ────── ─── 京太郎「ロン!門混、ドラ1 8000点です」 「多面張だったのか……」「まくられたー!」 京太郎「ありがとうございました」 京太郎「ふぅ……とりあえず予選突破」 京太郎「三位だし上出来だな」 『それでは予選一位通過の―――君のインタビューです』 『絶妙なタイミングで暗槓をしかけて点数をあげているようですが…』 『はい、自分は手をつくるのが早いことが得意なので、そこに点数を乗せようとして今のスタイルになりました』 『なるほど、では――――』 京太郎(自信満々だな。今まで積み重ねて完成させたスタイルだからか。……) 担任「よお!凄いじゃないか須賀!」 京太郎「ありがとうございます。結構上手く出来ました」 担任「解説にも注目されてたぞ」 京太郎「マジですか?」 担任「おお。今もそのこと話してんじゃないか?……ほれ」 『今日の個人戦はダークホースが続々と飛び出してきたという印象が強かったですね』 『六位につけた○○君や、四位の××君』 『それからトップ10の中に一年生で唯一入った三位の須賀君といった団体戦には出れなかった選手が上位に食い込んできてる』 『特に須賀君。一年生で三位以内に入るのは西東京予選では十年近く見てない』 『一年生とは思えない見事なオリや相手にアガリ牌を読ませない打ち方が出来るからこそだな』 『えっと……今入ってきた情報によりますと須賀選手は中学では麻雀ではなくハンドボールをやっていたようです』 『……麻雀をずっとやってきたわけじゃないと』 『みたいです』 京太郎「……なんか身バレしてるんですが」 担任「テレビってすげーな。ていうかハンドボールやってたのか」 京太郎「まぁ。一応県予選で決勝までいったので調べたら出てきたんだと思います」 担任「ふーん。まぁ確かにガタイ良いからな。不思議じゃねーわ」 担任「んじゃ、また明日な」 京太郎「はい」 京太郎「……帰るか」 理沙「京太郎!」 京太郎「理沙さん。仕事終わったんですか?」 理沙「」コクリ 理沙「女子のほうが早い」 京太郎「あー、人数的な問題ですか。試合後の解説とか入って丁度男子が帰るぐらいだったんですね」 理沙「そう……食べに行く!」 理沙「お祝い!」 京太郎「いやいや予選突破しただけじゃないですか」 理沙「いいから!」 京太郎「……わかりました」ニコ 理沙「…………」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ みさき「やっぱり白糸台の三人が飛びぬけてたね」 理沙「」コクリ 「ねぇ、見た?男子の個人戦」 「見た見た!三位の子イケメンだったよねー」 「そうそう!対局中は格好良い感じなのに対局後におじぎしてにこって笑う顔とか可愛い感じだし、なんだろう……そう大型犬っぽい!」 「わかるかも!撫でてあげたくなるよねー。後細マッチョっぽい。中学じゃハンドボールやってたみたいだよ」 「あんた好きだよね、細マッチョ。イケメン且つ可愛い、高身長、麻雀強い、向かうとこ敵無しじゃん」 「私あの子応援するわー」 「私も私も!」 理沙「…………」 みさき「あー、京太郎君モテモテだね。まースペック良さそうだもんね。案外スケベだけど」 理沙「…………」 みさき「気になるの?」 理沙「!? ならない!」 みさき「ふーん……まぁいいや、いこ」 理沙「…………」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 理沙「」ブンブンブンブン 京太郎「どうしたんですか?」 理沙「なんでもない!」プンスコ ―――西東京地区 個人戦 本選――― 京太郎(こっからは昨日の予選を勝ち上がった実力者ばかりだ) 京太郎(弱い人なんていない。昨日作ったデータを元に一人一人しっかり対策を考えないと) 京太郎(ただでさえ自分は経験が少ないんだ。こういうところで埋めないと勝てない) 京太郎(一応、全員分メモってる……何人かほとんど書いてなくてデータ不足だけど) 京太郎(もし……このデータ不足の人たちが半荘では強かったら?そういうのはありうる) 京太郎(昨日の最初バカヅキしてた人だって、昨日は最終九位まで落ちてたけど、あの運がフルに使われてたら?) 京太郎(俺は三位から落ちる。一位二位の人は安定してた。今日も変わらないだろう) 京太郎(そう考えたら枠は後一つなんだ……そこに入り込まなければならない) 京太郎(勝たなきゃ全国に行けないんだ……勝つんだ、勝って全国に行くんだ……) 京太郎「よろしくお願いします」 「よろしく」「よろしくー」「よろしくお願いします」 京太郎(北家か。まぁどこでも最初は様子見だけど。自分の親番までは点を取られないように上手く流す) 京太郎(対面が引っ掛けの人だ。注意していかないと……) 京太郎(配牌は……五向聴か、よくないな。まぁ泣き言も言ってられないが) 京太郎(でもこういう時は……入ってくるんだよな。なるたけ早く聴牌にしたい)タン 京太郎(下家の人は確か染める傾向にあったな。索子きったってことは萬子か筒子でいく可能性が高い、警戒だな) 京太郎(上家はデジタル打ちだ。だけどデジタル打ちの相手ははやりさんで慣れた。こっちには絶対負けない) 京太郎(と、俺のツモ番……いいね、入ってきてる。鳴いて仕掛けなくても大丈夫かな)タン 「……あ」 「ツモ。中、門混、チャンタ、一盃口、ドラ3 6000・12000だ。ラッキー」 京太郎(ぐっ!流石にこれは注意したところでなんとか出来ねーよ!!くそっ!!) ───────── ────── ─── 京太郎(今のところ一位二回と二位が二回。七位か……一戦目でマイナスだったのがかなり痛い) 京太郎(後六戦……四回……いや五回は一位になりたい) 京太郎(まだ団子状態なんだ、抜け出さないと) 京太郎(それに三位の人以外にはまだ当たってない。後半で当たることを考えると絶対に負けられない) 京太郎(ちゃんとデータを整理してそれから……) 理沙「京太郎!」 京太郎「え……なんですか?」 みさき「さっきから何回も呼んでたよ。大丈夫?」 京太郎「あはは……ごめんなさい」 みさき「……ちょっと気負いすぎじゃない?」 京太郎「そんなことないって、ご馳走様でした」 みさき「ストップ」 京太郎「何?」 みさき「全然食べてないじゃん。しっかり食べないと力でないって」 京太郎「でも……」 みさき「はい、食べる。それとも何?あーんでもして欲しいの?」 京太郎「……理沙さんからなら」 理沙「!? する!!」 京太郎「いや、冗談ですって」 理沙「」ショボン 京太郎「今度こそ本当にご馳走様でした。それじゃ」 みさき「気張りすぎないでね」 理沙「……京太郎!」 ギュ 京太郎「!?」 理沙「」ギュー みさき「わーぉ……」 京太郎「り、理沙さん……」 理沙「……ん」パッ 理沙「力抜けた。それでいい」ナデナデ 京太郎「ちょ、恥ずかしいですって」 理沙「いってらっしゃい」 京太郎「……いってきます」 バタン 理沙「……京太郎」 京太郎「」スゥーハァー スゥーハァー 京太郎「よし!」バシッ 京太郎(大丈夫だ、いつもの俺だ。焦りすぎるな) 京太郎(いつも通り、いつも通りだ。照さんにも言われたじゃないか) 京太郎(こっからが正念場だ!)キッ ───────── ────── ─── 京太郎「お疲れ様でした」 「おつかれ」「お疲れ様でした」「おつかれさまー、今回は事故らなかったー」 京太郎(よっし!今のところ四位で次がラスト) 京太郎(最後が……ぐっ、一位の人と三位の人と同じ卓だ。くそ、どんな振り分け方してんだよ) 京太郎(落ち着け……今一位と二位の人は飛びぬけて得点が高い。この二人を抜かすのはほぼ不可能) 京太郎(だけど三位の人、この人までは後12。最後の試合、俺が一位抜けしたら俺が三位だ!) 京太郎(まず一位の人、この人は暗槓でドラを増やして得点を上げてくるドラ麻雀だ) 京太郎(狙いどころは槓に拘ってくるところ。そこをつければ勝機は見える) 京太郎(それから三位の人。この人はほんとに運が良いだけだからどうしようもない) 京太郎(ただ変な打ち方をするわけじゃない。落ち着いて対処すればいい) 京太郎(もう一人の人は……うん、普通だ。この人を飛ばされて終わられることは阻止しないと) ―――男子個人 最終戦――― 東一局 親:下家 ドラ表示牌 四索 下家(普通) 25000 対面(ドラ爆) 25000 上家(運) 25000 京太郎 25000 京太郎(自分は北か。とにかくドラ爆……対面の人が暗槓を仕掛けてきたらほぼ聴牌してるだろうから警戒だ。言い聞かせろ、集中しろ!) 京太郎(配牌は……四向聴。自分の和了率がそんなによくない手牌だ。一局目ってこともあるし自分のツモの様子みながらだ) 京太郎(他の人の様子は……下家の人が緊張してるな。かなり顔が強張ってる。他二人は少し余裕があるのか) 京太郎(上家は楽しそうだな。予選の時もそうだった) 京太郎(そうだな……俺も楽しまなきゃ) ―――九巡目 京太郎(今のところ動きがないな。自分の手は一向聴まで進められたが……他が動かないなら俺から仕掛けていくか?) 対面「カン!」 京太郎(!? ついに動いた!九筒の暗槓。新ドラは一萬。二萬は河に流れてない……下手したら持たれているかも) 対面「リーチ」 京太郎(さらにツモ切りリーチ……張ってたのか。リーチしてからカンしなかったのは警戒されていたのに気付いていたからなのかどうか……) 京太郎(ひとまず対面の当たり牌を考えなきゃ) ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐ │ │ │ │.4 │②│③│③│④│⑥│⑦│⑧│ │ │ │北│北│北│索│筒│筒│筒│筒│筒│筒│筒│中│中│ └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ 京太郎(あまり出してないのは索子か……ドラ周りが出てない……うーん……) 京太郎(自分の手配にある四索……もしかしたらこれやばいかな) 京太郎(さてツモは……二筒が入ってきた!聴牌に出来るけど……駄目だ、流石にこの4索は出せない) 京太郎(安牌の二筒出すしかないな……ああさようなら……) 下家「」 東 対面「」 九萬 上家「」 九萬 京太郎(俺は……東か。そのままだそう) 下家「」 七筒 対面「!! ツモ!」 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐ ┌─┐ ┌─┬─┬─┬─┐ │二│二│二│⑥│⑦│⑧│.3 │.3 │.5 │.6 │ │.7 │ │⑨│ │ │⑨│ │萬│萬│萬│筒│筒│筒│索│索│索│索│ │索│ │筒│ │ │筒│ └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ └─┘ └─┴─┴─┴─┘ 京太郎(やっぱりその辺だったか!しかも二萬三枚も持ってやがる!) 対面「裏は……残念。立直、ツモ、ドラ四で3000・6000」 京太郎(上がられた……ここでこいつを調子づかせたら止まらない。次はスピード重視で流す!) 東二局 親:対面 ドラ表示牌 八萬 下家(普通) 19000 対面(ドラ爆) 37000 上家(運) 22000 京太郎 22000 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐ │二│三│四│七│②│③│④│⑤│.2 │.3 │.9 │ │ │ │萬│萬│萬│萬│筒│筒│筒│筒│索│索│索│西│西│ └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ 京太郎(二向聴!しかも西と三色が狙える。絶好の手だ) 京太郎(最初のツモは……まぁそうはこないわな。ツモ切りで) 下家「」 西 京太郎「ポン!」 京太郎(よし!自風牌げっちゅ!あとは四索か頭になるやつがきてくれりゃ聴牌だ) 対面「」 發 上家「」 四索 京太郎「チー!」 京太郎(ついてるついてる!んじゃ九萬切ってノベタン待ちで行こうかな) 京太郎(ん?發か……対面が捨ててるけど……もしかしたらそっちで出るかな?) 京太郎(よし、張り替えて、發の単騎だ) 対面「」 發 京太郎「ロン!西 三色 2000です」 対面「くそっ」 京太郎(もしかして聴牌寸前だったか?助かったぜ) 上家「ツモ ツモのみなので500でー」 上家「ロン 純チャンなので7700の一本場は8000です。キタキタキター!」 下家「ひえー!」 京太郎(今度はこっちが乗り出した。安手でいいから流そう) 京太郎「チー!」 京太郎(よし張った!タンヤオのみだけどこのさいなんでもいい!) 対面「カン!」 京太郎(こっちも調子良さそうだな。お、今のでドラ一ついた) 対面「それから、リーチ!」 京太郎「通さないぜ、ロン!タンヤオ、ドラ一 二本場は2600」 対面「ぐぅ……っ!」 京太郎(リー棒までついてお得な感じだな) 東四局 親:京太郎 ドラ表示牌 西 下家(普通) 10500 対面(ドラ爆) 30900 上家(運) 31500 京太郎 27100 ―――八巡目 京太郎(お、きたきたきた!これは立直せざるをえませんな!) ┌──┐ │七萬│ ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┼─┬┴┬─┬─┬─┬─┐ │三│四│五│六│②│②│⑥│⑦│⑧│.3 │.4 │.5 │.6 │ │萬│萬│萬│萬│筒│筒│筒│筒│筒│索│索│索│索│ └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ 京太郎「リーチ!」 京太郎(三面張だし誰も出さなくてもツモるだろ……多分。…………こい!!) 京太郎「! ツモ!メンタンピン、ツモ 2600オール!」 京太郎(よし、一位に踊りでた!このままキープしたいけど……下家の人やばそう?) 京太郎(……差し込めたら差し込むか) 『須賀選手からロン。立直、南 で2600。一本場なので2900点のアガリとなります』 『今のは須賀君が差し込んだみたいだ』 『そうなんですか?』 『これで子の満貫は直撃でも受けきれる』 『なるほど』 南一局 親:下家 ドラ表示牌 東 下家(普通) 10800 対面(ドラ爆) 28300 上家(運) 28900 京太郎 32000 京太郎(後2000ほど稼がせたいけど自分の点数も気にしなきゃいけないからな……) 京太郎(さてさて……うわ、四向聴。ここで逃げに走りたくはないけど……ツモ次第だからなんともいえねぇ……) ―――十巡目 対面「カン! んで、立直」 『あぁーっと、仕掛けてきた!』 『しかも南 ―――ハネ満確定の手だ』 京太郎(まじかよ……ハネ確ってことは下手したら下家が飛ばされる) 京太郎(奴の当たり牌を考えろ……この形に持ち込んで一番多い待ちは……両面待ちだ。実際東一局でもそうしていた) 京太郎(またそうくるとは限らないが……その線で考えた時、三―六―九筒の筋か、一―四萬、二―五萬、のどれか) 京太郎(下家……三筒二枚と六筒を捨ててる。こういう時下家は抱えない…………くそ!) 京太郎「」六筒 対面「ロン。裏は……乗ってないな。立直、ダブ南、ドラ四 12000だ」 京太郎(……上家とはだいたい8000点、対面とは20000だ。こっから巻き返せるのか……) 京太郎(いや、まだだ!諦めるな!) 京太郎(チャンスは……絶対来る!) 南二局 親:対面 ドラ表示牌 九萬 下家(普通) 10800 対面(ドラ爆) 40300 上家(運) 28900 京太郎 20000 ―――三巡目 上家「ポン」 京太郎(中を鳴いた……今ので聴牌か?それともとりあえず役をつけたかっただけか?) 京太郎(次は上家の親番だし速攻はありうる) 京太郎(他の三元牌は……出てないな……俺が發を一枚持ってるけど) 京太郎(うわ、白引いた……一応様子見だ。この二枚は手持ちにしとこう) 下家「」 發 京太郎(おまっ!警戒しろよ!!) 上家「ロン! 小三元!7700です!」 下家「げぇ!?」 京太郎(やべぇ……まじかよ……これで下家は3100。苦しい展開が続くな……) 南三局 親:上家 ドラ表示牌 二筒 下家(普通) 3100 対面(ドラ爆) 40300 上家(運) 36600 京太郎 20000 京太郎(あ゛ーきつい。ツモでも親の満貫で終わる。下家直撃は論外。子はハネツモでぎりぎりセーフか?でも後がもたない) 京太郎(なにより俺も点数稼がなきゃいけないのに……) 京太郎(配牌は……五向聴……きつい、きついよ。自分の場合四向聴より和了率いいけどさ?それでも辛い) ―――四巡目 下家「リーチ」 京太郎(!? きた!!よし、とりあえず自分は安牌だ。流石に振り込んだら逆転出来る気がしねぇ)タン 下家「一発……ならずかぁ」トン 対面「」七筒 下家「!! ロン!リーチ、三色 5200!」 京太郎(5200!? てことは……親っパネで一位!) 京太郎(て、落ち着けー。そうだ親なんだ。そんな手が出来るとは限らないし、連荘狙いでいこう) 京太郎(俺がアガれば終わらないんだ) 京太郎(ここで勝たなきゃ……絶対に勝つんだ。俺は―――) 京太郎(全国に行くんだ!) 南四局 親:京太郎 ドラ表示牌 三筒 下家(普通) 8300 対面(ドラ爆) 35100 上家(運) 36600 京太郎 20000 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐ │ │ │ │ │ │ │九│②│③│④│⑤│⑧│⑨│.3 │ │白│白│西│西│北│南│萬│筒│筒│筒│筒│筒│筒│索│ └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ 京太郎(!? 配牌がきてる!これは混一がつくれる。きたら速攻で鳴いて鳴いて手をつくってやる) 京太郎「チー!」 京太郎(よし後は……どっちでもいいけどなんとなく五筒捨てで) ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐ ┌─┬─┐ ┌─┬─┐ │ │ │②│②│③│④│⑤│ ┌──┤⑧│⑨│ │ │ ├──┐ │白│白│筒│筒│筒│筒│筒│ │⑦筒│筒│筒│ │西│西│ 西│ └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ └──┴─┴─┘ └─┴─┴──┘ 京太郎(出来れば白が嬉しいけど……) 上家「」 二筒 京太郎「それ、ロン!混一、ドラ一 5800」 京太郎(低いほうだけど仕方ない、いや上出来だと思おう。まだ勝ってないんだから) 南四局一本場 親:京太郎 ドラ表示牌 七索 下家(普通) 8300 対面(ドラ爆) 35100 上家(運) 30800 京太郎 25800 京太郎(南が最初から二枚。鳴くか入ってきたらまず一役だ。連荘できる。チャンスを待つんだ) ―――九巡目 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐ ┌─┐ ┌─┬─┐ │ │ │四│四│⑦│⑧│⑨│.7 │.9 │.9 │ │ │ ┌──┤五│六│ │南│南│萬│萬│筒│筒│筒│索│索│索│ │南│ │七萬│萬│萬│ └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ └─┘ └──┴─┴─┘ 京太郎(来た。四萬・九索のシャボ待ちか。低いけど仕方無い) 京太郎(流石にドラは出ないだろ) 京太郎(対面もそろそろ手が出来上がる頃だろうしな) 京太郎(……本当に出ないか?思考停止するな) 京太郎(八索は今のところ出てない。出す、もしくは持ってるとしたら誰だ?) 京太郎(……対面、索子をほとんど捨ててない。集めてるのか……もしくは、八索の暗槓……) 京太郎(ありうるのか?一試合に二回もドラをカンするなんて……) 京太郎(……いや、こんな感に頼り切った麻雀で勝てるのか?) 京太郎(……でも、俺は知ってる。オカルトっていうものを知っている) 京太郎(頭の中で囁いてる気がするんだ……僅かな希望を掴めって) 京太郎(俺の中の何かが……) 京太郎(いや……) 京太郎(オカルト、それが俺に伝えてる気がするんだ……) 京太郎(俺は……俺の中のオカルト―ちから―を信じる!)九索 京太郎(さぁ来い!) 下家「」 南 対面「……」カチャ 対面「! カン!」 パタッ ┌─┬─┬─┬─┐ │.8 │ │ │.8 │ │索│ │ │索│ └─┴─┴─┴─┘ 京太郎「……信じてたぜ」ニヤッ 対面「!?」ピタ 京太郎「ロン!南、槍槓、ドラ一 5800の一本場は6100!」 『きぃぃまったぁぁぁーーーーーー!!!槍槓という珍しい役でさし、見事に逆転しました!』 『あそこでシャボ待ちをとらずに嵌張待ち、しかもドラ待ちを選ぶとは……お見事』 京太郎「おつかれ……さまでした!」 担任「須賀ァ!!」ダキ! 京太郎「わぷっ!ちょ、先生!」 担任「おま!さっきの試合鳥肌もんだぞ!」 京太郎「はな、離してくだ、さい!」パッ 担任「あはは、すまんすまん。でも、うん、あんな試合見せられて興奮するなって方が無理だ!」 京太郎「まだ結果出てないんですから」 担任「うはは、そうだったな」 『さて、他の卓も全て終了致しました。これより集計結果を発表したいと思います』 担任「お、きたみたいだぞ」 京太郎(頼む……)ギュウ 『それでは結果を表示いたします』 京太郎(頼む、頼む!!) 京太郎(ここまで来たんだ、暫定一位の人も三位の人もまくったんだ!) ―――全国へ 『結果は……』 京太郎(色んな人が応援してくれたんだ、だから俺はここにいるんだ) 京太郎(こんなに全力で願ってるんだ) 京太郎(ここが終わりじゃないんだ!まだ途中なんだ!) 京太郎(だから頼む―――) ―――勝って、全国へ ◇男子個人戦 最終順位 一位 ~~~~ ~~~高校 三年生 +245 二位 ~~~~ ~~~高校 三年生 +221 三位 ~~~~ ~~~高校 二年生 +164 四位 須賀京太郎 ~~~高校 一年生 +162 五位 ~~~~ ~~~高校 三年生 +153 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 京太郎「………………」 担任「…………そうか」 京太郎「…………」 担任「……須賀」 京太郎「…………」 担任「おい、須賀!」 京太郎「あ…………はい、なんですか?」 担任「……お前は一年生だ。確かに悔しくて仕方無いかもしれんが、まだ二年ある」 担任「…………」 担任「あぁ!もう!……すまんな、俺はお前に掛けてやる言葉がわからん」 京太郎「いえ大丈夫ですよ……」ニコ 担任「……」 担任「ほんとに大丈夫だな?雨降りそうだから早く帰れよ」 京太郎「わかってますよ。それじゃ」 スタスタ 担任「……おれぁ、顧問失格だ。慰めること一つできやしねぇ、何にも言葉をかけてやれねぇ……無力だ……」 淡「きょーたろー!」タッタッタッ! 京太郎「……」 淡「待ってって!」ガシ 京太郎「ん?淡かどうかしたか?」 淡「……っ!」グッ 淡「個人戦四位だったって」 京太郎「ああ、うん、駄目だった……」ニコ 菫「はぁはぁ……京太郎……」 照「京ちゃん……」 京太郎「そんな走ってこなくても良かったんじゃないですか?なんなら携帯に連絡入れてくれれば……」 菫「もう何回も電話したぞ」 京太郎「え?……ほんとだ。すみません」 淡「……まだ!まだ麻雀歴浅いんだしさー」 淡「ほら、他の人なんて何年もやってるんだよ!」 菫「っ!!」 京太郎「でも、もう目の前だったんだ……すぐそこだったんだ……」 淡「……っ」 淡「れ、練習が足んなかったんだよ!だから届かなかったんだって!」 菫「おい!淡!」 淡「ま、また喫茶店にあつまってさ「ほんとにそうだよ」……」 京太郎「足りなかったんだ。だから、だから全国に行けなかったんだ……」 淡「っ!!!私はそんな落ち込んでるきょーたろー見たくないっ!!元に戻ってよっ!!はやk バシンっ! 淡「……」 菫「いい加減にしろ、淡」 京太郎「……すみません、今日は帰ります。淡、次会うときには戻しとくから……」ニコ スタスタスタ 菫「……淡!お前は「だって!あんなのないって!」」 淡「あんなに頑張ってたのに!あんなに、野依プロのために一生懸命だったのに!」 照「!!知ってたの?」 淡「テルときょーたろーの会話聞いちゃったんだもん」 淡「だから!慰めようと、思ったのに!」 淡「わたし……」 淡「なぐさめかた、なんて、しらないん゛だもん゛!うわ゛ぁぁぁぁっぁぁぁ!!!!」 照「」ヨシヨシ 菫「…………っ」 菫「京太郎のおかげで強くなれたのに、私は、彼の力になれないのか……?」 一人歩く道の上、重苦しく、空を灰色が覆っている。 綺麗に見えていたものを汚く塗りつぶしていた。 一歩、また一歩、その歩幅は短くなっているように感じてしまう。 追い討ちをかけるように分厚い雲は雨を垂れ流しはじめ、行く手を阻む。 なぁ、目から溢れる心を全部流してくれよ この叫びを全部溶かしてくれよ なんだよ…… 晴れやかな気分を少し鬱屈とさせるだけじゃないのかよ なんで暗い心をもっと暗くするんだよ なんでだよ…… なんでだよ…… そうして彷徨いながらもなんとか部屋にたどり着いた。 奥にも行かず、タオルを取りにいくでもなく、ただただ玄関に座り込んだ。 そうしていると、だんだん、気持ちが溢れ出して来た。 駄目だった。 そう駄目だったのだ。 淡の言うとおりだ、麻雀をやってた月日も練習量も、足りてない。 それもあと一歩。 たったの一歩だ。 だけど、その一歩は―――遠い。 震える体を、腕を抱きしめる。 血が出るのも厭わず、強く抱きしめた。 理沙「京太郎」 声につられ顔を上げると、そこに好きな人がいた。 あぁ、駄目だ。 顔を合わせたくない。 こんなみっともない姿、見て欲しくない。 隠れる場所も無いのに、ただ惨めに蹲るしかなかった。 ―――あれ?暖かい…… あぁ理沙さんか。 理沙さんが俺を抱きしめてるのか。 さっきまで止まっていたはずの涙がまた溢れ出して来た。 京太郎「駄目だった……届かなかった……」 理沙「」ギュウ 理沙「見た。休憩中も見た。女子が終わった後も見た。見れる時全部見た」 理沙「輝いてた。……かっこよかった」 勝てなきゃ、意味無いんだよ…… 京太郎「俺は!勝てなかった!勝てなきゃ意味無いのに!」 理沙「なんで?」 京太郎「だって自分に誇れるものにしかったんだよ!勝てば自信になる、誇れるものになる!それから……」 理沙「?」 京太郎「っ!!」 こんな勢いに任せてぶちまけようとした自分に気付き、途中で止める。 あまりにも惨めだ…… 理沙「……勝たないと無理?」 京太郎「そりゃそうだろ!」 理沙「そんなことない!」 その思いの籠もった一言に言葉を失い竦んでしまう。 理沙「最後の試合、一番だった」 理沙「もう京太郎は知ってる」 理沙「……認めること」 理沙「全部」 京太郎「全部……」 理沙「」コクリ 理沙「全部。弱いとこも」 理沙「認めるから信じられる」 理沙「信じて」 理沙「それに……」 理沙「それだけで麻雀やってたわけじゃない。違う?」 京太郎(そう……だよな。ただ自信が欲しくて、勝つ為だけに麻雀やってたわけじゃない) 京太郎(照さんとも話してたじゃないか、麻雀が楽しいからやってるんだって) 京太郎(確かに悔しい) 京太郎(でも、それ以上のものを手に入れてる) 京太郎(……なんでだろう?明るく感じるや) 京太郎「……駄目だなぁ、なんか三位に入れなくて、全部終わりみたいに感じてた」 京太郎「いや、まだ、ショックだけどさ」 理沙「……これから」 京太郎「うん、これから、もっと頑張らなきゃ」 京太郎「なんか理沙さんには全部お見通しだなぁ」 理沙「当たり前!」プンスコ 京太郎「当たり前?」 理沙「ずっと見てた!」 京太郎「……あぁずっとって麻雀だけじゃないってこと」 理沙「そう」 理沙「……もう誤魔化さない」 京太郎「へ?何が―――」 チュ 理沙「―――好き」 京太郎「え……ええぇぇぇぇ!!!」 京太郎「その、えっと……先越された」ガク 理沙「」ブイ 京太郎「いやなんでブイサインなんですか」 理沙「京太郎は?」 京太郎「……好きです……てかわかってたんでしょ!!」 理沙「言葉は大事」 理沙「……もういっかい……いい?」 京太郎「……うん」 チュ 京太郎「あ!そういや淡とかに連絡しなきゃ!」 京太郎「それから先生とマスターにも!」 京太郎「あと!」 グ~ 京太郎「……お腹空いた」 理沙「」クス 理沙「作る!」 理沙「その前にお風呂!」 京太郎「ああ、なんか寒いと思ったら濡れっぱなしだった」 理沙「早く!」プンスコ 京太郎「ういー」 ───────── ────── ─── 「あーあ、もう卒業かー」「早かったなー」 「あ゛ぁぁぁ~~!!」「ほおら、泣かないでよ。わたしまで、もらい泣きしそうじゃんかぁ……」 「お前、集合写真で変顔きめてんじゃねーよ!」「伝説になるな……」「ねーよ」 「あれ?そういや京太郎は?」「あー……もう走っていった」「あー……なるほど」 「あーあ、須賀君の第二ボタン欲しかったなぁ」「もらってもしゃーないだろ。だってあいつには「こういうのは記念なの!」はいはい」 「……代わりに俺のやろうか?ほれ」「う、うん、ありがと……」 「何青春してんだよ!」「してねーよ!」「そ、そうよ!」 「にしても京太郎なぁ……」「まぁしょうがない」 「あいつはこの学校の伝説だな、生きる伝説」「そりゃな、こんな廃部決まってたような弱小高校の麻雀部所属なのに個人二連覇だもんな」 「予選敗退した一年の時ですら噂になってたからな、鬼強い一年がいるって」 「おまけに現役女子プロ雀士と熱愛だからな」「くそ、うらやましい」「へぇー……」「あ、いや違うって!」 「ま、今頃……」「熱々だろうな」「熱々でしょうね」「まだ少し肌寒いのにねー」 ───────── ────── ─── 京太郎「はぁ……はぁ……」 まだ花が綺麗に咲き誇るには早い、そんな季節。 いや、一部ではすでに咲き始めているか。 俺は集団を抜け校門を駆け抜ける。 半月も経てば花びらを舞わす桜並木道をただひたすらに駆けた。 緩やかな下り坂の先、目指しているものを見つけ、よりスピードを上げていく。 後100m……50m……10m…… 近づくに連れ段々ゆっくりに、駆け足から歩きに、その一歩を確かに踏んでいく。 そして立ち止まった。 スプリングコートに身を包んだ彼女は、今日という日も手伝っているのか、どんな花よりも綺麗に見える。 理沙「疲れた?」 京太郎「全然!」 そして一呼吸。鍛えてる体はこんなことではへばらず、元のリズムへとすぐに戻ってくれた。 二人とも無言ではあったもののどちらからともなく見つめあう。 理沙「京太郎!」プンスコ 京太郎「……わかった。いや、わかってるよ」 ポケットから箱を取り出し、中に入ってるリングを取り出した。 二人とも納得して約束していたにも関わらず緊張するな――― 震えそうになる手を動かし、彼女の左手を取る。そして、薬指にリングをはめた。 京太郎「結婚してくれますか?」 理沙「……」コクリ 顔を赤くして小さく頷いた後、言葉に出来なかった分を詰め込むように口付けをしてきた。 答えるようにして、その小さな肩を優しく抱き寄せる。 また一つ、花が咲き、春の訪れを報せているようだ――― カン!
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377983742/ 久「そう。インターハイも終わって夏休みも残り少ないけど後身育成の為にね」 和「合同と言うことはまた以前の3校ですか?」 久「いいえ。今度は別の学校よ」 まこ「ほう。いったい何処とやるんじゃ?」 久「なんとあの白糸台! そしてもう1校、阿知賀女子が来るわ」 咲「白糸台!? それってお姉ちゃんの」 久「ええ。話を持ち掛けてくれたのは阿知賀の赤土先生なんだけど、じゃあ一緒にどうかって白糸台に連絡を取ったら先方も是非にって」 咲「わぁ、じゃあ久し振りにお姉ちゃんに会えるんですね」 優希「咲ちゃん嬉しそうだじぇ!」 和「よかったですね。咲さん」 咲「うん! ありがとう、優希ちゃん和ちゃん」 咲「あ、でも……合同合宿って事は京ちゃんは……」チラッ 京太郎「あ、はは……まぁ俺に気にせずみんなで行ってきてくれよ」 久「ああ、今回は須賀君にも参加してもらうから」 久以外「えっ!?」 久「言ったでしょう? 後身育成の為の合宿だって」 久「須賀君も立派な部員なんだから。もっと強くなってもらわないとね」 和「けど、私達は構いませんが先方は大丈夫なんでしょうか」 久「その点もだーいじょーうぶ。バッチリ許可を取ってあるから」 久「雑用を任されるって言ったら二つ返事でOKしてくれたわ」 京太郎「あはは、はぁ……雑用するのは確定なんですね」 久「そりゃ唯一の男手なんですもの。頼りにしてるわよ男の子」 京太郎「はぁ……わっかりました! 雑用でもなんでもやりますから是非連れて行ってください!」ペッコリン 久「よし! 良い返事ね」 咲「よかったね京ちゃん!」 和「頑張りましょうね須賀君」ニコ 京太郎「ああ! ありがとな咲、和」 優希「これで少しは成長してくれれば京太郎も練習相手になるんだじぇ! 今のままじゃよわよわ過ぎてただのカモだじぇ」 和「優希、そんな言い方をしてはダメですよ」 京太郎「はん! 見てろよ今にお前より強くなってやるからな!」 優希「ほほう! このゆーき様より強くとは大きく出たもんだじゃ」 まこ「くく、まぁ練習相手云々は置いておくとして合宿の間お前さんをシゴけるのかと思うとなかなか楽しそうじゃの」ククク 京太郎「う、お、お手柔らかにお願いします」 久「はいはい意気込みもいいけどこっち注目」パンパン 久「合宿は3日後。はぐれても行けないからいったん学校に集まること。良いわね咲?」 咲「な、なんでそこで私に振るんですかぁ?」 咲以外(そりゃ……) 京太郎「じゃあ当日の朝は俺が迎えに行ってやるよ」 咲「学校までなら迷わないよ!」プンプン まこ「はいはいじゃれないじゃれない」 咲「じゃれてません!///」 久「と、まぁそう言うわけだから明日から当日まで部活はお休みね準備とかもあるでしょうし。いいわね」 久以外「はい」 久「じゃあこれで今日の部活は終了。解散!」 全員「お疲れ様でした!」 ――――― ――― ― 1年生が帰った後 まこ「のう久、この合宿ってのは」 久「相変わらず聡いわね。そうよ」 久「あの子達のおかげで夢の全国制覇を達成できたこれはそのちょっとしたお礼よ」 まこ「また回りくどい事を、素直に慰安旅行だと言えばよかろうが」 久「嫌よそんなの、なんか……恥ずかしいじゃない///」 久「それに合宿って言うのも別に嘘ってわけじゃないわ。ただそういう言い方も出来るってだけよ」 まこ「はいはい。お前さんがそう言うならそういう事にしとくか」 久「あ、なにその言い方、可愛くない」 まこ「はいはい。さーてわしも帰るとするか」 久「早!? あ、ちょっと待って」 まこ「ほれ、はようせんか」スタスタ 久「言いながら置いていかないでよ! ちょっとまこー!」タタタ ガチャ、バタン!、カチャン 電車に揺られバスに揺られやって来ました合宿場。 京太郎「へぇ、なかなか良いとこですね。落ち着いた感じで」 まこ「なんじゃノスタルジックな感じじゃの」 優希「そんなことより早く行こうじぇ!」 京太郎「そうだな。…………ん?」 優希に促がされながら歩き出そうとするとあるものが目に留まる。 その名も自動販売機。 京太郎「ふむ……」 逡巡、後の閃き。 京太郎「すまん。ちょっと待っててくれ」 咲「京ちゃん?」 咲の声を半ば無視しつつ、俺は自販機に硬貨を投入。 ボタンを押して商品を取り出す。うえぇ熱い。 和「飲み物ですか? それなら私、水筒にアイスティーを入れてきましたけど」 日傘を差した和がそういって少し手荷物を振ってみせる。 優希「うわぁしかもホットコーヒー。京太郎、暑さでとうとう頭までやらっれちゃったじぇ」 京太郎「ああ、これはこれで良いんだよ。その内わかる。和のは後の楽しみにさせてもらうよ」 和「はぁ……」 要領を得ないと言った感じだ。でしょうねぇ。 久「あなた達、しゃべってると置いてくわよ」 1年生「はーい」 旅館前 その玄関先でごろ巻いてるあの集団は、 久「弘世さん」 菫「! ああ、竹井部長か。先週の電話以来だな」 振り返ったのは白糸台の部長である弘世先輩。 照「咲、久し振り」 弘世先輩と並んで咲のお姉さんである照さんが振り返る。 咲「うん。直に会うのは久し振りだねお姉ちゃん」 咲は照さんに会えて本当に嬉しそうだ。 照「咲、少し見ない間にまた大きくなって」 咲「やだお姉ちゃん、親戚のおばさんみたい」クスクス 2人もいろいろあったが今となってはそれも過去。気兼ねなく話せている。 美しい姉妹愛だ。 誠子「お久し振りです!」ペッコリン 尭深「お久し振りです……」ペコ 亦野先輩と渋谷先輩が挨拶とともに会釈をしてくるのでこちらもそれに応える。 そして残りの1人は…… 淡「サキー! ユッキー! ノドカー! 久し振りー!!」 さーてうるさいのが来たぞぉ。 周囲を見て回っていたんであろう一際やかましいのが向こうから突っ走ってくる。 淡「わーい!」ダキッ 咲「わわ、もう淡ちゃんってば」 和「お久し振りです淡さん」 優希「久し振りだじぇ!」 淡「うん! 2人とも久し振り!」 女の子が4人でニャンニャンしている。 微笑ましい。 淡「お?」 再会の挨拶もそこそこに、俺に気付いた淡がこちらに近付いてくる。 淡「よ!」 京太郎「おう」 かっっる…… 淡「ふーん、ほーう……」ジロジロ なんすか? 淡「やーい荷物持ちー」ケラケラ 京太郎「うっせ、力仕事は男の仕事なんだからいいんだよ」 淡「”男の”じゃないでしょ、”キョータローの”でしょ」ケラケラ 淡「それより私喉渇いた。なんか買ってきて」 京太郎「ああ、そんなことを言い出すんじゃないかと思って用意してあるよ。ほれ」 そう言って俺は先程買った缶コーヒーを差し出す。 淡「うえ、コーヒー……しかもホットで無糖。これやだ! 苦いもん」 京太郎「そうだと思ったから買った」 淡「むぅ~!」ブンッ 京太郎「おわっ!? おま、投げるなよあぶねぇな!」 こいつ、中身の入ったスチール缶を全力投球しやがった。 相変わらず無茶苦茶な奴だな。 菫「おい淡、遊んでるなら置いてくぞ」 部長と話をしていた弘世先輩が淡を呼び付ける。 どうやら話は終わったらしい。 って言うかこのやり取りさっき見たな。 淡「あ、待ってよスミレー!」 先立っていた白糸台のメンバーに合流していく淡の後姿を見ながら俺は地面に転がるスチール缶を拾い上げる。 照「じゃあまた後で」 淡「また後でね! サキ!」 咲「うん、また後で」フリフリ 淡「……」 淡「キョータローのアホ! べー!」 あっかんべーをした後そのまま照さん達に付いて建物の中へ入っていく。 まったく、やれやれだぜ。 久「じゃあ私達も部屋に荷物を置きに行きましょうか」 和「はい」 部長に促がされて歩みを進める清澄の面々。 咲「見てたよ京ちゃん。ダメだよああいうの」 京太郎「いやいや咲さん。あれは俺らなりのコミュニケーションでしてね」 和「どこの地域限定のコミュニケーションですか」 京太郎「き、今日の和は突っ込み厳しいね」 prrrrrrr 咲「ケータイ?」 優希「誰だじぇ?」 京太郎「すまん俺だ。ん、っと……」 ズボンの後ポケットに突っ込んでいて携帯電話を取り出そうとするが荷物が邪魔で上手く取れない。 咲「片方持つよ」 京太郎「あ、すまん」 咲に荷物を分担してもらい、俺は取り出した携帯電話の液晶を眺める。そこには『赤土先生』の文字。 嫌な予感がする。 京太郎「はいこちら宇宙大統領。イタズラ電話の場合は銀河的に抹殺……」 晴絵『もしもし須賀君? 私、赤土だけど』 京太郎「あ、はい。須賀です。はい」 もっと乗っかってきてほしかった。 晴絵『悪いねー急に。今どこ?』 京太郎「今ですか? ちょうど玄関前ですけど」 晴絵『お、タイミング良いねぇ。じゃあ裏の駐車場までヨロ』 京太郎「え?」 晴絵『そんじゃね、待ってるから! よろしくー!』ガチャッ、ツー…ツー… そして唐突に切れた。 台風みたいな人だ。 咲「京ちゃん?」 京太郎「デートに誘われましたー」 咲「え!? デートって、ええっ!!??」 久「モテること」 咲「デートって、え!? 京ちゃん私聞いてい、聞いてないよ!?」 和「落ち着いてください咲さん。あれはどう見ても用事を押し付けられただけです」 咲「あ、え、そ、そうなの? 京ちゃん」 京太郎「まぁ、はい。そうなんだけどね」 まこ「で、誰からだったんじゃ?」 京太郎「阿知賀の赤土先生が。なんか駐車場まで来てほしいって」 まこ「駐車場か。地下駐車場じゃなくてよかったの」 京太郎「地下?」 まこ「いや気にせんでいい」 久「駐車場ってことは車までってことね。とするとなにかの荷物運びかしら」 京太郎「おそらく」 和「どうします? 私達も行きますか?」 京太郎「いや特になにも言ってなかったしたぶん俺だけで良いと思う。みんなは先に荷物降ろしてきてくれよ」 咲「じゃあ京ちゃんの荷物は私が運んでおこうか?」 京太郎「いいよいいよ、別に。玄関ホールのどっか適当に置いといてくれれば」 咲「でも……」 久「咲。ここは須賀君を立ててあげましょう。きっと須賀君の1ミリ程のプライドが許さないのよ」 事実その通りだけどそういわれるとなんか悲しい。 咲「わかりました。じゃあ京ちゃん、用事が済んだらお昼、一緒に食べようね」 京太郎「おう!」 女衆が引き上げていくのを見送った後、俺は1人建物の裏手に回る。 コンクリで綺麗に舗装された駐車場にはほとんど車が停まっていない。 俺は視界を巡らせ目当ての人物を探す。いた。 晴絵「やぁ、悪いね。わざわざ」 京太郎「どうも、お久し振りです」 晴絵「はい、お久し振り。で、早速で悪いんだけど」 そう言って先生は車の荷台を開ける。 晴絵「これ、運んでもらって良いかな?」 なんだこりゃ、いや日本人なら誰でも知ってるようなものだけどなんでこれが今ここに? 京太郎「なんですかこれは?」 晴絵「なにって、炬燵だけど」 京太郎「それは把握してます(直伝)」 晴絵「悪いんだけどそれ、上まで運んでってくれない」 京太郎「はぁ、まぁ良いですけど」 なんで炬燵。真夏に炬燵? いや待て、いるだろ。知り合いに1人。真夏でもこれを必要とする人が。 京太郎「これってやっぱり宥さんの?」 晴絵「そーそー、大正解」 っしゃーっ!! なんかやる気出て来た。 京太郎「OK! 任してください」 晴絵「君ならそう言ってくれると思ってた! よ! 男前!」 京太郎「よしてくださいよ! おだてられると調子に乗るタイプなんで」 晴絵(だからおだててるんだけどな~) 京太郎「それじゃあ、よっと」 掛け声で勢いをつけて一気に持ち上げる。あ、あんまり重くない。 京太郎「これなら炬燵布団も一緒に持っていけそうですね。どこですか?」 晴絵「へぇ、素直に驚いた。結構力持ちなんだ」 京太郎「そりゃあ、日々のあれこれの賜物ですよ」 晴絵「じゃあ、ホントに悪いんだけどよろしくね」 京太郎「はい。任されました」 同行していた赤土先生と途中で別れ、宥さんと玄さんの宿泊する部屋に向かう。 京太郎「え、っと確かこっちだよな」 ?「京太郎?」 お、この声は…… 京太郎「鷺森先輩、トゥーッスッ!!(舎弟風)」 京太郎「お久し振りッス!! お変わりないッスか!?」 灼「うん、久し振り。……その荷物、宥さんの?」 京太郎「うッス!!」 灼「ならそこを真っ直ぐ行ったところだよ」 京太郎「アザッリャッスッ!!」 灼「じゃあ私、ハルちゃんの所に行くから。がんばって」フリフリ 京太郎「トゥーッスッ!!(舎弟風)」 去っていく鷺森先輩が見えなくなってから下げていた頭を上げる。 京太郎「さて、行こうか」 コンコン <ハーイ 京太郎「失礼しま~す」ソロ~リ ノックの返事を聞いてゆっくり戸を開く。 宥「あ、京太郎君」 京太郎「どうもどうも、お久し振りです宥さん。本日もご機嫌麗しゅう」 宥「うん。久し振り」ニコニコ そろそろ久し振りという単語がゲシュタルト崩壊してきそうだ。 京太郎「1人ですか?」 部屋で1人座っていた宥さんが立ち上がり出迎えてくれるが、我がベスト・オブ・マイフレンズの姿は見えない。 宥「うん。玄ちゃんは穏乃ちゃんや憧ちゃんと一緒に、和ちゃん達に会いに行ったよ」 京太郎「そうなんですか」 そりゃ残念。 宥「それ持ってきてくれたんだ。炬燵」 京太郎「あ、はい。赤土先生に頼まれて」 宥「そうなんだ。ごめんね? 自分で持って行くって言ったんだけど……」 申し訳なさそうにシュンとしてしまう宥さん。 なぜかこっちまで申し訳ない気持ちになってしまう。 京太郎「おっと、待ってください。俺はお礼を言われこそすれ、謝られるような事をしたつもりはないですよ?」 ちょっとキザったらしかったかな。 俺の言葉にしばしキョトンとした後、口元を押さえてクスクスと笑い出す宥さん。 宥「ふふ、そうだね。ありがとう京太郎君」 ああ、やっぱり女性の笑顔は良いね。明日への活力になる。 それが美人ならなおさらね。 京太郎「じゃあちゃっちゃと組み立てちゃいましょうか」 宥「ええ!? そんな悪いよ」 京太郎「いえ実はこう見えて僕、炬燵の組み立てが趣味でして1日に1回は炬燵組まないと気がすまないんですよ」 宥「ええ~」 京太郎「ほらほら、ちゃっちゃとやりますよ。ちゃっちゃっちゃっと」 宥「わわわ、私も手伝うよ~」 そんなこんなで炬燵完成。 部屋の隅の邪魔にならない場所に設置。そこはまさに宥さんだけの聖域。 宥「よかったら京太郎君もどうぞ」ニコッ 京太郎「あ、これはご丁寧にどうも」ペコ ゴソゴソ あ~ 宥「あったかいね~」ニコニコ …………………………………………あっつ。 やっべぇ、これやっべぇ。 宥「~♪」ホコホコ 京太郎「……」ダラダラ つい流れでご一緒することになってしまった。 いや、宥さんとご一緒するのはやぶさかではないのだがこれはちょっと。 京太郎「……」チラッ 宥「?……」ニコ 微笑まれてしまった。 普段の俺なら「暑い!もうお家帰う!」といって跳び出しているところだが、が! そんな俺を見たら宥さんはどう思うよ? 涙目ぞ? 故意に宥さんを悲しませようと思えるほど俺はまだこの世界に絶望しちゃいないが、はてどうしたものか。 尭深「……」 な ん か 1 人 増 え て る ! 尭深「……」ジョー ティ○ァールですか、なかなか良いポットを使ってますね。 尭深「あの……お茶、どうぞ」スス 宥「あ、どうも~」 尭深「須賀君も」 京太郎「あ、すみません。ありがとうございます」 宥「……」ズズズ 宥「あったか~い」 平然と飲んだ。そしてめっちゃ幸せそうな顔してる。可愛い。 尭深「……」フーフー、ズズズ 湯のみ両手で持ってめっちゃフーフーしてから飲んでる。可愛い。 京太郎「……」ズズズ …………………………………………あっつ。 その後、なんかすごい3人でお茶飲んだり積み木やったり趣味の園芸(録画)を見たり、 治安警察特殊機動隊(ユーバーファルコマンド)との激闘だとか、ラインアーク攻防だとか、第6聖女がうんぬんかんぬんだとか、 俺と宥さんと渋谷先輩の三角関係からなるラブロマンス(願望)だとか、 もうアカデミー賞とかバンバン取っちゃう位の大スペクタクルが展開されたが割愛。 まぁこれで夏休みの絵日記の宿題に書くネタが出来たからよしとするか。そんな宿題ないけど。 で、今は3校全員がホールに集まっている。 咲「京ちゃん、大丈夫だった?」 京太郎「ん? ああ、なんか炬燵運ばされたけどただそれだけ。平気ヘーキ」 優希「この万年発情期の犬はすぐ他所の女の子と仲良くおしゃべりし出すからな。きちんと見張ってないとダメだじぇ」 京太郎「しゃべるのもダメなのかよ。大体ここ俺以外みんな女の子じゃん」 まぁ1人、年季の入った女の子がいらっしゃるけど。 京太郎「逆に俺が1人で壁に向かってブツブツしゃべってたらどう思うよう? 嫌だろ? 同じ部活の仲間的に」 優希「あー……」 咲「ち、ちょっとイヤだね……」 和「咲さんよく考えてください。だいぶ嫌です」 清澄カルテットで相変わらず中身のない雑談に耽っていたが、それも自然に収まりそれに合わせてか場がシンと静まる。 久「コホン、この度は3校合同合宿にお集まり頂き誠にありがとうございます」 穏乃「こう言うのって先生がアイサツとかするもんじゃないんですか?」ヒソッ 晴絵「良いの良いの。先生は生徒達の自主性を重んじる派だから」ヒソ 憧(面倒だっただけじゃないでしょうね……) 久「移動の疲れもあることと思いますので今日は自由行動ということで、よろしいでしょうか」 和「聞き覚えのある挨拶ですね」ヒソヒソ まこ「考えるの面倒じゃったんじゃろ」ヒソッ 久「それと、今回はうちの須賀君が参加することになりましたので。よろしくお願いします」 部長の言葉に自然と全員の視線が俺に集まる。 俺は一歩前へ。ぐるっとみんなの顔を見回 淡「……」ムスー なんかすげー目してる奴がいるんだけど。 穏乃・玄「……」ニコニコ、フリフリ にこやかに手を振ってもらえた。天使や。 淡「ふん……」プイ 京太郎「えっと、この度は俺の参加を認めて頂いてありがとうございます」 京太郎「えー麻雀とかいろいろ不慣れ、不勉強なことも多いでですがご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします!」ペッコリン <ワー、パチパチパチパチ 久「まぁ本人もこう言ってる事ですので、皆さんもビシビシこき使ってあげて下さい」 京太郎「任せてください! やりますよ俺は」 久「お、やる気満々ね男の子」 京太郎「もちろんですよ」 京太郎「なんか前回、長野でやった4校合同合宿で俺だけハブられましたけれど」 京太郎「それでも俺は部長に着いて行くという忠誠心の高さと心の雄大さここぞとばかりにアピールしていくって」 京太郎「そういう気概なんで!」 白糸台「……」ジトー 阿知賀「……」ジトー 久「ちょっ!? 須賀君あなたなに言ってるのよ! 違、みんな違うの! 仕方なかったの!」 久「だって来るのはみんな女生徒なのよ! 今回のが特例なの! やめて、私の悪者にするかのようなそんな目で私を見ないで!」 部長孤立! 経済制裁。 京太郎「……」 久「あなたも黙ってないでなにかフォローしてよ!」 京太郎「え? あー、大丈夫です! 俺、部長のこと尊敬してます!」 久「……」 久「なにが!? あなた連れて来てあげた恩を忘れてるんじゃないでしょうね」 京太郎「や、まぁそうなんですけど。けど言う時は言わないと」 久「良い度胸ね。須賀君は後で反省室に来るように」 え? ここそんなのあんの? まこ「はいはい。そこら辺にしときんさい。お前さんらが漫才始めたら日が暮れるわ」 それを言われたら反論の余地がない。 まこ「それじゃあ、堅苦しい挨拶はこの辺にして解散ということで」 全員「はい!」 染谷先輩が締めてこの場は解散となった。 咲「京ちゃん、さっきの約束」 京太郎「おう。昼飯のな、先に部屋に荷物置いてくるから待っててくれ」 宥さん達の部屋から直でこの場に来た為、俺はまだ自分の部屋すら確認していない。 部屋割りは、清澄、白糸台が5人部屋。阿知賀がティーチャー赤土を含む6人の大部屋らしい。 かく言う俺は1人部屋。まぁ個室って言うのも気楽でいいよね。 誰に気兼ねすることもない自由さと解放感、これは同室の人間がいては味わえない個室ならではですよね。 自己暗示で孤独感を誤魔化していたら俺の泊まる部屋に着いた。 まぁまぁゆーても外観が立派でしたし、きっと内装もなかなか趣のある…… …………………………………………せっま。 べぇ、まじやっべぇ。 これたたみ二畳くらいしかないですやん。これ。 布団敷いたらもうほとんどスペースないですやん。 部屋って言うか倉庫じゃん。 俺は部屋から顔を出して表を確認する。 『犬の間』 っと書かれていた。嫌なネーミングだ。 京太郎「いやいやいや、俺庶民だし? あんま広くても落ち着かないし? むしろこの閉塞感が心地良いし?」 狭い所が落ち着くのってなんでだろうねあれ? 自分を叱咤しつつ、この部屋唯一の特徴と言っても良い窓へと歩み寄る。 京太郎「ほら、窓を開ければこんな自然豊かな景色が……」ガラララ …………。 ガララ、ピシャ 京太郎「崖じゃねぇか」 もうこの時点で先行き不安なんだけど。 ガラッ 淡「……」 京太郎「? ……淡?」 今を生きる俺は部屋の間取りと言う5分前の絶望を過去へと追いやり、飯でも食って気持ちを落ち着けようと部屋を出た。 出た先には壁に凭れ掛かってる淡。 京太郎「どうした? 女子の部屋は向こうだろ? それとも俺になんか用?」 淡「あの、えっと……」 京太郎「ん?」 淡「さっきは、ごめん……」 京太郎「なにが?」 淡「だから、自分でもさっきの態度は酷かったかなって……だから……」 泣きそうな顔で、長く伸びた上質な金糸のような髪を弄っている。 京太郎「ちょっとごめん」ガラッ 断りを入れて一旦部屋に戻る。 淡「あ、え? なんで……!?」 戻ろうとするのを遮られた。 淡「やだ、怒らないで。謝るから! 嫌いになっちゃヤダ!」 京太郎「怒ってないから、ならないから。ちょっとだけ、な? すぐ戻るから」ポンポン 淡「ホントぅ?」 京太郎「ホントホント」 淡「絶対だからね?」 京太郎「おう!」 再び自室(仮)。 俺はわき目も振らずに窓へと駆け寄り盛大に開け放す。 うむ! 改めて見ても崖だ。 俺は肺いっぱいに空気を吸い込み、そして一気に解放した。 京太郎「可愛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 カワイイイイイイイ イイイイ イイ … おい、なんだあれあんな可愛い生き物おるんかい? ガラ 京太郎「悪い。待たせたな」 淡「///」 京太郎「なにモジモジしてんの? なんかキモいよ」 淡「っ…………もう! キョータローのアホ!」アワー! 京太郎「そーそーお前はそういう風に不遜な感じでいろよ。そっちのがお前らしい」ナデナデ 京太郎「まぁたまにはさっきみたいなしおらしいのも悪くないけどな」 淡「あ、う…………うん///」アワワ… 京太郎「よし! じゃあ飯でも食いに行くか」 淡「うん! えへへ」ダキ 京太郎「おわ!? おおい、いきなりしがみ付いてくるなよ」 さっきと打って変わって上機嫌な淡が腕に抱きついて来る。 淡「いーんだもーん!」アワワ! 京太郎「ったく、現金な奴」 まぁそういうとこ嫌いじゃないけどね。 淡「そだ、ついでにちょっとジュース買ってきて」 京太郎「おい、あんま調子に乗るなよ」 咲「……」 京太郎「買出しですか?」 久「そうなのよ。実はここ、食事は自炊なんだけどどうも備蓄が空みたいなのよ」 京太郎「なるほど。そこで俺の出番ってわけですね」 京太郎「優希、お前なに食べたい?」 優希「タコス!」 京太郎「でしょうねぇ。言うと思ったよ」 京太郎「他のみんなは?」 和「そうですね。なにか軽いものでお願いします」 京太郎「あいよ。じゃあ、そうだなぁ……」 京太郎「今から行って帰ってくるとそんなたいした物作れないし簡単に出来るサンドイッチかなにかにするか」フンフム まこ「すまんの。お前さんにばっかり雑用を押し付けて」 京太郎「気にしないでくださいよ。これはこれで結構楽しいんですよ」 まこ「ありがとうな。……っで、それはそうとさっきから気になっとったんじゃが」 久「ああ、うん。実は私も気になることが1つ」 京太郎「なんですか?」 「なんで、京太郎(須賀君)の腕に大星さんがしがみ付いてるの(んじゃ)?」 淡「えへへ、キョ~タロ~」アワスリスリ 優希「やっぱり京太郎は天然ジゴロだじぇ」 和「麻雀もこのくらい熱心に取り組んでくれればいいんですが……」 京太郎(ボロクソ言うなこいつら) 咲「……」 京太郎「うわ、無言の咲めっちゃコワッ!?」 優和ま久「……」ジトー、シラー 咲「……」 ああ、ing系で俺の信用とかなんかいろいろが低下している…… 照「話は聞かせてもらった」バーン!! な ん か ま た や や こ し い の が 来 た ! 菫「なんというか、その……すまない」 お付の人も来ちゃったよ。しかも第一声が謝罪って…… 苦労なされてるんですね。 久「え、えーっと……宮永さん?」 照「買出しに行くんでしょう?」 久「ええ、まぁ」 照「私も行く!!」ドーン!! 清澄「……」チラッ 菫「うう、すまない……」 京太郎「さ、作戦タイム!」 照「了承」 照さん(と淡)をいったん放置し、弘世先輩を加えた6人で顔を突き合わせて作戦を練る。 京太郎「どういうことですか弘世先輩!?」ヒソ 菫「わからん! 買出しの件で竹井部長や鷺森部長、赤土先生と相談せねばと言ったら突然自分も行くと言い出して」ヒソヒソ 菫「というわけで須賀、申し訳ないがよろしく頼む」ヒソヒソ ええ~また俺ぇ~? 京太郎「あの、そういう面倒ごと俺に丸投げするのやめて頂けません?」ヒソヒソ 菫「あれを制御出来るのお前と、妹さんだけだ。だからお前に頼らざるを得ない」ヒソヒソ まぁもう一方がこれだからな。 照←あれ 咲←これ 咲(今、酷い扱いを受けた気がする) 久「良いじゃない。人手は多い方がいいんだし」 さすが部長。他人を使うことには余念がない。 京太郎「そもそも、危険ですよ。知らない土地で宮永の血族を無闇に歩き回らせるのは」 咲「え? それ私も含んでるの?」 菫「う、うむ。それもそうか……」 京太郎「ダメですよ、きちんと管理しないと。この2人迷子の頻度が多いですから」 京太郎「ちょっと常軌を逸してるんで、その辺管理しないとやばいですよ」 照「まだ?」 しびれを切らした照さんが俺達が囲んでいた円陣を覗き込んでくる。 「……」 淡「~♪」 誰も何も答えない。あ、これ俺が交渉する流れだ。 京太郎「え~っとなんで照さんは自分から買出しを申し出たんですか?」 照「それは、えっと……」ワタワタ ジェスチャーでなにかを必死に伝えようとしている。 ふ~む。なるほどなるほど、なるほど~ 京太郎「お菓子なら買いませんよ」 照「…………え?」テルガーン! そんなこの世の終わりみたいな顔されても。 なんか久々に会ったら嗜虐心を擽られるなこの人。 照「どうしても?」 京太郎「どうしても」 照「なんでいじわるするの?」 京太郎「なんででしょうねぇ?」 黒目の縁の辺りがフルフルしてる。可愛い。 咲「だ、大丈夫だよお姉ちゃん。私がお菓子持ってきたからそれ一緒に食べよう? ね?」ナデナデ 照「うん……」テルテル 京太郎「咲、そうやってお前が甘やかすからいつまで経っても照さんがポンコツなんだぞ」 咲「ううぅ……」 菫(この男、順当に宮永の血統に火をくべているな) 京太郎「なんつって」 照咲「……ふぇ?」 京太郎「お菓子ですね? もちろん買って来ますよ」 照「本当?」 京太郎「本当本当」 咲「よかったね! お姉ちゃん」 照「うん!」 ふぅ、好きな子に意地悪しちゃう系の小学生の心境が少し垣間見えたな。 しかしよかった。これでめでたしめでたしだな、うんうん。 咲「あ、そうだ京ちゃん」 京太郎「うん?」 咲「そう言えば、さ……」 京太郎「お、おう……」 なんだこの、得体の知れない悪寒は…… 咲「な ん で 淡 ち ゃ ん と ベ タ ベ タ し て た の ?」ゴッ 京太郎「え?」 咲「京ちゃんのぉ…………」 咲「バカァァァァァァァァァァーーーーーーーーー!!!!!」ドゴォッ!! 京太郎「どぅごっふぉっ!?」 なんか……魔貫光殺砲みたいなエフェクトのボディブローが腹部に突き刺さった。 お前、ずっと気をためてたんか…… 優希「見え透いたオチだじぇ」 和「予想外という程のものではないですね」
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1358177535/ 京太郎「買ってくるけど何がいい?」 淡「んーと……キョータローのセンスで」 京太郎「はいよ」ガタ 菫「須賀、あまり淡を甘やかすなよ。すぐに調子に乗るからな」 淡「ヒドーイ!!」 京太郎「いえ丁度買い出しに行こうと思ってたところなんで。先輩達も何か必要なものとかありますか?」 照「お菓子買ってきて。チョコ系」 淡「ダッシュでな!!」 バタン 京太郎「んーと、とりあえず近くの業務スーパーでいいか」 スタスタ... ――――――――――――――――――― ウィーン 「いらっしゃいませー!」 京太郎「必要なものはっと……」ガサゴソ 京太郎「えー、茶葉に月餅にティッシュ箱……それに32ワットの蛍光灯一本にミノーがひとつ……ってなんじゃこりゃ」 京太郎「ミノーってのがよくわからんから、先輩にメールで確認するとして……」ポチポチ 京太郎「よし……他は何とかありそうだな」 京太郎「さて、探しますか」 京太郎「……よし、何とか揃ったな」 京太郎「あとは宮永先輩のお菓子に、淡に頼まれてたジュースか」 京太郎「先輩はいつも棒系のチョコばっか食べてるからな。今回もそれでいいか」キョロキョロ 京太郎「うーんと、ポッ○ーの苺チョコ味か……これだな」ポイッ 京太郎「あとは俺用にマ○ブルチョコも買ってと……」ポイッ 京太郎「淡は……そうだな」 京太郎「お、これなんかいいじゃん! ホットケーキの飲み物だって!」 京太郎「お子様のあいつにはぴったりだな……よし」ポイッ 京太郎「さーて、精算精算っと」 ――――――――――――――――――― 京太郎「あっ、そうだメール」カチャ 京太郎「ふむふむ……わからないから買ってこなくていい、と」 京太郎「了解でっす。すぐに帰ります……っと」ポチポチ 京太郎「よし、んじゃちゃちゃっと戻るか」 スタスタ... ガチャ 京太郎「戻りましたー」 淡「きょうたろーおかえりー! 私の飲み物はっ!?」 京太郎「まぁそう急くな。どうどう」 京太郎「まずは頼まれてたものを先輩方に確認してもらってからな?」 淡「ぶー」 京太郎「先輩、これメモに書いてあったやつひと通り買ってきました」 京太郎「あ、でもミノーってやつが分からなかったんでそれは入ってません」 菫「ああ、照から聞いたよ。たぶんそれは亦野が書いたんだろうな」 京太郎「亦野先輩が……?」 菫「ミノーってのは釣りに使うルアーの名前だそうだ。さっき調べた」 京太郎「そんなのがなんで買い出しのメモに……?」 菫「きっとあいつ自身が買い出しに行く予定で、自分の欲しいものも一緒に買ってこようと思っていたんだろう」 京太郎「あぁ、それでメモに……亦野先輩も案外うっかりですね」 照「……そんなのはいいから早くお菓子」 京太郎「あ、あぁ! すみません……」ガサゴソ 京太郎「茶葉に月餅……これは渋谷先輩ですね」 尭深「あ、ありがとう……」 京太郎「いえいえ……って、うわぁ! いたんですか!?」 尭深「うん……驚かせちゃった……?」 京太郎「い、いえ……大丈夫ですよ」アハハ 京太郎(物静かすぎて、たまに存在を見失うことがあるんだよなー……渋谷先輩って) 京太郎(顔はすげーかわいいけど)ムヘァ 淡「きょうたろー、なに変な顔してんの?」 京太郎「え、あ、いや! してないしてない!」フルフルッ 淡「してたよー! こんな感じでむへぁ……って」 京太郎「こら、マネしない」コツン 淡「痛ったー! ……こんにゃろう、やったなー!」ポカポカ 京太郎「おい、こらやめろって……!」 菫「……ごほんっ!」 京太郎「あっ……」 淡「……き、きょうたろーが悪いんだからねっ!」 京太郎「お前なぁ……」 菫「いいから、淡はそこで黙って座っていろ」 淡「はーい……」ブスッ 菫「須賀は残りを手短に報告しろ」 京太郎「あ、はい! えーっとですね……」 淡「……さっききょうたろー変な顔してたよね? ね、テルー?」 照「お菓子……お菓子早く……」ギュルル 淡「もう、聞いてないしっ」 菫「よし、報告ありがとう。代金はあとで部費から出す」 京太郎「わかりました」 照「終わった……? 京ちゃん、早くお菓子を」 京太郎「あ、ええ! ちょっと待っててください……」ガサゴソ 京太郎「宮永先輩にはこの、苺チョコポッ○ーを買ってきました」スッ 照「うわ、これ新発売の……ありがと、京ちゃん」ビリリ 京太郎「いえいえ」 京太郎(ってさっそく破ってるし) 照「んぐんぐ……」ニコニコ 京太郎(宮永先輩、いつもはあまり感情を表に出さないけど、お菓子食べてる時だけは無防備なんだよなぁ……) 淡「いいなぁ……きょうたろー、私のは!?」 京太郎「え、いやお前はお菓子頼んでねーだろ」 淡「えー! なにそれー! 気が利かないやつぅ!」 京太郎「気が利かねーって……お前にはちゃんと飲み物買ってきてやったよ! ほら!」スッ」 淡「うわぁ、なにこれ! ホットケーキだって! 見て、テルー!」 京太郎(ふぅ……まったく、単純なやつ) 照「おいしそう……私もほしかった」ジー 京太郎「ん……って、えっ!? なんすかその目は?」 照「……私もほしかった」ジー 京太郎「ぅう……い、いやでも、あるのは一つだけですし……」 淡「こらー、きょうたろー! テルーがほしいって言ってるんだから買ってこーい!」 京太郎「なんでお前に命令されるんだよ! ってか、お前がちょっと分けてやればいいじゃん!」 淡「いやだよー! これは私のものっ!」 照「ホットケーキ……」ショボーン 京太郎「ぅぐ……」 京太郎「ああ、いいですよ買ってきますぅ!」 照「ほんと、京ちゃん……?」 淡「さすがきょうたろー! よっ、男前!」 京太郎「ったく、宮永先輩も人使い荒いですよね……」ブツブツ 淡「んじゃー、私も行くー!」 京太郎「って、お前も行くのかよ! なんで!?」 淡「だって、テルーはお菓子ばっか食べてるし、スミレはちょーぼ書いてて相手してくれないし、ヒマなんだもーん!」 京太郎「んじゃお前行ってきて。お金やるから」 淡「なっ、そんなのダメー! なんでそうなるわけー!」 京太郎「だってお前ヒマなんだろ? それに本来は一年であるお前だって買い出し要因なんだからなー?」 淡「なにいってんのっ!? 私レギュラー! きょうたろーはレギュラーじゃないじゃん!」 淡「それにこういうのは男子が率先してやることでしょー!?」 京太郎「っだよその暴論は……ちょっと麻雀がうまいからってよぉ」 淡「ちょっとじゃないし! きょうたろーの百倍だし!」 京太郎「ああ、もうわかったよ! 勝手についてこい!」 淡「やたー! 勝手についてくー♪」ダキッ 京太郎「ちょ、こら離れろって!」 バタン 菫「……はぁ、やっとうるさいのがいなくなったよ」 照「……私は好きだけど。あの二人が騒いでるの」ポリポリ 菫「ふーん、お前は物好きだな」 照「物好き……? そうかも」 照「でも、菫だって今うれしそうにしてる」 菫「なっ……嬉しそうにしてるって、私が?」 照「……」コクッ 菫「そ、そんなことないぞ! ただ……」 照「……ただ?」 菫「いや、須賀もちゃんと馴染んでくれたようで何よりだったな……と」 照「……」 菫「ほら、あいつがうちの高校に転入してきて麻雀部に入ることになったとき」 菫「正直不安だったんだ……あまり実力もない上に、数少ない男子部員だったからな」 菫「けど心配無用だったみたいだ。お前も、それに淡や渋谷も、あいつに気兼ねなく接してくれた」 菫「まぁ淡についてはあまり気にしていなかったというか、予想通りというか……」 照「……ふふ、たしかに」 菫「いずれにせよ、お礼を言いたい。感謝してるよ、二人……あぁ、それに亦野もだな」 照「……ぷっくく」プルプル 菫「お、おい! なんだその笑いは! 人がせっかく……!」 照「……っ、ご、ごめん……でも、どうして菫が感謝してるの……?」プルプル 菫「そ、それは……! その……わ、我が麻雀部の部長としてだな!」 照「……菫も、京ちゃんのこと心配してくれてたんだね」 菫「そ、そりゃあな……?」 照「……っぷ……お、お母さんみたい……」プクク 菫「お、お母さん!? 私が!? あいつの!?」ガタッ 菫「さっきも言ったが私は部長として……って、ちょっとこら待て逃げるな照!」 尭深「……」ズズー 尭深(先輩たちも、十分騒がしいです……) ――――――――――――――――――― 淡「それで、どこにいくのー?」 京太郎「ん? 業務スーパーだけど」 淡「ぎょーむすーぱー? そんなんあったっけ?」 京太郎「ったく、お前ここ地元だろ? 転校してきた俺の方が詳しいってどういうことだよ」 淡「だってここらへん、通学路しか通んないんだもん!」 京太郎「へいへい、そうですか」 京太郎「業務スーパーはなぁ、ここを真っ直ぐ行って信号を左に曲がったすぐのとこにあるんだ」 京太郎「よく叩き込んどけよ? そのちんちくりんな脳みそにな」ヘヘン 淡「なんか一言余計なんですけどっ!」ゲシッ 京太郎「いてっ!」 淡「まったくもう……ふんっ!」プイッ 京太郎「たた……な、なんも蹴るこたぁないだろ」 淡「きょうたろーはデリカシーなさすぎ! もっと女の子にやさしくできないのっ?」 京太郎「優しくしてるよ……お前以外にはな」 淡「なっ! 私にも優しくしろー!」ポカポカ 京太郎「いてっ、痛いってこら……!」 淡「んもうっ!」グイッ 京太郎「お、おわっ! な、なにすんだよ!」 淡「男子ならこうやって女の子をリードするくらいしなきゃダメでしょー?」 京太郎「そ、そりゃ付き合ってる男女の場合だろうが! 腕組みなんて普通やらねーよ!」 淡「なにそれー! じゃ、きょうたろーは私のこと好きじゃないわけ?」 京太郎「なんでそうなる! 俺は、お前の彼氏でもなければ恋人でもないって言ってんの!」 淡「ひっどーい! 京太郎は私のことなんか眼中にないんだー! うえーん!」 京太郎「ウソ泣きすんなウソ泣き」 淡「むっ……と・に・か・く!」 淡「今日は、私とデートってことでエスコートしてもらうから!」 京太郎「買い出しがデートかよ!」 淡「いいからいいから、ほら行くよっ!」 京太郎「おい、こら引っ張んなって!」 京太郎(はぁ、俺の初デートが……ってなに俺も乗り気になってんだよ! こんなのデートのうちに入んないだろ!) 淡「ふんふん♪」 京太郎「……」 京太郎(……入んないよな?) ――――――――――――――――――― 京太郎「よし、早めに戻るか」 淡「ええー! ちょっと寄り道してこーよ!」 京太郎「いやマズいだろ。宮永先輩だって待たせてるんだし」 淡「むぅ……じゃあいいよ」ブスッ 京太郎「……」 京太郎(こいつ……ほんと子供みたいにワガママだよなぁ) 京太郎「はぁ……じゃあ少しだけな?」 淡「えっ……?」 京太郎「少しだけなら、寄り道……してやってもいいぞ」 淡「……!」 淡「きょうたろー、大好き!」ダキッ 京太郎「ちょ、こら引っ付くなって!」 ガランゴロン! 淡「……ん? 何の音?」キョロキョロ 京太郎「さぁ?」 ??「……っ」ダダッ 京太郎「ん、あれは……」 京太郎(……咲? ……いやまさかな。あいつがこんなところにいるわけ……) 淡「? どうしたの、きょうたろー?」 京太郎「いや、なんでもない」 京太郎「んじゃささっと回って帰るぞ」 淡「なっ! ささっとじゃダメー!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「それじゃ、お疲れ様です!」 菫「ああ、お疲れ」 照「お疲れ様……京ちゃん、ミルクセーキありがとうね」 京太郎「ああ、どういたしまして」 淡「んじゃ帰ろー! テルー、スミレ!」 京太郎「淡、あんまし先輩方に迷惑かけんなよ?」 淡「なっ、人をなんだと思ってるのー!?」 京太郎「幼稚園児」 淡「なにおーっ! このこの!」ポカポカ 菫「ほら淡、さっさと帰るぞ」グイッ 淡「わわっ! ちょ、待ってよスミレ!」 ズルズル... 淡「明日覚えてなさいよー! きょうたろー!」 照「じゃあね、京ちゃん」 京太郎「はい、また明日です」 「わー! わー!」 京太郎「はは、退屈しない奴だぜ。まったく……」 京太郎「俺もそろそろ帰るとするか」 ガチャ 京太郎「よし、戸締りオッケー」 京太郎「あとは鍵を戻して……と」 京太郎「さーて、帰宅帰宅ゥ」 ――――――――――――――――――― スタスタ... 京太郎「夕暮れ時か……なんか郷愁にふけりたくなるな」 京太郎「って俺らしくないか」ハハッ ??「……ほんとそうだね」 京太郎「だよなぁ……って、へ?」 京太郎(い、今の声……どっかで!?) 京太郎「っ!」クルッ 咲「お久しぶりだね……京ちゃん」 京太郎「さ、さ……」 京太郎「咲じゃねえか! どうしてここに?」 咲「ちょっと、ね……お姉ちゃんに会いに」 咲(ウソだけど……) 京太郎「ああ、宮永先輩か。でも先輩ならもう帰ったぞ?」 咲「うん、知ってる……だからあとで家に行こうかと思ってる」 京太郎「ああ、そうだよな。咲なら宮永先輩の家、知ってるもんな」 咲「うん」 京太郎「……俺にも、わざわざ会いに来てくれたのか?」 咲「っ! う、ううん! た、たまたま見つけたから声をかけただけだよ……」 京太郎「ふーん……」 咲「……っ」アセアセ 京太郎「……ほんとかぁ? ほんとは俺に会いたくて仕方なかったんじゃないのかぁ?」ニヤッ 咲「ち、違うよ! そ、そんなわけないでしょ!」 京太郎「へへー、さいですか」ニヤニヤ 咲「さいですよ! 京ちゃんはすぐうぬぼれるんだから……もう」 京太郎「へーへー、ごめんなさいねぇ。モテる男はつらくてよぉ」 咲「……」 京太郎「……なんだぁ、咲。ツッコミはなしかよ」 咲「えっ……ああ! ごめん、なんだっけ……?」 京太郎「おいおい、咲さんにしてはキレがわりぃなぁ……さては長旅で疲れたか?」 咲「う、うん……そうなの、かな……」 京太郎「……」 京太郎「……なら、俺んち寄ってくか?」 咲「えっ、き、京ちゃん家に!?」 京太郎「いや、すぐに宮永先輩んちに行くっていうならあれだけどよ」 咲「い、行く行く! 行かせて、京ちゃんの家!」 京太郎「お、おう……じゃ、ついてきてくれ」 咲「うんっ!」 京太郎「……」 京太郎(なんかやけに食いつきいいな……咲のやつ) スタスタ... 咲「……京ちゃん家は、ここから歩いて行ける距離なの?」 京太郎「ああ、こっから10分くらいかな。一軒家を借りてる」 咲「へえ……」 京太郎「あ、でも帰りちょっとスーパー寄っていっていいか?」 咲「うん、なにか買い物?」 京太郎「いや、今日は両親とも帰るのが遅くなるって連絡があってさ」 京太郎「久々に自炊でもしようかなーと」 京太郎「あ、そうだ! なんなら咲も食ってくか?」 咲「い、いいの?」 京太郎「もちろん!」 咲「あ、ありがとう!」 咲(うれしい……うれしい、けど) 咲(こういうときは、『私が作ってあげるよ!』くらい言いたかったな……) 咲(京ちゃん、こう見えてけっこうなんでもそつなくこなすから……ずるいよ) 京太郎「……どうした?」 咲「え、いやなんでもない!」 京太郎「んー、さては俺の作る夕飯が待ち遠しくて、食卓の妄想にでもふけってたか?」 咲「ち、違うよ!」バンッ 京太郎「いてっ! なにすんだよ!」 咲「京ちゃんが変なこと言うから……!」 京太郎「……っく、はは」 咲「ど、どうしたの? いきなり笑い出して……」 京太郎「い、いやさ……お前とこんなやり取りするのも久々だなぁと思って」 咲「そ、そうだね……」 京太郎「へへ……」 京太郎「……ま、ちゃちゃっと食材買いに行きますか」 咲「……うん」 ――――――――――――――――――― 京太郎「うーん……なににすっかな」 咲「京ちゃん、何が作れるの?」 京太郎「なにがって言われてもな……ある程度なら作り方さえ知ってればいけるし」 咲「すごい……ほんとに料理できるんだね」 京太郎「なんだよ、疑ってたのか?」 咲「う、ううん! 違うけど、人は見かけによらないなぁって」 京太郎「ぐさっ! ……へいへい、そうですよ。俺はどうせずぼら人間ですよ」 咲「そ、そんなつもりで言ったんじゃ……!」 京太郎「……咲はなんかリクエストあるか?」 咲「え……なんでもいいの?」 京太郎「俺の作れるものなら」 咲「じゃあ……し、質素なやつで」 京太郎「す、ずいぶんアバウト!?」 咲「ご、ごめん……でもぱっと思い浮かばなくて」 京太郎「うーん質素か……」 京太郎(……今日はブリが安いみたいだし、煮つけにしてみるか) 京太郎(んで家にある野菜……たしか人参と大根はまだあまってたはず……で味噌汁、いや豚汁作って」 京太郎(ついでに切り干し大根も……それだと買い足さなきゃいけないか。ま、いいけど) 京太郎(あとはほうれん草買って行っておひたしにでもするか) 咲(すごい考えてる……) 京太郎「……よし、決まったぜ」 咲「ほんと?」 京太郎「ああ、さっそく必要なもん買ってこうぜ」 咲「うん!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「いやいいって」 咲「大丈夫! 私は手伝ってもあまり役に立たないだろうから、これくらいさせて!」 京太郎「いや、お前の細腕にその荷物はちときついだろ」 咲「平気だよ……それに、京ちゃんだって細いじゃん」 京太郎「俺のは細マッチョっていうの。いいから貸せって」ヒョイ 咲「あっ……」 京太郎「うご……けっこう重いな。明日の分も一応買ってきたせいか」 咲「でしょ? だから……」 京太郎「あーはいはい。んじゃ半分こな?」 咲「うん」 京太郎「よいしょと……じゃ、咲はこっちの重い方」 咲「お、重い方なんだ!?」 京太郎「だって持ちたがってたじゃねえか」スッ 咲「そ、それはそうだけど」グッ 咲(あれ……別に重くない) 京太郎「……ほら行こうぜ」 咲「え、あ……」 咲「……う、うん……っ///」 ――――――――――――――――――― 京太郎「よし、着いたぞ」 咲「うわぁ、なんか別荘みたい」 京太郎「へんな屋根の形だろ? まぁ中はそれなりだからさ、あがってけよ」 ガチャ 咲「お、お邪魔しまーっす」 京太郎「誰もいねーけどな」 咲「あっ……」 咲(そっか……今は京ちゃんと私の、二人っきりなんだ) 咲「……っ///」 京太郎「そっち、洗面所だから行って手洗ってこいよ」 京太郎「俺はちょっと自分の部屋に鞄おいてくる」ダッダッ 咲「う、うん!」 咲「……へえ、お風呂場はここか」 咲「って、うわわ……///」 咲(京ちゃんの下着……だよね、これ?) 咲(あ、でもお父さんのかも……) 咲「ぅう……///」 咲(こ、こういうところはテキトーなんだよね……)ジャー 京太郎「ほいほい、っと」ドンッ 咲「うわっ!」 京太郎「俺も手洗おっと~♪」 咲「京ちゃん、階段くらいゆっくり降りてよ!」 咲「あ、あとこの下着、京ちゃんの!?」 京太郎「あ、そうだわ。悪ぃ悪ぃ」ポポイッ 咲「もうっ!」 京太郎「だってさ、仕方ねえじゃん。今日お前を家にあげる予定なんてなかったんだぜ?」 咲「そ、それはそうだけど、こういうのは普段からしっかり……きゃっ!」 京太郎「ふふんふ~ん♪」ジャー 咲「っちちち、ちょっと京ちゃん!!?」 咲(う、後ろから私のこと抱きかかえるように手を伸ばして……!!) 京太郎「いやこれならいっしょに洗えるじゃん?」 咲「そ、そうだけど……っ!///」 咲(わ、私はどうすればいいのーーーっ!?) 京太郎「ガラガラ、っぺ……っ!」 京太郎「コップはその棚の中に紙コップあるからそれ使って」 咲「ぅ……」 京太郎「んじゃ俺は準備してんぞ」ダダッ 咲「は、はぁ……っ」フニャ 咲(き、緊張した……) ――――――――――――――――――― 咲「えっと……お台所は……」 咲「あっ、京ちゃん!」 京太郎「おう」ガサゴソ 咲「わ、私は何をすればいいかな……?」 京太郎「……んー」ガサゴソ 京太郎「とりあえずこの野菜洗ってくれるか?」 咲「あ、うん!」 京太郎「んじゃ俺は切り干し大根を水につけてっと……」 京太郎「最初にブリ捌いちまうか」チャキン 京太郎「あ、咲。お前血とか苦手?」 咲「え、いや好きじゃないけど……」 京太郎「んじゃこっちの台でやるから見ないで」 咲「う、うん……」 (面倒なので、料理シーン大幅カット) 京太郎「そろそろいいか……ふぅ」フキフキ 咲(京ちゃんすごいなぁ……ほとんど一人でやっちゃったよ) 咲(私なんか全然役に立たなくて……さっきもみりん入れすぎちゃったし) 咲(なんか自分が恥ずかしいよ……うぅ) 京太郎「じゃ、咲は皿用意してくれ。そっちの棚にあるから」 京太郎「必要なのはお茶碗と味噌汁用のお椀に、そっちの平たい小皿ふたつずつ……あと大皿な」 咲「あ、うん!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「よーっし、では」 京太郎「いただきます!」 咲「い、いただきます」ペッコリン 京太郎「ふぃ~、腹減ったぁ」 京太郎「あ、そうだテレビつけようぜ」ピッ ワーワー 咲「き、京ちゃんごめんね……足手まといになっちゃって」 京太郎「ん、なにが?」モグモグ 咲「いや、さっきの料理……この煮つけだって……」 京太郎「いやうまいぜ? ほら……」ヒョイパクッ 京太郎「んぐんぐ……な、うまいだろ?」 咲「んん……」モグモグ 咲「う、うん……」 咲(きっと京ちゃんがよくわかんないけど味の調整してくれたんだ……) 咲(それなのに私……) 京太郎「なーにしょぼくれた顔してんだよ。咲だってこれから料理覚えてけばいいじゃん」 咲「わ、私にはムリだよ……」 京太郎「まぁ、たしかにどんくさいしな」 咲「むっ……でも言い返せないよ」 京太郎「だけどよ、下手は下手なりに努力すればいいだろ。俺だってハギヨシさんみたいにできるわけじゃねえし」 京太郎「なにかやろうって思うことが大事なんだよ」パクッ 咲「……うん、そうだね」 京太郎「そっちなら、和あたりが料理に詳しそうじゃねえか? 教えてもらえよ」 咲「あ、うん……」 咲(でもわたしは……京ちゃんに教えてもらいたかった、な) 咲(そんなの無理ってわかってるけど……) ワーワー 京太郎「ははっ、なんだこいつ!」 咲「……」 咲(京ちゃんは……私にやさしくしてくれる) 咲(たまに意地悪なことも言うけど、そういうやり取りをすること自体が、私にとっては楽しい……) 咲(でも、京ちゃんにとって私は……数いる女の子のうちの、一人でしかないんだよね) 咲(でも、じゃあ……昨日の子はどうなんだろう……?) 咲「……」チラッ 京太郎「あ、今の問題わかるぞ! ……ええっと、なんだっけ」 咲(き、聞いてみたい……京ちゃんと、昨日の子の関係……) 咲「……っ」 咲「き、京ちゃんはさ……」 京太郎「ん? なんだよ、咲?」 咲「こ、こっちで……その……」 咲「す、好きなことかできたりしたの……っ?///」 咲(な、なに聞いてんだろ私……っ!) 京太郎「と、突然なんだよ……?」 咲「ご、ごめん! 今の忘れて!」 咲(は、恥ずかしい……! なんでこんなに顔が熱く……っ) 京太郎「好きな子かぁ……考えたこともねえな」 咲「えっ……」 京太郎「こっちにもかわいい子はそれなりにいるけどよ」 京太郎「なーんか今一つもの足らないというか……」 咲(そ、それって……) 咲「も、もしかして……胸?」 京太郎「おお、そうだ! それだ!」 京太郎「白糸台の人らには胸が足りないっ! ……あ、今の宮永先輩には絶対言うなよ」 咲「わ、わかってるけど……それを私に言う? 普通……」ペッタン 京太郎「ん、なんだ? 咲は気にしてんのか? 胸ないの」 咲「そ、そうグサッといわないでよ!」 咲(気にするに決まってるじゃん! だって京ちゃんが……) 咲「……っ」 京太郎「まぁ世の中にはいろんな趣味趣向のやつらがいるしよ」 京太郎「きっと咲にもチャンスはきっと巡ってくるって! だからそうしょげんなよ、な?」ポンポン 咲「……」 咲(……なんだ……京ちゃんには、私なんか眼中に入ってないってことか) 咲(薄々わかってたことだけど……こうも容赦なく切り返されると……) 咲(やっぱり傷つくな……)ズキッ 京太郎「お、おいおいどうしたよ? そう重く受け止めんなって、咲さん」 咲「……」 咲(はぁ……なんかここまでくると、失うものなんか何一つないって思えてくるよ) 京太郎「お前にだっていいところはたくさんあるじゃねえか。たとえば麻雀とか、麻雀とか……」 もういいや…… 京太郎「あとは……ま、まぁとりあえず! そういう自分の強みで戦ってけばいいんだよ!」 ……自暴自棄になっちゃえ 咲「……京ちゃん、昼間一緒にいた子……名前はなんていうの?」 京太郎「えっ……一緒にいた子……?」 咲「実は見かけちゃったんだ……神社の近くで」 咲「金髪の子と京ちゃんが……その、抱き合ってるとこ」 京太郎「え……あっ!」 京太郎(もしかして……淡のことか?) 京太郎「あ、あいつはただのチームメイトっていうか……そ、そう! 友達だよ、友達」 咲「へえ……」 咲(少し焦ってる……おもしろい) ……もっと畳み掛けちゃえ 咲「……京ちゃんは“友達の”女の子と、外で抱き合ったりするんだ?」 京太郎「い、いやそれは……! あいつの方が勝手にさあ……!」 咲「ふーん……じゃあその子はきっと京ちゃんのことが好きなんだね?」 京太郎「なっ……」 咲「京ちゃんはどうなの? その子のこと、どう思ってるの?」 京太郎「お、俺は別に……ていうか、なんだよこれ。尋問かよ」 京太郎「もういいだろこの話は……さっさとメシ食っちまおうぜ」 咲「……質問に答えてよ、京ちゃん」 京太郎「はぁ……もう答えたろ。俺は淡のことなんかどうとも……」 ...ギリッ 咲「……じゃあ、私のことは?」 京太郎「……は?」 咲「私のことは、どう思ってるの?」 京太郎「お、お前のこと……?」 咲「うん……」 京太郎「いやそれは……」 咲「……それは、なに?」 京太郎「……っ」 京太郎(咲のやつ、どうしたんだよ……そんな怖い顔して……) 京太郎(ていうかこれって……もしかして、もしかすると……) 京太郎(……咲は、俺のことが好きなのか……?) 京太郎(いやいや待て! 今までそんなそぶり……) 京太郎(……) 京太郎(……あったか……あったかも) 京太郎(で、でも……だからってどう答えりゃいいんだ?) 京太郎(俺は咲のこと、そんな目で見たことなんかないし……) 咲「……京ちゃん、なんで答えてくれないの?」 京太郎「うっ……いや、あの」 咲「……」 咲(いつもは態度大きいくせに……こういうときばっかりヘタレて……) ……いくじなし 京太郎「なっ……さ、咲!?」 ...ギシッ 京太郎「お、お前どこ座って……!」 咲「京ちゃんの膝の上だよ……?」 京太郎「は、早く降りろ……!」 咲「……じゃあ、質問に答えてよ」 京太郎「ぐ……」 京太郎(ほ、本音を言えば……こいつを傷つけちまうかもしれない) 京太郎(だからって、ウソついてまで『好きだ』なんて言葉、言えるわけない……) 京太郎(どうすれば……) 京太郎(くっ、咲の言うとおりだぜ……俺はこういう時、優柔不断すぎる……!) 咲「……京ちゃん、答えてくれないと膝からどいてあげないよ?」 咲(……京ちゃんが嘘をついてるとは思えない) 咲(だから、京ちゃんにはまだ“特定の”女の子はいないはず……) 咲(京ちゃんの性格からして、いま頭の中では、私をどう傷つけずにこの場を乗り切れるか……それだけを考えてるはず) 咲(だけど、ウソも付きたくない……そう思ってる) 咲(そこが京ちゃんの甘いところだよ……) 咲(迷いのある人間の心なんて、ちょっと後ろからつついてやればすぐ脆く崩れちゃう……) 咲(さっき言ったよね……私には私にしかない“得意分野”で攻めていけって) 咲(これは私が、麻雀から学んだことだよ……やっと役に立った、ふふ……) 咲(私には胸はないけど……それでも体は、女の子なんだから……) 咲「……」ギュ 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎「さ、咲!?」 咲「私は、京ちゃんのことが好き……」 京太郎「え、いや……その……それは嬉しいんだが」 咲「嬉しいんなら、なんで私のことも好きって言ってくれないの……?」 京太郎「そ、それは……」 咲「……それは、なに?」 京太郎「えっと、その……」 咲「……はぁ」 咲「ふふ……ここだよね、たしか……」サワサワ 京太郎「っ!」ビビクン 咲「あ、なんか固い……どうしちゃったの、これ?」クス 京太郎「さ、咲……! や、やめろって!」 咲「ふふ……そう思うなら、なんで力ずくで止めさせないの?」 京太郎「ぐっ……」 咲「ほんとはしてほしいくせに……」スリスリ 京太郎「ぅぁ……!」 ふふ……男の子なんて、やっぱり単純だ 咲「ふふ……これがいいの?」スリスリ 京太郎「うぐ……っ!」 京太郎(ダメだ……こんなことしちゃ……!) 京太郎(自分の意思も通さず、なりゆきにまかせてこんなことさせて……) 京太郎(一番最悪な……なさけねえパターンじゃねえか!) 京太郎「さ、咲!」グイッ 咲「きゃっ!」ドタンッ 京太郎「す、すまん!」 咲「……っ」 京太郎「だ、大丈夫か……?」スッ 咲「……ふふ、っ……はは……」 京太郎「さ、咲……?」 咲「……そっか、そうだよね……」 ...スクッ 咲「……ごめん、どうかしてたよ……私」 咲「……」パッパッ ←スカート直し 咲「……じゃあね、京ちゃん」 スタスタ... 京太郎「お、おい! 咲、どこに……!」 咲「ん……お姉ちゃんの家」 京太郎「いや、でもメシ……」 咲「もう食欲失せちゃったよ……それに京ちゃんだって、いつまでもこんな私にいてほしくないでしょ?」 京太郎「そ、そんなことは……!」 咲「……ねえ、京ちゃん」 京太郎「な、なんだよ……?」 咲「中途半端な優しさは……逆に相手に辛い思いをさせるだけだよ……?」 京太郎「……そ、それは……っ」 咲「いっそ、嫌いって言ってくれた方が……まだ救いがあったよ」 京太郎「ごめん……でも、俺は咲のこと嫌いじゃない。それは確かだ」 咲「……」 咲「そういうのが、相手を傷つけるっていうんだよ……」ボソッ 京太郎「え……」 バタンッ 京太郎「……っ」 京太郎「咲……」 京太郎「くそっ……最低だ、俺!」 京太郎「咲を傷つけちまった……それだけじゃない」 京太郎「答えを言い淀んだせいで、あんなことまでさせて……」 京太郎「ほんっと……最低だよ……」グッ 京太郎「咲を追いかけたい……でも、今そうしたって許してくれるわけないし……」 京太郎「なにより、今以上に咲を傷つけるだけだ……」 京太郎「でもこのままにはしておけない……どうしたら……」 京太郎「明日……誰かに相談してみるか……」 京太郎「っく……こんなときまで、人頼みとは……」 京太郎「つくづく情けない男だぜ……俺はよ」 ――――――――――――――――――― 翌朝 スタスタ... 京太郎(昨日はあんまり寝つけなかった……咲を傷つけた、罪悪感で……) 京太郎(宮永先輩……照さんには、ちゃんと咲が家に着いてるかどうか確認しておいた) 京太郎(事情は聴いてるだろうから、正直電話越しにコークスクリューかまされるかと思ったが……照さんはいつものように淡々と受け答えしてくれた) 京太郎(照さんに相談でもしてみるかな……いや、でも……) 京太郎(ここは関係ない、第三者に相談するのが筋だろ) 京太郎(亦野さんや渋谷先輩はどうだろう……なんかあまり頼りにならなさそうだ) 京太郎(やっぱりここは弘世先輩かな……) 京太郎(淡は……なんだろ、役に立たないっていうのは百も承知だけど……) 京太郎(それ以前に、今回のことに淡を絡めて考えると……なんかモヤモヤする。なぜかはわからんけど) 京太郎(とりあえず、今日の放課後……先輩をどっかに呼びだすか)ポチポチ ――――――――――――――――――― 放課後 京太郎「終わった……さてと」 京太郎(弘世先輩は、教室に直接きてくれって言ってたな) 京太郎(あ、でもそれだと、同じクラスの照さんにも聞かれるかもしれないんじゃ……) 京太郎(……まぁ、その時はその時か) スタスタ... 京太郎(先輩方の教室は二階だよな……) 3-C 京太郎(……ここか) ...コンコン 京太郎「失礼します、一年の須賀です」 菫「ああ、入っていいぞ」 ...ガララ 京太郎「すみません……呼び出したりして」 菫「かまわないよ。何か相談があるんだろう?」 京太郎「はい……だけど」キョロキョロ 京太郎「あれ……弘世先輩だけですか?」 菫「なんだ、照も一緒の方が良かったのか?」 京太郎「い、いえ……逆にそうじゃない方がありがたいなぁと」 菫「そうなのか……まぁいい、とりあえずその相談ってのはなんだ?」 京太郎「実は……(カクカクシカジカ」 ――――――――――――――――――― 菫「なるほど……それが昨日のことか」 京太郎「……はい」 菫「それで須賀……お前はどうしたいんだ?」 京太郎「え……っと、それは……」 菫「まさか、なんとなく私にどうにかしてもらおう……なんて甘い考えでここに来たんじゃないだろうな?」 京太郎「ぐっ……」 京太郎(た、たしかに先輩の言うとおりだ……) 京太郎(俺は、先輩に相談すればどうにかしてくれるんじゃないかって、そう思って……) 京太郎(くそっ……! なんだよ、全然ダメじゃねえか、俺!) 京太郎「……っ」 菫「図星か……?」 京太郎「……はい、すみません」 菫「はぁ……やっぱりな」 菫「私は、お前はもう少し賢いやつだと思っていたんだが」 京太郎「……返す言葉もないです」 菫「まぁ、別に私はいいよ。お前がどうしたいか、それを決めるまで一緒に付き合ってやる」 京太郎「せ、先輩……」 京太郎(弘世先輩……やっぱり頼りになる人だ) 京太郎「すみません、ありがとうございます……!」 菫「礼は相談が無事終わってからにしてくれ」 京太郎「……はい」 菫「それじゃあカウンセリングを始めるが……」 菫「いきなりどうしたいか考えろと言っても無理だろう。お前も昨夜はいろんなことがあって、気持ちの整理もついてないんだろうしな」 菫「だから質問形式でいく」 京太郎「質問形式……?」 菫「ああ、私がお前の立場であればどう考えるか……それをシュミレートし、考えうる限りの決着点を模索してやる」 京太郎「は、はい! お願いします!」 菫「では、まず……お前はその子、照の妹さんをどう思っているんだ?」 京太郎「それは……さっき言った通りです。友達以上としては見れません……」 咲『ふふ……これがいいの?』スリスリ 京太郎「……っ」 京太郎(違う……! 俺は咲に、そういうのを求めていたんじゃない……!) 菫「昨晩……なにか、あったのか?」 京太郎「いえ……」 菫「ふむ……それでは」 菫「お前は妹さんと、よりを戻したいか?」 京太郎「よ、より!?」ガタッ 菫「友達として、だ」 京太郎「あ、ああ……」ストン 京太郎「そりゃもちろんそうですよ……あいつとの付き合いも長かったわけですし」 京太郎(何より一緒にいて気が楽だった……そう、昨日までは……) 菫「だが、彼女は長野に住んでいるんだろう? なら今後、接する機会もそう滅多にないはずだ」 菫「それなら今の関係のまま、彼女に長野へ帰ってもらえば済む話ではないのか?」 京太郎「そ、それは……! それは、あんまりですよ……」 菫「なにがあんまりなんだ?」 京太郎「さっきも言いましたけど、あいつとは中学からの付き合いなんです……」 京太郎「咲の方はわからないけど……少なくとも俺は、あいつのこと大切な友達だと思ってます……」 京太郎「だから、できるなら元の関係に戻りたい……戻って、また一緒に話せたら、それだけで俺……」 菫「そうか……でも、彼女はそうは思わないだろうな」 京太郎「……っ」 菫「君を好きになってしまったのだから。そして、その君に拒絶されてしまったのだから」 京太郎「……わかってます」 菫「彼女との関係を戻したいというのは、結局はお前の独りよがりなんだよ」 京太郎「……」 菫「おそらく彼女の中では、君に拒絶された時点で君との関係は終わってしまったんだ」 京太郎「……そ、そう……ですか」 菫「だから、彼女のことはそっとしておいてやるのが一番なんだ」 菫「今さら君に謝られたって、それはなにも生み出さないし」 菫「好きだといってみても、彼女にとってそれは嘘に塗り固められた言葉の刃でしかない」 菫「もっとも、君が本気で彼女のことを好きになったのなら話は別だが……違うのだろう?」 京太郎「……はい」 菫「……なら、残念ながら君にはもう彼女に対して何もすることはできないよ」 京太郎「……っ」 菫「……それでも、何かせずにはいられないか?」 京太郎「っ! な、なにかできることが、あるんですか!?」 菫「……あるにはある……だが、これは結局、自分自身のためのものでしかない」 京太郎「俺自身のため……?」 菫「自分の気持ちにケリをつけるってことだ」 菫「彼女にも言われたんだろう? 中途半端な心が他人を傷つけるんだと」 菫「彼女にしてやれることはもうない……しかし、彼女の前で誠実であろうとするならば、絶対にしなければならないことだ」 京太郎(そうだ……今回の原因は、つまるところ俺の優柔不断さにあったんだ……) 京太郎(咲を完全に拒否しきれなかった自分……それがあいつの傷口を大きくしてしまった) 京太郎(なら俺は……そんな自分を、断ち切らなきゃいけない!) 京太郎「……お願いします」 菫「ああ、では最後の質問だ」 京太郎「……」ゴクリ 菫「お前には……好きなやつがいるか?」 京太郎「……」 京太郎(だよな……そうなるよな……) 京太郎(でも俺には……特定の好きなやつなんて……) 菫「私にはな……お前は、自分の恋に気付いてないように思えるんだ」 京太郎「気づいてない……? 俺が、ですか?」 菫「ああ、私の直感でしかないんだがな……」 菫「ズバリ言うぞ。お前……淡のことが好きだろう?」 京太郎「ええっ!? お、俺があいつをですか!?」 菫「ああ」 京太郎「ないです、絶対ないっ!!」ブンブン 菫「そうか? 妹さんの話にも、淡のことが出てきたじゃないか」 京太郎「いや、だからあれはですね……!」 ...ガララッ ??「あー! ここにいたー!」 京太郎「えっ?」 ??「もう、きょうたろーにスミレ! 探したんだからねっ!」 スタスタ...ギュム 京太郎「ちょ、淡……!」 淡「二人でなんの話してたのー? 私にも聞かせなさーい!」グイングイン 京太郎「おい、ゆするなって!」 菫「ふむ……」 菫「実はな淡。須賀がお前に相談したいことがあるそうなんだが」 京太郎「ちょ、先輩!?」 淡「ええーっ! きょうたろーが私に相談!?」 淡「なにそれちょー気になる!」 京太郎「ね、ねえよ! 相談なんて!」 淡「いいからいいからー! 私に何でも相談してみなさいっ!」エッヘン 菫「じゃ、頼んだぞ。淡」 淡「らじゃーっ!」ピシッ スタスタ...ガラッ 京太郎「ひ、弘世先輩……!」 淡「こーらぁ! 患者は逃げないの!」グイッ 京太郎「ぐおぇ! ちょ、ネクタイ引っ張るんじゃねえ!」 ガタン 淡「それで、相談って?」キラキラ 京太郎「……うっ」 京太郎(ったく、なにが目的で先輩は……) 京太郎(つーか俺がこいつのこと好きなわけ……) 淡「んっ?」 京太郎「っ!」ドキッ 淡「なに~? ねえってば~」グイグイ 京太郎「ちょ、こらやめろって!」 京太郎(い、今のは不意打ちすぎた……いや、いくら不意打ちでも淡なんかにドキッとするか? 普通……) 京太郎(実は……本当に俺は、知らない間にこいつのことが……) 京太郎(いや、ないない! たまにかわいいとは思っても、それは小動物的な可愛さというか、いじると面白いっていうか……) 淡「ねーねー!」 京太郎(そう、妹みたいな感じなんだよ! 妹には恋愛感情なんて抱かねーだろ?) 淡「ねーってばっ!」ボコッ 京太郎「んぎゃ!」 京太郎「痛ってー! 鼻が……! 鼻がつぶれた!」 淡「もう、大げさだなぁ!」 京太郎「てめえ、淡! なにしやがる!」 淡「きょうたろーがいくら呼んでも返事しないからだよっ!」 淡「相談事っていったい何なのさーっ!?」 京太郎「相談事? あぁ……」 京太郎「実は、俺がお前のこと好きなんじゃねーかって言われてよ」 淡「えっ……」 京太郎「ありえねーよなぁ……お前みたいなチンチクリンを好きになるだなんて」 京太郎「まったく笑っちまうぜ、ははっ」 京太郎「……お前もそう思うだろ、なぁあわ「……好きだよ」 京太郎「……は?」 淡「私、きょうたろーのこと好きだけど。てゆーか何度も言ったよ?」 京太郎「えっ……いやいや、ウソだろ?」 淡「嘘じゃないし。真だし」 京太郎「……」 京太郎(淡が……俺のことを好き?) 淡「でも京太郎は私のこと好きじゃないんだ……ざーんねんっ」 淡「きっと両想いだと思ったのにー」ムゥ 京太郎「……」 淡「でもいーんだっ! きっときょうたろーは私に振り向いてくれるんだって、そう思ってるからっ!」 淡「だって、こんなに近くにいて私のナイスバヂーな魅力に気づかないわけないしさ!」 淡「だからきょうたろーが振り向いてくれるまで、私は常に自分のかわいさに磨きをかけて日夜精進、頑張るのだ!」ニコッ 京太郎「……っ」ドキッ 淡「うわー! なんか恥ずかしいこと言っちゃったっ! 忘れて忘れて!」 京太郎「……」 京太郎(そうか……俺は、“こんな”淡に、いつの間にかずっと惹かれ続けていたのか……) 京太郎(なんで……俺はこんなことにすら気づかなかったんだろうな……) 京太郎(こんなんだから、他の誰を傷つけたりしちまうんだ……それに今、淡のことだって……) 京太郎(弘世先輩、今やっとわかりました……俺の本当の気持ちが……) 京太郎「あ、淡……」 淡「んっ? なーに?」 京太郎「……っ」ダキッ 淡「うわっ!」 京太郎「淡……ありがとう」 淡「な、なにいきなり? どうしちゃったのきょうたろー?」 京太郎「こんな俺を好きでいてくれて……ありがとう」ギュ 淡「な、なんか京太郎に感謝されちゃった……でも嬉しいかもっ」 淡「だって、京太郎の方から私のこと抱きしめてくれたの、初めてだもんねっ?」 京太郎「はは……そういやそうだな」 京太郎(淡の体……あったかくてやわらかい……) 淡「きょうたろーは私のこと好き?」 京太郎(もう、迷いはない……) 京太郎「……あぁ、好きだ」ギュ 淡「よしっ! きょうたろーのハートげっちゅ!」グッ 京太郎「ふっ……なんだよそれ」 淡「勝利のガッツポーズっ! 私がきょうたろーとの賭けに勝ったから!」 京太郎「賭けしてたのかよ……」 淡「うん! 誰も知らない、私だけが知ってる大きなギャンブルっ!」 京太郎「ったく……そんなちんけなギャンブルで、いったいなにを賭けたんだよお前は」 淡「ふふー聞きたいー?」 京太郎「聞かなくてもどうせいうんだろ?」 淡「あったりーっ! んじゃ教えちゃいまーっす!」 京太郎「おう」 淡「賭けたものは~……」スゥ 京太郎「……っ」 淡「んっ……」チュ 京太郎「ん……っ……」 淡「んん……ちゅ……」 京太郎「……っ、ぷは……っ……か、賭けたものはこれか?」 淡「へへ……うんっ! 私の愛、全部!」ニコッ 京太郎「はは、そりゃまたでけえな」 淡「あったりまえよー! 私の愛の大きさは計り知れないんだからっ!」 京太郎「んじゃ、ギャンブルに勝ったお前には、それ相応の見返りが必要になるわけだな?」 淡「んー、そっか! そうなるよねっ!」 京太郎「……じゃ、それは俺が払うしかないか。えっとこういう場合なにで払えばいいんだ?」 淡「私は私のラブ全賭けしたんだから、それの百倍くらい大きいのじゃなきゃイヤだよっ?」 京太郎「んー、わかった。それじゃあ……」 京太郎「俺はこれから、お前が今まで俺のことを好きでいてくれた分以上に、お前を大好きでいてやる……それでいいか?」 淡「……うんっ! それでよし!」 淡「絶対に約束やぶっちゃだめだよっ! わかった?」 京太郎「わぁってるよ。お姫様」 ギュ カン ----------- 菫「ズバリいうぞ。お前……私のことが好きだろう?」 京太郎「……へ?」 菫「……///」カァア 菫「な、なんでもないっ! 忘れてくれ!」←少し上ずった声 京太郎「いや、あの……」 菫「わ、私は用事を思い出した! 先に失礼させてもらうぞ!」ダダッ 京太郎「ちょ、先輩!?」 ビューン! 京太郎「はええ……まるでアーチェリーの矢のようだ」 京太郎「っていうか、相談は……」 京太郎「ん、まぁあとは自分で考えろってことなんだろうな……うん」 京太郎「誰が好きなのか、か……」 ...スタスタッ 菫「……っ///」 菫(わ、私としたことが……思わず心にもないことを口走ってしまった……!) 『私のことが好きなんだろう……?』ドヤァ 菫「ああ、恥ずかしいっ! 忘れたい忘れたい!」グシャグシャ 菫「……あっ!」 ズテンッ! 菫「いてて……」 菫「……っ!」キョロキョロ 菫(ふぅ……誰にも見られてはいない、か) ...ストン 菫(はぁ……なにやってるんだろうな、私は) 菫(須賀があんな相談を持ちかけてきたとき、正直私は断ろうかと思っていた) 菫(だって私もあいつを……) 菫「……っ///」 菫「ば、ばかだよほんと……! なんでよりにもよってあいつなんかを!」 菫「……っ」 菫(……でも、仕方ないよな。自分の気持ちに嘘はつけない……) 菫(私が須賀京太郎を好きになってしまったという事実は……少なくとも私にはもう、どうしようもないんだ……) ??「あれ、弘世先輩じゃないですか!」 菫「……っ!」ドキッ 菫(こ、この声は……!?) 京太郎「どうしたんすか、こんなところで?」 菫「す、須賀……」 菫「お、お前こそどうしたんだ?」 京太郎「俺は買い出しですよ。また照さんにお菓子頼まれちゃって」 菫「そうか……あのあと部室に戻ったんだな」 京太郎「ええ、そうです」 菫「……っ、すまなかった。勝手にお前をほっぽり出して……」 京太郎「いいですって。弘世先輩からは十分アドバイスがもらえましたし、とても助かりました」 菫「そ、そうか……?」 京太郎「そうですよ。俺、自分の本当の気持ちってやつ、ちゃんと見定めます」 京太郎「それで、好きな人ができたときには、その人のことが好きだってちゃんと胸を張って言える男になるつもりっす!」 菫「そうか……」 菫(少しでも役に立てたんなら……よかったよ) 京太郎「先輩の方は、もう用事済んだんですか?」 菫「用事? あぁ……」 菫(そういえばそんなこと言って出てきたんだっけか……) 菫「まぁな。すぐに済むようなものだったし」 京太郎「じゃあ一緒に買い出し行きませんか?」 菫「……私とか?」 京太郎「ええ、もしよければですけど。弘世先輩と二人で話す機会って滅多にありませんし」 菫「……」 菫(そうだな、ここは素直に誘いに乗ろうか……) 菫「わかった。一緒に行こう」 京太郎「はい!」 ...スタスタ 菫(須賀と二人きりか……) 菫「……っ///」 京太郎「……あっ、先輩」 菫「わわっ、なななんだ!?」 京太郎「膝のところ、少し破れかかってますよ。どうしたんですか?」 菫「あぁ、これか……」 菫(たぶん、さっき転んだときだな……) 菫(でも、転んだなんて言うのは情けないし……ここは……) 菫「さ、さっき木の幹に引っかけてな……うかつだったよ、はは」 京太郎「木の幹ですか……林の中にでも入ったんですか?」 菫「ん、まぁそんなところだ」 京太郎「しかしけっこうひどいですね……直しましょうか?」 菫「直すって……お前がか?」 京太郎「ええ、道具さえあればすぐに直せると思いますよ」 菫「そ、そうか。それなら……」 菫(……いや待て。これじゃまるで、私ができないから須賀に頼んでいるみたいじゃないか! いやたしかにできないが……) 菫(いずれにしろ、そんなのは私のプライドが許さん……!) 菫「こ、これくらい自分でできる! 私をバカにするな」 京太郎「そうですか? じゃあ、いいですけど」 菫「……う、うむ」 菫(……はぁ、なんで私はいつもこう強がってしまうのだろう) 菫(素直に頼めばいいのに、そうできない……) 菫(こういうとき、照や淡が羨ましく思うよ……) ――――――――――――――――――― ウィーン 「いらっしゃいませー!」 京太郎「んじゃ、ちゃちゃっと買いましょうか」 菫「そうだな」 スタスタ... 京太郎「照さんはこれっと」ポイッ 菫(お、このチョコレートおいしそうだな) 京太郎「淡のやつも、なんか買ってかないとうるさいだろうしな。これでいいか」ポイッ 菫(カントリー○ーム味か……すごく甘ったるそうだが、これはこれで興味あるな……) 京太郎「弘世先輩はなにか食べたいものあります?」 菫「え、あっ、いや……」 京太郎「あぁ、それですか? おいしいですよね!」 京太郎「んじゃそれも買いましょう」スッ 菫「いや待て。要らんといってるだろう!」 京太郎「でも、さっきすごく欲しそうにじーっと……」 菫「み、見てない!」 京太郎「うーん……ほんとですか?」 菫「ほ、ほんとだほんと……!」 京太郎「じゃあいいですけど……」スッ 菫「……っ」 菫(まただ……素直に欲しいといえばいいのに……) 京太郎「……いや、やっぱり買いましょう」ポイッ 菫「え……おい、待て。どうしてだ須賀!」 京太郎「いや、これは俺がほしいから買うんですよ」 菫「そ、そうなのか?」 京太郎「ええ、そうです。それなら問題ないでしょう?」 菫「う、うむ……たしかにな」 京太郎「それじゃ精算してきますね」 菫「あ、ああ」 ――――――――――――――――――― ウィーン 京太郎「よし、これであとは戻るだけですね」 菫「そうだな」 京太郎「あっ……そういえば、これどうぞ」スッ 菫「ん? ……って、これはお前が欲しいといって買ったものじゃないか」 京太郎「……先輩、いらないなんて嘘だったんでしょ?」 菫「い、いや本当だ! 何を言い出すかと思えば……」 菫「そもそもどうして私に嘘をつく必要があるんだ?」 京太郎「そんなの知らないです。けど……」グイ 菫「なっ……///」 京太郎「先輩が欲しがってたのは間違いないと思ってますよ。俺の目はごまかせません」 菫「ず、ずいぶん横暴な言い分じゃないか……何の根拠もなしに」 京太郎「横暴でけっこうですよ。それで先輩が喜んでくれるんなら」 菫「なっ……この、生意気なやつめ」 京太郎「ついでに、途中で俺んち寄って、その膝のとこ直していきましょうよ」 菫「それもいいといっただろう!」 京太郎「じゃあ道具だけ貸しますよ。それならいいでしょう?」 菫「ど、道具……いや、そんなのは自分の家で直すからいい!」 京太郎「……先輩、ほんとに直せるんですか?」 菫「なっ……! なんだその疑いのまなざしは! 直せるとも!」 京太郎「じゃあ見せてください」 菫「うぐっ……それは……」 京太郎「はぁ……」 菫「な、なんだそのあからさまな溜息は……」 京太郎「先輩……疲れませんか?」 菫「えっ…?」 京太郎「そんなになんでも完璧であろうとしなくていいんですよ」 京太郎「先輩はたいていのことなら何でもこなしますし、それはすごいことだと思います。けど……」 京太郎「人間誰しも完璧なわけない。誰にだって得手や不得手があって……それに」 京太郎「人の知らない、思いもしないような一面だってあります」 菫「な、なにが言いたい……?」 京太郎「先輩にもそういう一面があるんじゃないかって、俺は思うんです」 京太郎「たとえば、いつもは気丈にふるまっていても、実は甘い物好きだとか」 菫「なっ……!」 菫(見透かされてる……なぜ!?) 京太郎「先輩、俺が先輩のこと全然見てなかったって思ってます?」 京太郎「先輩が俺ら部員をしっかり見ててくれたように、俺だって先輩のことずっと見てきたつもりですよ?」 菫「な、ななな何を言ってるんだお前は……っ!///」 京太郎「……先輩はドライに見えて、実はけっこう気にしいなところがある」 菫「なっ……!」 京太郎「先輩は何でもそつなくこなすと思われてるけど、実は陰で人一倍努力している」 菫「や、やめろ……っ!///」 菫(は、恥ずかしい……!) 京太郎「そして……先輩は厳しそうに見えて、実際はやさしい」 菫「はっ……!」ズキュン(ロン) 京太郎「全部……俺が先輩をずっと見てきた中で感じたことです」 菫「ぅう……お前、こんなことしてただで済むとは……」 京太郎「思ってませんよ。だからお礼させてください」 京太郎「先輩の制服、俺が直してあげるってのでどうですか?」 菫「……っ///」 菫「わ、わかったよ……それでいい」 京太郎「はは、やっと素直になりましたね」ニコッ 菫「……っ」プイッ 菫(こ、こいつの顔をまともに見れん……!) 菫「そ、それじゃ早く家へ案内しろ……///」 京太郎「はい……!」 ...スタスタ 京太郎「……」 菫「……」チラッ 菫(まさか、こいつにあれほど見られていたなんて……) 菫(気にしいなところも、陰で努力をしていることも……すべて図星だ。情けないことに) 菫(だが、やさしいってのはなんだ……!? 私にはそんな心当たりは……) 菫(それとも、私が気付いてないというだけで、須賀の目にはそう映ってくれたんだろうか……) 菫「……っ///」 菫(な、なにを嬉しそうに顔をゆがませてるんだ私は……!) 京太郎「あ、着きましたよ」 菫「は、はい!」 京太郎「……どうしたんですか?」 菫「ごほんっ……な、なんでもない。さあ、とっととあがらせてくれ」 京太郎「さあ、どうぞ。レディーファーストです」ニコッ 菫「……なんか今日のお前はいちいちムカツクな」 京太郎「ええっ、なんですかそれ!」 菫「な、なんでもないよ」 ガチャ 菫「ほう……一軒家とは聞いていたが、けっこう立派なもんじゃないか」 京太郎「ええ、借り家にしてはけっこういいところに住まわせてもらってると思ってますよ」 菫「そうだな……そういえばお母様は? ひとつ挨拶をさせてもらいたいのだが」 京太郎「母ですか? いませんけど」 菫「え、じ、じゃあお父様は……?」 京太郎「俺の両親、共働きですよ?」 菫「で、ではこの家には……」 京太郎「俺……と先輩だけっすね」 菫「……」 京太郎「……?」 菫「……帰るっ!」 京太郎「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」 菫「お前、もしかしてそういうのが目的で呼び出したのか!」 京太郎「そ、そういうのってなんですか!?」 菫「お前には失望した! 大いに失望した!」グググ 京太郎「お、落ち着いてくださいって! とりあえずそのドアにかけた手を放して!」 菫「わ、私をたぶらかそうとおもっているんだろう! 照の妹に引き続いて、まったくお前というやつは……!」 京太郎「ご、誤解ですってー!」 (5分間の押し問答の末) 菫「……」プイッ 京太郎「い、いい加減、機嫌直してくださいよー」 菫(まったくこいつは……自覚がないのかっ) 菫(自分が周りの女子からどういう風に見られているのか……) 菫(ほんと最悪のたらしだよ……お前は) 京太郎「と、とりあえずお茶入れてきますね」 菫「……」スクッ 京太郎「逃げないでください」 菫「……ふんっ」ストン ――――――――――――――――――― 京太郎「はい、どうぞ」 菫「い、いただきま……じゃなくて」 菫「いただいてやる……」ズズ 京太郎「あはは……どうですか?」 菫「ん……」 菫(こいつはどこで覚えたんだか……お茶の入れ方が異常にうまい) 菫「ま、まぁまぁだな……」ズズ 京太郎「そうですか。よかったです」 京太郎「それじゃ、さっそく直してあげますね」 菫「ん……あぁ、頼むぞ」 京太郎「……んじゃちょっと失礼して」スッ ボカッ 京太郎「いたっ!」 菫「な、なななななな……!///」 菫「何をしようとしてるんだお前はっ!///」 京太郎「いやだから膝の部分を縫い直そうと……!」 菫「お前、だからと言っていきなりスカートの中に手を突っ込むやつがあるかぁ!」ボカッ 京太郎「ご、誤解ですって!」 菫「はぁ、はぁ……」 京太郎「そ、そんじゃ、少したくし上げてくださいよ!」 菫「……今度は何をたくらんでる」 京太郎「何も企んでません」 菫「……」 菫「こ、これでいいか……?///」スッ 京太郎「ええ、オッケーです」 ...スチャスチャ 菫(まったく……デリカシーのないやつめ) 菫「……しかし、ムダに器用だよな。お前」 京太郎「ムダ、は余計ですよ」 菫「いーや、ムダだよ。その才能が、どうして麻雀の方に向かなかったんだろうな、ほんと……」 京太郎「み、耳が痛い……」 京太郎「……でも、俺はムダだなんて思ってませんよ」 京太郎「これのおかげでこうして今も、先輩の役に立ててるわけですし」 菫「ま、またそうやってすぐ……」 京太郎「ほんとのことですよ」 菫「……っ///」プイッ ...スチャスチャ ――――――――――――――――――― 京太郎「……はい、できました」 菫「あ、あぁ……」 京太郎「どうですか?」 菫「ま、まぁまぁじゃないのか……? お前にしては」 京太郎「はは、最大限の褒め言葉として受け取っておきます」 京太郎「それじゃ、そろそろ帰りましょうか。照さんも待たせてることですし」 菫「ん……あぁ、そうだな」 菫「……」 京太郎「……どうしかしたんですか?」 菫「いや……」 菫(も、もっと……二人で話していたい、なんて) 菫「……っ」 菫(言えるわけない、よな……) 菫「なんでもないよ。帰ろう」 京太郎「はいっ」 ――――――――――――――――――― ガチャ 京太郎「ただいま戻りましたー」 菫「……」 淡「おっそーい!」バンッ 京太郎「いてえっ! てめえなにしやがる!」 淡「きょうたろーが遅いのが悪いんだよっ!」 淡「ほら見てよ! テルーがもう人の姿を保てなくなってるっ!」 照「……ぉか、し……」 京太郎「うわ、大丈夫っすか!? 照さん!」 京太郎「今お菓子あげますからねっ」ガゾゴソ 照「き、京……ちゃ……」 淡「早く、早く!」 京太郎「よ、よし……はいこれ!」グッ 照「もがもがっ……」 淡「テルー……生きかえってっ!」 照「……っ!!」ピキーン 照「……復活」 京太郎「よ、よかった……」 淡「やったー! テルー!」ダキッ 照「……あ、ありがと……京ちゃん」ボリボリ 京太郎「いや、いいってことですよ……遅れたのは俺が悪いんですし」 菫「……」ボー 淡「そういえば、きょうたろー。なんでスミレと一緒に帰ってきたのっ?」 菫「っ!」 京太郎「いや、買い出し行くときに偶然会ってな。それで一緒に」 淡「へえー、じゃあなんで遅れたのー?」ニヤニヤ 京太郎「は……?」 淡「買い出しにしてはみょーに長かったからさっ」 淡「なーんか二人でよろしくやってるのかなーっと」プクク 菫「ば、ばか! そんなのあるわけないだろ!」 京太郎「そ、そうだよ! 何言ってんだよお前!」 淡「ふーん、ならいいけどさーっ!」 京太郎「はぁ、ったく……」 京太郎「淡のやつなに考えてんすかねえ……?」クルッ 菫「……っ!///」プイッ 京太郎「……?」 ――――――――――――――――――― 照「……それじゃ、先に帰ってるから」 淡「まったねー!」ブンブン 尭深「……お疲れ様です」 京太郎「はい、また明日」 京太郎(てか、渋谷先輩いたのか) ワーワー 京太郎「先輩は仕事が残ってるんですよね?」 菫「ん……まぁな。だからお前も先に帰って……」 京太郎「俺も手伝いましょうか? もしできることがあるなら」 菫「なっ……いいよ! そんなの!」 京太郎「でも、先輩に全部まかせっきりで変えるのも忍びないですし」 京太郎「何かあるなら手伝わせてください」 菫「……っ」 菫「そ、それじゃ……頼めるか?」 京太郎「もちろんですよ!」ニコッ 菫「……っ」 菫「じ、じゃあそこの牌譜の整理を頼む」 京太郎「了解です!」 菫「あぁ」 京太郎「……」サッサッ 菫「……」 菫(またこいつと二人きりになってしまった……) 菫(いや、今回のは完全に私が仕向けたことだ。こんな雑用、今でなくても全然いいわけだし……) 菫(私は……こいつと一緒にいたいと思ってる。それはもう、ごまかしきれるものじゃない) 菫(私は好きなんだから……こいつのことが……) 菫「……っ///」 菫(……なんだろう……今この瞬間を逃したら、この気持ちは一生伝えられそうにない気がする) 菫(……でも、この気持ちを伝えて……私はどうしたいんだ?) 菫(須賀が私を好きだなんてことは、万に一つもあり得ない……) 菫(それに、こいつは昨日同じようなことを経験してるんじゃないか) 菫(せっかく気持ちの整理をつけようとしているのに、そこへ私がちゃちゃを入れたら、ますますこんがらがってしまうだけだ……) 菫(それでは、私がしたアドバイスもすべて無駄になる……) 京太郎「……」サッサッ 菫「……」 菫(だが、本当にそれでいいのか……?) 菫(本当に私はそれで、納得できるのか……?) 京太郎『先輩……疲れませんか?』 京太郎『はは、やっと素直になりましたね』ニコッ 菫(そうだな……私はいままで自分を律しすぎていたのかもしれない) 菫(完璧な理想を追い求めて、嘘をつき、偽り続けていたんだ) 菫(一番の親友である照にさえ、本音をさらしたことはあまりない) 菫(けど、こいつと話してみて思ったこと、それは……) 菫(もっと素直になってみたい、もっと本音を吐き出したい……! そういったことだった) 菫(たとえその結果、私が須賀のことを困らせるようなことになっても……) 菫「……っ」 菫(はぁ、結局人ってのは自己中な生き物なんだな……) 菫「……須賀、少しいいか?」 京太郎「はい、なんです?」 菫「……さっき教室で、私はお前に『好きなやつはいるか』と聞いたよな?」 京太郎「え、ええ」 菫「……あれの答えを、もう一度聞かせてほしい」 京太郎「……そ、それは」 菫「……っ、須賀……私は」 菫「……っ///」 菫(いけ……私っ) 菫「お前のことが、その……好きかもしれない」 京太郎「え……」 菫「……だ、だから……っ///」 菫「お、お前の方はどうなのか……それだけ聞かせてほしい」 菫(返答は……わかってる……) 菫(けど、それでも……お前の口からききたいんだ……) 菫(今ならわかる……照の妹さんの気持ちが) 京太郎「俺は……その、俺も……っ」 菫「っ!」 京太郎「先輩のこと……好きかもしれない、です」 菫「なっ……でも、お前好きな人はいないって!」 京太郎「その、さっきまではそうでした……いやそうだと思ってました、けど……」 京太郎「今日一日……短い間ですけど、先輩とたくさん話をして……思ったんです」 京太郎「俺は、この人のことが好きなんじゃないかって」 菫「な、なんだそれ……そんなの……」 京太郎「嘘の気持ちだっていうんですか……?」 菫「……っ」 京太郎「……でも違いますよ、少なくとも今は」スッ 菫「……ひっ!///」 菫(す、須賀の……手が……) 京太郎「もう一度言います……俺、先輩のことが好きです」 菫「……っ///」 菫(ほんと……卑怯だよ、お前は) 菫(そうやって言われたら、信じるしかなくなるじゃないか……) 菫「こ、こんな……こんな私でも……好きでいてくれるのか?」 菫「わ、私は……全然素直じゃないぞ? い、意地っ張りだぞ? 神経質だぞ? それでも……」 須賀「それでも、好きですよ。ていうか、そんな先輩だからこそ、好きでいられます」 菫「……っ///」 菫「お、お前……ほんと生意気だなっ」 京太郎「はは、すみません……」 菫「だけど……私も、そんなお前だからこそ、好きでいられるのかもしれない」 京太郎「……うれしいっすよ」 菫「……うん」 京太郎「あの……先輩」 菫「……なんだ?」 京太郎「これからは、先輩じゃなくって……菫さん、って呼んでもいいですか?」 菫「す、すすすスミレさん!?」 京太郎「ええ、なんというかその……弘世先輩だとなんか距離感あって」 菫「……っ、私は別にかまわないが……いいやかまうが!」 菫「というかそれは……照たちの前でもか?」 京太郎「? ええ、もちろんです」 菫「な、なんか恥ずかしいな……///」 京太郎「す、すぐなれますよ! ていうか俺だっていうの恥ずかしいですよ!」 菫「じ、じゃあ! わ、私も付き合ってやる……」 京太郎「えっ?」 菫「お、お前のこと……これからは京太郎って呼んでやる……っ///」 京太郎「……はい! お願いします!」 菫「う、うん……///」 京太郎「じゃあ、これからよろしくお願いしますね。菫さん」 菫「あ、あぁ……よろしくすg……き、京太郎っ///」 京太郎「えへへ……」 菫「……っ///」 京太郎「じ、じゃあ仕事終わらせちゃいましょうか!」 菫「あ、うん……」 京太郎「……よしっと」サッサッ 菫「あ、あの……! き、京太郎……」 京太郎「っ! な、なんですか?」 菫「えと……その、だな……」 菫「……っ///」 菫「と、隣……座ってもいいか……?///」 京太郎「えっ……」 京太郎「ええ! もちろんっすよ」ニコッ 菫「……う、うんっ」スタスタ 京太郎「ほら、ここどうぞ」 菫「ち、近すぎないか……!? これじゃ仕事に集中できんぞ……っ」 京太郎「せ、先輩が言い出したんじゃないですか!」 菫「それはそうだが……っ」 京太郎「ていうか、先輩やっと素直になったんすね。自分から『隣に座りたい』とか言い出すなんて」 菫「な……っ! だ、黙れっ! この、この!」 京太郎「い、痛いですって! 先輩!」 ワーワー 菫「……ふふ」ニコッ 菫(……京太郎となら、少しは自分に素直になって生きていけるかもしれない) カン ----------- 京太郎(くそっ……あいつを傷つけちまった) 京太郎(それだけじゃない……答えを言いよどんだせいで、あんなことまでさせて) 京太郎(最低だ……俺) 京太郎「……」 京太郎(どうする……このままでいいのか) 京太郎(よくない……けど、咲を追いかけたところで、余計にあいつを……) 京太郎(いや、ここであいつを追いかけなかったら、俺はきっと後悔する……!) 京太郎(あれこれ考えるのなんて、俺には似合わねえ……行動あるのみだ!) ダダッ 京太郎「待ってろ……咲!」 ――――――――――――――――――― ...トボトボ 咲「……っ、ぇ……」ポロポロ 咲(最低だよ……私) 咲(いくら振り向いてもらえないからって……あんな汚いマネするなんて) 咲(そりゃあ、京ちゃんにも好きになってもらえないわけだよ……っ) 咲(それに……最後の最後に交わしたのが、あんな私の独りよがりな言葉だなんて……) 咲(なんなんだろう……私。なにがしたいんだろう……) 咲(みっともないよ……ほんとに) 咲「……っ、ひっく……」 「おーい! 咲ーーーっ!」 咲「えっ……」 「はぁ、はぁ……やっと追いついたぜ……っ」 咲「き、京ちゃん……」 京太郎「あんまり遠くに行ってなくてよかったよ」 咲「な、なんできたの……」 京太郎「そ、そりゃお前……」 京太郎「あんな状態で、お前をほっとけるやつがいるかよ……」 咲「……っ、なにそれ」 京太郎「えっ」 咲「私をこんなにしたのは、京ちゃんでしょっ!」 咲「……っ、えっく……」ボロボロ 京太郎「ご、ごめん……咲」スッ 咲「触らないでよっ!」パシンッ 京太郎「……」 咲「……っ、ぅう……」 京太郎(くっ……どうすれば) 京太郎(俺には何もしてやれないのか……) 咲「……っ、帰ってよ」 京太郎「……」 京太郎(でも、ここで帰ったら、こうして咲を追いかけてきた意味がねえ……) 京太郎(なんとか……なんとか咲に話を……) 京太郎「咲……さっきはほんとに悪かった。お前の気持ちも考えず……」 咲「……」 京太郎「俺は……まだよくわからねえ、咲のことどう考えたらいいのか……」 京太郎「でも、今泣いてるお前を放っておけない……それだけは確かだ!」 咲「……っ」 京太郎「だから……ひとまず俺んちに戻ろうぜ。ここじゃ風邪ひくだろ」 咲「……」 ――――――――――――――――――― 京太郎「ただいま」 咲「……」 京太郎「咲、お前風呂入るか?」 咲「な、なに言いだすの急に……」 京太郎「いや、お前もいろいろあって心落ち着けたいだろうしさ」 京太郎「風呂でも入ればすっきりするかなって」 咲「……エッチなこととか、考えてないよね?」 京太郎「か、考えてねえよ!」 京太郎「俺は俺で、食事の後片付けでもしながら頭冷やしとくからよ」 咲「……わかった。入ってくる」 京太郎「ああ」 スタスタ...バタン 京太郎(俺もちゃんと、どうしたいのか考えねえと……) ――――――――――――――――――― ジャー 京太郎「……」フキフキ 京太郎(俺は、咲のこと……女として見てなかった) 京太郎(でも、さっきのこともあって……咲が本気で、その……俺のことが好きなんだってことが分かった) 京太郎(咲の中ではもうとっくに、俺は“ただの友達”じゃなくなってたんだ) 京太郎「……っ」 京太郎(じゃあ、俺の方は……どうだ?) 京太郎(今でもあいつを……ただの友達でしかないと言い切れるか?) 京太郎(俺はいったいどうしたいんだろう……?) 京太郎(……) 京太郎(俺は、あいつを悲しませたくない……あいつの泣いてる顔なんて見たくない) 京太郎(……それは、友達だからか? それとも、それ以上の気持ちがあるからか……?) 京太郎(わからねえ……俺には……) ――――――――――――――――――― バタン 咲「……あがったよ」 京太郎「あぁ、おかえり」 咲「……」 京太郎「まあ、ここに座れよ」 咲「……うん」ストン 京太郎「……」 咲「……」 京太郎「……あのさ、咲。俺、考えたんだ」 咲「……なにを?」 京太郎「俺はどうしたいのか」 咲「……京ちゃん」 京太郎「なんだ?」 咲「京ちゃんはやさしいから……たぶん、私のことを傷つけたくないって思ってると思う」 咲「でも、傷つけたくないからって理由で好きになってほしいなんて、私は思わない……思えないよ」 京太郎「咲……」 咲「私も考えた……自分がどうしたいのか」 咲「私はもう、京ちゃんのこと忘れたい……」 京太郎「なっ……」 咲「だって、京ちゃんのこと考えるの……苦しいから……っ」 咲「好きになってもらえないんなら……一緒にいるだけで……それだけで辛いから……っ」 京太郎「……っ」 咲「私はたぶんすっごく意地が悪くて、ワガママなんだと思う……」 咲「普通なら、好きな人と一緒にいられるだけで幸せだと思うはずなのに……私にはそれができない……っ」 咲「私は独占したいんだよ、京ちゃんを! 京ちゃんを私一人だけのものにしたい! 他の子と一緒にいるのなんて嫌なの!」 京太郎「咲……」 咲「……でもそれはできないってわかった……もうわかったんだ」 咲「だから、これ以上私が“嫌な奴”になる前に……っ」 咲「……っ、京ちゃんのこと……もう忘れさせて」 京太郎「……っ」ガタン 咲「えっ……」 ダキッ 咲「ひぅ……き、京ちゃん……?」 京太郎「俺は……っ! 俺は咲のこと、忘れたくなんかねえよ!」 咲「……っ」 京太郎「俺の……俺の方こそワガママだ……っ」 京太郎「咲のことを傷つけたくないといいつつ、答えをはぐらかして、傷つけて……」 京太郎「俺……咲のこと好きなのかそうじゃないのか……それだけを考えてた」 京太郎「でも思ったんだ……答えはそれだけなのかって」 京太郎「俺の中で不変なのは……お前と一緒にいたいっていうこの気持ちだ」 京太郎「それが世間でどういう言われ方をしているのかわからない……」 京太郎「もしかしたら、それも単なる“友達としての好き”の範疇なのかもしれない」 京太郎「だけど、俺が自信を持って言えるのってそれだけなんだ」 京太郎「俺はお前といたい……ずっと一緒に」 京太郎「……咲の方は、どうだ?」 咲「……っ」 咲「わ、私だって……っ」 ギュッ 咲「私だって、京ちゃんとずっと一緒にいたいよっ!!」 京太郎「そっか……ありがとう」 咲「ぅ……ひっく……」 京太郎「ごめん、こんな卑怯な言い方しかできなくて……」 咲「いい……いいの……っ」 咲「私には……私にはそれだけで、すごい宝物だよ……?」 京太郎「……ありがとう」ギュ 咲「……っ」 京太郎「いつか、ちゃんとお前に『好きだ』って、自信を持って言いたい」 京太郎「それまで、一緒にいてほしい……頼めるか?」 咲「うん……」ゴシゴシ 咲「よ、喜んで……っ!」ニコッ カン
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14 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/25(日) 17 27 30.40 ID DmJQPPnw0 エンディング 淡「るんるーん♪」 京太郎「ご機嫌だな」 淡「もちろんっ!」 京太郎「五連覇だもんな、凄いよ」 照さんと菫さんが居なくなり、黄金世代は終わったと思われた白糸台麻雀部。 実際にレベルは落ちていたと思う、だけど。 淡が消沈する部員を立ち直らせ、見事にチーム虎姫をまとめあげたのだった。 京太郎「お前って誰かと協力したり、誰かをまとめたり、面倒をみたりするのが嫌いだと思ってたよ」 淡「そうだね、前はそうだったよ」 淡「でも、京太郎と会ってから変われたから」ニコッ ,. --- 、 ____ /, ´ ̄ ̄` '⌒´ \ 、_/_/⌒ヽ , / ヽ ,---、 / // ヽ . , / ̄-/ /' { | | | / __  ̄,./ /-' l| l | |___ l | | . ' / ,イ _| | |ア__l { { | / }`| | | / , ´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 | | /\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{ ////\ r--- ´八 !∧  ̄ , . . }/ノ/ リ. ///////\ \}∧ u 八/ //////////〉 込、 __ ,. / ///////// / }>、 ` イ |从 ,'//////// / _ /--、l ` ̄ , |--、.///////// / イ/////\ {////} / 「///|'//////// /´// {////////ー '|////| , |///l|///////////// |l///////////ヽ// \ |////> 、////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、 京太郎「お、俺?」 17 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/25(日) 17 32 42.35 ID MgL4Pg1Y0 淡「気付いて無いんだ……」 淡「京太郎はとても凄い力を持ってるよ?」 京太郎「俺が?凄い力?」 淡「人を変える力だよ」クスッ 京太郎「それはそれは、凄い力だな」 京太郎「でもな、淡」 京太郎「お前だって俺を変えてくれたぜ?」 淡「勿論知ってるよ~」 淡「京太郎が個人で全国に出れるなんて、最初は誰もがそうなるなんて思っていなかったよね」 京太郎「それもそうだけど……」 ナデッ 京太郎「お前と会えたからこそ、俺は人を変えられるようになったんだよ」 淡「……///」 淡「恥ずかしいなぁ……もうっ」 ´ `丶 / \ / \ ヽ / ,イ ヽ . // | | ' ト、 . j/ ; | | │ !∧ i / i |¬|ト│ |八-- 一 i i . Ν 八八 Ⅴ´\ハ | | ┼ __ | \ (⌒⌒) i Λ x= ミ \ル‐ =ミV | │ i │ レ(ノ\ レ 丿 \/ | i iハ . |. | │ i │ | i i . " "" ; | . | i . | i . ∨込. マ フ / イ リ i . 人八 ∨ 个ト ,,_ <「∨ /i i . /\[ | __j_」 ∨∠ リ リ 、 / リ jレ'´ 乂 У∨ ∧ \ / / /ー --/ / /⌒>、 \ / / / / 广⌒゙ア / ///⌒\ \ / / / / / 厶イ , \ \ / イ\ ,゙ / __/ {// | \ \ // /イ 「\\_/ . ´ 八 ∨ ′ | \ ヽ (/ ノ 人; \[__/ / / \∨{ 人 ∨)_ノ \{ / > [_[\__;;;/ )У 〉 ト、 │ \__{ / 几 \ 〈 /| |ハ | [__∨ ∨| \ 丶 込,,______ノ | / ∨ 22 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/25(日) 17 40 03.71 ID UThBO65j0 [1/2] 俺の一目惚れだった。 可愛い奴だと思わされた。 私の一目惚れだった。 とてもかっこいい人だった。 彼とーー 彼女とーー 手を重ねるのが喜び。 会話すればドキドキする。 唇を重ねたら愛おしくなる 体を重ねたら一緒にいられる。 これからも絆は続く。 愛は永久ーー 絆はこれからも。 / / // . 〃 . iト、| . | ヽ ヽ ヽ 乂 .′ / ,イ . / ! . i| | . |\ . ハ .′ i`ーァ′/ ! . i | . | | . | \ . ヽ . ____ i-‐ ´ . .′ !/ . ′| . | | . | | . | \ .  ̄| ̄ ̄ `ヽ /i| |. | | . | | . ! | . |_,,-‐====‐\ . | . | . i j〃 . i| |. |‐===┼- | j -‐ \ . . | . | . | / . i| {. ! \八 . | jノ , -‐ __,,.⊥ . } . | . 人 ′ . 八 Ⅵ ≫=ミ、 . ! ≫≦Y⌒'マハ 、 . .′ . | . .\ i . i . \{ハ 《 )i ハ\{ ″{ .) i } } 》 . / . /! . \ .\ | . | . i '. ヾ い; jj 八∨乂 _;ノ ノ . / . | . .`ー- | . | . | . | . l'. V辷ク ゞ゚-‐ ' . / . / . | . . | . | . | . | . |ハ / . / . / . . | . . | . | . | . | . | . , / . . .′ . / . | . . . | . | . | . | . | . / ,. ,イ . / . 人 . . . . |.. i | . | . | . | ゝ. 、 ノ .′ // / . / . . / \ .\ . l 从 . | . | . { / > . { /' / . / . . ′ \ .\ . 乂{ \. !\〉、 \_/ . . 〕jッ。. . ィV`ヽ /. / . . / \ .\ . . `\ \{ \;/ . . //{{ ` ´ | |│ ,// . . / \ .\ . . 続くだろう。 カンッ 26 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[ ] 投稿日:2014/05/25(日) 17 48 01.54 ID UThBO65j0 [2/2] エピローグはまた後ほど投下 38 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/26(月) 00 08 26.42 ID rrvXf0Nr0 エピローグ 集中治療室。 京太郎「……」 多数の管、延命用の装置、人工呼吸器に繋がれていた。 淡「ばかっ……」 淡「身を投げ出して私を助けるぐらいなら、私を置いてって良いのに……」 大学生になった大星淡と須賀京太郎。 大星淡はプロの道へと進むと思われていたが、まだやりたい事があるとの事で大学に進学をしていた。 一方の京太郎は大学でプロを目指していた。 医者「植物状態ですね……」 医者「身体は綺麗に治したんですけど……」 医者「非科学的ですが……目覚めないんですよね……」 医者「理由はさっぱり……」 淡「京太郎おぉ……」グスッ 44 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/26(月) 00 50 48.89 ID 3gUuhMqS0 [1/6] 淡ルートはこれにてカンッにした方が面白そうなので カンッ また淡ルートを選んでくれたらエピローグと本当のエンディングを解放した方が面白そうなので。 一旦淡ルートは封印 57 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/26(月) 01 11 28.75 ID 3gUuhMqS0 [6/6] つぎいっくよー 記憶引き継ぎに関しては とある一定のコンマを引いたヤンデレのみ引き継ぎと考えています(高校が同じキャラの場合)ので、安心して前回選んだ高校も選んでください。 前回ヤンデレだったあの子も……ヒロインだったあの子も……! プロローグ 意識が混濁としている。 酷い夢を見ているようだ。 何回も何回も酷い目にーー 咲……? 京太郎「はっっ……!」ガバッ 京太郎「夢か……」 京太郎「嫌な夢を見てしまった」 京太郎「そんな事よりも今日は入学式だ!」 京太郎「楽しみだな」 可愛い女の子と……うへへ。 次に行く高校は? 前行った高校でもあり 前行った高校の場合は記憶引き継ぎ安価します 安価下13 103 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/26(月) 02 18 25.68 ID UDWEd5F20 [2/2] 怜 好感度max 依存度144 泉 45 浩子 92 セーラ 02 竜華 46 それでは(地獄の)はじまりはじまり 京太郎「行ってきまーす」 ーーー 京太郎「千里山かぁ……頑張るぞ」グッ 登場人物安価 誰がくる? 0~20 怜 21~40 泉 41~60 浩子 61~80 セーラ 81~99 竜華 安価下1 108 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/26(月) 02 23 58.76 ID Im5js6m30 京太郎「あ……」 すばらです。 とてもすばらなおもちです。 京太郎「エクセレント」 竜華「ん?なんや?」 京太郎「あ!な、なんでもないです!」 竜華「自分で振っといて面白いやっちゃなー」クスクス 竜華「名前は?」 京太郎「京太郎です!」 竜華「私は竜華よろしくな」 京太郎「はい!よろしくお願いします」 竜華「よし、気に入った!麻雀部入らへん?」 / / / // ´ ̄ ヽ / / / | l | | . i. / / | / / > ´ /, ′ | l | | . l / /... | i /ァ===ミ、 ヽ /イ . j_| | . │. ′. リ、 ;《 ん干ハ\ 〃 j\ イ / . /|. / . / ∨ | { ト ノ ' ,ノ / ヾ }/} \ __/ .′ ′ { ヽ{ ゝ こソ =ァ=/ / ソ/ / \ / / ! ∧ 。 ん干ハ㍉ / / ヽ.′ ′ |... ∧__ . ' .' . { ト ノ ′|} / / /// . i|.. | { 、 ゝ こソ //彡 //..... i|. |∧ ヘ / / ノ... i| l ∧ 「 、 . ' .' .° ′ノ┬=ァ ´ i| | / . ` -- ′ , イ / / / j| l / \ / / // j| |/ 丶 ___,,.. イ ../ / i| ト / / i| ../ /-=ニニニム {ニ\ / / i| . ,′/ 京太郎「ーー」 1.遠慮します 2.入ります 3.自由安価 どれを選んでも千里山麻雀部の連絡先を知ることが出来ます 安価下 7 118 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/26(月) 09 01 19.66 ID fSj3w+aT0 京太郎「入ります!」 竜華「よし、じゃあ放課後よろしくな~」 京太郎「はい」 ーーー 放課後 京太郎「よし、麻雀部にいくぞ」 ーーー 京太郎「失礼しまーす……」 ジロッ おお……流石名門。 部員が沢山いらっしゃる。 怜「あんたが京太郎か」ゴホッゴホッ 京太郎「あ、は、はい」 病弱そうな人だなぁ。 京太郎「貴女は……?」 怜「怜って呼んでや」ヒラヒラッ 京太郎「はい!」 怜「なぁ……後で抜け出さへん?」ピトッ 京太郎「ーー」 なんと言う? 自由安価 安価下8 139 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/26(月) 23 10 31.53 ID ehMaKL/i0 京太郎「愛の逃避行って奴ですか?いいですね、行きましょう」キリッ 怜「は、え、えぇ…///」カァァ 怜「そ、それはアカンわ……まだうちと君は高校生やし……///」クネクネ 京太郎「……?」 あれ?冗談のつもりなんだけどな。 怜「ま、まぁ京太郎となら考慮したるわ」ギュゥゥゥ 京太郎「ノーウェイノーウェイ。タンマタンマ」 怜「もう冗談じゃすまさんよー?」ニッコリ 京太郎「は、はい」ゾクゾクゥゥ 怜「ふふっ」ギュッ ザワザワッ どうして目立つんだよぉぉぉぉ!!! | ./__// } } ./ | |___} | | ./ // ` //| /´ l ./ |/| .. | | ./ /イ 〃 , ィ ../ 〃 ,ノ .| | .. .ト、/___j!__,/__/ / ../ /_,j!______ | | | .. i!〃つ。ノ.V/l|\-‐ ´ '´つ。ノ.V/l}㍉ | ハ , fヘヽ弋l(......)ツ 弋(......)lツ / , イ .. ′ | i ¨¨¨¨¨ ¨¨¨¨¨ / | い i.| .| , ゚. . . . . . . . . . . . . .゚ , | .. ..| |i |ハ | ′ . . . . . . . ' . . . . . . . ′ノ | || || | .\__j j_/ .. | || || l .∧ / , l| リ 乂 个 .. ´  ̄ ` .. 个 ゚ リ \} .ト、 >... イ ./ \ い乂 .. .| > __ <│ j ./} /} /j/ `ー―ヘ ヽ}ィニ| |ニヽ ノ}ノ/_,イノ ィ __ -=ニニニニニノ ∨ニニ=- __ 竜華「……なんやこれ」 竜華 好感度上昇安価 コンマ判定 0~30 小 31~60 中 61~99 大 145 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/26(月) 23 17 15.10 ID u62GOou90 鍛えられとるわ…… 竜華の好感度が10上がりました 竜華 56 浩子「騒がしいなぁ……なにやっとんねん」 浩子「ん?」 京太郎「!!!」ビックウウウウウ! 京太郎「???」 か、身体が勝手に怯えた? 意味わからないぞ…… 浩子「変な奴や」 浩子好感度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99 大 148 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/26(月) 23 56 01.99 ID Wf7s0ic80 浩子 好感度10上昇、 セーラ「なんやなんや?騒がしい!」 京太郎「あ、男子部員」 セーラ「俺の事男に見えるのか!?」パァァァ 京太郎「あ、ごめんなさい!女性でした!」 セーラ「じゃかあしぃわ!!」バキッ 京太郎「なんで!!??」ゴホッ セーラ 好感度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99 大 156 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 00 04 46.42 ID Z6kTfBpx0 セーラ 好感度30上がりました セーラ 32 泉「皆騒がしい……」 泉「ん?なんや君」 京太郎「須賀……京太郎です」 泉「うちの事知っとるか」 京太郎「……」 泉「うちの事知っとるか、知っとるか?」キラキラ 京太郎「テレビで見た事あるような」トオイメ 泉「高校最強のうちのことは知っといて当然やもんな!」ドヤッ ''‐--‐__´ ヽ∨´ _, ア , ´ ` ` 、 <_,-‐ _. \. / , ‐ ´ `', _`ゝ. / , ' _ ,、 ', __ゝ , ' , / ./ / / i/ i i ', \ , ' , -‐ フ / / , '/ / ', .|| .| 、 ',、. \  ̄.. /,- | / / /, ' \ ',.|/i、. ', ',`、-‐` ´ ´| ,-∨// ,´ ̄`ヽ ,-‐-、 .', ',、ヽ ', i i` `|i |つ | |っ |、.|、|\| `i`-、 `ー‐´ ', ノ|ノi ||ノ. ', ,. ', //// /// i´ `´ `| ∨\ (`-´) .ノ ,->‐-  ̄__ , - ´ // ̄ヽ 、',´i/、 /;;| ノ -v-i、 〈;;;;;|, `ー´ ) .〉 >| ', ,/ー〉 ,<\ `ー ´,、〈`´ /;;;;;;\ `ー-, /-| `,;;;;;;;/;;;;;;` ー‐-´;;;;;`;;;\ \/;;;;;;;;;;/;;;;;;;;|;;;;;;;;|;;;;;;;',/ ',ー-、__,-┬-`ー| ', | .| | ', .| .| i i i ∨ ハ / / ∨ ハ. /、 ./ ∨ ._| 〈ー-ニ/ . ',´,--| `ー´ `ー´ 泉 好感度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99大 159 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 00 22 06.07 ID HV88/LAK0 [1/2] 行動フェイズ 夕方 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 166 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 00 42 11.68 ID xgBLZkpE0 失礼しました 泉 55 浩子 好感度max 依存度102 ーーー 店員「いらっしゃい」 0~20.わっかんねーなんで前の週で私と結ばれなかったのかわっかんねー全てが分からねー 21~40.シャーマン 41~60.すばらなおもちが! 61~80.プンスコ! 81~99.アラサー ゾロ目 ネキ 171 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 00 50 30.35 ID qeJGQstp0 170 シロはヤンデレにならずに殺されます ーーー 健夜「……」 健夜「よろしくね」 京太郎「はい!」 ーーー 京太郎「」 ーーー 京太郎「」 ーーー 京太郎「」 ーーー 健夜 好感度判定AND上昇安価 ゾロ目±1は引き継ぎ 0~30 小 31~60 中 61~99 大 184 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 01 19 52.40 ID MUCg9i6h0 健夜「ま、麻雀弱いのは知ってたよ」 京太郎「……?」 健夜「店員さん、知ってましたか?」 健夜「この子が私の注文です」 ゴゴゴゴゴ 京太郎「!!!!」ゾクゾク 健夜「別室……行こっか」 1.逃げる 2.着いて行く 3.自由安価 重要な安価です 安価下9 198 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 01 43 26.20 ID 9OT2M1oW0 [2/4] 196 マスコミ報道 見に覚えのない罪をかぶせられ 保護(物理) 京太郎「あ、用事があるんで帰ります」ソソクサ 健夜「えっ」 0~70 扉開いて全力で帰宅 71~99 鍵がかかってるだと? 205 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 01 58 11.32 ID 9OT2M1oW0 [3/4] 京太郎「!」 ガチャガチャ くそ!健夜さんが迫ってる! 京太郎「!」 窓だ……これなら! 0~50 窓から脱出 51~99 皆が恐らく望んでいたであろう終焉 210 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 02 14 28.84 ID 9OT2M1oW0 [4/4] ぱりぃぃぃぃん 京太郎「ふぅ……」 身体を鍛えていなかったら死んでいた所だった。 ーーー 健夜「……」 ーーー 行動フェイズ 夜 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 218 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 02 26 27.56 ID 6NCZGSvS0 [1/3] ゾロ目を勘違いしないで頂きたい ゾロ目ボーナス 土方「筋がいいなぁ!!!」 土方「てめえ、地方とかはどうだ?」 京太郎「ち、地方?」 京太郎「???」 土方「地方に行きたくなったら呼べよ」 土方「どんな状況になっても呼んでくれたら必ず駆けつけますので」ニコッ 土方「今回は……助けますよ」 京太郎「……」ゴシゴシ 京太郎「あれ?一瞬イケメンの人が」 土方「ふふっ……じゃあな」 219 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 02 27 18.85 ID 6NCZGSvS0 [2/3] 京太郎「誰かに電話するか」 自由安価 今までに出会ったキャラにしてください 前週キャラは危険な場合あり 重要な安価です 安価下7 232 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 14 11 44.72 ID 6NCZGSvS0 [3/3] 京太郎「もしもし……警察ですか?」 京太郎「小鍛治プロが……はい、本当なんですよ!」 京太郎「……」 プツッ 京太郎「取り合ってもらえたけど……微妙な感じだったな」 ーーー 京太郎「誰かに電話するか」 自由安価 今までに出会ったキャラにしてください 前週キャラは危険な場合あり 安価下7 242 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 17 29 27.84 ID HV88/LAK0 [2/2] 怜「京太郎かーどうしたん?」デレデレ 京太郎「いやー怜さんの声が聞きたくなって」 怜「そんなん照れてまうわぁ///」 怜「恋人同士なんやからいつでも聞いたってーな」ニヨニヨ 京太郎「ん?」 怜「ん?」 怜「どうしたん?」 京太郎「俺と怜さんって、恋人同士でしたっけ?」 怜「そやけど?」 京太郎「ーーー」 なんと答える? 自由安価 安価下7 250 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/27(火) 17 57 24.53 ID WxkMwhBL0 京太郎「ああそうだったんですか。 ごめんなさい、俺そういうの初めてで、まだ違うのかと思ってました。」 怜「そこまでしといて怖いわ~うち泣いてまうで?」クスッ 京太郎「あはは、ごめんなさい」 京太郎「でも恋人同士か……それならちょっと相談したい事が」 怜「ん?なんや」 京太郎「実は俺、健夜プロに狙われてて……」 ーーー 怜「にわかに信じられないけど……京太郎やからな、ジゴロやし」 京太郎「逃亡……二人でしませんか?」 京太郎「きっと……怜さんも危ないです」 怜「……」ゴホッゴホッ 怜「ええよ、あんたとなら」ニコッ 京太郎「良かった……!」 ーーー ジジジッザザァ 健夜「へぇ……明日……ねぇ」 268 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 00 14 59.90 ID Rk30kQB80 [1/3] 京太郎「……」 朝五時。 京太郎「さて……」 口で言ったのは六時だけど、メールで送ったのは五時半での待ち合わせだ。 母「あんた……そっか」 母「最後のお小遣い、あげる」 渡されたのは15万円、正直驚いた。 京太郎「っ……!」 京太郎「ありがとう……!」 ダッ 母「本当……立派になっちゃって」 コンマ判定 0~40 健夜ですけどー?京太郎君いますか? 41~99 怜の家に着く 271 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 00 19 23.96 ID gG2FQVYt0 [1/3] 京太郎「……!」 玄関で待ってたか。 怜「遅いわアホ……」ゴホゴホッ トランクバッグを持って春らしく足を見せた軽装で俺を待っていた。 京太郎「身体大丈夫ですか?」 怜「余計な心配はいらんよ、さっ行こか。王子様」ニコッ 京太郎「はい」 0~30 どこに行くのかな? 31~99 怜と共に出発 275 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 00 25 55.91 ID gG2FQVYt0 [2/3] ガタンゴトンッガタンゴトンッ 怜「なぁ、どこに行くんや?」 怜「うちら……アテがないで?」ゴホゴホ 京太郎「……」 行くところに迷って病弱な怜さんに負担はかけたくない…… たとえ遠くても、しっかりと行き先は決めた方がいい! なら……! 京太郎「ーー」 どこに行く? 自由安価ANDコンマ判定 京太郎と怜の逃亡地を選んでください。 0~50 相席いいかな? 51~99 目的地決定 280 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 00 31 43.13 ID CdY9CGn40 [1/8] 長野 京太郎「長野だ、昔住んでいた家があるんだ」 怜「京太郎の出生地かぁ」ゴホゴホ 怜「ええなぁそれ。素敵やわ」ギュッ 京太郎「なっ……ちょっと!怜さん!」 怜「敬語をやめて……怜って呼んで?」ジッ 京太郎「……!」ゴクッ その上目遣いに惹かれるように俺と怜はーー 長いキスを交わした。 0~50 私の京太郎君に何をしてるのかな?怜ちゃん 51~99 東京駅到着、一旦休憩 291 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 00 52 29.18 ID STZD8gdi0 [1/2] 東京駅 京太郎「東京着いたな」 怜「せやな」ノビー 京太郎「ちょっと疲れたな」 怜「せやな」 京太郎「そこのベンチに座るか」 怜「ええ提案や」 京太郎「よいっしょ」ストッ 怜「京太郎、おっさんみたいやな」ピトッ 京太郎「そうか?」 怜「ちょっと疲れたわー」ゴホゴホ 怜「ちょっと膝枕してもらってええか?」 京太郎「おう、大丈夫だぞ」ポンポンッ 怜「悪いなー京太郎」ゴロッ 怜「竜華の方がええわ」ジトッ 京太郎「悪かったな」アハハ 怜「でもこっちの方が好きや」ゴロゴロッ 0~50 んっ?あれは…… 51~99 何もなし、ホテルへ向かう 299 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 01 37 10.79 ID 89CkP4E40 [1/2] ここ、東京なんだぜ? 京太郎「ホテル行くか」 怜「ホテル大丈夫なん?」 京太郎「あっ……」ダラダラ 怜「あかんなぁ……もっとしっかりしてくれな」 京太郎「どうしよう……」 怜「あ、あのピンクのホテルでええやん」 京太郎「え、でも……そこって」 怜「休むだけやから大丈夫やでー」ウヒヒ 京太郎「目が大丈夫じゃないんですけどそれは」 怜「ほら、早く行くで!男やろ!」グイグイ 京太郎「マジで!?」グググッ 0~20 俺たちの天使 21~40 俺たちのチャイニーズ 41~60 俺たちの歌姫 61~80 俺たちのアメリカン 81~99 俺たちのヤクザ 303 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 01 41 48.08 ID CdY9CGn40 [2/8] ダヴァン「どうしましたカー?」 京太郎「あはは……なんでもないですよ」 怜「そこのアメリカ人さん、うちの彼氏に言ったってーや」グイグイ 京太郎「ちょっちょっと……!」 ダヴァン「?」 ダヴァン「何がでスカ?」 怜「男なら女をリードしろって」 ダヴァン「お安い御用デス!」 ダヴァン「そこの京太郎!!今度こそ幸せにしやがれなサーイ!」 京太郎「??は、はい!」 怜「ほれ、いくでー」 305 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 01 47 26.00 ID dDpNlojc0 [1/6] ホテル~SSS~ 京太郎「ほ、ホテルか」 怜「そ、そやな」 怜(い、勢いで入ったのはええけど……///) 怜「緊張するわ……これ///」モジモジ 京太郎「そ、そうだな」 京太郎「ご、ご飯食いに行くか」 怜「そやな、東京のもんがどんだけうまいか確かめたる」 京太郎「よし、行こう!」 怜「おー!」 どこに食べに行く? 1.和食 2.中華 3.洋食 4.フレンチ 安価下5 313 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 02 07 41.96 ID Rk30kQB80 [2/3] 京太郎「中華食うか」 怜「お、行こか」 ーーー 京太郎「うん、美味しい」 怜「中々やるやんか東京……」 京太郎「あははっ」 京太郎「よろこんでくれたらそれで何よりだよ」 怜「~♪」 怜「今……最高に幸せや」 怜「病気で倒れた時よりも……レギュラーになれた時よりも……」 怜「今一番生きてる実感があるんやで?」 京太郎「……」 怜「京太郎のおかげ……やな」チュッ 京太郎「なっ……///」 0~30 アラサー 31~99 ホテルへ 317 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 02 11 29.35 ID dDpNlojc0 [2/6] ホテル 京太郎「そ、そ、そ、そろそろ寝るか!」 怜「先シャワー入らへん?」ギューッ 京太郎「!!!????!!!???」 怜「なんなら一緒に入るか?」 京太郎「……」 怜と…… 京太郎「」プシューッ 怜「顔真っ赤やで、まぁ…….高校一年生やししゃあないな、エッチな妄想しても」 怜「そういう所好きやでっ」チュッ 怜「ほな、先浴びてくるわ」 318 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 02 18 38.79 ID gdV6bGMO0 [1/3] 怜「……///」 怜「どや?」 怜「あまり身体に自信ないから見んといてや」 怜「ま、まぁ京太郎が見たいって言うなら……///」 怜「バスローブ脱いでも……」 京太郎「……Zzz」グー 怜「起きろや!」ビシィッ 怜「そこまでさせて寝てるってなんやねん!?」ゲシゲシ 怜「自分ホンマに付いとるんか!?」ゲシゲシ 321 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 02 21 59.91 ID Pc7lgruc0 京太郎「はっ!」 京太郎「うわっ!」 京太郎「怜!なんて格好を!!」 怜「もう……///」 怜「疲れてるもんな……」 怜「早く寝よう、な?」 怜「ずっと抱き枕になったるさかい」 京太郎「怜……」 ギュッ 怜「ふふっ……おやすみ」 京太郎「ああ、おやすみ」 怜「好きやで京太郎……」 322 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 02 27 41.04 ID YHYzEuwJ0 京太郎「……Zzz」グー 怜「……」ナデッ 怜「うちより二つも下でよう頑張っとるわ……」 怜「あの時倒れたうちを運んでくれたってしっかり覚えてるんやで?京太郎」チュッ 怜「またここで出会えたんやから……好きになっても仕方ないやろ?」 怜「千里山の皆と京太郎で……」ゴホゴホ 怜「全国行こうな?」 怜「ずっと一緒やで?」 324 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 02 29 57.90 ID Cr43A0k50 [1/3] 朝 京太郎「よし、チェックアウトも済ませたし、長野に行くか」 怜「愛の逃避行は楽しいなぁー」 ーーー 東京駅 京太郎「よし、行くか」 怜「おーっ!」 0~50 健夜も長野へ 51~99 まだ健夜は気付かない 328 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 02 32 05.41 ID Cr43A0k50 [2/3] 長野 京太郎「よし、着いたな」 京太郎「どこに行こうかな」 1.清澄 2.鶴賀 3.風越 4.龍門淵 安価下5 336 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 02 43 18.52 ID CdY9CGn40 [3/8] 京太郎「ここが俺が前住んでいた家だ」 怜「ええ家やな」 京太郎「普通だろ」 怜「せやな」クスクス ハギヨシ「おや、貴方は……」 ハギヨシ「なるほど…….一人でここまで」 ハギヨシ「次に危機が起きた時……読んでくれたら駆けつけますよ」スゥッ 京太郎「?」 怜「あの有名人ストーカー……まだ捕まらへんのかな?」 京太郎「ここまで頑張ったんだ、きっとうまくいくさ」 怜「せやな」 京太郎「愛してるよ」ギュッ 怜「当然や」アハハ 367 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[saga] 投稿日:2014/05/28(水) 13 32 19.78 ID 89CkP4E40 [2/2] 健夜「……」 健夜「はぁ……」 健夜「今回は随分と幸せそうだね」 京太郎「っ!!!」ビクッ 健夜「まぁ……あの女同様、殺すけど」 怜「……」ブルッ 京太郎「怜……先に行け!」 怜「いやや!京太郎が危ない!」 京太郎「早く!」 怜「っつ……!」ダッ 健夜「行かせると思って……!」 ワラワラ 京太郎「この人混みの中で?」 健夜「どうやって?……まぁいいや」 健夜「タイミングはいくらでもあるからね」スタスタ 京太郎「は、は、ははは……助かった」 京太郎「学生の下校時間で助かった……」 369 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 13 45 42.93 ID CdY9CGn40 [5/8] 不安だった。 恋人に逃がしてもらったのはいいけど、その恋人がやって来なかったらどうしようかと。 もし、捕まっていたりしたら…… 怜「京太郎のアホ……」クスンッ 怜「早く帰って来いやぁ……」ウワーン 泉「なんですか?アレ」 竜華「恋人待ちらしいで、ほっといたり」 泉「はぁ……」 怜「アホー!お前が死んだらうちはどうしたらいいねん!?」クワッ セーラ「うわっ!怖っ!」 「誰がアホだって?」 竜華「待たせ過ぎやろ」ウリウリ 「ははっ……すいません。まさか大阪まで行ってるとは思ってなくて」 怜「……!」パァァァ 怜「京太郎……」ウルッ 京太郎「はいはい、お待たせ」ニカッ __/ , , } l \ ` ー-, | /{ { l | | . /_/ | / 从 ,-}/、 |l | / 从 -rォⅥ /rォ- }イ { _` ̄´ { {rI ゞ ,}' ゞ } }∧ Y {{ |Y } 从∧ _ 八{ 「l | || | | | Ⅵ 、 ` ー` イ / ' { ー '' ' | /^〉 「//}` ー ´r'-、 | ' ノ_,」// | |/()| . /´ //////∧_ r '///>- 、 ∧ _人 イ///////∧-}//////////> 、 {//\___「///////// ∨////////////∧ |////()/}//////////{/////====/// //| ////// //////////(_)//////////|////| ,'//////イ/////////////////////l|////| ////////j//////////////////////|////| {////////{//////////////////////|////| ∨//////イ////////////////////// ///∧ マ//// |//////////(_)///////// {//////}  ̄ |/////////////////////,イ///// | |/////////////////////} 〉/////| |////////////////////{ {//////| //////////////////////∨///// } //==///////////////==/\///イ 372 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 14 09 26.50 ID bD+mXjK90 怜「待たせすぎちゃうか?」プイッ 京太郎「長野に居ると思ってたんだって」 怜「連絡ぐらいよこしてくれないと困るわ!」ビシ 京太郎「へへっ……ごめんって」 怜「もう……」 | ./__// } } ./ | |___} | | ./ // ` //| /´ l ./ |/| .. | | ./ /イ 〃 , ィ ../ 〃 ,ノ .| | .. .ト、/___j!__,/__/ / ../ /_,j!______ | | | .. i!〃つ。ノ.V/l|\-‐ ´ '´つ。ノ.V/l}㍉ | ハ , fヘヽ弋l(......)ツ 弋(......)lツ / , イ .. ′ | i ¨¨¨¨¨ ¨¨¨¨¨ / | い i.| .| , ゚. . . . . . . . . . . . . .゚ , | .. ..| |i |ハ | ′ . . . . . . . ' . . . . . . . ′ノ | || || | .\__j j_/ .. | || || l .∧ / , l| リ 乂 个 .. ´  ̄ ` .. 个 ゚ リ \} .ト、 >... イ ./ \ い乂 .. .| > __ <│ j ./} /} /j/ `ー―ヘ ヽ}ィニ| |ニヽ ノ}ノ/_,イノ ィ __ -=ニニニニニノ ∨ニニ=- __ 怜「んーっ」 京太郎「ちょっ!皆見てる……」 怜「んーっ」 怜「見せつけるんやで」 京太郎「もうっ……!」 チュッ キャーキャーザワザワ 竜華「なんか腹立つわぁ」 373 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 14 44 33.19 ID gdV6bGMO0 [2/3] エピローグ 全国大会準決勝 怜(トリプル……!) 照「……!」 ーーー 健夜「……」ニィィィ 健夜「ふふっ」 ーーー 恒子「先鋒戦終了ーー!」 ーーー 怜「……」フラッ ダキッ 照「……」 京太郎「ふぅ……たくっ……無茶しやがって」 煌「すばら、ですね」 375 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 14 49 53.99 ID rbRx0lWl0 [1/2] 病室 怜「……」 竜華「ん?どうしたんや?」 怜「あのな竜華」 怜「うち……」 ガララッ 京太郎「怜元気かー?」 怜「元気やでー」 怜「決勝まで行けへんかったけど、とても清々しいわ」 竜華「怜……」 怜「京太郎、少し飲み物買って来てくれへんか?」 京太郎「おう!」 ガララッ 怜「まだ京太郎には言えんわ……」 怜「あのな竜華……」 竜華「?」 怜「うち……」 376 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 14 50 42.61 ID rbRx0lWl0 [2/2] 「あと半年しか生きられないねん」 378 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 15 06 46.29 ID gdV6bGMO0 [3/3] 竜華「えっ……!」ガタッ 竜華「う、嘘やろ?」ポロポロ 怜「もう冗談じゃ済まされない所まで来てるねんて」 怜「うちの身体はあの時、倒れた時からずっと」 怜「ボロボロやねん」 竜華「ぅ……ぅぅ」ポロポロ 竜華「きょ、京太郎がいくらなんでも可哀想やろ……それだといくらなんでも……!」ダキッ 怜「だからな……あんまり傷付けないように考えがあるんや」ニコッ ガララッ 京太郎「買って来たぞー!」 京太郎「ん?どうしたの?二人して」 怜「なんでもないわ、ほれ京太郎もこっきぃや」 京太郎「ん?」 竜華「……」スッ ガララッ 京太郎「?」 怜(ありがとな、竜華) 怜「抱きしめてもらってもええか?」 京太郎「?」 俺は言われるがままに怜を抱き締めた。 京太郎「少し痩せたか?」 怜「気のせいやろ」 怜「……」チュッ 京太郎「んっ……」 舌まで…… 怜(これが最後……)ツーッ 379 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 15 40 55.24 ID p7qFKUSr0 数日後 千里山 怜「もう、別れよか」 京太郎「え?」 怜「ちょっと疲れてもうたわ」 怜「ほな、また部活でな」 京太郎「えっ……ちょっ!」 怜「しつこいわアホ」 竜華「……」 怜「いこ、竜華」 スタスタ 京太郎「……嘘だろ?」ガクッ 怜「……」ズキッ 竜華「……」チラッ 竜華「怜、これでええのか?」ボソッ 怜「うん。これがうちにできる最善手や」 怜「ゴホッゴホッ……病院までおぶってもらってええ?」 竜華「当然やろ?」 怜「恩に着るわ」 381 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 15 52 28.96 ID bCEMWRwi0 それから俺は麻雀に没頭した。 怜は学校にも来なくなったらしい。 そしてーー 卒業式。 竜華(怜……) 竜華(うち……卒業したで) セーラ「……」 セーラ「俺な、怜より強くなってみせるわ」 竜華「大学で頑張るでー」 セーラ「当然や」 ーーー 京太郎「先輩!お疲れ様です!」 竜華「お、京太郎早いな」 セーラ「いやー泣きそうになってもうたわー」 竜華「泣いとった癖にな」 セーラ「お前だって泣いとったわ!」 京太郎「あはは……」 京太郎「怜は……今日も……」 竜華「……」 セーラ「……」 382 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 16 00 27.62 ID Rk30kQB80 [3/3] 京太郎「あいつ最後までサボって……何やってるんですかね」 竜華「やっぱりうちって最低やわ……」ハァッ セーラ「俺も約束守れへんな」ヤレヤレ セーラ「京太郎ぉ!」 京太郎「はい!」ビクッ セーラ「男ならシャキッとしてやる事があるやろ!?」 京太郎「え、え!?」 竜華「千里山病院の○○○号室!」 竜華「はいダッシュ!」ゲシッ 京太郎「は、はい!!!」 ダッ 383 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 16 08 39.93 ID mygbgYVP0 怜の病室前 京太郎「?」 怜……? 京太郎「まさか!」 京太郎「怜!!」バンッ 怜「京太郎……」コヒューコヒュー 京太郎「あっ……ああ」 そこに居たのは人工呼吸器でかろうじて息をしている怜だった。 怜「竜華とセーラか?」 京太郎「怜……怜……!」 怜「まぁ来るって薄々分かっとったわ」 怜「お母さん、お父さん。恋人と二人きりにさせてーな。最後のお願い」 384 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 16 17 27.42 ID STZD8gdi0 [2/2] 怜「ゴホゴホ」 怜「半年前からこんな感じやねん」コヒューコヒュー 怜「すまんな、京太郎」 京太郎「いいよ、もう」 怜「許してや」コヒューコヒュー 更に痩せ痩けた怜、もうかろうじて息をしている状態だ。 長くない、簡単に分かる。 怜「膝枕させてもらってええかー?」 京太郎「ああ、当然だろ」 /. / / / \ / / / / /}/ / \ / / / / / / / / . / / / / / / // / /| | . / / / / 7´~~//-/ // / ! ! l . ∨ l /l/ /´___/ /、,/ / ! ! l | / /|l /xァ≠=-ミ l / /__彡 へ | | | | / i 八/{ /三三 ハ| //  ̄ ̄、 \ 从 l | | |. . --./ l ′rうく三/ }/´ ____ // l | | | / / l ′ `う ⌒7三≧x // / 从 / ; / / l ′/// /三三三ハ/ / )イ ; / . / / ′ / てうぅ三ジ 厶イ / . / . / / / { し `う゚ ´ / / { / . / / / / .| /// /イ l l .. / | / / / .| / .、 乂_) / l l . / l/ l / |l ∧ .、 U / l l l l .. / l/ 八{ ∧ | \ / l l l |\{\{.. /----=ニ二. \从 l≧=--------‐┬=≦>-/ l l l | ニ=- 二/ /二二二二二ニ===ニ二ニ==\/ / / l l |)ノ \/ニ/ /二二二二二二二ニ二二二二′ / / l l / / ̄| lニ/ /二二二二二二ニニニ二/ / / / l l / / . | 怜「ふー……なんだかんだでこっちが落ち着くわ」 385 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 16 25 21.65 ID I1BfZYmM0 [1/3] 怜「本当……居心地ええわーこの膝枕」 怜「ありがとなー」コヒューコヒュー 怜「愛の逃避行が無かったらもっと早く死んでもうてたしな」ゴホゴホ 京太郎「……」 怜「京太郎に拾ってもらった命」 怜「京太郎の上で落とすのも悪くないわ」 京太郎「本当……馬鹿だな」 怜「あまり傷付けたくなかったんや」 怜「やっぱり竜華とセーラには敵わんわー」アハハ 怜「本当はもっと話したい事あったんやけど……」 怜「それはおいおい京太郎の目に入るとして……」コヒューコヒュー ピビピッピビピッビー 怜「ほんま素晴らしい人生やったわー」 怜「ちょっと眠ってもええか?」フワァ 京太郎「ああ……」ポロポロ 怜「京太郎に会えてよかった……」コヒューコヒュー 怜「京太郎……おやすみ」スゥッ ピーッ 386 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 16 26 03.43 ID I1BfZYmM0 [2/3] 京太郎「ぁぁぁあああああ!!!!!」 387 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 16 27 59.26 ID I1BfZYmM0 [3/3] 一週間後 京太郎「ふーっ」 京太郎「ただいまー」 母「お帰り、手紙が届いているわよー」 京太郎「ん?」 京太郎「はいよ」 ーーー 京太郎の部屋 京太郎「どれどれ?」 京太郎「差出人は……」 園城寺怜…… 京太郎「!」 390 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 16 41 39.98 ID Yi9gzWTL0 [1/2] 京太郎へ これを見るって事は分かってると思います。 私は、ずっと前から病弱でした。 半年前になり、さらに病弱になってしまいました。 それでも特に悔いはありません。 貴方に会えた事がとても嬉しいからです。 一つだけ心残りなのは貴方と後の人生を歩めなかった事でした。 神様は残酷で理不尽です。 京太郎と会えて、京太郎と一緒に居た時間は何にも代え難い物です。 私は貴方を愛しています。 怜 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 京太郎「馬鹿……野郎」ポロポロ 391 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 16 47 39.89 ID Yi9gzWTL0 [2/2] /. . / . . .ト、 . ′/ . . ハ . | ヽ .i | ′. // ! ハ . l V l. l | ´ ̄ ̄│ . ./ j/ ̄ ̄`. i. . . . l l . | | .ィfテ示メ、/ ,行示ミx.V l l | 代 V/ /リ V/ /ソ }} ! . . . l. l \ ヘ `¨´ , `¨´ ムイ l l ハ ` "" - 、 "" ′. . . .l l !∧ / ′ ! . . l l . .lゝ. . ′ ', .′ | . . {从 . . .i! / ._ l イ . | . .ハハノ \ \ト、 . . 〕 ,イ v l< .ノイ .ハ/ > ‐‐ '´ |. | / .j/ ¨> ´ i | |{`ヽ. /‐x/ v ー-| ト`ヽ \ _/ /^Y ′ `l | | | \. l/ />.| l l ! _| | | 、 .′ / | | l k'′ | |_| .//.\ .′ | 、 lノ. | | ` ── く ∨ 丶 丶 丶 __ノ | l、 .イ /∧ l ー--┬r' x. ─| |ヽ` ─ < .レ 「また会おうな」 393 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/28(水) 16 50 57.02 ID dDpNlojc0 [3/6] \\// Y=ニニニニニニニニ∨ ∧ニニニニニ/⌒丶/ ./ { }ニ}ー-、 / {}} 厂 ̄ ̄ ̄⌒ヽ__=ニ∨/ }ニニニニニニ厂 ̄ 〈 }==ニニ/⌒7 ー=彡 }.//}______厂 ̄} {}} / O ,ィ彡'´ニ∨/ .ノ==ニニニ/ }ニ Y } }==厂 ,. -────- /ニニニ}__/ {}}ニニニニニニ⌒ヽ___ー=彡'"´ニニニニ/ 人ニ{ ノ/⌒´ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . `丶/ ⌒ヽ {}}ニニニニニニマー'=ニニニニニ/ / ヽ=ニニニニヽ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\/⌒⌒ヽ 〉ー=彡⌒´ニニニニニニ/ / ノ===ニニニ/ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ヽ  ̄`ヽ {ニニニニニニニニ==ニニ\ / ⌒ヽニニニニ/ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ./ . . . . . . . . . . . . . . . . . \ \ニニニニニニ=ニニニ/ ′ }=ニニ/ . . . . . . . / . . . . . . . . . ,イ } . . . . . . . . . . . . . . . . } Y⌒ ̄ ̄`ヽニニ/\ γ⌒ヽ__rく==ニ′ i . . ./| . . ./{ハ ./ | . /\ . ./ハ . . | . . . . .i } } }ニ/ー- ⌒7 ̄} /{. i . . . . | . / l . ./ ∨ レ' ∨ }Ⅵ . . . . .| Y / /ニニニニニ/⌒ / / } 〃| . |. . . .Ⅳ V | . . . . .| / ̄ ̄⌒) / /ニニニニニ} ⌒)/ {{ | . |. . . .| ___,. 、____ | . . . . .|____/,ィ彡'´ Y⌒ヽ/ /==ニニニー=彡 ヽ_ _ O | . |. . . .| ´ ` | . . . . .| ニ/ / / /==ニニニニニニニ\ >`¨´ | . |. . . .| ,斗ぅ芋ミ 斗ぅ芋ミ | . . . . .| {__/ ./⌒ヽ /ニニニニニニニニニニニ厂⌒ヽ/\} ,ィ彡'⌒ | . |. . . .| {. 乂辷ソ 乂辷ソ .} | . . . . .| / /==ニニニ\/ / ̄ ̄ ̄ ニニニ/⌒) \/ 〃 | . |. . . .|ハ ハ| . . . . .| ./ /ニニニニニニニ〉 /=ニ/ _}ヽ ー=彡'´ | . |. . . .lヽ{ ' }ノ| . . . . .| | __/===ニニニニ/⌒\// __) } | . |. . . .| .人 __ 人 | . . .| | | |=====ニニニ/O Y / / \/ ___________}\ | . |. . . .l | . | ...  ̄ ̄ イ l . | . . .| | | |===ニニニ/ `¨´ /|/ニニニ〉 Y {ニニニニニニニニY.|八 . . .ト、| . | . .r‐}` ー--‐ {‐ァ | .| | . . .| | ∨ニニニニ/ / |\===/ | 〉ニニニニニニニニ \l _ |-‐'{厂 ア}ー- . _ | . 八|===ニニ/ / ヽ___/ \/ / /====ニニニニニ_ ,. < | | ノ/=ー-、ニニ〈 〃 /ニニニニニニニニニニ `¨´ ̄ ̄`ヽ====ニニニニニ〈 | | 〉/\_// {ニニニニニニニニニニニ⌒ヽ ー───ニニニニニニニニニ∧ ヽ / ∧ { {____/ニニニニニニニニニニニ 「今回潰したのは宮永照では無く園城寺怜」 「それだけの違いだよ」 「私の力は彼女にとっては毒だったみたいだね」クスクス 「私を選ばないのなら、次も邪魔してあげるよ京太郎君」 カンッ
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【銭湯】 一同「混浴!?」 番頭「最近お客が来なくなってねえ、これなら家族もアベックも来やすいと思ってねえ」 京太郎(この面子で混浴なんて願ってもみないビッグチャンスじゃないか!) エイスリン「コンヨク?」 華菜「京太郎と一緒に入れるってことだし!」 エイスリン「イクノ?」 郁乃「京太郎くんと一緒に入れるってことやで~」 エイスリン「ヤタッ!」ニコッ 華菜「なんで無視するんだし!」 照「京、私のスタイルに酔いしれるといい」 京太郎「いやそれだけはないから安心しろ」 霞「昔は別々だったのに……」 京太郎(これで霞さんの胸を生で……) 番頭「あ、水着は着るようにな」 京太郎「は……?」 カポーン 京太郎「シャワーが共同なだけまだマシか……」 京太郎「皆が入って来るまで何しよ」 京太郎「待ってるか……」 ガララ 照「京、もう来てたの」 京太郎(レーザーレーサー!?身体洗えねえだろ!) 照「これが似合ってるって言われた」フフン 京太郎「出るとこ出てないからだろ」 照「…………」ズーン エイスリン「キョウタロー、オマタセ!」 京太郎「」ブフォッ 京太郎(白の紐……だと……)ドバドバ 京太郎(エイスリンさんは無いものだから興味が無かったが)ドバドバドバドバ 京太郎(くっ……)ドバドバドバドバドバドバドバドバ 京太郎「天使、か」ガクッ 照「きょ、京ーー!!」 華菜「おーい京太郎ー起きろー」ペシペシ 京太郎「ん……」ムクッ 霞「顔色悪いけど、大丈夫?」 京太郎(ハイレグ……)チラッ 霞「京太郎くん?」ドタプーン 郁乃「も~寝るの早いで~」 京太郎(この中だと郁乃さんが一番普通なんじゃ……)チラッ 郁乃「どうどう?似合っとるか~?」ポニョン 京太郎「郁乃さんらしくていいと思いますよ……」チラッ 霞「こっちはどうかしら?」ドタプーン 京太郎「」ブフォッ 霞「えっ?京太郎くん?京太郎くん?」ユッサユッサ 怜(先生に行ってみたらどうや、って言われて近所の銭湯に来たはええけど……) 照「これなら泳げるかも」←レーザーレーサー エイスリン「~♪」シャアァー←白の紐水着 華菜「はぁー今日も疲れたなー」←薄桃色のワンピース 郁乃「京太郎く~ん、大丈夫~?」←黒のマイクロビキニ 霞「京太郎くん!京太郎くん!」←白のハイレグ 京太郎「Oh yes...」ドバドバ 怜「何やこの惨状は……」 京太郎「うおぉ……クラクラするぅ……」 照「京、大丈夫?」 京太郎「お前なら何とか大丈夫だ」 照「…………」ジトッ 京太郎「冗談だから!殺気感じるからやめて!」 照「…………わかった」 照「その代わりに、京の背中を流す」 京太郎「何の代わりだよ……」 照「私に任せて」 京太郎「……じゃあよろしく」 照「うん」 照「どう?」ゴシゴシ 京太郎「んー気持ちいいぞー」 照「良かった」ゴシゴシ 京太郎「毎日やってほしいくらいだぜ」 照「…………」 京太郎「照?手ぇ止まってるぞ?」 照「ごめん」 照(毎日……) 照「……」ギュッ 京太郎「おっ、おい、照、何だよ?」 照「京の背中、大きい」ギュッ 京太郎「おーい?聞こえてるかー?」 京太郎「ちょっと当たってんだけど……」 照「……当たってるんじゃない、当ててる」ギュッ 京太郎「お前に言われてもなぁ……」 照「」プチッ ミシミシミシミシ 京太郎「照!?腹!腹がおかしなことになるガハッ!」 ミシミシミシミシ 京太郎「柔らかい!十分柔らかいから!興奮するから!」 照「…………」 照(ずっとこうしていたい)ギュッ ミシミシミシミシ 京太郎「グハァッ!」 京太郎「」チーン 怜「京くーん、起きとるかー」ツンツン シャァー 照「終わったよ」 京太郎「おう、あんがとな」 照「身体洗ってくるから先にお風呂入ってて」 京太郎「あー、じゃあ俺が洗ってもいいか?」 照「えっ……」 京太郎「おい何だその汚物を見るような眼は」 照「だって京はセクハラしてきそうだし……」 京太郎「しねーよするわけねーだろ」 照「」プチッ メキメキメキメキ 京太郎「あああああアイアンクローやめて!」 メキメキメキメキ 京太郎「わかった!セクハラするから!照の身体エロくてセクハラしちゃうから放して!」 照「そういうことなら……いい」 京太郎(何だこのやり取り!) シャアー 京太郎「シャンプー入るかもしんないから目瞑ってろよ」 照「子どもじゃないんだから大丈イッ!」 京太郎「ほれ言わんこっちゃねえ」 照「…………」シュン 京太郎「顔は後で洗えよ、で問題は身体だけど……」 京太郎(レーザーレーサーぴっちりしすぎだろ……) 京太郎(洗う方法つったら脱がせる……禁止されてるからダメだな) 京太郎(だとすれば……) 京太郎(水着の中に手を入れる!) 京太郎「照、ちょっと我慢しろよ」 照「何をする気、ひゃっ!」 京太郎「こうでもしねえと洗えねえんだよ」ゴシゴシ 照「……後で覚えてて」 京太郎「やなこった」ゴシゴシ 照「冷たいよ」 京太郎「俺はあったかいぜー」 京太郎(照の肌、こんなに柔らかかったんだな) 京太郎(洗ったばかりだからいい匂いもするし、少し色っぽい) 京太郎「」ムクッ 照「?」ビクッ 照「京、骨が当たってるみたい」 京太郎「骨?」 JR京太郎「ムクッ」 京太郎(サポーターが効いていないのか!?) 京太郎「お、おう、もうちょい待っててな」ゴシゴシ ムニョムニョ 京太郎(今は萎えるのを待つしかない!)ゴシゴシ ムニョムニョ 照(さっきからくすぐったい……でも人の身体にこんな尖った骨があるのかな?) 照「……」フリムキ 京太郎「うわっ、見るな!」 照「…………」 京太郎「」ムクッ 照「」 京太郎(これってひょっとしたら死ぬんじゃあ……)ダラダラ 照「…………」ツンッ 照「京、この骨は何?」 京太郎(……気づいていないのか?) 照「少し柔らかいけど……」ツンツン 京太郎(保健体育とかは寝てそうだもんなぁ……) 照「?」ツンツン 京太郎(照には男特有の骨ってことで納得してもらった) 京太郎(昔は四人で風呂入ったんだけどな……) 霞「はぁ……」 京太郎「そんなため息ついてどうしたんすか?」 霞「私の身体、少し水着だと洗いにくいのよね……」 京太郎「……ああ、なるほど」 霞「この際京太郎くんでいいかしら……でも……」ブツブツ 京太郎(俺ってどんだけ信頼無いんだろう) 京太郎「霞さん!俺を信じてください!絶対に霞さんのおっぱいを弄ったり揉んだりしたいなんて思ってませんから!」 霞「いまいち信じられないのよね……」 京太郎「この目を見てください!」ギン 霞「心底信頼できなさそうね」 京太郎「俺の評価低すぎるでしょ!」 霞「そうねぇ……目隠ししてくれたら、お願いするけど」 京太郎「了解しました!」キラキラ シャァー キュッ 京太郎「終わりましたよ」メカクシ 霞「ありがとう、助かったわ」 京太郎「いえいえ、どういたしまして」 京太郎(予想外だった……) 京太郎(まさか目隠しをするだけではなく) 霞「」ニギッ 京太郎(玉質を取るとは……!) 霞(はっちゃんの男対策実際にやってみたけど……) 霞(……癖になりそうな触り心地ね)ニギッ 京太郎「ヒィッ」 京太郎「死ぬかと思った……」 エイスリン「」ジーッ 京太郎「?」 京太郎(何か視線を感じるような……)チラッ エイスリン「……」プクーッ 京太郎「エイスリンさん?」 エイスリン「!」アワワワ 京太郎「何やってるんですか?」 エイスリン「キョウタロー、ワタシモ!」 京太郎「え?」 エイスリン「ワタシモ!……?」ハテ? エイスリン「…………アゥゥ」 京太郎(エイスリンさん、何が言いたいんだ?) 京太郎(ホワイトボードも無いし……そうだ!) 京太郎「エイスリンさん!」フキフキ エイスリン「?」 |write me!| 京太郎(鏡を使えばいいんじゃないか!) エイスリン「!」フキフキ |エイスリンが泡だらけになっている絵| 京太郎「つまりエイスリンさんも俺に洗え、と」 エイスリン「!」コクコク 京太郎(他の二人よりは楽そうだし……まあいっか) 京太郎「そこで洗いましょうか」 エイスリン「アリガトウ!」 京太郎「どういたしまして」 京太郎「お痒いところはございませんかー?」ゴシゴシ エイスリン「ダイジョーブ!」 京太郎(胸は中寄りの小、さして興味はない) 京太郎(だがこの水着がいけない、どう考えたって誘ってるんだもの) エイスリン「キョウタロー?」 京太郎(いや待てよ?照がアレだったんだ、エイスリンさんなら……)ゴクリ 京太郎「あー手が滑ってしまったぞー」ボウヨミ ツルッ エイスリン「ンッ……?」 京太郎(集中しろ!須賀京太郎!) サワッ エイスリン「ッ!」 エイスリン「……キョウタロー……?」 京太郎「まだじっとしててくださいねー」 エイスリン「……?」 サワサワ エイスリン「ンンッ!!」 京太郎(触るだけでこんなになるなんてどれだけ……) 京太郎(あと一回……いや三回、いやいや五回……) サワッ エイスリン「ハァッ……ハァッ……」ビクッ ビクッ 京太郎(やりすぎたかな?) 京太郎(あとはちゃんと脚とか洗わないと……) 京太郎「あーすっきりしたー!」 照「気持ち良かった」ポカポカ エイスリン「キモチヨカッタ!」ポカポカ 霞「たまにはこういうのもいいかもしれないわね」ポカポカ 郁乃「楽しかったな~」ポカポカ 華菜「カナちゃんを楽しませるとはよくやるし!」 怜「なんでこの人たちと一緒におるんやろ……」 郁乃「お風呂上りと言えばやっぱりコーヒー牛乳やな~」 照「いちご牛乳が一番だと思う」 霞「普通の牛乳もいいと思うけど?」 怜「フルーツ牛乳でもええやろ」 エイスリン「?」 華菜「コーラに決まってるだろ!」 ヤイノヤイノ 京太郎(俺はどうしようか) 京太郎(こういう銭湯とかに来たときはいちご牛乳って決めてるんだよな) 京太郎「照ー、いちご牛乳買おうぜー!」 照「やっぱり京はわかる子だね」グッ 京太郎「風呂上りだと牛乳といちごの両方の甘さが強まって美味いんだよな!」 照「それがあの人たちにはわからんのですよ」 京太郎「くくくっ、可哀想な奴らめ」 一同「」イラッ 照「それじゃあ買いに行こう」 京太郎「おうよ!」 京太郎(……だんだん、照の言葉の端に気持ちが見えるようになってきた) 京太郎(気のせいかもしれないけど) 照「京、一口いる?」 京太郎「俺とお前で同じもの飲んでるだろ」 照「それもそうだけど……」 照「…………」シュン 京太郎「…………はぁ」 京太郎「ほらよ、一口」つ瓶 照「ありがとう、私も」つ瓶 ゴクッ 京太郎「うん、やっぱり美味い!」 照「うん」 京太郎(あれ?これって間接キスなんじゃ……)チラッ 照「?」 京太郎(……ま、照がそんなこと知ってるわけないし) 京太郎(照が狙ってるとは思えないから、違うか) 京太郎(畜生、恥ずかしがってる照を期待した俺がバカだったぜ!) 【11月第4週 平日2】終 【夜】 「年末にはそっちに帰って勉強するつもりだよ」 「その話だけど、あなたはいいの?」 「そっちでできたお友達と過ごせる時間、ニホンならあと四か月もあるんでしょ?」 「もうやりたいことはやれたからいいよ」 「ニホンの大学にだって、支援はしてあげるのに、どうして画家なんて目指すの?」 「麻雀もまだ続けたいんでしょ?」 「麻雀は、みんなの足を引っ張ってばかりだからやめようと思うの」 「それならニホンにいるより、そっちの大学に行って、おじいちゃんのところで絵の勉強がしたいなって」 「……そう、わかったわ。そっちはもう夜遅いんでしょう?もう切るわね」 「ありがとう、お母さん」 「おやすみ、エイスリン」 エイスリンが清々荘からいなくなるつもりのようです 【街】 郁乃「~♪」 郁乃(今日も楽しかったな~) 郁乃(京太郎くんといっぱい話せたし~こんなんやったらずっとこのままでもええかもな~) 「おい、そこの姉ちゃん」 郁乃「は~……」 「ちょっと寝たってな」 ドゴッ 郁乃「ッ!」 チンピラ1「ええ顔のしかめ方やなぁ」 チンピラ5「あーせや、こんな顔やったわ。まさか最新の睡眠薬が成長を退行化?させる薬やったとはなぁ」 チンピラ4「写真ともピッタシ!正真正銘の赤阪郁乃はんやな」 チンピラ2「あぁ、元姫松の代表やったっけ?」 チンピラ3「こないな上玉襲おうとしとったとはなぁ」 チンピラ1「なんでもええ、はよ車に運びぃ」 郁乃(この人たち……あんときの……) 郁乃(なんで、また見つかってもうたんや) チンピラ6「クルマガデルデー」 郁乃(助けて……) 郁乃が清々荘からいなくなりました 【11月第4週 休日】 京太郎「あんな広い風呂に入ったおかげからか身体が楽だ!」 京太郎「早起きも楽々だし、絶好調だ」 京太郎「こんな朝は何をしよっかなー」 朝 京太郎「ちはーっす!」 由子「京ちゃん、こんにちはなのよー」 おっさま「今日も頑張ってなー」 京太郎「今日はエイスリンさんいないんですか?」 おっさま「奥におるけど、少し元気が無いように見えたな」 京太郎「そうですか、わかりました」 由子「あっちの卓にホットコーヒーよろしくなのよー」 エイスリン「ワカッタ」 京太郎「エイスリンさんそれアイスティーですよ!」 エイスリン「ア……」 京太郎「ホットコーヒーはこっちです、しっかりしてくださいね」 エイスリン「ウン……」シュン 京太郎(なんかいつもと違うような気がするな……) カランコロン 京太郎「あっ、いらっしゃいませ!」 京太郎「――――って、照かよ」 照「京、にエイスリン?」 京太郎「ああ、俺たちここで働いてるんだよ」 照「ふーん……じゃあ次、私と打って」 京太郎「おう!受けて立つぜ!」 結果 京太郎 51+200+35+30=316 照 1+152+90=243 由子 73+120+15=208 エイスリン 57+105+15=177 京太郎「ツモ、4000・8000」 由子「また京ちゃんの一人浮きなのよー」 照(……京ちゃん?) エイスリン「マタ、キョウタローニマケタ」シュン 照(キョウタロー……) 京太郎「ここまで照に勝てるようになるとはなー、あっはっはー!」 由子「最近の京ちゃんはホンマ強いわぁ」 照(京ちゃん……) 照(なんかむかむかする……)ムスー 京太郎「照、どうかしたか?」 照「なんでもない」ムスー 京太郎「?」 由子「お茶いれてきたのよー」 京太郎「ありがとうございます!由子さんのお茶好きなんですよ!」 由子「京ちゃんに喜んでもらえるとこっちもうれしいのよー」 キャッキャ 照「むぅ……」プクー カランコロン 京太郎「いらっしゃいませー」 洋榎「ほぇー、こんなとこで働いとったんかー」 雅枝「京太郎、リベンジや!はよ卓に着きぃ!」 京太郎「ええっ、何すかいきなり!」 洋榎「京太郎に勝てばウチが日本一なんや!はよ卓に着きぃ!」 京太郎(なんだこの親子……面倒くせぇ) カランコロン 由子「いらっしゃいませー」 小蒔「わぁ、ここが雀荘ですかぁ」 初美「滅多に来れませんからねー」 初美「むむっ!あそこに須賀京太郎がいるのですよー」 京太郎(さらに面倒くさい雰囲気……!) 京太郎「あ、あははー、どうもー」 小蒔「須賀さん、お久しぶりですっ!」ペコッ タユン 京太郎(前言撤回、ここはさながら天国だ) 洋榎「あ!アンタ永水の先鋒やないか!」 小蒔「愛宕さん、でしたっけ?もお久しぶりですっ!」ペコッ タユン 洋榎「」イラッ 洋榎「なぁ、オカン、ウチ神代と打ってもええか?」 小蒔「えっ、どうしてですか!?」 洋榎「けったいな胸しよってからに……」ギリッ 京太郎「今回も勝ちますよ!」 小蒔「私が勝ちます!」グッ タユン 洋榎「神代……飛ばしたるわ」イライラ 初美「姫松の主将も子どもっぽいですねー」 洋榎「見た目小学生に言われたないわ!」 結果 京太郎 24+200+35+30=289 小蒔 52+(100+160)÷2+30=212 洋榎 88+133+15+15=251 初美 12+116+30-30=128 初美「なんで蚊帳の外だったはずの私が一人沈みなんですかー……」 洋榎「やっぱり女は胸やないっちゅうことやな!」ペターン 小蒔「はっちゃん、元気出してください!」タユン 初美「うわーん!姫様ー!」 小蒔「いいこいいこー」ナデナデ 洋榎「やっぱり洋榎ちゃ「なんか」」 京太郎「こうして見てると親子みたいですね」 小蒔「そうですか?」 洋榎「あ、あのー」 京太郎「薄墨さんが子どもで神代さんがお母さん、みたいな?」 小蒔「それなら須賀さんはお父さんですね!一緒にはっちゃんをなでなでしましょう!」 京太郎「どういう理屈!?」 洋榎「…………」ブ゙ワッ 京太郎「いいこいいこー」ナデナデ 小蒔「いいこいいこー」ナデナデ 初美「私はそこまで子どもじゃないのですよー」ニヘニヘ 洋榎(あかん……入りにくい雰囲気が作られとる……) 京太郎「言動と行動が一致していないような……あ、洋榎さんもなでなでしますか?」 洋榎「ええんか!?」パァァ 京太郎「洋榎さんは姉ポジションということで」 洋榎「ほなウチも!」ガバッ 初美「もうこれ以上撫でないでほしいのですよー」 洋榎「…………」ガーン 洋榎「…………」シュン 雅枝「京太郎、国麻から勢いづいとるな」 由子「ここ最近負けなしなのよー」 雅枝「男子やっちゃうんに大したやつやなぁ」 エイスリン「…………」 夕 京太郎「今日はなんかいっぱいもらえたな」 京太郎「奮発して買い物しよっと」 京太郎「何を買おうかなーっと」 京太郎「麻雀教本、小説、参考書……あれ、あの人は……」 お品書き 1.牌のお姉さんの麻雀教本 中級編…2000円 2.牌のお姉さんの麻雀教本 上級編…2800円 3.小鍛治健夜の目指せ!グランドマスター!…2800円 4.戒能良子のものまね王!…2800円 5.迫り来る怒涛の修羅場…2000円 6.女性を落とす40の方法…1000円 7.ライトノベル…600円 8.小説…600円 9.参考書…900円 憩「文系科目はええとして、理系科目……」 京太郎「」コソコソ 憩「数学はやっぱり赤チャートがええかな……」ブツブツ 京太郎「わっ!」 憩「ひゃぁっ!」 京太郎「びっくりしました?」 憩「なんや京太郎くんかぁ、心臓が止まるか思ったわ」 京太郎「何探してるんですか?」 憩「参考書を探しとったんやけど、京太郎くんは?」 京太郎「俺は麻雀の教本とラノベを」 憩「京太郎くんも勉強せなあかんで」 京太郎「それはわかってんですけど、どうも集中できないというか……」 憩「ふふっ、京太郎くんらしいなぁ」 京太郎「憩さんはどうしてそこまで勉強をするんですか?」 憩「お医者さんになれー、って言われとるからなぁ」 京太郎「ああ、お父さんでしたっけ」 憩「……うん」 京太郎「嫌なら嫌、って言った方がいいと思いますよ」 憩「それもそうなんやろうけど……」 憩「……あ、もうこんな時間かぁ。ごめんな、もう行かな」 京太郎「そうですか、じゃあまた!」 憩「はーい、またなー!」 京太郎「憩さん、あんなんでいいのかよ……」 京太郎「あーもう!暇だ!」 夜 京太郎「そうだ、今日は照と菓子パーティーか」 京太郎「メールで呼べばいいだろ」 京太郎「さて、何を食べよう」 ガチャ バタム 京太郎(出てくるの早いな) トタトタ ズルッ 京太郎(なんでこの短距離で転ぶんだよ!) コンコン 京太郎「おう、入れ入れ」 照「……うぇぅ、ぐすっ」ボロボロッ 京太郎「あーあ、膝擦り剥けてるじゃんか、早く入れ」 照「うん」 京太郎「ったく、どういう転び方したんだよ」 照「こう、ズルッと」 京太郎「わからんわ」 京太郎「絆創膏付けて終わりっと」 照「お菓子、どこ?」 京太郎「お前それしか頭にねえのな」 照「そのために来たから」 京太郎「……どうせ俺はどうでもいいんだよな……」ウジウジ 照「あ……そ、そんなことはないよ」アセアセ 照「京も、大好きだよ……?」 京太郎「どうして疑問形なんだよ、まあいいや早く食おうぜ」 照「お菓子は?」 京太郎「ああ、これだよ」 照「こっ、これは……!」 照「東京駅の名店のスイーツセット!」 京太郎「他にもあるけど今日はこれだ」 照「美味しそう……」ジュルリ 京太郎「涎垂れてるぞ」 照「あうっ」フキフキ 京太郎「チーズケーキとプリンケーキ、どっち食べたい?」 照「どっちも」 京太郎「どっちか」 照「…………」ウーン 照「…………」ウーーン 照「…………」ウーーーン 京太郎「おーい、照ー」 照「…………Zzz」 京太郎「寝るな」ペシッ 照「うむっ!」 京太郎「じゃあ半分こでいいか?プリンケーキとチーズケーキそれぞれ」 照「全部食べたい」 京太郎「お前なぁ……」 照「……しょうがない、従う」 京太郎「じゃあ照が先にプリンで、俺がチーズな」ヒョイ 照「うん」 京太郎「いただきます」 照「いただきます」 京太郎「ん……」パクッ 照「……」パクッ 京太郎「うまい!」テーレッテレー 京太郎「そっちはどうだ?」 照「」ニコニコ 京太郎「美味いんだな」 照「京、はい」スッ 京太郎「いいのか?」 照「こうすれば簡単に半分こできるから、あーん」 京太郎「あーん」パクッ 京太郎「お!こっちも美味いな!じゃあ今度は……」スクッ 京太郎「ほい、あーん」 照「……」パクッ 照「……」ニコニコ 京太郎「美味いか?」 照「うん」 京太郎「ふー、食った食ったー」 照「おいしかった」 京太郎「また暇があったら食べるか?」 照「また半分こしたい」 京太郎「だな」 照「スプーンと容器持って帰ってもいい?」 京太郎「綺麗だもんな、二つともいいぞ」 照「ありがとう、じゃあもう帰る」 京太郎「おう、じゃあな」 照「……ふふ」 ガチャ バタム 京太郎「何か今背筋がゾクッとしたような……」 京太郎「風呂入ろ」 シャァー 京太郎「ケーキ美味かったなー、食べさせ合いは予想外だったけど……!?」 京太郎「待てよ……俺がやっていたのは……」 【照の部屋】 照「」クンクン 照(京の匂い……)クンクン 照(これは残った食べかすがあるから……)ペロッ 照「……おいしい」 夜 京太郎「もうすることもないし寝よ……」 「いよいよ夢の対決!」 「男子トッププロVS女子トッププロ!」 「男子代表は須賀京太郎!」 「彼を卓で待つのは女子のツートップ!野依理沙!戒能良子だぁぁー!」 ワァァァ- 理沙「負けない!」プンスカ 良子「たとえ京太郎が相手でも、ベストを尽くすよ」 京太郎「上等です。下剋上、見せてやりますよ!」 ワァァァー! 「男女対抗戦!開始ィィィィッ!」 【11月第4週 休日】終 【12月第1週 平日】 京太郎「充実した夢を見た気がした」 京太郎「身近に感じてたけど、良子さんも凄い人なんだよな」 京太郎「俺もいつかあの人たちに並び立てるのかな……」 朝 京太郎「うぅ寒ぃ……」 京太郎「マフラー編まないとな……」ガクガク 郁乃「京太郎く~ん!」タッタッ 京太郎「おはようございます、郁乃さん」 郁乃「おっはよ~」 京太郎「?痩せましたか?」 郁乃「そないにスリムに見える~?」 京太郎「ええ、まあ」 郁乃「えへへ~なんか照れるな~」 京太郎(そういえば、土日は郁乃さん見かけなかったな……) 京太郎「そうだ、来年のスマブラの新作ってどう思います?」 郁乃「むらびとさんはおもろかったな~、それになかなか強いやんあれ」 京太郎「チャージショットを拾うとか正気の沙汰じゃないですよね」 郁乃「まあうちのガノンちゃんにはつう」 郁乃「WiiFitトレーナーさんも、人選おかしいやろ」 京太郎「今回はネタに走りすぎてる気がしますね」 郁乃「切り札もマリオに似とるしな~」 京太郎「ロックマンはかっこよかったですよね」 郁乃「あの子ははよ使うてみたいな~エグゼくんもおってプログラムアドバンスとかも使えればさらに面白そうやけど」 京太郎「他キャラとソウルユニゾンとかも……ってカービィで十分か」 郁乃「クッパソウルとか見てみたいな~」 京太郎「来年買ったら皆でやりましょうか、果たして誰が一番強いのか!」 郁乃「…………来年、か」 京太郎「どうかしました?」 郁乃「いや~来年でスマブラ歴15年の私を舐めてもろたら困るな~」 京太郎「俺だって伊達にスマブラ歴12年を名乗ってませんからね、負けませんよ」 郁乃「そういえばポケモンって――――」 昼 エイスリン「……」カキカキ 京太郎「誰かいますかー」 エイスリン「」ビクッ 京太郎「エイスリンさん?珍しいですね、部室にいるなんて」 エイスリン「キョウタロー、オベントウ?」 京太郎「一緒に食べますか?」 エイスリン「ウン!」 京太郎「今日は部室の絵を描いてるんですか?」 エイスリン「オモイデヅクリ」 京太郎「あと3か月ですもんね」 エイスリン「…………」ウツムキ 京太郎「エイスリンさんは、どうするんですか?」 エイスリン「……カエル」 京太郎「ニュージーランドの大学ですか」 エイスリン「」コクッ 京太郎「でも確かニュージーランドには麻雀はまだマイナー競技なんですよね」 エイスリン「ダカラ、マージャンヤメル」ウルウル 京太郎「えっ?」 エイスリン「キョウタローモ……アエナイ」ポロポロ 京太郎「…………そうですか」 京太郎(エイスリンさん……予想はできたことだけど) 京太郎(ああして泣いてるのを見るのは、堪えるなぁ) 京太郎「俺と照が見学か」 照「菫とは違ってお菓子食べ放題」 京太郎「あんまり食うと太るぞ」 照「……」ムニッ 照「…………」ガーン 照「暇つぶし」ピッ 京太郎「だからってなんでテレビつけんだよ……」 テレビ「六月に統一牌騒動で世間を騒がせた加藤良三氏は――――」 京太郎「あ、この人こんなことになってんのか」 照「誰?」 京太郎「六月くらいにプロリーグであっただろ、統一牌問題」 照「統一牌?」 京太郎「従来の統一牌は削りにくいように作られてたんだけどこの人が作ったのは削りやすく作られてたんだよ」 照「削る?」 京太郎「まあ細かいことは置いておいて、そんでそんときのこの人の言葉が「私は知らなかった」とかで無責任だーって言われてたんだよ」 照「……?」 京太郎「お前には難しい話だったな、ごめん」 照「莫迦にしないで、私にもわかる」 京太郎「疑問符散々出してたやつが何言ってやがる……」 霞「京太郎くん、ちょっとこっちに来てくれるかしら、照ちゃんは卓に入ってて」 照「わかった」 京太郎「頑張れよ」 照「言われるまでもない」 京太郎「ははっ、そうかよ」 京太郎「で、何の話ですか?」 霞「連盟から連絡があってね、これ」 京太郎「えーっと、プロ・アマ交流戦監督に就任……?」 霞「今年の交流戦は学年対抗らしいのよ」 霞「各学年二チーム、プロは一チームと高麻連公認の選手、つまり私たち教員+プロの一チーム」 霞「合計八チームで行われるんですって」 京太郎「それで俺には二つ目の一年生チームの監督をしろ、と」 霞「そゆこと、あなたは兼任監督だけどね」 京太郎「じゃあ俺も打てるってことですか?」 霞「まあそうね、一年生の候補シートはその二枚目にあるから頑張って考えてね」 京太郎「はい!……てか決定事項なのかよ」 霞「それじゃあみんなのところへ戻りましょうか」 プロ・アマ交流戦、一年生チームBの兼任監督に選ばれました! 夕 京太郎「対戦方式はいつもとは違って四人制」 京太郎「先鋒、次鋒、副将、大将の四人と学生は二人の補欠」 京太郎「俺がどっかに入るとしてあと五人か……」 京太郎「部屋に戻って考えるか、誰かと帰りながら相談でもしようかな」 照「京、これで帰るの?」 京太郎「待ってたのか?」 照「べっ、別に京のことを待とうと思ってここに立ってたわけじゃないんだからね」マガオ 京太郎「その台詞をお前から、しかもそんな無表情で言われてもな……」 照「せっかく本読んで勉強したのに」 京太郎「その本はアテにならないから捨てておけ」 照「そうする」 照「京が好きな台詞とかは無いの?」 京太郎「好きな台詞?」 照「私に言われてみたいこと」 京太郎「そう言われてもなぁ……」 京太郎「俺が言われてみたいのはだなー」ゴニョゴニョ 照「……そう」 照「じゃあ、言うね……」 京太郎「……」ゴクリ 照「今日産婦人科行って来たんだ」 照「…………」 照「先生に言われたんだ……おめでただって」サスサス 京太郎(いいなぁこの一線越えた感じ)グッ 照「ごめんね、京まだ結婚できないのに」 京太郎「ん?」 照「私のせいで京に迷惑がかかる」 京太郎「おい、もう終わってるんじゃないのか」 照「ごめんね、ごめんね、子どもなんか作っちゃって」 照「もう京の目の前には現れないから、じゃあね」 京太郎「なんで鬱になってんだよぉ!?」 照「こっちの方が京が好きかと思って、あと本に載ってた」 京太郎「もうその本燃やせ」 照「でも、どうやったら子どもは腹にできるの?」 京太郎「…………」 京太郎「お前は純粋なままでいてくれ」 照「?」 京太郎「俺が言われてみたいのはだなー」ゴニョゴニョ 照「……そう」 照「じゃあ、言うね……」 京太郎「……」ゴクリ 照「今日産婦人科行って来たんだ」 照「…………」 照「先生に言われたんだ……おめでただって」サスサス 京太郎(いいなぁこの一線越えた感じ)グッ 照「ごめんね、京まだ結婚できないのに」 京太郎「ん?」 照「私のせいで京に迷惑がかかる」 京太郎「おい、もう終わってるんじゃないのか」 照「ごめんね、ごめんね、子どもなんか作っちゃって」 照「もう京の目の前には現れないから、じゃあね」 京太郎「なんで鬱になってんだよぉ!?」 照「こっちの方が京が好きかと思って、あと本に載ってた」 京太郎「もうその本燃やせ」 照「でも、どうやったら子どもは腹にできるの?」 京太郎「…………」 京太郎「お前は純粋なままでいてくれ」 照「?」 京太郎「俺が監督……ってことは女の子たちとウハウハできるのか……」 京太郎「ここは最近の女子高生の話を聞いておこう」 京太郎「できれば同学年で……片岡は論外、泉は身体の感覚おかしいし、もこもアテにならなさそうだし」 京太郎「淡も……あいつは寝てそうだな」 京太郎「咲に送ってみるか」 京太郎『元気かー』ピッ ヴーッ ヴーッ 咲『何なのいきなり』 京太郎『咲に聞きたいことがあったんだ』ピッ ヴーッ ヴーッ 咲『今小説のちょうどいいところなんだけど』 京太郎「懐かしい流れだな、ここは……」 京太郎『咲にしか頼めないことなんだ!お願いします咲様!』ピッ ヴーッ ヴーッ 咲『しょうがないなぁ、天使な咲ちゃんにお任せあれ!』 京太郎『どこが天使だよちんちくりんのくせに』ピッ ヴーッ ヴーッ 咲『へぇーそんなこと言っていいんだ?』 京太郎『ごめんなさい許してください俺の話を聞いてください』ピッ ヴーッ ヴーッ 咲『いいよ、何?』 京太郎『全国大会で可愛かった一年生おせーて』ピッ ヴーッ ヴーッ 咲『ねえ京ちゃん怒っていいかな?怒っていいよね?怒るしかないよね?怒らずにはいられないよね?』 京太郎『もちろん咲は可愛いと思うぞ、ちんちくりんだけど 咲を除いた子だと誰が可愛いかなって思ってさ』ピッ ヴーッ ヴーッ 咲『一言余計だよね でもそういうことならまずは』 京太郎「よし、咲の話を聞いて作ってみたぞ!」 岩手 南浦数絵 ポニーテールなクール系可愛い 東京 大星淡 天真爛漫だけど心が折れそうになった時の表情が可愛い ?慧宇 留学生で、日本語も上手、お団子が可愛い、胸もある(画像検索参照) 長野 片岡優希 タコス モモ 胸がある、可愛い 愛知 対木もこ 小柄で可愛い、どこか放っておけない感じ 大阪 二条泉 夏服はヘソ出しノースリーブの大胆ファッション、おびえたときの声が可愛い 奈良 高鴨穏乃 血気盛んなポニーテールっこ、案外小柄で可愛い 新子憧 モダンな雰囲気の女子高生、男が苦手らしい 兵庫 森垣友香 帰国生、胸もある、元気で可愛い 安福莉子 花のカチューシャ、高鴨に振り込んだときの顔が可愛い 鹿児島 滝見春 黒糖をいつも食べてる、ポニーテール?で胸もある、大人しいけどごくごく稀に見せる笑顔が可愛い 京太郎「ふぅ、こんなもんか」 咲『こんなところかな』 京太郎『参考になった!ありがとな、咲がいてくれてよかったよ』ピッ ヴーッ ヴーッ 咲『いつもよくそんなことが言えるね、それじゃあおやすみ』 京太郎『おやすみー』ピッ 京太郎「大会はクリスマスイブ、そのちょっと前に合宿を開くこともできるそうだ」 京太郎「日程とかも俺が考えなきゃいけないのか……面倒くさそうだな」 【12月第1週 平日】終 京太郎「候補リストは……これか」 京太郎「手順はメンバー六人、俺がいるから五人を選出」 京太郎「後に合宿、もしくは全員練習を行いオーダーを決定、連盟へ提出か」 京太郎「メンバーを先に決めなきゃならねえのが難点だな」 京太郎「候補リストは……これか」 岩手 宮守 南浦数絵 雀力124 東京 白糸台 大星淡 雀力124 臨海女子 ハオ慧宇 雀力136 埼玉 越谷 水村史織 雀力108 神奈川 妙香寺 三尋木咏 雀力132 長野 清澄 宮永咲 雀力156 清澄 片岡優希 雀力116 清澄 東横桃子 雀力128 愛知 覚山王 対木もこ 雀力112 奈良 阿知賀女子 高鴨穏乃 雀力124 阿知賀女子 新子憧 雀力132 大阪 千里山女子 二条泉 雀力120 兵庫 劔谷 森垣友香 雀力128 劔谷 安福莉子 雀力116 鹿児島 永水女子 滝見春 雀力124 京太郎「この中から選ぶのか……」 京太郎「詳細情報は次のページから、か」 京太郎「誰のを見てみよう」 京太郎「南浦さんは南場からの勢いが圧倒的、対照的に片岡は東場の勢いが強い」 京太郎「淡は他家の手を遅めてからの早和了り、ハオさんは随分と変な和了りをするみたいだ……なぜだ?」 京太郎「水村さんと安福さんと森垣さんはデータが少ないから何とも言えないが、森垣さんは帰国子女で高火力選手か」 京太郎「滝見さんは守備が堅いみたいだ」 京太郎「泉と憧は安定して上手いらしいな」 京太郎「……さて、誰を選ぼう」 京太郎「本気で勝ちに行くなら咲と淡は呼んでおこう」 京太郎「他の三人は……」 京太郎「咲、淡……」 京太郎「高鴨、と滝見さんが安牌か?」 京太郎「これで俺も含めて五人、っと」 京太郎「あと一人……どうしよう」 残留候補リスト 岩手 宮守 南浦数絵 雀力124 東京 臨海女子 ハオ慧宇 雀力136 埼玉 越谷 水村史織 雀力108 神奈川 妙香寺 三尋木咏 雀力132 長野 清澄 片岡優希 雀力116 清澄 東横桃子 雀力128 愛知 覚山王 対木もこ 雀力112 奈良 阿知賀女子 新子憧 雀力132 大阪 千里山女子 二条泉 雀力120 兵庫 劔谷 森垣友香 雀力128 劔谷 安福莉子 雀力116 京太郎「咏がこのリストにいるってことは麻雀はまだ続けてるってことなんだよな」 京太郎「…………」 京太郎「また、あいつと一緒に戦いたいな」 京太郎「……決めた!」 京太郎「咲、淡、高鴨、滝見さん、咏」 京太郎「これでいいよな、うん」 京太郎「でも咲の情報と照らし合わせると……」 咲→まな板 淡→大人しい 高鴨→平地 咏→せんべい 滝見さん→大きい 京太郎「…………」 京太郎「巨乳ハーレムかぁ、やってみたかったなぁ」 京太郎「まあいいや、次は合宿の日程だな」 京太郎「大会は三週間後で今週は無理らしいから来週か再来週のどっちかだよな」 京太郎「再来週から冬休みだからそこ使うか、他のところも大体そうだろうし」 京太郎「あれ?そういえば来週って……」 日程 12月第2週 期末試験 12月第2週休日 冬休み開始 12月第4週(冬休み11日目) プロ・アマ交流戦 京太郎「期末試験忘れてたぁぁぁぁあああ!!!!」 京太郎「合宿プランは三泊四日にして、旅館は温泉があるところにしとくか」 京太郎「次はいつから始めるかだけど……」 京太郎「真ん中辺りにやるか、その方が前も後ろも休めて楽だし」 京太郎「これを連盟に送れば第一段階は終わりだな」 京太郎「……明日から試験勉強しないと……」 【12月第1週 平日】終
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淡「~♪~♪~♪~♪」テクテクテクテク 淡(いよいよ今週末は京太郎とデートっ♪楽しみだなぁ~) 淡(どんな服着ていこうどんなところへ行こう?) 淡(駅前で待ち合わせして、手を繋いで街を歩いて、服屋さんに行って京太郎に新しい服を見てもらおう) 淡(それでそれで、可愛いなんて言われちゃったりして……あ~~早くこないかな!土曜日!) 淡「ただいまー!……ってあれ?」 淡(ポストの中に何か入ってる……お届けものかな?) 淡「…………」ゴソゴソ 淡「封筒だ……ん?私宛?」 淡「誰からだろー?」 ―淡自室― 淡「とりあえず中身を見てみよ……」 淡「……」ガサゴソ 淡「これは……DVD?!」 淡「それ以外は何も入ってないけど……なんだろこれ?」 淡(中身、見てみようかな?……うん、見てみよう!) 淡(なんか嫌な予感がするけど、ま、大丈夫だよね!) 淡「えっと、DVDプレーヤーどこにあったかな~?」 淡「ディスクをセットして……再生っ!」ピッ ザザザザ…… 淡「…………あれ?」 淡(この画面に映ってる人……) 京太郎『…………』 淡(京太郎、だよね?) 淡「で、京太郎の隣にいる人は……誰?」 ???『…………』 淡(背の高い男の人、黒い服着てる。あれは……執事服かな?) ???『こ↑こ↓です』 京太郎『はへ^~おっきな家』 ガンゴンベキン! ???『お入り下さい、どうぞ』 京太郎『お邪魔しまぁ^~す』 淡「……」 ???『私の家……屋上あるんですけど……焼いていきませんか?」 京太郎『あ^~いいっすねぇ~』 淡「…………」 ジョロロロロロロ…… サッー!(迫真) ???『お待たせしました。アイスティーしかなかったんですけどいいですか?』 淡「…………」 ???『あなたのことが好きだったんですよ!(迫真)』 京太郎『う、羽毛』 淡「…………」 胸にかけて下さい!胸に! ンアッー! 淡「…………」 ~~二人は幸せなキスをして終了~~ 淡「……………………」 淡「えっ、なにこれは(驚愕)」 ―翌日― 淡「あ、あのあと結局放心してて気がついたら真夜中だった……」 淡「そのまま寝ちゃって昨日のことはあんまり覚えていない……けど」 淡(あのDVDに映ってたのは……京太郎) 淡(そ、それれで、きょぎょぎょ京太郎が、おおお男の人とあんな……あんな……) 淡「……うっ!」 淡「そ、、そうだよね。あれは夢。夢、そう、夢なんだよ」 淡「私の京太郎があんなクッソ汚いDVDに出てるわけないじゃん、はは、ははははー」 淡(あれは夢あれは夢あれは夢あれは夢あれは夢あれは夢あれは夢) 淡「………………」 淡「……う」 淡「うわああああああああああああんっ!!!!!!」ダッ 菫「…………ふぅ」 菫「今日もいい天気だ」 菫「こんな清々しい日はやはり格別だな、うむ」 菫「……だが」 菫「何故だろう。何か嫌な予感がする」 菫「嵐の前の静けさというかなんというか」 菫「…………」 菫「……ま、気のせいだろう」 菫「さーて今日も一日頑張って――――」 淡「菫ーーーーっ!!!!」 菫「…………」 淡「あのあのそのその、菫にね?ちょっと相談したいことが――――」 菫(…………) 菫(……まったく) 菫(嫌な予感、的中だ) 菫「……つまり、昨日何者かから届けられたDVDに、お前の意中の人の須賀君と正体不明の執事のクッソ濃厚なオスプレイ(意味深)が入っていた、と」 淡「」コクコクコクコク 菫「寝言は寝て言え」 淡「えっ!?」 淡「ちょ、ちょっとスミレー!そんな無下にしなくても!」 菫「だいいちその如何わしいビデオに出ていたのは本当に須賀君なのか?」 淡「うっ」 菫「お前の見間違いじゃないのか?」 菫「その須賀君とやらに似ている人が出ているブツを須賀君と仲の良いお前に送りつけて嫌がらせをする愉快犯の仕業じゃないのか?」 淡「そ、それは……」 菫「仮にも天下の白糸台高校麻雀部大将のお前が選んだ相手だ、そんなヤバげなものに出ているはずが――――」 淡「こ!」 菫「?」 淡「ここに、そのDVDが、あるんですけれども……」スッ 菫「……」 菫「……よし、見てみよう(提案)」 ――――DVD視聴―――― ファッ!? ムネニカケテクダサイ!ムネニ! アアーイイッスネェー カタクナッテルハッキリワカリマスネ アッアッアッアアアッアッアッア 菫・淡「…………」 菫「なんだこれは……たまげたなぁ」 淡「うううううう……やっぱり京太郎だ……」 菫「……淡、先刻私はそんな事ある訳がないと言っていたが、済まん。あれは嘘――――って聞いてないな」 淡「やっぱりこんなの嘘だよ……京太郎はもっとカッコ良くて優しくて、私を守ってくれてるんだもん。こんなの嘘だよ……嘘だよ……嘘だよ嘘だよ嘘だドンドコドーン……」ブツブツブツ 菫「……心中お察しする」 菫「……」 菫(……しかし、これは) 菫(本当にどうするべきか……) 菫「……」 菫(もう、こうなったら) 菫(あいつらも、巻き込んでみるか) 菫(私じゃ荷が重いし、な) 淡「うううううう……やっぱり京太郎だ……」 菫「……淡、先刻私はそんな事ある訳がないと言っていたが、済まん。あれは嘘――――って聞いてないな」 淡「やっぱりこんなの嘘だよ……京太郎はもっとカッコ良くて優しくて、私を守ってくれてるんだもん。こんなの嘘だよ……嘘だよ……嘘だよ嘘だよ嘘だドンドコドーン……」ブツブツブツ 菫「……心中お察しする」 菫「……」 菫(……しかし、これは) 菫(本当にどうするべきか……) 菫「……」 菫(もう、こうなったら) 菫(あいつらも、巻き込んでみるか) 菫(私じゃ荷が重いし、な) ――――放課後―――― 菫「と言うわけで第72回白糸台高校麻雀部一軍超極秘会議を開始する」 菫「今回の議題は――――」 『大星淡の彼氏、須賀京太郎の浮気疑惑について』 菫「――だ。経緯は昼休みのうちに話しておいたので言わなくていいだろう」 亦野「確か……大星の家に須賀といちゃつく女が映されていたDVDが送りつけられてきた……んですよね?」 淡「」ビクッ! 菫「ああ、そうだ」 菫(流石にSG君が謎の美青年執事とウホッしていましたなんて言えまい) 淡「」ブルブルブルブル 渋谷「こんなに震えて……可哀想」ヨシヨシ 淡「うう、たかみんー」エグエグ 照「……」 菫「どうした照?何か言いたそうだな」 照「そんなふしだらな奴なんて、振ってしまえばいい」 淡「!」 菫「!照!確かに言いたい事はわかるがもう少し言い方が――――」 淡「~~~ッ!!!」 照「……淡を泣かせるような奴だ。やっぱりろくでもない――――」 淡「っ、それでも!」 淡「それでも私は……京太郎のことが、好きなんだもん……」 照「…………そうか」 照「…………なら、いい」 「「「「「…………」」」」」 菫(……いかんな、気まずくなった) 菫(なにか、何か話題を探さなくては――――) 渋谷「……そういえば」 菫「!なんだ?渋谷?」 渋谷「そのDVDは、何処に?」 菫「…………えーっと、あー、それはだな……」 菫「DVDを見て発狂した淡が叩き割ったんだ」 淡「!」 菫(すまない淡!誤魔化さなくてはいけないんだ!) 菫(あんな淫夢君オッスオッスなゲテモノをこいつ等に見せたら何が起きるか……って淡!よくそんなものを私に――――って自分の好奇心の所為だな、ははは) 渋谷「……そう、ですか」 亦野「しかし浮気疑惑と言っても私達にはどうする事も――――」 照「そこで、だ」 亦野「?どうしました?」 淡「……テルー?」 照「私にいい考えがある」 菫「いい……考え?」 淡「そ、それは一体なんなのテルー!?」 菫(正直悪い予感しかしない) 照「今ここに、私が咲とのコンタクトを取るため五ヶ月半の月日を掛けて使い方をマスターした――――人類が生み出した文明の極み、携帯電話がある」 照「いや、大変だった。菫を頼って機種を選び、メール電話写メを覚え、最近ようやくまともに咲とメールできるようになった」 照「咲は携帯使えるみたいだからな、私も結構恥をかいたよ。まぁ青は藍より出でて藍より青しと言うしな、自然の摂理だ」 菫「意味違うぞ」 照「まぁ、要するに、だ」 照「これを使って須賀とコンタクトを取ろう(提案)」 淡「ええっ!?」 亦野「確かに、それが一番手っ取り早いですね」 渋谷「現場……把握……」 淡「で、でもそんな、心の準備が……」 照「じゃあいつやるんだ?」 淡「うっ、それは……」 照「今でしょ(迫真)」 淡「ぐぬぬ」 菫「淡、照の言う事ももっともだ。とりあえずまずは須賀君に連絡を取る事から始めよう」 淡「でも……」 菫「でももへちまもない。ほら、掛けるんだ」ズイッ 淡「ううー……」ピポパピポペ 淡「嘘だと言ってよ~京太郎~」プルルルルルルル(迫真) ――――ガチャッ(迫真) 『――――もしもし』 淡「あ!もしもし京太郎!?私!淡だよ!」 京太郎『――あ、、ああ……あわ、いか。どうしたんだ……ンッ……こんな時かアッんに?まだ学校だ……ろ?』 淡「え、えーっとね……」 淡(……ううーやっぱりあんなこと聞けないよぉ~っ) 淡(……あれ?) 淡「きょ、京太郎?」 京太郎『な、なンッ、だ?』 淡「呼吸が荒いみたいだけど……大丈夫?」 京太郎『あ、ああ、ンッ、これか……実はさっきまで……アッギョシサッ……結構激しい運動(意味深)しててな……疲れてる、んだ」 淡「そ、そうなんだ……」 京太郎『ああ、だからまた、後で――――ファッ!?』 淡「!?京太郎!?どうしたの!?」 京太郎『い、いいい、いや、なんでもない、きに ンアッ! するな』 京太郎『と、ととにかくまた後で電話するなっそれ、じゃ、あ……ヌッ』 ――――ブツン 淡「……切れちゃった」 菫「?どうかしたのか?」 淡「えっと、それがね、京太郎今疲れてるからまた後で掛け直して欲しいって」 照「ふむ」 菫「疲れてる……か。成る程、彼はミスター雑用ングだからな、しょうがないだろう」 菫「今掛けられないのは残念だがまた後ほど――――そうだな、部活が終わる時間帯あたりなら大丈夫だろう」 菫「だからそれまでなんらかの対策を考え――――」 渋谷「――――少し、待って欲しい」 淡「?どうしたの?たかみん?」 渋谷「何故、彼が疲れているのか――――私、気になります」 菫「?いやだからおそらく雑用による疲れだろうと――――」 渋谷「それは本当に?」 菫「……」 照「……淡、須賀は電話でなんと言っていた?」 淡「えっ?えーっと、その、『さっきまで激しい運動(意味深)してたからまた後で掛けてくれ』って」 菫「ふむ、普通だな」 亦野「確かに特におかしな所はありませんね」 照「うん、ないな」 淡「でしょ?まったくたかみんどうしたの――――」 渋谷「激しい運動(意味深)」ボソッ 「「「「……?」」」」 渋谷「――――――即ち」 渋谷「S(えす)」 渋谷「E(いー)」 渋谷「X(えっくす)」 菫「えすいー……?…………って何を言っているんだお前はっ!!!!!」ボンッ 照「…………」ポッ 菫「ほ、頬を染めるな照!そんなことあるはずがない!」 亦野「そ、そうですよ!」 渋谷「……薄い本では……日常茶飯事……」 淡「そ、そんなこと、あるはずが……ないもん」 照「……」 淡「京太郎は、私の、私の王子様なんだよ?そんなことあるはずが……ないもん。、ないよ……絶対、ないよっ!」 菫「淡……」 亦野「大星……」 淡「ううう、うううう、ううううう……」 照「……淡、安心して。そんなことあるはずがない。淡が信じる京太郎を信じて」 淡「うう、テルー……」 渋谷「……もしかしたら、現在進行形かも」 淡「う」 菫「渋谷ァ!お前少し黙ってろァ!」 淡「ふええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」ビエー 菫「ああっ!淡!泣くな!」 照「よーしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし」ナデナデナデナデ 菫「ほ、ほら!お前が送りつけてきた須賀君とのラブラブ()ツーショット()の写メだ!これ見て元気だせ!」 淡「う、ううう、ううううう、きっと京太郎は今頃、あの人とクッソ濃厚な……ふえ、、ふええええええ!!!」 渋谷「……軽いジョークだったのに」 菫「あんなヘビーなジョークがあってたまるか!」 淡「ふええええええええ!!!!」 亦野「大星落ち着いて!自分を見失うな!」 菫「ああもうどうすれば……くそっ、私の頭痛が再発するぞ、このままじゃ」 照「菫、ここは私に任せて」 菫「えっ?」 照「私にいい考えがある」ドヤッ 菫「えっ、ちょ」 淡「うえええええええん!!」 照「淡」 淡「うえええええ……え?」 照「これを見て」 淡「……」 照「つい先日撮った咲の写真だ」ドヤヤッ 淡「……」 照「この天使のような咲を見ればきっとお前の荒んだ心も浄化されて――――」 淡「ピンボケしてるじゃないですかー!やだー!」 照「えっ?……あっ、間違えた、本当はこっち」スッ 菫「……照、まさかお前写真の削除の仕方がわからないんじゃないだろうな?」 照「ち、違う、そんなはずはない。ただ咲の写真を一枚たりとも消したくないだけ」 菫「……本当か?」 照「…………ごめん、嘘。本当はわかんないから後で教えて、菫」ボソボソボソッ 菫「……やっぱりか」ボソボソボソッ 照「……うん、いざという時に容量いっぱいになったら困るし」ボソボソボソッ 菫「お前本当は全然使いこなせてないだろ」ボソボソボソッ 照「……失礼な、これでも最初の頃に比べれば成長した」フンスボソボソッ 菫「……はぁ、まったくお前と言う奴は」ボソボソボソッ 照「……ごめん」ボソボソボソッ 菫「……まぁ、それが『お前らしい』んだがな」ボソボソボソッ 照「!菫……!」ボソボソボソッ! 菫「っ、そんな目で私を見るな!その……照れるだろっ」ボソボソボソッ!! 照「菫……」 菫「…………」 菫「照……」 照「菫……」 菫「照……」 照「菫……!」 菫「照……!」 淡「ふえええええええ!!!二人が私そっちのけにして固有結界張ってるよおおおおっ!!!!」ビエー 照・菫「!!」ビクッ! 亦野「いやーそれにしてもこの部屋暑いですねー」 渋谷「……冷たいお茶……飲む?」 亦野「お言葉に甘えて、頂きます」 淡「ふえ、ふええ、ふえええええん!!!!」 菫「オ、オホン!……本当にどうしようか、この子」 照「まったくもってわからない」 照「けど、こう言う時はいっそのこと激流に身を任せた方がいいって千里山のトキィさんが言ってた」 菫「いつの間にそんな友人を……」 照「私のコミュニケーション能力は伊達じゃない」 菫「……一年生の頃坂道の前で立ち尽くしていたお前が懐かしいよ」 照「あんぱんっ」 菫「えっ?」 照「……なんでもない、気にしないで」 渋谷「……お待たせ、アイスティーしかなかったけどいい……?」 亦野「ん、大丈夫。はっきりわかんだね」 淡「ふえ、ふええ、ふえええええん!!!!」 菫「オ、オホン!……本当にどうしようか、この子」 照「まったくもってわからない」 照「けど、こう言う時はいっそのこと激流に身を任せた方がいいって千里山のトキィさんが言ってた」 菫「いつの間にそんな友人を……」 照「私のコミュニケーション能力は伊達じゃない」ドヤッ 菫「……一年生の頃坂道の前で立ち尽くしていたお前が懐かしいよ」ハァ 照「あんぱんっ」 菫「えっ?」 照「……なんでもない、気にしないで」 渋谷「……お待たせ、アイスティーしかなかったけどいい……?」 亦野「ん、大丈夫。はっきりわかんだね」 菫「まあ昔話は置いといて、今は目の前のこいつをなんとかしよう、見据えるは未来。坂の上の雲さ」 照「そうわよ(便乗)」 淡「うううう……」 菫(淡は元気と麻雀の強さだけが取り柄だからな……いっつも笑っててこんなことになったことはなかったな) 菫(ああ、そういえばいつも部屋の固い空気を淡はほぐしてくれたっけか……) 菫(……なんだかんだ言っても、淡は私達の仲間……いや、友なんだな) 菫(……それにしてもどうするか) 菫(何か一発で彼女をウルトラハッピーにする方法を考えなければ) 亦野「いやー今日は天気がイイですね……ポカポカしてあったかいです」 渋谷「そうだね」 亦野「自分、寝ていいすか」 渋谷「構わない」 亦野「じゃ、おやす……み……」 亦野「……zZZ」 渋谷「………………」 渋谷「…………堕ちた(確信)」 菫(何かないか……なにか……) 菫(……………………ん?) 菫(この……音は……一体?) ~♪~♪~♪ 淡「!!!!」 淡「っこの音は!」バッ! 菫「うおっ!?」 淡「この!音はッ!」ゴソガサゴソガサ…… バッ! 淡「京太郎専用の!携帯着信音!」 菫「!!須賀君か!?」 照「……!」 渋谷「逢瀬は終わったのか……(絶望)」 ピッ!(迫真) 淡「もしもし京太郎!?」 京太郎『あーもしもし淡か?さ、っきはごめンッな』 淡「ううん、大丈夫!京太郎の方こそ体はもう良くなったの?」 京太郎『あ、、、あああ、ああ、少し休んだらもうンッよくなっンァッたよ』 淡「ホント?よかったー!」パアッ 淡「……ん?」 京太郎『?どうし、た?淡、ッ?』 淡「なんか変な音聞こえない?ヴヴヴヴヴーって」 京太郎『!さ、さあな、どっかで、、携帯でも、鳴ってるンッじゃないか?』ブブブブブ 淡「?……ま、いっか」 京太郎『と、とところでさァッ』ブブブブブ 淡「ん?なに?」キョトン 京太郎『こんどの土曜ンッ、買い物……イクッ……じゃん?』ブブブブブ 淡「!うん!そうだね!私すっごく楽しみにしてるよっ!」 京太郎『で、その時、さっ……他にンアッ、人呼んでもいい、かなっ?』ブブブブブ 淡「人?」 京太郎『あ、ああ』ブブブブブ 京太郎『ハギヨシさンアッーて言うンッだけど』ブブブブブ . そして、土曜日 淡「うう、結局あのあとは何も京太郎に聞けなかったよぅ……」 淡「今日は実際に会うわけだし、ちゃんとお話しなくちゃ!」グッ 淡「…………」 淡「服……大丈夫かな?」ショーウインドーチラッ 淡「精一杯可愛いフリフリの服着てきたけど……京太郎は可愛いって言ってくれるかな?」チラチラッ 淡「た、確かに私は京太郎の好きなおもちがあんまりおっきくないけれどっ」ショボン 淡「京太郎への愛は誰にも負けないほどおっきいんだから!」フンス 淡(それに、テルーに比べればまだマシだよね) 淡(…………)ポワポワポワーン 京太郎『その服、似合ってるぜ、淡』 京太郎『すごくキュートだ』イケメンスマイル 淡「……えへへへへ」ニマニマ 照「ぶえっくしょい!」 菫「なんだ、風邪か?」 渋谷「……馬鹿は風邪引かない」ボソッ 照「きっと咲が私のことを噂しているんだろう、いやー参っちゃうなー困っちゃうなー……それと渋谷、さりげなくひどい事をいうな」 渋谷「御無礼」 菫(やっぱり馬鹿だろこいつ) 菫「……ところで亦野は?姿が見えないようだが」 渋谷「彼女は置いてきた。修行(意味深)はしたがはっきり言ってこの戦いにはついてこれそうもない」 菫「あ、そう」 菫(亦野……無茶しやがって……) 照「……」 菫「……ところで、だ」 照「なに?」 菫「私達全員こんな服装で大丈夫なのか?」 ブラックコート+つば広帽子+サングラス 渋谷「大丈夫だ、問題ない」 照「問題ナッシングー」グー 菫(……どうやら人選に問題があったようだ) 菫(昨日いきなり照がオペレーション・スニーキングミッションだとか訳のわからんと言うか意味の被っとるたわごとを言い出したと思えばトントン拍子でご覧の有様だ) 菫(……まぁ私も今日淡達をBIKOUしようとしてたのは内緒だが) 照「!!……スミさん!ホシが来た!」 菫「誰がスミさんだ……ってん?」 渋谷「他にもう一人いる……」 菫「…………ん……おい…………待て」 「「?」」 菫(あの、執事服の男、まさか、まさか――――!!!!) 「お~い!淡ー!待たせたなー!」 淡「あ!京太郎ーっ!」パアッ 京太郎「ちょっと待たせたか?」 淡「ううん、今来たところ!」 淡(ホントは30分前から身だしなみチェックしてたよ!でもこの台詞言いたかったんだよね~) 京太郎「ははっ、ドラマみてーな台詞だな……でも、ま、あんまり待たせてなくてよかったよ」 京太郎「あ、それと紹介するよ、こちらの人が電話で話してた――――」 「初めまして、ハギヨシと申します」 . 淡(…………あれ?) 淡(この人、何処かで見たことある様な――――――ッッッッ!!!!!) コ↑コ↓ オハイリクダサイ、ドウゾ ワタシノイエ……オクジョウアルンデスケド……ヤイテイキマセンカ? マァ、タショウハ コノヘンガセクシーデスネ……エロイデス! オマタセシマシタ、アイスティーシカアリマセンデシタケドヨカッタデスカ? アバレナイデ、アバレナイデクダサイ アナタノコトガスキダッタンデスヨ! イイデス!キテクダサイ!ムネニカケテクダサイ!ムネニ! イキスギイイイイイイッ ンアッー! 淡「あ……あ……あ……あ……っ!」ガタガタガタガタ 京太郎「……?淡?どうした?顔色悪いぞ?」 淡「みゅっ?!ななななんでもないよ!なんでも!」 京太郎「そっか……ホントに調子悪い時は言えよ?」 淡「う、うん……ところでさ、そっちの人は――――」 ハギヨシ「…………」ジィィ 淡「……?」 ハギヨシ「……」ニコッ 淡「!!!!!」ゾワワワワッ! 京太郎「ん、ああ。ハギヨシさんはな、俺の師匠(意味深)なんだ」 京太郎「俺ってあんまり服の事わからないからさ、ハギヨシさんに助言頼んだんだけど、丁度ハギヨシさんも入り用なものがあるって言うからこうして一緒に――――って淡?」 「お~い!淡ー!待たせたなー!」 淡「あ!京太郎ーっ!」パアッ 京太郎「ちょっと待たせたか?」 淡「ううん、今来たところ!」 淡(ホントは30分前から身だしなみチェックしてたよ!でもこの台詞言いたかったんだよね~) 京太郎「ははっ、ドラマみてーな台詞だな……でも、ま、あんまり待たせてなくてよかったよ」 京太郎「あ、それと紹介するよ、こちらの人が電話で話してた――――」 「――――――ハギヨシ、と呼ばれています」ニコッ . 淡「!ん、うん!何かな京太郎!?」 京太郎「……ホントにお前大丈夫か?」 淡「う、うん!私はいつでもウルトラハッピーな高校100年生だよっ!」 京太郎「そ、そうか」 淡「ほらっ!みんな揃ったことだし早くいこ?今日はいろんなところ回るんだから!」 京太郎「ははっ、お手柔らかにな」 京太郎「ハギヨシさんも、ほら、行きましょう」 ハギヨシ「――――――ええ」クスッ 淡「!!」ゾワワワワッ!! 淡(ううーやっぱりあの人嫌な感じするよぅー……) 淡(やっぱりあのDVDの人なのかな?……だとしたらすっごいよー……) 淡(と、とにかくっ、今日が正念場!頑張らなきゃ!) 淡(えい、えい、おーっ!) ハギヨシ「…………」クスッ 照「……動いた!」 渋谷「尾行……開始……」 菫「…………」 照「菫?どうしたの?」 菫「い、嫌なんでもない。気にするな」 菫「それよりも慌てんな……慌てんなよ……彼らに尾行がばれたら話にならない」 照「そ、それもそうだな、うん。落ち着こう」 菫(あの執事服の男……正体が気になるが、今は様子を見よう) ――服屋―― 淡「とうちゃーくっ☆」 京太郎「はえ^~けっこうおっきいんだな」 ハギヨシ「ええ、この辺りでは1番品揃えが良いみたいですね」 淡「よーしっじゃあ早速私のファッションショーを開催するよっ!」 京太郎「お、おう」 淡「京太郎が服を選んで、私がそれを着るのっ!」 淡「ふふっ、たーっぷりと私を京太郎色に染め上げてね?」 京太郎「今日もまた服選びか……壊れるなぁ……」 淡「!!……京太郎は、嫌?」 京太郎「あ、いや、そう言う訳じゃないんだ」 京太郎「ただ、俺なんかが選んだ服を着て本当に淡はいいのかな、ってさ」 淡「京太郎が選んでくれた服だからいいんだよっ!」 京太郎「そ、そうか。ならいいんだが……」 ハギヨシ「ふふっ、ならちゃーんと選んであげないといけませんね」 京太郎「え、ええ。そうですね、ハギヨシさん」 ハギヨシ「微力ながら私も力添えをさせて頂きますよ」 京太郎「それは……あはは、ちょっとアドバイスお願いしますね」 ハギヨシ「ええ、おまかせあれ!ですよ」 菫「淡の奴、結構はしゃいでるな……楽しそうだ」 照「愛しの彼氏とのデート!はしゃがずにはいられないッ!」 渋谷「……けれどあの隣の男……不気味……」 照「ああ、確かにそうだ……あの男、一体何者?」 菫「だから二人とも、あの執事の男に注意してくれ……何か嫌な予感がする」 渋谷「了解」 照「把握した」 菫(例のDVDに写っていた……と言うことは京太郎とそう言う関係なのか?) 菫(……なんにせよ、注意せねば) 京太郎「淡ーっ!着替え終わったかー?」 淡「ん、もう少し待って……っと、よしっ♪」 シャーッ!(迫真) 淡「じゃじゃーん!お待たせしましたっ!」キラッ 京太郎「おお……!」 ハギヨシ「……」 淡「えへへ……どう……かな?」モジモジ 京太郎「すっげー!似合ってるぜ!淡!」イケメンスマイル 淡「!!ホント!?ホントにホント!?」ガバッ 京太郎「あ、ああ、似合ってるから!か、顔が近い!あと、その、だな、 胸が……」 淡「え?……きゃぁっ!?」 淡(う、ちょっと露出多い服選んだからおっぱいが京太郎に見えてたんだ……) 淡(うう~……恥ずかしいよー……)カァッ 淡(で、でもっ、京太郎がこの服を選んでくれたってことは…私をもっと見たいってことだよね?) 淡(だ、だとしたら……えっへへ……嬉しいなぁ~)テレテレ 淡(私も京太郎が見た言って言ってくれたらいくらでも見せてあげるのに……) 淡(……そーいえば、私ってまだ京太郎とキスもしてなかったっけ) 淡(京太郎って奥手さんなのかな?やっぱり私がもーっとアピールしないといけないのかな?) 淡(……それに、うかうかしてたら京太郎が他の誰かに取られちゃうかも――――っ!!!)ゾクッ! 京太郎「あ、淡?どうかしたか?」 淡「え!?……あ、あはははは、なんでもないよ!それより早く!次の服次の服!」 京太郎「?……ほい、次はこっちな」スッ 淡「ん、りょーかいっ。じゃあちょっとだけ待っててね!」 シャーッ!(迫真) 京太郎(淡の奴、やっぱり今日様子が可笑しいな……なんかあったのか?) ハギヨシ「……」ニコニコニコ シャーッ!(迫真) 照「ん、淡の着替えが終わったみたい」 菫「どれどれ……うっわすっごいヒラヒラした服着てるな、アイツ」 渋谷「でも……似合ってる……」 菫「ああ、ホント……悔しいぐらいに似合ってるな」 照「アレならどんな男でもイチコロ」 菫「…………」ジーッ 照「……?」 照「菫?どうかしたか?」 菫「えっ?あ、ああ、いや、なんでもない、気にするな」 渋谷「……ひょっとして」 菫「?」 渋谷「……羨ましい、とか?」 菫「っ!!!」 照「羨ま?…………あー、成る程」 渋谷「彼女がヒラヒラした可愛い服を着てるのが」 菫「」 渋谷「で、自分もあんな服が着たい……と、考えいる……とか?」 菫「」プルプルプルプル 照「菫……」 菫「そそそそんな訳あるかそんな訳あるかっ!」 菫「わ、私にあーんな可愛い服が似合う訳がないのもお前らわかってるだろ!」 照「でも着たいんでしょ?」 菫「っ!」 渋谷「着たいんだろ?(迫真)」 菫「……」 照「……」 渋谷「……」 菫「……」 菫「~~~っ!!!!!!」 菫「あああああ!着たいさ!着たいとも!」 菫「いくら似合わないってわかっててもな!着たいものは着たいんだよ!!」 菫「しょうがないだろう!?だって女の子なんだもん!」 照「…………」 渋谷「…………」 菫「み、見るな!そんな優しい目で私を見るなぁっ!」 照「……よし、もうはしゃぐのはやめよう。奴らに見つかったら大変だからな」 渋谷「同意……」 菫(こ、こいつら……!) 照「あ、また淡が服抱えて試着室の中に入ったぞ」 渋谷「彼女……結構なんでも服似合うから……羨ましい……」 菫「……」 照「あ、ところで」 菫「?」 照「菫って日曜早起きしてる?」 菫「な、なんだ藪から棒に。日曜は……6時ごろに起きてるが、それがどうかしたか?」 渋谷「そう(無関心)」 照「やっぱりな(確信)」 菫「はあ?何がやっぱりなんだ?」 渋谷「スマイルチャージ!ゴーゴーレッツゴー!」 照「ウルトラハッピー!」 菫「?お前ら一体何を言って……っっ!!!!」 菫「い、言って、いるん、だ?」 照「動揺……したな?」 渋谷「それが……何よりの証拠!」 菫「ぐっ!」 照「菫!」 渋谷「貴様!」 照・渋谷「「(プリキュアを)見ているなッ!」」 菫「ぐううううっ!!!」 照(決まった……) 渋谷(堕ちたね(確信)) 菫「…………」 菫「……ああ、そうさ」 菫「見ているさ……見ているとも」 菫「毎週毎週欠かさず録画し!毎週日曜朝八時半はテレビの前で体育座りだ!」 菫「私は毎週プリキュアを見ているんだよ!」 菫「それになにかおかしな事があるか!?女の子がプリキュアを毎週楽しみに見ておかしな事があるか!?いや!ない!(反語)」 照・渋谷「…………」 菫「だからそんな優しい目で私を見るなァーーーーz______ッ!!!!」 照「……菫」 菫「な、なんだ!」 照「安心して……私はそんな事で菫を馬鹿にしたりしないよ」 菫「……」 照「私も菫も、花も恥らう乙女なんだもん。プリキュアに憧れたって何もおかしくないっ」 菫「照……」 照「だから、涙を拭いて」スッ 菫「えっ?……あ」ツゥ 渋谷「イイハナシダナー」 渋谷(……でも) 渋谷「菫さんが魔法少女……か」 照・菫「」ビクッ 照・渋谷・菫「……」 ポワポワポワーン チャーチャララーチャララチャーン♪(キャピキャピしたBGM) 菫『へんっ!しーんっ☆』 パアッ♪ フィーンパシャッ♪(服が出てくる音) キュピーンシュワッ♪(同上) 菫『てんほーれんほーちーーっほーーーーっ☆』(よくわからない呪文) 菫『魔法少女☆まじかるすみれ☆』 菫『キミのハートをーーーーブチ抜くぞっ♪』デデドン! 照・渋谷「「だぁーーーーっはっはっはっはっはっ!!!!!!!!」」ワハハハハハ 菫「……」 照「こ、、こいつは傑作だ!」ゲラゲラ 渋谷「お、お腹痛い……」プルプル 菫「……」 照「魔法少女☆まじかるすみれ☆」キリッ 渋谷「だっておwwwwーーーーは?」 ズドドンッ!!!!! シュゥゥゥゥ…… 菫「何か言ったか?」 照「いえ、何も言ってません、マム」 渋谷「どっから出したそのアーチェリー」 菫「まったくお前らと言う奴は本当に……それと渋谷」 渋谷(?) 菫「魔法少女にーーーー秘密はつきものだ」 照「えっ」 菫「クラスのみんなには内緒だぞ☆」 渋谷(とうとう開き直ったか……) 菫「……ん?」 シャーッ!(迫真) 菫(淡が出てきた、か) 京太郎「ああ^~今日は結構買ったな~」 淡(えへへ……今日は京太郎と久々に会えたからちょっと奮発しちゃった……) 淡「この服!今度会う時絶対着てくるね!」 京太郎「はははっ、喜んでくれたんなら何よりだな!……さって、と、次はどこ行く?」 淡「次?次は……えーっと」 京太郎「あ、ハギヨシさんは何処か行きたいところないすか?」 ハギヨシ「私はあとで構いませんよ」ニコッ 淡(次かぁ……次はどこ行こう?) 淡(服屋さんの次だからやっぱり……) 淡(ラ、ランジェリーショップ?)カアアッ 淡(う、うんっ。きょーたろーに可愛いブラとか選んでもらって、えっと、その……えっち、の時に見てもらうんだ) 淡(それでそれで、京太郎に『可愛い下着だな……でも、お前の方がもっと可愛いよ』っていってもらったりして) 淡(そしてきょーたろーはゆっくりと私の下着を脱がしていって……私の恥ずかしいところをぜーんぶみてもらうんだ……えへへ、京太郎にならいいんだよ?」 淡(それから私達は幸せなちゅーをしながら一つになって、痛がる私を京太郎は優しく抱きしめて) 淡(いーっぱい汗かかきながら二人で幸せになって……それで私の中に、京太郎の…………きゃ~~~っ!!!!!) 京太郎「淡?淡ー?おーい、意識あるかー?」 淡「えっ!?あ、な、なにかな!?」 京太郎「いやだから、どっか行きたいところないかって」 淡「え、えーっと……あ、そうだ!(提案)」 京太郎「?」 淡「次は京太郎の服を買いに行こう!」 京太郎「へ?俺の服?」 淡「そ!それも私が選んだ奴をね!」 京太郎「……あー」 ハギヨシ「あなたに選んでもらったので次は私の番、と言う事ですね?」 淡「そう言う事です!」 淡(ホントはあっちに行きたかったけど、ハギヨシさんもいるし、また今度でイイよね……) 淡(うん、今度だっ!今度は絶対京太郎に可愛い京太郎好みの奴を選んでもらおう!) 淡(それでそれで、帰りにそのまま京太郎のお家に行って……うんっ!すばら!) 京太郎「……うん、俺も淡に選んでもらおうかな」 京太郎「それじゃあ善は急げだ!行こうぜ!」 淡「うんっ!」 渋谷「動いた……」 照「次は何処へ行くんだろうな?」 菫(しかし淡の奴、あんなに体をくねらせて、何をやっているんだ?) 菫(……大方いかがわしい事でも考えてるんだろうな、うん) ――――服屋②―――― 淡「着いたーっ!」 京太郎「はへ^~ここもさっきの店みたいにおっきいな~」 ハギヨシ「どうやら先程の店の姉妹店の様ですね」 淡「よっし!それじゃー私プロデュース京太郎大改造作戦!はっじまっるよー!」 京太郎「お、お手柔らかになー」 淡(……とは言ったものの) 淡(どんな服選ぼー?京太郎、カッコいいからなーんでも似合うんだよね) 淡(きっとスーツとかカッチリしたのも似合うんだろうなぁ~) 淡(…………) 淡(……スーツの京太郎、かぁ) ポワポワポワーン 京太郎『ただいま、帰ったよ』 淡『おかえりなさい♪あ・な・た♪』 京太郎『ああ、ただいま』 淡『ん……』 チュッ 京太郎『今日も仕事疲れた……ん、良い匂いだ。今日はカレーか?』 淡『いつもお仕事ご苦労様っ☆それとあったり♪今日は京太郎の好物のカレーだよっ……えへへ今日は京太郎だって、語呂いいね!…………あっ、そだ♪』 京太郎『ん?』 淡『ご飯にする?お風呂にする?それとも……わ・た・し?』 京太郎『…………』 淡『……』ジィーッ 京太郎『淡……かな?』スッ もみゅん♪ 淡『やんっ♪京太郎のえっち♪』 京太郎『お前が可愛すぎるのがいけないんだよ……』モミモミ 淡『ん……あ……はぁんっ……っ、で……でもっ』 京太郎『?』 淡『お腹に赤ちゃんいるから……やさしく……ね?』 京太郎『……ああ』スッ 淡『京太郎……んっ』 淡『ちゅ……ん……ちゅっぷ…ん……ちゅ……ぷはぁ』 京太郎『愛してるよ……淡……』 淡(でへ、でへへ、でへへへへへ)ヨダレタラー 淡「……はっ!」 淡(い、いけないいけない!つい妄想の世界に……) 淡「……」 淡(……この妄想が、現実世界にリアルブートしたらウルトラハッピーなんだけどなぁ) 淡「ハァ……」 淡(って!そんな弱気じゃダメだ!私!) 淡(京太郎と私は幸せなチューをして結婚するんだ!絶対!) 淡「……って、あれ?」 淡「……」 ポツーーーン 淡「……きょーたろー?どこいったのー?」 淡(私を置いて服でも見てるのかな……?) 淡(だとしたらどこにいるんだろう?)キョロキョロ 淡(…………) 淡(……ん?) 淡(あの試着室にある靴……あれは……京太郎の靴?!) 淡「……」 淡(はっぷっぷー。きょーたろーめ、一人でさっさと選んで試着しているな?) 淡「……そんなに欲しい服でもあったのかな?」 淡「まったくもう……」 トテトテトテ 淡「京太郎ー?そこにいるのー?」 ガタタタッ! 京太郎「んアッ、淡か?そ、そこにいるの、か?」 淡「う、うん。いるよー?」 京太郎「そ、そう ンッ か」 淡「もうっ!京太郎!私が服選ぶって言ったじゃん」プンプン 京太郎「そ、そうだっ、ック、たな。ごめンッ」 淡「?……京太郎?どうしたの?なんか変だよ?」 京太郎「え?あ、いや、なんでもない ァッ んだ。気にしないでくれ」 淡「あ、もしかして服着替えるのに手間取ってるの?だったら私が手伝おっか?」 京太郎「!!!」 シャッ!(迫真) 京太郎「い、いいや、いい、よ……ンッ、だ、大丈夫だから」(顔だけ出てる) 淡「そう?……なら、わかった」 淡「何か困ったことがあったら言ってね」 京太郎「ああ、わか――――~ッッッッ!!!!」 淡「?」 京太郎「……っ!……っ!……っ!」プルプルプル 淡「京太郎?どうかし――――ん?」 淡(あ……れ……?) ……ンッ……ンッ 淡(……なに?……この……音) ……パンッ……パンッ 淡(まさか……) パンッ!パンッ!パンッ!パンッ! 淡「ラップ音?!」 京太郎「ど、どうした……?淡?」 淡「ふえっ!?……え、えっと!その!」 淡(……あれ?) シ……ンッ 淡(音、止まった?) 淡「な、なんでもない……です」 京太郎「……っ!……ァッ……っ!……ギヨシサッ……ハヨ……サッ……!」グリグリグリグリグリ 京太郎「……っ!!!……っく、そ、そうか。ならンッ、いいんだ」 淡「……」 淡「京太郎の方こそ大丈夫?顔色変だよ?」 京太郎「あ、あ……大丈夫だから……心配……ンッ……するな……っ」 淡「で、でも」 京太郎「あ、そうだ(唐突)……俺の服、選んでッ、来てくれなンアッーい……か?」 淡「え?……あ、うん!おまかせあれ!だよ!」 京太郎「は、は……じゃあ……頼むヒギッ……わ……」 シャッ(迫真) 淡「……」 淡「……よしっ!ミッションスタートだよっ!」 淡(でも本当に京太郎、大丈夫かな?) 淡(なんかあの試着室ガタガタしてる気がするけど……気のせいだよね?) 淡(……) 淡「……んっ!」 淡「それじゃー私の本気チョイス!見せてあげますか!」フンス 淡「……あっ」 淡(そう言えば執事の人……ハギヨシさん、どこにいるんだろう?) 淡(むむむ…………む?) 淡(執事……執事かぁ……) ポワポワポワーン 京太郎『お帰りなさいませ、お嬢様』チャッ 淡『ん、京太郎ただいまっ!』 淡『で、早速だけど京太郎!今日は麻雀部で疲れたから!私の肩揉んで!』 京太郎の『肩……ですか?ええ、承知いたしました』スッ 淡『ぴゃへ^~すっごくきもてぃ~』モミモミモミモミ 京太郎『それはよかった』ニコッ 淡『肩が終わったら次は身体全身お願いね!』 淡『きちんと組まなく隅々まで!』 京太郎『ええ、承知いたしまし――――ってお嬢様!それはなりません!お戯れが過ぎます!』 淡『ええーケチー』プクー 京太郎『ケチじゃありません!』 淡『京太郎は私の執事なんだよ?ご主人様の命令は絶対なんだから』 京太郎『し、しかしですね……』 淡『ぜ・っ・た・い・な・ん・だ・か・ら』 京太郎『……承知いたしました』 淡『ん♪それでよしっ♪』 京太郎『ハァ……』 淡『……』 淡『そ』 京太郎『?』 淡『そ、それと……もう一つ……命令』 京太郎『?何でしょうか?お嬢様』 淡『き、京太郎!』 京太郎『は、はいっ!』 淡『……』ドキドキドキドキ 京太郎『……?』 京太郎『あ、あの、お嬢様――――』 淡『わ、私の!ものになれっ!』バンッ 京太郎『……へ?』ポカーン 淡『……』カァァァッ 京太郎『……』 京太郎『……お嬢様』 淡『』ビクッ 京太郎『……私が旦那様に仕えると決めたその日から、この身体の全てはお嬢様、あなたのモノなんです』 京太郎『私はこの家に仕える執事、しがないバトラーでございます。この家に忠誠を誓った、しがない番犬でございます』 京太郎『"そう言うこと"なのです、お嬢様』 淡『京太郎……』 京太郎『……そう、私が旦那様――ハギヨシ様にこの身を捧げると決めたその日から――――』 淡「って違う違う違う!!!!!」バッ! 淡「な、なんでハギヨシさんが出てくるのかな!?」 淡「お、落ち着け私……クールになれ……クールクール……」 淡「……ふぅ」 淡「……」 淡「て、ていくつー!」 ポワポワポワーン 淡『京太郎……』 京太郎『この身朽ち果てるまで……いえ、朽ち果てて涅槃に渡ったその後も――――私の肉体、魂は、お嬢様のモノです』 淡『……』じ~ん 京太郎『……』ニコッ 淡『……』 淡『……って違う違う!!!そうじゃない!そうじゃないよ!』 京太郎『……は?』 淡『え、えーと、その……あ!そ、そーだ!』 淡『きょ、京太郎!』 京太郎『は、はいっ!』ビシッ 淡『わ、私を――――京太郎のモノにしろっ!!!』 京太郎『はっ!承知いたしまし――――――――は?』 淡『……』 京太郎『……』 京太郎『……え、と……お嬢様?』 淡『っ!』 京太郎『それは一体、どういう意味で……』 淡『そ』 京太郎『……』 淡『そ、それは…………こう言う意味だよっ!』ガバッ! 京太郎『え?…………んむっ!』 淡『ん……ちゅ……ぷ……くちゅ……ちゅ……ぷはぁ』 京太郎『……っぷはぁ――――――――――――――――え?』 淡『わかって……くれたかな?』 京太郎『あ、あの、お嬢様?い、今一体何を……? 淡『もういっかいしないと……だめ?』 京太郎『っ!し、しなくていいです!』 淡『そう……残念』 京太郎『……』 淡『……』 京太郎『……あ、あの』 淡『ねぇ、京太郎』 京太郎『っ!は、はいっ!なんでございましょうか?お嬢様』 淡『私、京太郎のことが好き、大好き』 京太郎『――――ッ!!!』 京太郎『そ、れは……』 淡『やっぱり、駄目……かな?』 淡『"お嬢様""の私が、執事の"京太郎"を好きになるなんて、駄目なことなのかな?』 淡『お嬢様の命令でも、駄目なモノは駄目なのかな……?』 淡『ねぇ……京太郎……』 京太郎『っ!お嬢様!』がばっ! 淡『……あっ』 京太郎『一時の御無礼、お許しください』 淡『(ふわぁ……きょーたろーの胸の中……あったかい……)』 淡・京太郎『……』 京太郎『』スッ 淡『……あ』 淡『(もう少し抱きしめたかったのに……残念)』 京太郎『……わ』 淡『……え?』 京太郎『……私も、お嬢様のことを――――』 淡「なーんちて!なーんちて!」 淡「…………ふぅ」 淡(イカんな、最近妄想多すぎるよ、、私) 淡「……」 淡(……どれもこれも、きょーたろーがカッコよすぎるからいけないんだよ?) 淡「……」 淡「……さてっ!京太郎の服を選びますかっ!」 淡(えへへ、気に入ってくれたらいいなぁ~~) カアーカアーカアー(迫真) 淡(カラスが鳴いてる……夕日、綺麗だなぁ……) 京太郎「ぬわああああん疲れたもおおおおん!」 ハギヨシ「今日はいっぱい歩きましたからねしょうがないですね」 京太郎「じゃあ淡、俺ハギヨシさんをそこまで送ってくるからここで待っててくれよ?」 淡「ん、わかったー」 京太郎「じゃあハギヨシさん、行きましょうか」 ハギヨシ「ええ」 淡(今日はいろんなモノ買ったな~。えへへ、楽しかったな~) 淡(今度はどこに行こう?何をして遊ぼう) 淡(えへへ、考えるだけでウルトラハッピーになっちゃうよ…………ん?) ブブブブブブブ 淡「メールだ……誰からかな?」パカッ 淡「……」 ○ 京太郎「おーう、待たせたなー淡。それじゃあ俺もそろそろ帰――――」 淡「ねぇ、京太郎」 京太郎「ん?」 淡「この後なにか……用事ある?」 京太郎「用事?……特にないけど」 淡「そ。……じゃあちょっと付き合ってくれない?」 京太郎「え?ああ、別にイイけど」 淡「……ふふっ、ありがとっ」 ○ 京太郎「……」テクテクテク 淡「……」テクテクテク 京太郎「……」テクテクテク 淡「……」テクテクテク 京太郎「な、なあ淡?今俺達は何処へ行って―――― 」 淡「ねぇ、京太郎」 京太郎「は、はいっ!」 淡「――――ここ、入ろっか?」 京太郎「……え?」 京太郎(…………) 京太郎(……ラ) 京太郎(ラブホ君オッスオッス!!) 淡「……」 京太郎「え?いや、ちょ、ちょっと待って、えっ?なにそれは」 淡「……」クスッ 菫『……ふぅ、なんとか服屋(紳士服)に着いたな』 渋谷『危うく見失うところだった……』 照『危なかった……』 菫『元はと言えば迷子になりかけたお前が悪いんだぞ、照』 照『反省している。てへぺろ』 菫『してないだろ……』 渋谷『……須賀京太郎と執事男の姿が見えない』 菫『ん?……あ、本当だな』 照『でも淡は見えるぞ』 菫『アホ面かまして惚け立ってるな』 渋谷『所謂ヘブン状態……』 菫『奴の周りを小さな星が浮かんでは消えている……成る程、確かにヘブン状態だな、あれは』 菫『自分の世界に完全に浸っている……』 照『……星……☆……ヒトデ?』 菫『は?』 照『な、なんでもない、気にしないで』 菫『?……あ、戻った』 渋谷『妄想からの脱出……成功』 照『……あたりを見回してるな』 菫『大方ヘブン状態の時に須賀達が何処かに行ったから、それに慌ててるんだろう』 渋谷『見ていて……滑稽……』 菫『……ん?』 菫『……ああ、成る程、須賀は試着室か』 渋谷『……』 照『……あ、試着室から離れて行った』 照『どうする?淡の方を尾行する?』 菫『いや、このまま試着室を見張っておこう』 渋谷『了解……』 菫・照・渋谷『『『…………』』』 照『なぁ……あの試着室少し揺れてないか?』 菫『気のせいだろ』 渋谷・照・菫『『『…………』』』 照『……なぁ、やっぱり揺れて』 渋谷『気のせい……』 照・渋谷・菫『『『…………』』』 照『……あ、須賀出てきた』 菫『ん、本当だな』 渋谷『尾行、リスター…………ト?』 菫・渋谷・照『『『……え?』』』 照『な、なあ菫。なんで須賀と一緒に執事男が試着室から出て来たんだ?』 菫『し、しらん!私に聞くな!』 渋谷『あっ……(察し)』 菫『(ま、まさかあの中でおっ始めていたのか?……い、いや!そんなことあるはずがない!)』 菫『(……くそっ!どうかして来たな!私の頭!)』 菫『……』 菫『(……でも)』 菫『(後で一応、ありのまま今起こったことを淡にメールで送っておこう……)』 ブブブブブブブ(迫真) 淡『……あれ?メールだ』 淡「…………」 淡「…………」 京太郎「なあ!淡!やめろって!俺達は友達だろう!?何故こんな無理矢理!」ギシッギシッ 淡「」スッ (京太郎のリー棒を添える音) 京太郎「!!や、やめろ!淡!これ以上腰を下ろしたらホントに入っちまう!」 淡「……」 京太郎「な、何があったか知らないけどさ!悩み事があるんなら俺が話を聞くよ!それで、俺にできることなら何でもする!」 京太郎「だから淡自分を見失うな!お前はこんなことする奴じゃないだろ!」 淡「……」 京太郎「淡……」 淡「」ニコッ 京太郎「淡……!」パアッ ズ……ビチ……ヌッ! 京太郎「――――――え?」 淡「~~~ッ!!!!!」 京太郎「あ、淡……お前……なにして……」 淡「……ぃ、たぃっ……っ!」ジワッ 淡「……え、へへ……でも……これで……」 淡「わた、しは……京太郎のモノで……」 淡「京太郎は……私、の、モノだね……」 京太郎「淡……」 淡「……えへへ」 淡「……キスよ、り先に……ひとつになるなんて……おかしな話だよね……っ!」 京太郎「……」 淡「……きょーたろー」 淡「大好き、だよ?」 ――――――二人は幸せなキスをして終了―――――― . 「……ふぅ」 「……どうやらあの小娘に、私と彼の運命の出会いとも言えるあの作品を贈ったのは失敗だったようですね」 「絶望のひとつやふたつしてくれると踏んではいたんですが……いやはや私も少し甘かったみたいです」 「それとも今日私達をつけ回ったあの子猫三匹達の仕業ですかね?」 「…………」 「……でもまぁ、いいでしょう」 「奪われたモノは奪い返す」 ハギヨシ「それが、執事 バトラー の嗜みですから」 カン!